人間関係とコミュニケーション技術|介護の経験もふまえて解説

コミュニケーション技術のアイキャッチ介護福祉士試験
  1. 「人間関係とコミュニケーション」「コミュニケーション技術」という2科目について
  2. 介護におけるコミュニケーションの意義や目的
    1. 双方向性
    2. 関係づくり
    3. 自己開示
  3. 人間関係とコミュニケーションに関する用語まとめ
    1. 自己覚知
    2. 共感
    3. 同情
    4. 受容
    5. ラポール
    6. 言語的チャンネルと非言語的チャンネル
      1. 言語的チャンネル
      2. 非言語的チャンネル
    7. ユニバーサルデザイン
    8. 共体験
    9. 傾聴
    10. 明確化
    11. 閉じられた質問と開かれた質問
      1. 閉じられた質問
      2. 開かれた質問
  4. 介護の場面で使えるコミュニケーション技術
    1. カウンセリング技法の「感情の反射」
    2. カウンセリング技法の「感情の明確化」
    3. バイステックの7原則
      1. 1.個別化の原則
      2. 2.意図的な感情表現の原則
      3. 3.統制された情緒関与の原則
      4. 4.受容の原則
      5. 5.非審判的態度の原則
      6. 6.自己決定の原則
      7. 7.秘密保持の原則
  5. 言語的コミュニケーションに用いる道具
    1. 介護記録
    2. 携帯用会話補助装置(トーキングエイドなど)
    3. 透明文字盤
  6. 実践的なコミュニケーション技術
    1. 利用者家族との良好な関係の形成するためのコミュニケーション技術
      1. 家族の関係性を把握する
      2. 家族の介護への努力を認める
      3. 家族と利用者の意向が異なる場合
    2. 視覚障害のある人とのコミュニケーション
    3. 聴覚障害のある人とのコミュニケーション
      1. 手話
      2. 指文字
      3. 読話
      4. 筆談
      5. 空書
      6. 触手話
    4. 難聴の人とのコミュニケーション
      1. 補聴器
    5. 構音障害のある人とのコミュニケーション
    6. 認知症の人とのコミュニケーション
    7. 双極性障害のある人とのコミュニケーション
    8. 統合失調症の人とのコミュニケーション
    9. うつ病の人とのコミュニケーション
  7. 介護におけるチームのコミュニケーション
    1. 介護場面で利用される各種記録
      1. 介護記録(ケース記録、利用者台帳)
      2. 業務日誌(介護日誌)
      3. 事故報告書
      4. ヒヤリ・ハット報告書
    2. 記録をIT化するメリット・デメリット
      1. メリット
      2. デメリット
    3. チームのコミュニケーションを高める報告・会議

「人間関係とコミュニケーション」「コミュニケーション技術」という2科目について

介護福祉士国家試験では援助の入り口となる、利用者とのコミュニケーションについて学習する科目が二つあります。一つは人間関係とコミュニケーションで出題数は2問、もう一つはコミュニケーション技術で出題数は8問。この2科目はセットになっており、「人間関係とコミュニケーション」が 0点でも足切りの心配はありません。詳しくは「人間の尊厳と自立」で解説しているので、気になる方は確認してみてください。

また、この2科目は重複している部分も多く、境界もそれほど明確ではないので、この記事で2科目まとめて解説しています。

介護におけるコミュニケーションの意義や目的

双方向性

コミュニケーションは一方通行ではなく双方向に行き交うものです。介護関係においても、介護福祉職と利用者の一方的でない意思の交流と、互いの主体的な参加が重要視されています。

関係づくり

コミュニケーション自体が人と人との全人的なかかわりを意味するものであり、まずは相手との関係づくり大切である。
全人的:人間を、身体・心理・社会的立場などあらゆる角度から判断すること

自己開示

自分自身に関する情報を、本人の意思により(強制されることなく)特定の他者に対して言語を介して伝達することです

コミュニケーションに関する重要な用語を一つずつ説明していきます。

人間関係とコミュニケーションに関する用語まとめ

自己覚知

自己覚知とは自分の思想や価値観、感情などについて、客観的に理解することを言います。援助者が自分の価値観や感情などに左右されると、誤った支援をしてしまうこともあるため、自己覚知が必要になります。

