
この記事で以下の内容がわかるようになります。ボリュームがありますが、介護保険に関連するものを網羅的に解説しています。介護保険制度に関するものは介護福祉士国家試験では、毎年確実に6問ほど出題されるので重要です。
- 介護保険制度のしくみ
- 介護サービスってどんな種類があるのか
- 介護サービスの具体的な内容
- 介護サービスの利用開始までの流れ
- 指定サービス事業者とは
- 介護保険法改正の歴史

まずは介護保険制度のしくみについて理解しておきましょう。
介護保険制度のしくみの基礎的理解
保険者
介護保険の保険者は、市町村及び特別区とされ、介護保険特別会計を設置して介護保険に関する収入と支出を管理することとされています。ただし、小規模な市町村については、広域連合や一部事務組合など特別地方公共団体である広域自治体も保険者となることができます。

広域連合と一部事務組合について補足説明しておきます。
広域連合
廃棄物処理や地域振興など、都道府県や市町村の区域を超える広域行政需要に対応するために設立できる特別地方自治体です。
一部事務組合
地方自治法に基づき、都道府県や市町村、特別区が、事務の一部を共同で処理するために設ける特別地方公共団体です。

広域連合と一部事務組合は同じに見えます。

基本的な目的は同じですね。違いは、文字通り広域連合の方が「より広いエリア」をカバーすることを想定されていて、このために広域連合の方がより強力な権限を持つことができるという点です。

強力な権限を持つために、広域連合には次のような特徴があります。
- 議会がある。
- 広域連合の長(市長や知事のようなもの)がいる
- 住民による直接請求ができる。
被保険者
介護保険は、40歳になった月から全ての人が加入することになり、支払い義務が生じます。年齢によって区分が分かれており、介護保険の被保険者は次の2種類です。
- 第1号被保険者
市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者 - 第2号被保険者
市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者
在日外国人は、市町村に住所を有していると認められればその市町村の被保険者となることができます。
被保険者の資格喪失の時期と届出
資格喪失の時期
- 市町村の区域内に住所を有しなくなった日の翌日から
- 市町村の区域内に住所を有しなくなった日に他の市町村の区域内に住所を有するに至ったときは、その日から
届出
- 第一号被保険者は、被保険者の資格の取得および喪失に関する事項などを市町村に届け出なければならない。
- 第1号保険者の属する世帯の世帯主は、第1号被保険者に代わって届け出ることができる。
住所地特例
介護保険施設、特定施設(有料老人ホーム、軽費老人ホーム)、養護老人ホームに入所することにより、施設所在地に住所を移した者は、施設入所前の住所地の市町村を保険者とします。2か所以上の施設を移った場合は、最初の施設入所前の所在地の市町村を保険者とします。

足立区に住んでいた人が、墨田区の特養に入所した場合は、保険者は足立区になります。
保険給付
介護保険給付の対象となるのは、被保険者(第1号被保険者または第2号被保険者)のうち、要介護状態または要支援状態と認定された者です。
介護保険の給付対象となる受給権者(要介護者・要支援者)は次の2種類があります。
- 要介護・要支援状態にある65歳以上の者(第1号被保険者)
- 要介護・要支援状態にある40歳以上65歳未満の者(第2号被保険者)であって、その要介護・要支援状態が特定疾病(末期がん、脳血管疾患、関節リウマチなど、16種類の定められた疾病)によって生じたものである者。

第2号被保険者は特定疾病でなければ、介護保険を利用できません。例えば、50歳の人が何らかの事情で要介護状態になったとしても、それが特定疾病によるものでなければ、介護保険を使うことができません。 この場合は、障害者総合支援法による障害福祉サービスを受けることになります。
保険給付は、
- 介護給付
要介護状態の被保険者が受けられる保険給付 - 予防給付
要支援状態の被保険者が受けられる保険給付 - 市町村特別給付
その他、要介護状態または要支援状態の軽減または悪化の防止に資する保険給付として、市町村独自のサービスを条例で定めるもの
となっています。
介護保険サービスの自己負担額
- 所得が280万円未満⇒1割負担
- 所得が280~340万円未満⇒2割負担
- 所得が340万円以上⇒3割負担

次に、介護サービスの利用開始までの流れをかんたんに説明しておきます。
介護サービスの利用開始までの流れ
- STEP1申請
介護保険を利用してサービスを受けるには、介護が必要かどうかの認定を受けるため、市区町村に申請を行わなければなりません。
被保険者本人やその家族、成年後見人などが、申請書に被保険者証を添えて市区町村に申請します。この場合、担当窓口に直接行く、地域包括支援センターに申請を依頼するなどの方法があります。 - STEP2認定調査と主治医意見書の作成
新規認定の場合は、市区町村から認定調査員(役所職員や委託を受けたケアマネジャー等)が被保険者を訪問し、本人や家族から74項目にわたる調査票(マークシートで全国一律の内容)による聞き取りを行います。
これと並行して被保険者のかかりつけ医(主治医)か、かかりつけ医がいなければ、市町村が指定する医師の診察を受けて、疾病または負傷の状況など医学的な点につき主治医意見書を書いてもらいます。
主治医意見書は役所のほうで作成してくれるので、何か用紙に記入してもらうとかは必要ありません。診察してもらうだけですが、夜間頻尿で、その都度介助のために起きなければならない等、困りごとがあれば伝えておいた方が、実情に合った判定をしてもらえます。
- STEP3一次判定
調査票及び主治医意見書の一部の項目はコンピューターに入力され、コンピューターによる一次判定が行なわれます。
- STEP4二次判定
市区町村に置かれる介護認定審査会(保険、医療、福祉に関する学識経験者5名程度で構成される。)が調査票と主治医意見書の2つのデータをもとに要介護認定の審査を行い、要介護状態に該当するか、要支援状態に該当するか、あるいは介護サービスを必要としないのかを最終的に判断します。
介護認定審査会のメンバーは市区町村長が任命します。
- STEP5通知
市区町村は、原則として申請のあった日から30日以内に要介護・要支援認定の結果を被保険者に通知しなければなりません。申請から認定まで1か月近くかかるため、緊急その他やむを得ない理由により介護サービスを受ける必要が生じた場合は、要介護・要支援認定を受ける前でも介護サービスの利用ができます。この場合の費用は利用者が立て替え、あとでその9割(あるいは7割か8割)が戻ってくることになります。
要介護・要支援認定がなされると、その申請のあった日にさかのぼって効力が生じます。また、要介護者や要支援者に該当しないと認められた時は、理由を付して被保険者に通知されるとともに、被保険者証が返付されます。 - STEP6ケアプランの作成
要介護・要支援認定がなされると、ケアマネージャーなどにより、ケアプラン(介護サービス計画)が作成されサービス利用開始となります。

