介護の仕事は連携が命|他職種連携(チームアプローチ)と地域連携について解説

チームアプローチのアイキャッチ画像 介護の基本

介護の仕事は一人ではできません。

日常生活の支援は介護職、医療面では看護師、医師等にまかせるといった役割分担は大切ですね。

そうですね。介護職間でも連携は必須ですね。利用者によっては男性スタッフの入浴介助・排泄介助等がNGというような場合もあるので、うまくスイッチしていく感じですね。

この記事では、医師、看護師、理学療法士などの他の職種の方との連携や、民生委員、地域包括支援センター、福祉事務所などの地域連携について説明していきます。

多職種連携(チームアプローチ)の意義

介護の実践における多職種連携(チームアプローチ)の意義は、異なる専門性をもつ多職種がチームになって利用者を支え合うことにより、互いの専門職としての能力を活用して効果的なサービスを提供できるところにあります。

また、自分と違う職種の人と連携して仕事をすることによって、他職種の考え方や知識も身に付くので、自身の資質向上にもつながります。

連携が必要な医療関係の職種

看護師

厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者もしくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者

出典 保健師助産師看護士法

※じょく婦
子供を産んだ後、平常時の身体に戻るまでの期間にある女性

看護師の資格は、業務独占の資格であり、名称独占の資格でもあります。

施設では訪問看護事業所と契約しているところも多く、もっとも関わりの多い職種ですね。

保健師

「厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者」をいう。名称独占の国家資格である。保健師は看護師の業務「療養上の世話又は診療の補助」を行うことができる。

出典 保健師助産師看護師法

保健師は、看護師の資格を持っている人が、所定の保健師養成課程を修了して、さらに保健師国家試験に合格する必要があるので、看護師よりも、資格を取るのは大変です。
保健師の仕事は、 すでにケガや病気をしてしまった人を治療する看護師とは異なり、病気が広がるのを防ぎ、人々の健康を維持することがメインになります。
働く場所もはばひろく、病院で看護師の仕事と兼務したり、公務員として、保健所や地域の保健センターなどの行政機関で働いたり、企業で社員の健康管理をおこなったり、さまざまです。
また、地域包括支援センター必ず配置しなければならない職種のひとつでもあります。

看護師と保健師の業務の違いがいまいちわかりません。

看護師は病院などで、疾病や怪我をした人を助ける仕事で、保健師は地域での活動を通して、住民が怪我や病気をしないように予防する仕事といえばイメージしやすいでしょうか。

助産師

「厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦もしくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子」をいう。助産行為を行うことができるのは、医師および助産師で、助産師は業務独占の国家資格であり、名称独占の国家資格でもある。助産師は、看護師の業務「療養上の世話又は診療の補助」を行うことができる。

出典 保健師助産師看護師法

理学療法士

理学療法士及び作業療法士法に基づくリハビリテーションの専門職で、 大学や専門学校、養成校で、専門知識と技術を修得したのち、国家試験に合格し、免許を取得した人でなければ名乗ることができません。 
運動機能が低下した状態にある人に対し「運動機能そのもの」の回復や維持を目的に、ストレッチや筋肉トレーニング、マッサージや電気・温熱治療を行いながら、歩く、起き上がる、座るといった基本的な動作能力の改善をサポートする専門家です。

作業療法士

作業療法士も、 理学療法士及び作業療法士法に基づくリハビリテーションの専門職で、大学や専門学校、養成校で、専門知識と技術を修得したのち、国家試験に合格し、免許を取得した人でなければ名乗ることができません。 

作業というと、手芸や折り紙のような細かい手作業などを思い浮かべる方も多いかと思いますが、ここでの作業とは日常生活に関わるすべての活動のことを指しています。食事や着替え、家事や仕事、趣味の活動なども「作業」と位置づけられています。

作業療法士は作業を通して身体とのリハビリテーションを行う専門家です。

例えば、理学療法で獲得した立ち上がりの動作をさらに一歩進めて、トイレの動作や着替えの動作など、日常生活に必要な動作につなげていくのが作業療法士です。 健康なときには特に気にしなかった一連の動作を