介護の仕事をしていてイライラしたことはない、という人はほぼ皆無だと思います。どういう状況で自分はイライラしやすいか、介護職としてのプロ意識は持てているか等、自己覚知をしっかり行うことで、自身の感情をコントロールし適切な支援を行うことができます。利用者の理不尽な発言にイライラし売り言葉に買い言葉になってしまっては素人と言われても仕方がありません。

共感

共感とは相手の感情をその人の立場になって理解し、その感情に寄り添うことです。「気持ちをわかってもらえた」と相手に思われるような共感的態度が大切です。

また、共感は介護福祉職にとって欠かせない価値観や態度です。それと同時に、利用者の視点で見た思い、感じ方および考え方を理解し、それらを利用者自身に応答として伝える技法でもあります。

同情

同情は自分の価値観や見方から推測した相手の気持ちで合って、自分視点です。これに対し、共感は、積極的に相手の感情や思いを共有するものです。

受容

受容とは相手をあるがままに受け容れることであり、先入観、印象に基づく判断や感情的なこだわりをもたないように努めなければなりません。援助者が一方的に支持したり、アドバイスしたりすると、相手と対等な立場で受容しあうことが難しくなります。 受容は介護職が身に付けなければならない、最も重要なコミュニケーション技術です。

筆者の勤務する施設では強い妄想がでてくる利用者が数人います。

夜中に窓から入ってきた女にめつぶしされたのよ・・!

それは大変でしたね。目に痛みはありますか?

このように、利用者の言い分をそのまま受け止めるのですが、なかにはイライラする発言もあります。しっかり自分の感情をコントロールして受容するにはある程度訓練が必要です。

ラポール

ラポールとは互いに信頼し合い、心理的距離が縮まり、感情の交流を行うことができる状態をいいます。ラポールを形成するために共感受容の態度で接することが大切です。

言語的チャンネルと非言語的チャンネル

言語的チャンネル

話し言葉や書き言葉などの言語を介したメッセージの伝達経路 。手話も言語的チャンネルです。

非言語的チャンネル

ジェスチャー、姿勢、声のトーン、表情などの言語を介さないメッセージの伝達経路です。

メッセージを伝える伝達経路(チャンネル)は言語的チャンネルが全体の2~3割であるのに対して、非言語的チャンネル7~8割を占めています。

顔の表情やスキンシップといった非言語的な行動無意識のうちに表れるものが多いため、自分自身が気づかないうちに、相手になんらかのメッセージを伝えています。介護福祉職のこれらの行動は利用者とのコミュニケーションにおいて重要な部分を占めています。

ユニバーサルデザイン

障害のある人もない人もすべての人に公平で使いやすいデザイン。パソコンや携帯電話などの普及は視覚障害のある人や、移動に不自由がある身体障害のある人のコミュニケーションの手段として大きな役割を果たしています。

共体験

コミュニケーションの基本は、一緒に調理したりするなどの共体験です。何を作るか、どんな味にするか等のコミュニケーションの必然性が生じ、共体験終了後もそのことを話題に話が弾んだりします。

難しく書きましたが、一緒にごはんを作ったり、掃除をしたりすれば会話も弾むね!という感じです。

傾聴

傾聴は相手の話を受身的に聞くのではなく、その話に伴う相手の感情をも理解しようとする聴き方で、相手の言葉を妨げないでじっくり聴くことが大切です。また、 利用者の主観的な訴えに耳を傾けることも重要です。 時々うなずき、あいづちを打ちながら話を聴くと、傾聴していることが伝わりやすいです。ゆっくりと丁寧にうなずくと、落ち着いた印象を表現することができます。

傾聴スキルは妄想が強くでている利用者に対しても非常に効果的で、「傾聴」からの「感情の反射」で落ち着いてくれることが多いです。

明確化

明確化とは相手の話す内容が具体的でなく、まとまりがつかない場合に、「確かなことかどうか」尋ねる技法です。質問の形式をとることが多いですが、介護福祉職が別の言葉や表現で言い直すこともあります。

わかりやすい例があったので引用させてもらいました。

問題の明確化の例を挙げます。
部下のDさんが、上司のCさんに相談を持ちかけています。アンダーラインの箇所が明確化を意識して行っているところです。

Dさん:「Kさんから引き継いだG社のお客様とうまくいかないんです」
Cさん:詳しく話してもらえるかい?