実際のサービスは指定サービス事業所が提供します。適当に事業所を立ち上げてすぐに介護保険を使ったサービスを行おうと思ってもできないのです。
指定サービス事業者とは
介護保険を使って、サービスを提供しようとする事業者はサービスの種類ごとに定められた指定基準を満たすものとして、事業所ごとに都道府県知事または市町村長の指定を受けなければなりません。

指定といわれるとちょっとイメージがしにくいのですが、要は「おたくの事業所は定められた基準(人員配置等)を満たしてるので、介護保険を使ったサービス提供の仕事をしてもいいですよ」というかんじです。
事業者からの申請を受けて、
都道府県知事が指定をするサービスは、次の3つです。
- 居宅サービス事業者
- 施設サービス事業者
- 介護予防サービス事業者
市区町村が指定をするサービスは、次の2つです。
- 地域密着型サービス事業者
- 居宅介護支援事業者

「都道府県知事が地域密着型サービス事業者の指定・監督を行う」というような間違い選択肢を介護福祉国家試験の過去問でみたことがありますね。
指定の更新
指定サービス事業者の指定等について欠格要件が規定されており、サービス事業者は6年ごとに指定の更新を受けなければなりません。
利用者と介護保険サービスの利用契約を締結する際の留意点
- あらかじめ、利用者または家族に対し、重要事項説明書を交付してサービス内容を説明する。そのうえで、利用者の同意を得る。
- 利用者または家族の承諾を得た場合は、重要事項説明書の交付に代えて、メールでの送信やCD-ROMなど、利用申込者または家族が出力して文書を作成することができるものにより提供してもよい。
- 認知症などによって判断力が低下している利用者との利用契約は、成年後見制度などを活用する。

ここから具体的に介護サービスを説明していきます。
介護サービスでは、省令の「運営基準」で、各種サービスの「提供拒否の禁止」が規定されており、「正当な理由なくサービスの提供を拒んではならない」と明記されています。提供を拒む正当な理由には、
(1)当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合
(2)利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合
(3)入院治療の必要がある場合
等が挙げられています。

まずは要介護1~5の人が受けることのできるサービス(左下のピンク色)を見ていきます。
厚生労働省
要介護1~5の人が受けられるサービスは、大きく分けると都道府県が指定・監督を行うサービス(居宅サービス、施設サービス)と市町村が指定・監督を行うサービス(地域密着型サービス、居宅介護支援)の4つです。

ひとつずつさらに細かくみていきます。
居宅サービス
居宅における介護では、安全で正確な介護技術を踏まえたうえで、利用者の望む生活や価値観、人生観に沿う援助が求められます。具体的には、以下の点に留意しながら援助を進めます。
- 利用者の生活歴や価値観を知る。
- 機能障害や残存機能を把握する。
- 本人や家族の思い、家族の介護負担の現状を知る。
- 住環境、経済環境、地域の社会資源、医療関係者との連携のあり方を確認する。
- 利用者、介護者にとって使いやすい福祉用具の情報提供を行う
訪問介護(ホームヘルプサービス)
生活援助サービスと身体介護サービスに分けられています。対象者は居宅 (老人福祉法に規定している軽費老人ホーム、有料老人ホーム、養護老人ホームにおける居室を含む) の要介護者です。居宅サービス計画(ケアプラン)に基づくサービスが提供されます。訪問介護の提供にあたっては、個別援助計画として訪問介護計画を作成し、その内容について利用者またはその家族に対して説明し、同意を得なければなりません。
生活援助サービス
掃除、調理、洗濯などの日常生活の援助です。介護保険制度の生活援助で介護給付費が支給されるのは、利用者が単身の世帯に属している場合か、または家族等の障害、疾病などの理由により、利用者や家族等が家事を行うことが困難な場合とされています。
生活援助サービスの具体例は、
- 掃除
ゴミ出し、利用者本人の部屋の掃除 - 洗濯
利用者本人の衣類の洗濯、干し、たたみ、整理 - 食事準備
食材の買い物、調理、配膳、片づけ - その他
爪切り、血圧測定、耳掃除
などです。
比較的軽度の人ほど生活援助サービスの利用の比重が高いです。予防的観点からも一緒に作業をすることで、自立に向けた支援をすることが大切です。