  1. トイレまで行く
  2. トイレのドアを開ける
  3. 中に入りドアを閉める
  4. 便座の前で体の向きを変える
  5. ベルトを外す
  6. ズボンをおろす
  7. 便座に座る


といった感じで細かく分解し、 特に苦手な動作を中心に訓練を行います。

また、作業療法士は、リハビリテーションの専門職の中で唯一、精神に障害のある方への専門的なアプローチが可能な職種です。例えば、対人関係が不安定になりやすい人に対人距離の取り方だったり集中力を持続させる方法だったりをトレーニングしたりします。そのため、精神科の病院や認知症関連の施設などでもその専門性を発揮しています。

言語聴覚士

言語聴覚士も、大学や養成校で定められた過程を勉強して、受験要件を満たしたあと、国家試験に合格する必要があります。

音が聞こえない、あるいは聞き取りづらいという症状の聴覚障害。言葉が出てこない、言葉の意味を理解できない、読み書きが上手くできないなど言語にまつわる障害である失語症。声を発する器官の運動や形態の異常によって正しく発音・発語できない構音障害。このような、言葉によるコミュニケーションが困難となってしまった人たちの状況を改善・軽減するためのリハビリ専門職が言語聴覚士です。また、言語以外の認知機能のリハビリや、飲み込みなどの嚥下機能の評価やリハビリも行います。

言語聴覚士嚥下障害の訓練等を行うというところが盲点ですね。

薬剤師

薬剤師法に基づき医薬品全般における豊富な知識を活かし、医師の処方せんにもとづく調剤や服薬指導、医薬品の管理・販売をおこないます。特に調剤業務は薬剤師だけが行うことができる独占的な業務です。(ただし、例外として、医師または歯科医師が法令で定める特別の場合において、自己の処方箋により自ら調剤すること等は認められています)。

筆者が勤務する施設では、利用者の薬を地域の調剤薬局にお願いしており、そこの薬剤師さんが、各利用者の朝・昼・夜の薬をセットしておいてくれるので、大変助かってます。

栄養士

栄養士法に基づき栄養士の名称を用いて栄養の指導を行う食物栄養の専門家です。生活環境やからだの状態に合わせたメニューを作ったり、栄養指導を行ったりして、人々のよりよい食生活を手助けします。

栄養士には上位ジョブといえる管理栄養士というものもあって、栄養士として3年以上の実務経験を積んだあと、国家試験に合格しなければなりません。

栄養士と管理栄養士の大きな違いは、 栄養指導を行う対象が異なるという点です。栄養士は主に健康な人を対象として業務を行います。これに対して管理栄養士は、健康な人だけでなく、傷病者や特別の配慮が必要になる人に対しても栄養指導が行えます。また、ある一定以上の規模の大きな給食施設では必ず管理栄養士を設置することが義務づけられており、給食施設の運営や労務についての管理も管理栄養士の仕事です。このように管理栄養士のほうが、高度な専門知識を持ち、業務範囲や責任の範囲も広いため、資格を取得するにあたって、栄養士よりも難易度が高くなっています。

医師

業務独占の国家資格であり、医師法において「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定められています。医師だけが、診断、投薬・注射、手術、生理学的検査などを行うことができます。

■医業の「業」とは、不特定多数の者を対象として反復継続の意思をもって行うことです。したがって、意識不明者の気道確保や人工呼吸等の救急法等の緊急避難的行為や、偶然反復継続された行為および自己に対する行為は「業」からはずされることがあります。