Dさん:「先日、来年度の新商品について3回目の打ち合わせをしたのですが、 私がご提案した広告のことで、お客様からお電話がありまして・・・」
Cさん:「うん、それで?

Dさん:「はい。お客様から一度OKをいただいた内容だったので、そのまま印刷の手続きを進めていたのですが、“やり直してほしい”と言われたんですよ」
Cさん:お客様から一度OKもらってから印刷の手続きを進めていたのに、やり直してほしいと?
Dさん:「そうなんです。もう印刷は進めていたところだったんですよ。でも、こういうのって今に始まったことではないんです」
Cさん:「え?、今回に始まったことじゃないって、これまでも?

Dさん:「はい。一度OKもらってからやり直しって、実は先月もあったんです」
Cさん:「どういうことがあったのか、話してくれる?」
以下、省略。

東京カウンセリングセンター

閉じられた質問と開かれた質問

閉じられた質問

「はい」「いいえ」で答えられる質問、および簡単に2~3の単語で短く答えられる質問です。会話が苦手・困難な人に有効。簡単な世間話ができ、互いの緊張をほぐせます。

例)寒いですか?  お子さんは何人?

開かれた質問

相手に自由な発言を認め、相手が自分自身の選択や決定による答えを見つけることを促す質問です。思考や会話が深まります。

例)今日の夕食はどうしましょう? あのおじいさんをどう思いますか?

■「なぜ?」「どうして?」という質問は、相手を身構えさせてしまい、質問者の意向にそうような答えを探させてしまうことがあります。対人援助の場では、他の質問の方法を用いることが適切です。

■相手の言葉が出にくい時は、さまざまな理由が考えられます。緊張している場合や、話すことを整理している場合などは、次々と話しかけるより、相手の言葉を黙って待つことが大切です。

閉じられた質問で簡単な会話をし、緊張をほぐしてから、深く知りたい部分に開かれた質問を使うなど、適切に組み合わせることが大切です。

介護の場面で使えるコミュニケーション技術

カウンセリング技法の「感情の反射」

感情の反射とは言葉のなかに含まれている相手の気持ちを受け止め、その気持ちを相手に言葉で伝え返すことです。

例えば、「母親の認知症がすすんで、自分のことも忘れてしまった。かなしいです」という発言に対して「かなしいですね」と鏡に反射するように伝え返すことです。

そんなオウム返しのようなことしても意味ないんじゃ?

感情の反射には次のような効果が期待できます。

  • 利用者が「自分の気持ちをわかってくれている」と感じることができる。
  • 相手の口から自分の気持ちを聞くことで気づきにつながることがある。
  • 自分の気持ちを伝え返されることで、自分の気持ちを再確認できる。

カウンセリング技法の「感情の明確化」

「感情の明確化」とは利用者がうまく言葉にできない気持ちに対して、支援者が感情を汲み取り、フィードバックしながら利用者の気持ちを明確にしていくことです。

もやもやした気持ちがはっきりすることで、それまで意識していなかった自分に気づいたり、気持ちが整理できるといった効果が期待できます。

バイステックの7原則

アメリカの社会福祉学者のバイステックの定義した対人援助にかかわる援助者の行動規範です。この原則に沿って自分の支援内容を振り返ると気づく点も多く、有用なので紹介しておきます。また、それほど出題頻度は多くないですが、介護福祉士国家試験でも出題されることがあるので、覚えておきましょう。

1.個別化の原則

利用者の抱える困難や問題は、どれだけ似たようなものであっても、人それぞれの問題であり同じ問題は存在しないとする考え方です。援助者の主観で人格や環境を決め付けず、利用者を個人としてとらえなければなりません。

介護の現場での個別ケアと通じるものがあります。

2.意図的な感情表現の原則

利用者の感情表現の自由を認める考え方です。特に抑圧されやすい否定的な感情や独善的な感情などを自由に出してもらうことで、利用者の人柄や、抱えている問題を把握しやすくなります。