食事を作ってあげる、掃除をしてあげるというような“お手伝いさん”にならないように注意しなければなりません。
身体介護サービス
身体介護サービスは、身体に直接触れて行う介護のことをいいます。具体的には、
- 食事介助
- 排泄介助
- 入浴介助
- 清拭
- 更衣介助
- 歩行介助
- 体位変換
- 移乗介助
などです。
比較的重度の人ほどサービス利用の比重が高くなっています。
訪問介護サービスでは受けられないもの
訪問介護は、前提として利用者本人だけを対象としたサービスです。利用者本人が生活を送るうえで日常的に必要ではない行為や、医療行為等は訪問介護で受けることはできません。
具体例は以下のようなものです。
- 訪問介護員が行わなくても生活に差支えがないもの
家具の移動、電気の修理、窓のガラス拭き、庭の草むしり、ペットの散歩 など - 医療行為
インスリンの注射、摘便、褥瘡の処置、点滴 など
※経管栄養と喀痰吸引に関しては、定められた研修過程を修了するといった一定条件を訪問介護員と事業所が満たしている場合のみ可能
参考テキスト⇒医療的ケア - 利用者本人以外へのサービス
家族の分の食事を作る、家族の部屋の掃除、家族の衣類の洗濯 など
訪問入浴介護
居宅で介護を受ける要介護者の居宅を訪問し、浴槽を提供して行われる入浴の介護です。
訪問看護
居宅要介護者の居宅において看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの医療職により行われる療養上の世話または必要な診療の補助です。

インシュリンの注射や摘便などが必要な場合は、介護職では行う事ができないため、訪問看護を利用します。
訪問リハビリテーション
居宅要介護者の居宅において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うサービスです。病院、診療所に加えて、介護老人保健施設も訪問リハビリテーションを行うことができます。
居宅療養管理指導
居宅要介護者について、病院、診療所または薬局の医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、医療機関や訪問看護ステーションの保健師、看護師、などにより行われる療養上の管理および指導等を行うサービスです。
老々介護や、在宅介護で家族では手が回らないようなケースで利用できますが、医師や歯科医師の指示がないと利用できません。

最近食が細くなり、好きなものしか食べないので痩せてきた。ちゃんと栄養がとれるようにおじいさんを指導をして欲しい。
通所介護(デイサービス)
居宅要介護者について、特別養護老人ホーム、養護老人ホームおよび老人福祉センター等の施設または老人デイサービスセンタ―に通ってもらい、入浴、排せつ、食事等の介護、生活等に関する相談および助言、健康状態の確認その他必要な日常生活上の世話、並びに機能訓練を行います。外出することにもなり、日常生活の活性化に役立ちます。また、家族の介護負担の軽減という効果もあります。なお、単に「通所介護」という場合、認知症対応型通所介護に該当するものは含まれません。
通所介護では、個別援助計画である通所介護計画を作成し、個別ケアを実践します。通所介護計画作成のためには、ケアマネジャー等が作成した居宅サービス計画(ケアプラン)から、利用者が通所介護に何を求めているのかを明確に把握する必要があります。
通所リハビリテーション(デイケア)
居宅要介護者について、介護老人保健施設、病院、診療所に通ってもらい、利用者の自立に向けた心身機能の回復を図ります。また、軽度要介護者の重度化を予防し、現在の状態を維持できるようにするサービスです。
ショートステイ
居宅要介護者が数日~1週間くらいの短期で特別養護老人ホームや介護老人保健施設等の施設やショートステイ専門の施設に入所できるサービスです。在宅で介護をしている人がどうしても家を空けなければならないとき、介護を休みたいときなどに便利なサービスで、レスパイトケアも目的の一つです。

ショートステイには短期入所生活介護と短期入所療養介護の二つがあります。利用者に医療が必要かどうかで使い分けます。
短期入所生活介護
特別養護老人ホームやショートステイ専門施設などで日常生活の世話や機能訓練のサービスが提供されます。
短期入所療養介護
老人保健施設や介護医療院で看護・医学的管理のもとで日常生活の世話や機能訓練等のサービスが提供されます。
特定施設入居者生活介護
介護保険法で定められた特定の施設に入所している要介護者等について、その施設で、入浴、排泄、食事等の介護、生活等に関する相談、助言等の日常生活上の世話、機能訓練および療養上の世話を行うサービスです。

特定の施設とは何か説明しておきます。
特定施設とは、①有料老人ホーム②軽費老人ホーム③養護老人ホームの3つで、定員が30人以上で都道府県から居宅サービスの特定施設入居者生活介護の事業者指定をうけたものです。
有料老人ホーム
老人福祉法に規定された居住施設で、以下の4つの類型があります。
- 介護付有料老人ホーム(内包型職員によるケア:介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。介護サービスは有料老人ホームの職員が提供する。)
- 介護付有料老人ホーム(外部サービス利用型:介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。有料老人ホームの職員が安否確認や計画作成等を実施し、介護サービスは委託先の介護サービス事業所が提供する。)
- 住宅型有料老人ホーム(生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。介護が必要になった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら当該有料老人ホームの居室で生活を継続できる)
- 健康型有料老人ホーム(食事等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。介護が必要となった場合には、契約を解除して退去しなければならない。)
軽費老人ホーム
老人福祉法に規定された老人福祉施設です。
家庭での日常生活に近い環境で、最低限の生活支援サービスを受けながら、自立した生活を送ることができる住居です。食事サービスのあるA型、食事サービスのないB型、食事サービスがあり、介護が必要になった場合に、介護保険の居宅サービスが受けられるC型(ケアハウス)の3種類があるが、2008(平成20)年度からケアハウスの基準を標準化して一元化されています。

