データでみる高齢者虐待|虐待の種類や身体拘束も説明

高齢者虐待記事のアイキャッチ画像介護の基本

高齢者虐待とは

高齢者虐待防止法において、高齢者虐待は、身体的虐待心理的虐待性的虐待経済的虐待ネグレクト(介護・養護の放棄)に区分されています。高齢者の生命または身体に重大な危険が生じている場合、発見者は市町村への通報義務があります。通報義務は、他の法律などで定められている守秘義務より優先される

経済的虐待が少しいわかりにくいかもしれないので、補足説明しておきます。

本人の合意なしに、財産や金銭を使用したり、本人の希望する金銭の使用を制限することです。
例えば、親の年金を息子が勝手に使いこんでいるような場合です。

データでみる高齢者虐待

2017(平成29)年の「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」から、介護福祉国家試験に出題されそうなポイントを見ていきます。

被虐待高齢者から見た虐待者の続柄

  1. 息子(40.3%)
  2. 夫(21.1%)
  3. 娘(17.4%)

虐待を受ける高齢者の性別

性別は女性、年齢は80歳代が最も多い。

相談・通報者

  1. 当該施設職員(23.2%)
  2. 家族・親族(20.9%)

被虐待高齢者における虐待者との同居・別居の状況

  1. 虐待者のみと同居(50.5%)
  2. 虐待者及び他家族と同居(36.6%)

虐待を受けている高齢者の87.1%が虐待者と同居しているという事実がみえます。

被虐待高齢者の家族形態

  1. 未婚の子と同居(35.7%)
  2. 夫婦のみ世帯(22.0%)
  3. 子夫婦と同居(13.2%)

虐待の事実が認められた施設・事業所の種別

  1. 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設(30.4%)
  2. 有料老人ホーム(21.6%)
  3. 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)(14.3%)
  4. 介護老人保健施設(10.4%)

虐待の種別(要介護施設従事者等による虐待において特定された被虐待高齢者 854 人のデータより)

  1. 身体的虐待(59.8%)
  2. 心理的虐待(30.6%)
  3. 介護等放棄(16.9%)

入所系施設における被虐待高齢者の「認知症の程度」と「虐待の種別」の関係

被虐待高齢者の認知症日常生活自立度Ⅳ/Mの場合、身体的虐待を受ける割合が特に高い。(下表参考)

認知症高齢者の日常生活自立度

出典 厚生労働省

虐待ととらえられることも多く、弊害も多い身体拘束についても解説しておきます。

身体拘束

身体拘束は、行動制限やけがによる身体的弊害や精神的弊害など、大きな事故につながる危険性が高いと考えられています。行動制限をする前に、なぜ転倒しそうになるのか等、心身の状況から分析し、事故に結びつく要因を探り対応していくことが大切です。

身体拘束がもたらす多くの弊害

身体的弊害

①本人の関節の拘縮、筋力の低下といった身体機能の低下や圧迫部位の褥瘡の発生などの外的弊害をもたらします。

②食欲の低下、心肺機能や感染症への抵抗力の低下などの内的弊害をもたらします。

③車いすに拘束しているケースでは無理な立ち上がりによる転倒事故、ベッド柵のケースでは乗り越えによる転落事故、さらには拘束具による窒息等の大事故を発生させる危険性もあります。

出典 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」

精神的弊害

①本人に不安や怒り、屈辱、あきらめといった多大な精神的苦痛を与えるばかりか人間としての尊厳をも侵します。

②身体拘束によって、さらに認知症が進行し、せん妄の頻発をもたらすおそれがあります。

③家族にも大きな精神的苦痛を与えます。自らの親や配偶者が拘束されている姿を見たとき、混乱し、後悔し、そして罪悪感にさいなまれる家族は多い。

④看護・介護するスタッフも、自らが行うケアに対して誇りを持てなくなり、安易な拘束が士気の低下を招きます。

出典 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」

②の認知症が進行するというのは実感としてあります。骨折で入院していた利用者がやむなく身体拘束状態だったのですが、施設に戻ってきたときは一気に認知症が進み、別人のようでした。

社会的弊害

①看護・介護スタッフ自身の士気の低下を招きます。

②介護保険施設等に対する社会的不信、偏見を引き起こします。

③高齢者のQOLを低下させ、さらなる医療的処置を生じさせ、経済的にも少なからぬ影響をもたらします。

出典 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」

身体拘束は、緊急やむを得ない場合の要件として、①切迫性、②非代替性、③一時性の3つの要件を全て満たした場合をあげています。

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