あのスタッフさんにはちょっと話にくいわね・・

どの事業所でも利用者がこのように感じてしまう場面は少なくないと思います。介護福祉職は利用者がこのように思う原因を調べ、利用者が自由に感情表現できるように工夫する必要があります。

3.統制された情緒関与の原則

援助者自身が利用者の感情に飲み込まれないようにすることです。利用者を正確に問題解決に導くために援助者自身が利用者の心を理解し、自らの感情を統制して(自分の感情を自覚できているか。過度な感情移入をしていないか等)接していくことを要求する考えです。

介護の現場では認知症の症状などで、理不尽な怒りをまき散らす利用者も珍しくありません。その対応の際には自分の感情をコントロールし、冷静に対応する必要があります。

4.受容の原則

利用者の態度や行動を道徳的・感情論的な立場から、批判・是認などをせず、あるがままに受け容れることです。

介護の現場では基本ですね。

5.非審判的態度の原則

利用者の行動や思考に対して援助者は善悪を判じないとする考え方です。

6.自己決定の原則

あくまでも自らの行動を決定するのは利用者自身であるとする考え方です。問題に対する解決の主体は利用者であり、このことによって利用者の成長と今後起こりうる同様のケースにおける利用者自身での解決を目指します。この原則によって、援助者による利用者への命令的支持が否定されます。

介護の現場では利用者主体自立支援の考え方に通じます。

7.秘密保持の原則

利用者より知り得た事柄の守秘義務。利用者との信頼感をつくりあげるのに必要です。

言語的コミュニケーションに用いる道具

介護記録

言語的コミュニケーションとしての記録です。利用者の言動や状態の変化、実施したサービスなどを記述してとどめることにより、支援の反省や共有、その日実施した介護サービスの証明として利用できます。

携帯用会話補助装置(トーキングエイドなど)

入力により文字が表示され、それを音声で読み上げたり、プリントアウトしたりできる機械。脳性麻痺などの肢体不自由者や失語症、知的障害など、会話や筆談が困難な障害者に利用されています。

透明文字盤

透明板に五十音表を記入し、発信者と受信者が文字盤を挟んで向かい合い、メッセージを1文字ずつ伝えて、読みとっていく方法を透明文字盤と呼びます。 話し手(要介護者)と聞き手(介護者)は正面に向き合って、目線が一直線になった文字や単語が言いたい言葉になります。

透明文字盤

看護roo!

これまでのコミュニケーションに関する知識を踏まえて、ここからより実践的、具体的なコミュニケーション技術を説明していきます。

実践的なコミュニケーション技術

利用者家族との良好な関係の形成するためのコミュニケーション技術

家族の関係性を把握する

家族と利用者の関係は良好なほうがよいのは当然ですが、これまでの家族の歴史から修復不可能になっていることも少なくありません。

できれば息子とは話したくない・・・

介護福祉職の主観的な判断ではなく、 家族の個性生き方を尊重した対応が求められます。

家族の介護への努力を認める

家族の介護への努力を肯定的に認め、受容的な言葉やねぎらいの言葉をかけることが大切です。

悪い例を出します。

そのやり方だと、あまり効率よくないですね、こうやったほうがいいです。

‥‥


家族に対して、助言や指導を行う場合は、これまでの家族のやり方をすぐに否定訂正するのではなく、その方法を尊重しながら、よりよい方法を見出していくことが大切です。

上の例だとこのようなかんじです。

そのやり方でも特に問題はないですね。でもこうやると、本人もご家族の負担も少し軽くなるかもしれません。よかったら使ってみてください。

家族と利用者の意向が異なる場合

常にどちらかを優先させるのではなく、できる限り両者の意向を調整することが大切です。

筆者の勤務するグループホームで実際にあった事例ですが、

利用者本人はタバコを吸いたい。(今までずっと吸ってきたんだから大丈夫だ!)