2010(平成22)年度からは、都市部において居室面積や職員配置基準の特例を設けて利用料の低廉化を図った都市型軽費老人ホーム(定員20人以下)が設立できるようになりました。
養護老人ホーム
老人福祉法に規定される経済的、社会的理由により地域で生活を維持、継続できない人のための福祉施設です。
もともとは介護を必要としない自立した65歳以上の高齢者で低所得などの原因によって自宅で生活ができないなどの経済的理由を持つ方が入所対象でしたが、2005年の介護保険制度改正で特定施設の指定を受けることができるようになりました。ただし、介護サービスは外部のサービス利用を前提としています。

特別養護老人ホームと名前は似ていますが、まったく別物の施設ですね。
福祉用具貸与
居宅要介護者について行われる福祉用具のうち厚生労働大臣が定めるものを貸与するサービスです。
福祉用具とは以下のように規定されています。
心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障がある要介護者等の日常生活上の便宜を図るための用具および要介護者等の機能訓練のための用具であって、要介護者等の日常生活の自立を助けるためのもの
介護保険法
特定福祉用具販売
居宅要介護者について行われる、福祉用具のうち入浴または排泄に関するものその他の厚生労働大臣定めるものを販売するサービスです。

入浴や排泄に使用するものをレンタルにすると、衛生面でも精神面でもまずいですからね。
福祉用具貸与と特定福祉用具販売の具体的な品目を下の表に書いておきます。
福祉用具貸与 | 特定福祉用具販売 |
---|---|
車いす | 腰掛便座 |
車いす付属品 | 簡易浴槽 |
特殊寝台 | 入浴用椅子 |
床ずれ防止用具 | 浴槽用手すり |
手すり | 浴槽内椅子 |
スロープ | 浴室内すのこ |
歩行器 | 浴槽内すのこ |
認知症老人徘徊感知機器 | 入浴用介助ベルト |
移動用リフト(つり具の部分を除く) | 移動用リフトのつり具の部分 |
自動排泄処理装置 | 自動排泄処理装置の交換可能部品 |
※自動排泄処理装置
自動的に便や尿を吸引する福祉用具のひとつです。尿意を感じてから立ち上がってトイレに行くまでに時間がかかり失禁してしまうケースや、転倒などの不安があり夜間に起き上がってトイレまで歩くことに抵抗がある場合など、排泄動作に不自由のある高齢者に利用されています。

上の表を全部おぼえる必要はありません。その物品が福祉用具貸与か特定福祉用具販売のどちらか判断できれば十分です。
施設サービス
介護保険の施設サービス
施設サービスは名前の通り、介護保険施設に入居して、施設サービス計画(ケアプラン)に基づいて行われる介護サービスです。
介護保険施設というのは、
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
の4つですが、介護療養型医療施設は廃止が決まっていて、介護医療院への移行が進んでいます。
介護保険施設は、公的施設の意味合いが強いので、施設を運営する母体は、地方公共団体や社会福祉法人、医療法人などに限られています。施設建設に補助金が出たり、運営する法人が法人税などの優遇を受けられるため、入所者の費用も有料老人ホームと比べて低く抑えられます。

介護老人福祉施設と介護保険施設の違いなどがいまいちわからない方はこちらの記事を読んでみてください。
⇒違いは?|特別養護老人ホームと介護老人福祉施設と介護老人保健施設
地域密着型サービス
地域密着型サービス事業者の指定は市区町村が行います。原則として指定を行った市区町村の被保険者のみが利用できます。
地域密着型サービス事業所は、利用者やその家族、市町村職員、地域の代表者等に対しサービス内容等を明らかにすることにより、事業所による利用者の「抱え込み」を防止し、地域に開かれたサービスとすることで、サービスの質の確保を図ることを目的として、各事業所に「運営推進会議」の設置が義務づけられています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
2011(平成23)年介護保険法改正(施行は2012(平成24)年)で創設された定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、重度者をはじめとした要介護者の在宅生活を支えるため、日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護を一体的にまたはそれぞれが密接に連携しながら、定期巡回訪問と随時の対応を行うサービスです。次の2類型があります。
- 介護・看護一体型
一つの事業所で訪問介護と訪問看護のサービスを一体的に提供するもの - 介護・看護連携型
訪問介護事業所と訪問看護事業所が連携をしてサービスを提供するもの

具体的には、次の1~4のサービスを適切に組み合わせて提供します。
- 定期巡回サービス(定期的な訪問介護サービス)
訪問介護員等が、利用計画に基づいて、利用者の居宅を巡回して、入浴、排せつ、食事等といった日常生活支援を行います。利用者の心身の状況により、必要に応じて内容や提供時間等、柔軟に対応します。 - 随時対応サービス(24時間連絡受付業務)
オペレーターが利用者や家族からの連絡を受け、相談援助やヘルパー等による訪問の必要性を判断します。 - 随時訪問サービス( 緊急時や必要時における訪問介護サービス )
随時対応サービスの判断に基づき、訪問介護員等が利用者の居宅を訪問して、緊急時の対応や入浴、排せつ、食事等といった日常生活支援を行います。 - 訪問看護サービス(定期的な訪問看護サービス)
看護師等が利用者の居宅を訪問して、療養上の支援または診療の補助を行います。
一体型では、1~4のサービスを提供します。訪問看護サービスを行う場合と行わない場合があり、訪問看護サービスを行う場合の方が、利用料金は高い。
連携型では、1~3のサービスを提供し、4のサービスは、連携先の訪問看護事業所が提供します。訪問看護サービスを利用する場合は、別途に連携先の訪問看護事業所に料金を支払います。
夜間対応型訪問介護
居宅要介護者について、夜間の定期的な巡回訪問を行います。また、利用者や家族からの通報により、訪問介護員等が派遣され対応してくれるサービスです。
認知症対応型通所介護
居宅要介護者であり、かつ認知症の症状があるものについて、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、および老人福祉センター等の施設または老人デイサービスセンターに通い、入浴、排泄、食事等の介護、生活等に関する相談および助言、健康状態の確認その他の必要な日常生活上の世話や機能訓練が受けられるサービス。
地域密着型通所介護
2014(平成26)年の介護保険法改正により創設されたサービスです。施行は2016(平成28)年)。居宅要介護者について、老人デイサービスセンターなどに通わせ、その施設で入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話および機能訓練を行うサービスです。利用定員が18人以下であるものに限られています。