家族はタバコをやめてほしい。(からだが心配)

両者の意向を調整する手段として、電子タバコを利用しました。最初は「こんなのタバコじゃない!」と怒っていましたが、しばらく吸っていると「煙がでなくなったから、新しいやつください」と電子タバコになじんできました。最終的に4か月くらいで、電子タバコの要求もなくなりました。落とし所としてはまずまずだったと思います。

視覚障害のある人とのコミュニケーション

ポイントは、

  • 視覚情報は整理して口頭で伝える 。
  • 会話の終わりや区切りがわかりやすいように心がける 。
  • 名乗りながら声をかける。

また、点字PC(テキスト入力された文字をソフトで音声に変換するソフト等)、レコーダーとしてスマートフォン等を利用することで、コミュニケーションがはかどります。

聴覚障害のある人とのコミュニケーション

以下のような目でみてわかる、伝達方法を利用します。

手話

(耳や口の不自由な人が)手を用いて表現する伝え方です。

指文字

手の形を五十音や数字に対応させ、視覚的に会話します。手話で表現が困難な人名・地名などを表現します。

指文字一覧

出典  https://happylilac.net/sk1805311413.html

読話

話し手の口唇の動きを見て会話の内容を理解します。

筆談

会話の内容を紙などに書いてもらい理解します。中途失聴者とのコミュニケーションに有効です。

空書

文字を空中に書いてもらい会話を理解します。

触手話

送り手のする手話に受け手が触れて、内容を読み取る方法です。盲ろう者(視覚と聴覚の両方に障害のある人)との会話などに用いられます。

難聴の人とのコミュニケーション

ポイントは、

  • 驚かせないように、話しかける前に正面にまわって肩をたたくなどの合図をする。
  • 顔を向き合わせ表情口元見えるように話す。
  • 口の動きをはっきりゆっくり話す。
  • 通じにくい場合は他の言葉で言い換えたり、ジェスチャーをつけたりする。

補聴器

難聴の人が音声をよく聞こえるようにする目的で装着するのが補聴器です。挿耳型、耳かけ型、眼鏡型、箱型(ポケット型)、骨導式、人口中耳、人工内耳などがあります。補聴器はほかの雑音も一緒に大きくするため、専門家に相談し、本人に合った補聴器を選び、装用訓練を行う必要があります

箱型(ポケット型)補聴器
イヤホンは比較的聞こえる側の耳に装着する。雑音の多いところでは箱型補聴器の音量を下げ、補聴器本体に話しかけてもらうようにする。(本体にもマイクがついている)

構音障害のある人とのコミュニケーション

構音障害とは構音器官(口唇、舌、口蓋、咽頭など)の欠陥により、話す機能が障害された状態です。
構音器官の問題で話す機能が障害されているだけであり、言葉の理解に問題はありません。言葉にうなずいたり、聞き取れた通りに言葉を繰り返したりしながら、ゆっくりと話を聴く姿勢が大切です。
話が聞き取れないときは、わかったふりをするのではなく、筆談や五十音表、閉じられた質問を用いるなどして意思の確認をする必要があります。

認知症の人とのコミュニケーション

認知症がある人は特に、忘れてしまうことから「自信消失」「不安」「困惑」「焦燥感」を持たれています。また、情報処理能力が低下しているため、一度にたくさんのことを伝えると混乱してしまいます。このことを念頭に置いて以下の留意点に気を付けながら、介護福祉職はコミュニケーションをとらなければなりません。

  • 情報を伝えるときは、簡単な言葉短い文章を使って、簡潔に1つずつ伝える。
  • 正面から目を見て話しかけるようにすると、誰に対して声かけしているかが伝わりやすくなる。
  • 後ろから話しかけたり、遠くから声をかけたりすると、驚かせてしまったり、振り向いた際にバランスを崩して転倒したりするリスクがある。
  • 認知症によって記憶の障害や認知機能の低下などが生じると、その人の頭の中での世界と客観的な現実の世界にずれが生じます。不可解な言動の背景にはこのようなずれがあることを理解し、事実を説得するより、その人の信じる世界を受容したコミュニケーションが求められる
  • 認知症の人の誤りを指摘したり修正させたりすると、自尊心を傷つけ、不安や混乱、反発といった否定的な感情を引き起こしてしまうことがあります。論理的に思考することが困難になるため、日常生活で使っている言葉で、情緒的に納得してもらえるようなはたらきかけのほうが効果的です。