このサービスは認知症対応型通所介護に該当するものは除きます。また、利用者が19人以上であれば居宅サービスの通所介護に該当します。
小規模多機能型居宅介護
29人以下の登録利用者である高齢者の生活を中心におき、利用者の活動に合わせ、通い、訪問、宿泊などを組み合わせ、柔軟に生活を支援するサービスです。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
要支援2か要介護者であってかつ認知症であるものについて、共同生活を営むべき住居において、入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話や機能訓練を行うサービスです。
1ユニット5人以上9人以下(原則最大2ユニットで、必要と認められる場合は3ユニットにすることができます)の小規模施設です。居室は原則として個室で、居間・食堂・台所・浴室などが設けられています。利用者の生活リズムを大切にし、ともに暮らす空間を重要視し、安心できる生活環境を整えることに重点がおかれています。

ここでユニットケアについて説明しておきます。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設、グループホームなどで、高齢者を10人程度のグループに分けて、それを生活の単位(ユニット)とし、同じメンバーで生活し、決まったスタッフがケアにあたるという形です。居室は個室とし、リビングのような小さな共用空間を共有することで、入居者が相互に社会的関係を築き、なじみの関係を形成できるようにします。居宅に近い居住環境と、居宅の生活に近い日常生活を確保し、そのなかでケアを行います。生活単位と介護単位を一致させたケアです。
ただし、「隣のユニットには関心がない、状況がわからない」という状態を作らないために、職員間の情報の共有・意見交換の機会を意識的に設ける必要があります。
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設に入居している要介護者について、提供するサービスの内容、担当者、要介護者の健康上、生活上の問題点、解決すべき課題や目標等の事項を定めた計画に基づき行われる入浴、排泄、食事等の介護、洗濯、掃除等の家事、生活に関する相談および助言その他の必要な日常生活上の世話、機能訓練や療養上の世話を行うサービスです。
地域密着型特定施設とは、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームで、入居者が要介護者とその配偶者等に限られる介護専用特定施設のうち、入居定員が29人以下のものです。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
29人以下の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で入所する要介護者について、サービス内容、担当者、要介護者やその家族の生活に対する意向、支援の方針等の事項を定める計画(地域密着型施設サービス計画(ケアプラン))に基づいて、入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理および療養上の世話を行うサービスです。
新しく建てられた特別養護老人ホームはユニット型と呼ばれており 、先ほど書いたユニットケアを受けることになります。
昼間は1ユニットごとに常勤1名の介護職員または、看護職員の配置が必要で、夜間は2ユニットごとに常勤1名の介護職員または、看護職員の配置が義務付けられています。
複合型サービス
居宅要介護者について、居宅サービスや地域密着型サービスを2種類以上組み合わせて提供するサービスでしたが、現状では訪問看護と小規模多機能型居宅介護の組み合わせしかないため、2015(平成27)年4月から「看護小規模多機能型居宅介護」と呼ばれることになりました。前述の小規模多機能型居宅介護に訪問看護の要素が加わり医療面の不安が軽減されています。
居宅介護支援

居宅介護支援事業者は、お客の要望に沿って、ホテル、交通機関などを調整、手配する旅行会社のようなイメージで考えてもらえればわかりやすいかと思います。
居宅要介護者が居宅サービス、地域密着型サービス等を適切に利用することができるように、居宅介護支援事業者の介護支援専門員(ケマネジャー)が要介護者の依頼を受けて居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、居宅サービス事業者、地域密着サービス事業者などとの連絡調整を行うサービスです。
居宅要介護者が地域密着型介護老人福祉施設または介護保険施設への入所を必要とする場合は、その紹介、その他の便宜の提供も行います。
居宅介護支援は介護の入り口となる重要なサービスで、全額が介護保険で賄われており、自己負担はゼロです。
居宅サービス計画
居宅サービス計画は、保健・福祉・医療などの公的サービスだけでなく、ボランティアや近隣の支援などインフォーマルなサービスとも調整し、在宅生活を支える総合的な計画として作成されます。
留意点は以下のようなものがあります。
- 居宅サービス計画に訪問看護等の医療サービスを位置づける場合には、医師の指示が必要になります。
- 居宅サービス計画の内容については、文書で利用者の同意を得なければならず、作成された居宅サービス計画は利用者および居宅サービス等の担当者に交付しなければなりません。
- 居宅サービス計画を立てるにあたっては、要介護者およびその家族が主体的に参画し、最終的には要介護者や家族の同意を得たものであることが必要です。居宅サービス計画の見直しは状況の変化に応じて適宜行われます。
居宅介護支援事業者と地域包括支援センターの役割の違い
居宅介護支援事業者が要介護1以上の方を支援しているのに対して、地域包括支援センターは地域住民を包括的に支援していることです。地域の高齢者の総合相談だけではなく、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防支援なども行っています。
地域包括支援センターの詳しい内容はこちらの記事から
⇒地域包括支援センター
その他のサービス
居宅介護住宅改修費(住宅改修)
手すりの取り付け、段差の解消、その他の厚生労働大臣が定める種類の住宅改修費の支給を行う。具体的には、以下の通りです。
- 工事を伴う手すりの取り付け(※1)
- 段差の解消
- 滑りの防止および移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え、向きの変更など
- その他上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修(※2)
- ※1 住宅改修の対象は工事を伴う手すりの設置である。取り外し可能な手すりのように工事を伴わな手すりは、介護保険の福祉用具貸与の対象となる。
※2 住宅改修に付帯して必要となる住宅改修には、手すりを取り付けるために壁の下地を補強するものなどがある。

次は要支援1,2の人が受けることのできるサービスをみていきます。
おおまかに分けると、都道府県が指定・監督を行う介護予防サービス、市町村が指定・監督を行う地域密着型介護予防サービス、介護予防支援3つがあります。

実質的なサービス内容は介護給付のサービスに準ずるものが多いです。
例えば、介護予防訪問看護のサービス内容は、介護給付の訪問看護に準じます。

じつは介護給付がよくわかっていません。

医療保険と同じですね。病院で実質支払うのは自己負担分の3割で、残り7割は保険給付として支払われています。介護保険も介護サービスを受けて実質支払うのは1割(人によっては2,3割)で残りは保険給付で支払われています。保険給付の原資は、みなさんの給料から毎月引かれている健康保険料などです。
介護保険料も40歳以上になると、毎月給料から引かれてますね>,<
予防給付の対象となる人は、要支援1および要支援2で介護給付の対象となる人は、要介護1~5の人です。予防給付と介護給付では利用できるサービスに違いがあり、介護給付のほうが支給限度額は高い。
介護予防サービス

介護給付のサービス名に”介護予防”をつけただけですね。実質的なサービス内容も介護給付のものに準じます。
- 介護予防訪問入浴介護
- 介護予防訪問看護
- 介護予防訪問リハビリテーション
- 介護予防居宅療養管理指導
- 介護予防通所リハビリテーション
- 介護予防短期入所生活介護
- 介護予防短期入所療養介護
- 介護予防特定施設入居者生活介護
- 介護予防福祉用具貸与
- 特定介護予防福祉用具販売
都道府県が指定・監督を行うサービスで介護給付にあって、予防給付にないものは訪問介護、通所介護、施設サービスです。
地域密着型介護予防サービス

同じように地域密着型サービスに”介護予防”をつけただけですね。
- 介護予防認知症対応型通所介護
- 介護予防小規模多機能型居宅介護
- 介護予防認知症対応型共同生活介護
サービス内容は介護給付の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に準じます。ただし、要支援1では利用できません。要支援2以上でなければなりません。
介護予防支援
実質的なサービス内容は介護給付の居宅介護支援に準じますが、介護予防サービス計画(ケアプラン)の作成は原則として地域包括支援センター(所属している保健師、ケアマネ等介護予防支援に関する知識を有する者)が作成します。ただし、居宅介護支援事業者に介護予防サービス計画(ケアプラン)の作成を委託することも可能です。

最後に総合事業についてみていきます。ただ、 総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)を理解するためには、まず地域支援事業について理解しておく必要があるので、そこから説明していきます。
総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)
地域支援事業
2005(平成17)年の介護保険法の改正で、介護保険財源を活用した地域支援事業が行われることになりました。(施行は2006(平成18)年)
地域支援事業は、高齢者が要介護状態になることを防ぎ、要介護状態になっても住み慣れた地域において、できる限り自立した生活を営むことができるよう支援することを目的とした事業です。地域支援事業では、市区町村が実施主体となり、地域の実情および高齢者のニーズ、生活実態に応じてサービスが提供されます。具体的には次の3つの事業が行われていました。
- 介護予防事業
要介護認定で非該当とされた高齢者に対し、介護予防に関する情報を提供したり、地域ボランティア活動などへの参加を支援たりするもの。 - 包括的支援事業
地域包括支援センターにおける介護予防を目的としたケアマネジメントの実施、各種相談業務、権利擁護業務など。 - 任意事業
市町村が、地域の実業や住民ニーズに応じて独自に実施するもの。家族介護を支援するサービスなども含む。
2011(平成23)年の介護保険法の改正(施行は2012(平成24年)で、高齢者が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく有機的かつ一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築がなされることとなりました。この改正で地域支援事業の一つとして総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)が導入されました。総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の導入により、それまで要支援1・2と認定された高齢者に対し、全国一律の内容、料金で提供されていた介護予防給付のうち、介護予防訪問介護と介護予防通所介護は、地域支援事業の形式へ移行されるなど、大きな再構築が行われました。下図のようなイメージです。


では、ここから総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の説明に入ります。
総合事業サービス
この事業の趣旨は、
市区町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域で支え合う体制づくりを推進し、要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すもの
厚生労働省
となっています。
介護給付や予防給付は国の介護保険制度によって基準や単価が全国一律でしたが、新しい総合事業では各市町村が基準や単価を設定して運営します。各自治体が主体となることで自由度が高くなり、地域の実情に応じたサービスを創意工夫によって提供できるようになると期待されています。
また、既存の介護事業所だけではなく、NPO、ボランティア団体、民間企業、地域住民などによるサービス提供も可能になり、高齢者の生活を地域全体で支援する取り組みが進むことにより、地域活力の向上つながることも期待されています。