双極性障害のある人とのコミュニケーション

双極性障害とは、高揚した気分を特徴とする躁状態と憂鬱な気分を特徴とするうつ状態を交互に示す精神疾患です。
躁状態のときには、普段のその人とは全く違う態度や言動をとったり、信じられない額の浪費をしてしまったりします。そのため、周囲も驚いたり、困惑したり、感情的になったりしてしまいます。しかし、躁状態の場合、本人の自覚が乏しいため、できるだけ刺激しないように心がけながら「あなたのことを心配している」という事実を伝え、客観的に状況を伝えることが大切です。

統合失調症の人とのコミュニケーション

統合失調症の人とのコミュニケーションに関してはこちら記事に書いています。
障害の理解「統合失調症」

うつ病の人とのコミュニケーション

うつ病の人とのコミュニケーションに関してはこちらの記事に書いています。
障害の理解「うつ病」

介護におけるチームのコミュニケーション

チームワークで介護の業務を進める場においては、記録を介することによって統一した介護実践が展開できます。介護における記録の目的は、以下のような点が考えられます。

  • 利用者の生活の質を向上させるため
  • 職員間の情報共有のため
  • リスクマネジメントの可視化
  • 介護職員の教育のため
  • 介護福祉に関する調査や研究のため

介護場面で利用される各種記録

記録上の注意として、訂正は修正液を使用せず、略語は決められた範囲のものを用いるようにします。また、記録はいつ開示を求められてもよいように、利用者との信頼関係を損なうおそれのある内容の記述には、十分注意を払う必要があります。

介護記録(ケース記録、利用者台帳)

利用者ごとの日々の生活や支援内容を時系列で記録していきます。介護サービスを実施したその日のうちに記録に残す必要があります。

業務日誌(介護日誌)

情報共有のために施設や事業所の1日の全体的な行事や業務内容、特別の変化があった利用者の様子などを簡潔に記録します。また、当日の利用者数、出勤した職員や来訪者などを記録し、報告書作成のためのデータ管理としても位置付けられています。

事故報告書

介護保険事業者による介護事故の再発防止と速やかな対応を目的とした記録です。事故の状況および事故の際にとった処置についての記録を2年間保存する義務があり、介護保険事業者事故報告書として保険者(市区町村)へ提出することが必要です。

ヒヤリ・ハット報告書

介護業務を行っているときに「ヒヤリ」としたり、「ハッ」としたりした出来事を報告するものです。事故には至らずに済んだ出来事を、二度と繰り返さないための対策に役立ち、事故を予防する効果が期待されます。

記録をIT化するメリット・デメリット

メリット

  • 情報処理の自動化
  • 情報共有の効率化
  • 情報検索・抽出の迅速化
  • 情報セキュリティの向上
  • マルチメディアの活用

デメリット

  • システムが作動しないなどのトラブル
  • 故意または過失による大量の情報漏洩
  • 情報管理に関する知識とセキュリティ上の対策が必要になる

■安全のためにデータのバックアップは定期的に実施することがのぞましく、パスワードは定期的に変更する。

USBフラッシュメモリとは、PCに接続しデータを保存する小型の補助記憶装置です。携帯に便利であるが、紛失・盗難のリスクが高いので取り扱いには注意する必要があります。

チームのコミュニケーションを高める報告・会議

■「報告」「連絡」「相談」は、利用者の生活を支援するチームの一員として仕事を進めるために不可欠であり、チームのコミュニケーションを円滑に進めることに意義と目的があります。

■会議は情報共有の場であり、問題解決の場でもあります。集まった人々の知識と経験を集め、検討課題の解決をすすめていきます。

ケアカンファレンス・事例検討利用者の意向や希望を踏まえて、参加メンバーが知識や経験を生かして、よりよいケアについて考える場です。目標を共有し、ケアプランや個別サービス計画を立案し、修正、評価を行います。また、参加メンバーの役割を明確にし、連携を具体化する場でもあります。

ケアカンファレンスの場を職員のスーパービジョンの機会にすることもできます。スーパービジョンとは、スーパーバイジー(キャリアの浅い、未熟練の介護福祉職)の専門職能力を高めるために、スーパーバイザー(熟練した介護福祉職)が教育・支援するはたらきかけのことです。

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