総合事業は、「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」の2事業で構成されているます。

介護予防・生活支援サービス事業
訪問型や通所型など、運営する自治体によってサービス内容は異なります。

自治体によってサービスが異なるので、介護福祉国家試験で具体的なサービスを問われることはないと思われます。
サービスの対象者は、要介護認定で要支援1・2の認定を受けた高齢者と「基本チェックリスト」(後述)による判定で、要介護・要支援となるリスクが高いと判定された高齢者を対象としている。
■基本チェックリスト
基本チェックリストとは、介護予防が必要な高齢者を早期に発見するために作成された質問紙です。総合事業のサービスを利用しようとする際、市町村の窓口または地域包括支援センターにおいて、基本チェックリストを用いながら相談を進めていきます。
一般介護予防事業
介護予防活動の普及・啓発、 地域における住民全体の介護予防活動の育成・支援 などさまざまで、自治体によって異なります。
サービスの対象者は、介護予防体操教室や介護の専門家を招いた講演会などに相当する一般介護予防事業は、要支援認定を受けた高齢者も含む、65歳以上の全ての高齢者(第一号保険者)に加え、その支援のための活動に関わる者も対象としています。

ここまでにでてきた、介護サービスを一度まとめておきます。
都道府県が指定・監督を行うサービス | 市町村が指定・監督を行うサービス | その他 | |
---|---|---|---|
介 護 給付 | 居宅サービス ~訪問サービス~ ・訪問介護 ・訪問看護 ・訪問入浴介護 ・訪問リハビリテーション ・居宅療養管理指導 ~通所サービス~ ・通所介護 ・通所リハビリテーション ~短期入所サービス~ ・短期入所生活介護 ・短期入所療養介護 ~他~ ・特定施設入居者生活介護 ・福祉用具貸与 ・特定福祉用具販売 施設サービス ・介護福祉施設サービス ・介護保険施設サービス | 地域密着型サービス ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ・夜間対応型訪問介護 ・地域密着型通所介護 ・認知症対応型通所介護 ・小規模多機能型居宅介護 ・認知症対応型共同生活介護 ・地域密着型特定施設入居者生活介護 ・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 ・看護小規模多機能型居宅介護(複合サービス) 居宅介護支援 | 住宅改修 |
予 防 給付 | 介護予防サービス ~訪問サービス~ ・介護予防訪問看護 ・介護予防訪問入浴介護 ・介護予防訪問リハビリテーション ・介護予防居宅療養管理指導 ~通所サービス~ ・介護予防通所リハビリテーション ~短期入所サービス~ ・介護予防短期入所生活介護 ・介護予防短期入所療養介護 ~他~ ・介護予防特定施設入居者生活介護 ・介護予防福祉用具貸与 ・特定介護予防福祉用具販売 | 地域密着型介護予防サービス ・介護予防認知症対応型通所介護 ・介護予防認知症対応型共同生活介護 ・介護予防小規模多機能型居宅介護 介護予防支援 | 住宅改修 |
総 合 事業 | 運営する自治体によって異なる |
★覚え方のコツ
①都道府県が指定・監督を行う介護給付のサービスを覚えます。
② ①から施設サービスと訪問介護、通所介護を抜いて、頭に”介護予防”をくっつけたサービスが都道府県が指定・監督を行う予防給付のサービスになります。
③市町村が指定・監督を行う介護給付のサービスを覚えます。
④③のうち”認知症”が名称に入っているもの+小規模多機能+介護予防支援が市町村が指定・監督を行う予防給付のサービスになります。

試験本番までにこの表を完全に覚えなければならないかというと、そうでもありません。本番の試験は選択式なので、少しくらい忘れていても思い出せることはよくあります。
だたし、忘れてもかまわないので、一回はがんばって覚えてしまうことをおすすめしておきます。
介護保険制度以外の福祉サービス
介護保険サービスには、介護保険法に定められている厳格な利用基準があるため、サービスの種類や利用条件に制限があります。そこで、介護保険では提供できないサービスを提供するのが「介護保険外サービス」です。
介護認定を受けている高齢者も、受けていない高齢者も利用できるのが特徴です。
介護保険外サービスには、市区町村などが実施する非営利目的の支援サービスから民間企業が行うサービスまで幅広くあり、実施する主体によって利用方法や費用が異なっています。
生活支援ハウス(高齢者生活支援センター)
高齢者に対して、介護支援機能、居住機能および交流機能を総合的に提供します。高齢者が安心して健康で明るい生活を送れるように支援し、高齢者の福祉の増進を図ることを目的としています。
居住部門の利用対象者は、原則として60歳以上のひとり暮らしの方、夫婦のみの世帯に属する方または家族による援助を受けることが困難な方であって、高齢などのため独立して生活することに不安のある方です。
サービス付き高齢者向け住宅
⾼齢者が安全かつ快適に暮らせるよう、「⾼齢者住まい法」という法律のもとにバリアフリー構造の高齢者住宅として整備されています。
サービス付き高齢者向け住宅は、利用者の希望や、要介護度に合わせてサービス内容を決めることができるというのが最大の特徴です。

有料老人ホームとは何がちがうのかしら
サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いは、主に以下の3つです。
- 介護サービスの違い
- 生活の自由度
- 契約形態

ひとつずつ説明します。
介護サービスの違い
有料老人ホームは種類により、介護を必要とする高齢者が入居できる場合があります。しかし、サービス付き高齢者向け住宅は、基本的に自立した生活が可能な高齢者が主な対象です。施設により違いがあるものの、簡単な安否確認や生活相談、掃除・買い物代行といった生活支援のサービスが主になります。重度の介護状態では、住み続けることが難しいです。
生活の自由度
入居している高齢者の特性上、有料老人ホームは外出や外泊をする際は、その都度届け出が必要です。ほとんどの高齢者が事前に届け出ることで受理されるが、要介護度によっては申請が通りにくいケースもあります。
一方、サービス付き高齢者向け住宅は、あくまでも賃貸住宅の一種なので、外出・外泊も届け出の必要がありません。
契約形態
有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の最も大きな違いとしてあげられるのが契約形態です。有料老人ホームでは、施設に住む権利・利用する権利、さらに介護をはじめとしたサービスを受ける「利用権方式」の契約形態となります。
一方のサービス付き高齢者向け住宅は、あくまで賃貸住宅の一種なので、利用者と賃貸契約を結ぶことになります。
サービス付き高齢者向け住宅として登録されるための基準
各居室の床面積は原則として25㎡以上あること
ただし、リビングルームや食堂、台所などそのほかの共有スペースが、共同して利用するうえで十分な面積がある場合は18㎡以上あれば良いとされています。
各居室に水洗便所、浴室、洗面設備、台所、収納設備を備えていること
ただし、共有スペースに共同で利用できる台所や浴室、収納設備が設置されていて、各居室に備えつけた場合と同じまたはそれ以上の居住環境が確保されていれば、各居室への設置がなくても問題ないとされています。
館内がすべてバリアフリー構造となっていること
安否確認サービスと生活相談サービスの提供を行っていること
これらのサービスを行うために、「ケアの専門家」が少なくとも日中の間は館内に常駐していること(夜間については、常駐は義務付けられていませんが、何かあったときに速やかに駆けつけることができる状態にすることが義務化されています。)
ここで言うケアの専門家とは、社会福祉法人や医療法人、指定居宅サービス事業所などの職員、医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、さらに介護職員初任者研修過程の修了者などが該当します。また、見守りサービス以外に、食事の提供や入浴時の介助などの生活支援サービスを提供しているサ高住もあります。
介護保険法改正の歴史

介護福祉士試験対策として、年号と改正内容をセットで覚えておく必要があります。覚え方のコツとしては以下です。
- 3年ごとに見直されている
- 施行は法律が改正されてからすべて1年後
- 2008年は出題されそうな内容がないのでカット
- 1997年
(平成9年)介護保険法成立 - 2000年
(平成12)年介護保険法さ施行されサービス開始となる - 2005年
(平成17)年介護保険法改正(施行は2006(平成18)年)●法の目的に要介護高齢者等の尊厳の保持が加わった。
●高齢者が要介護状態になることを予防する介護予防重視の観点から、予防給付、地域支援事業が創設される。
●介護保険施設等における食費及び居住費について、施設介護サービス費等の対象とせず利用者が負担することとなった。
ただし、低所得者の施設利用が困難にならないよう、負担軽減を図る観点から新たな補足的給付が創設された(=特定入所者介護サービス費の創設)
●地域密着型サービスの創設
●地域包括支援センターの創設
- 2011年
(平成23)年介護保険法改正(施行は2012(平成24)年)高齢者が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく有機的かつ一体的に提供される地域包括ケアシステムが推進されることとなった。具体的には、
●定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設
- 2014年
(平成26)年介護保険法改正(施行は2015(平成27)年)●地域包括ケアシステムの構築
●費用負担の公平化
・低所得者の保険料の軽減割合を拡大
・一定以上所得のある利用者の自己負担を2割へ引き上げ
・低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」 の要件に資産などを追加(対象者が縮小されます)●在宅医療・介護連携の推進などの地域支援事業の充実とあわせ、全国一律の予防給付(介護予防訪問介護・介護予防通所介護)を地域支援事業へ移行し、多様化(住んでいる地域によってサービス内容・料金が異なることになる)
●介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の新規入所者を、原則要介護3以上に重点化
- 2017年
(平成29)年介護保険法改正(施行は2018(平成30)年)●3割負担の導入
収入が「現役並み所得相当」である340万円以上の場合、介護保険サービスを利用した際の自己負担額は3割となった。●介護医療院の創設
詳細はこちら⇒ 介護保険施設●福祉用具のレンタル料を平準化
介護保険法では、福祉用具のレンタル価格は、レンタル事業者が自由に決めてよいとされています。そのため、同じ福祉用具でも、レンタルする事業者によって価格が変わってくるというのが現状でした。事業者の中には、レンタルの適正価格を知らない利用者に対して、不当なまでに高額な料金設定をする者もおり、問題となっていました。
そこで2018年10月から、厚生労働省が全国の平均レンタル価格を公表し、その価格をもとにレンタル価格の上限設定を行うこととなりました。
そして、事業者には利用者に対して全国平均レンタル価格を伝えることと、機能・価格の異なる複数商品を提示することが義務付けられました。●共生型サービスの導入
「共生サービスを提供する事業所」としての指定を受ければ、介護サービス事業所は障害者に、障害福祉事業所は高齢者にサービスを提供できるようにりました。共生型サービスの導入で大きなメリットがあるのは、65歳を迎えようとする障害者の方です。
これまでの制度では、65歳になると障害者福祉制度から介護保険制度が適用されるようになり、長年利用していた障害福祉事業所を利用できなくなる、という事態が発生していました。
しかし、共生型サービスの指定を受けた事業所ではそのような垣根はなくなり、65歳を過ぎても長年利用してきた障害福祉事業所を引き続き利用できるようになりました。
共生型サービスでは、障害者が65歳以上になっても使い慣れた事業所でサービスが受けられる、地域の事情に合わせた施設運営ができる、といった観点から、 基本的には、介護保険、障害福祉サービスにおける
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 通所介護(デイサービス)
- ショートステイ
に該当する施設を共生型サービス事業所として運営することができます。
●要介護・要支援認定有期間の延長
要介護認定有効期間の更新が「24ヵ月」から「36ヵ月」に引き上げられました。

お疲れ様です。「介護の基本」8/13読破です。
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⇒介護の仕事は連携が命|他職種連携(チームアプローチ)と地域連携について解説
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