2005(平成17)年に厚生労働省は、医行為の範囲の解釈を示し、医行為の範囲外(医師ではなくてもできる)の行為として以下の11項目を列挙しています。

  1. 体温の測定
  2. 自動血圧測定器で血圧を測定すること。自動血圧測定器に限定されてます。看護師や医師が手でしゅぽしゅぽしながらやるやつはだめなようです。
  3. パルスオキシメーターを使って、動脈血酸素飽和度(SPO2)を測定すること
  4. 軽微な傷ややけどなどについて、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること(例えば傷を洗ったり、ガーゼを交換したりとかです)
  5. 皮膚に湿布をはること、点眼薬の点眼、一包化された薬の内服、肛門からの座薬挿入、鼻の粘膜への薬剤噴霧を介助すること。で、もう一個、 皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く)というのがあるんですが、褥瘡を水とかシャワーとかで洗ったり、ガーゼを交換したりするのはokで、褥瘡部分を直接消毒したり、薬を塗るのはNGというかんじです。ただ、現場的にはけっこうグレーな場面も多いきがします。
  6. 爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切ることや爪ヤスリでやすりがけすること
  7. 重度の歯周病等がない場合の日常的な口腔内ケア
  8. 耳掃除
  9. ストーマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること(ただし、肌に接着したパウチの取り換えはNG)
    ストーマ装具のパウチというのは、人工膀胱や人工肛門を造設した際、腹部につくられたストーマから排泄される尿もしくは便をためておくバッグのことです
  10. 自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持などを行うこと
    自己導尿というのは、自らの手で尿道から膀胱内に細い管(カテーテル)挿入し、尿を対外に排泄する方法です。
  11. 市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器(薬局に売っているやつです)を用いて浣腸をすること

連携が必要な社会福祉関係の職種

介護支援専門員(ケアマネジャー)

2000年の介護保険制度の施行とともに誕生した資格です。介護を必要とする人がその人らしい生活を送れるよう、サポートする仕事です。サポートと言っても、介護職のように身体介護や生活介助を行うわけではありません。利用者やその家族と相談し、どんな介護を必要としているのかを見極め、最適なケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、自治体や業者との調整を行う職種です。

介護支援専門員になるためには、介護支援専門員実務研修受講試験(通称ケアマネ試験)に合格する必要があります。この試験は国家試験ではなく、各都道府県により管理されています。そのため、介護支援専門員資格は国家資格という扱いではなく公的資格となっています

  • 介護支援専門員の資格の有効期間は5年で、更新研修を受けなければならなりません。
  • 介護支援専門員の義務や禁止事項は介護保険法で定められています。ちなみに介護福祉士の義務や禁止事項はが定められているのは、社会福祉士及び介護福祉士法です。
  • 指定居宅介護支援事業者は、利用者35人に対して1人の介護支援専門員の配置を標準としています。

あと、介護支援専門員には上位ジョブがあって、それを主任介護支援専門員といいます。 一定の実務経験や研修受講の条件を満たした後、主任介護支援専門員研修を受講する必要があります。

主任介護支援専門員は、新人介護支援専門員の指導、育成を担当したり、ケアプランの作成などに関してアドバイスしたり、職場の介護支援専門員のリーダー的役割が期待されていて、地域包括支援センターには、配置が義務付けられています

また、2021年4月1日以降、居宅介護支援事業所の管理者となる者は、いずれの事業所であっても主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)であることとする、と定められています。

ただし「2021年3月31日時点で主任ケアマネでない者が管理者である事業所」では、当該者が管理者である限り、主任ケアマネ要件の適用を2027年3月31日まで猶予する(新設する事業所、管理者が2021年4月以降に一度、主任ケアマネとなった事業所などでは、本猶予措置は適用されない)となっています。

これは、主任ケアマネの確保が難しく、2021年3月までに、10.1%(3197か所)のケアマネ事業所で主任ケアマネ配置が行えない。2024年3月までに1.6%(505)か所のケアマネ事業所で主任ケアマネ配置が行えない―などの状況を踏まえての措置です。

また、特別地域居宅介護支援加算または中山間地域等における小規模事業所加算を取得できる事業所では、「管理者を主任ケアマネとしない」取扱いも可能とするという例外規定も新設されました。

主任介護支援専門員の資格も更新が必要で、取得した日から5年ごとに主任介護支援専門員更新研修を受講して、資格を更新しなければなりません。
普通のケアマネの資格更新も必要なので、正直かなりめんどうですね。

社会福祉士

社会福祉士は、福祉分野のエキスパートです。病気や障害、生活状況など、さまざまな理由によって、日常生活を送ることが困難になった人の相談を受け、安定した生活ができるようにサポートする仕事です。社会福祉士は社会福祉士及び介護福祉士法による名称独占の国家資格で、「高齢者介護」「障害者支援」「生活保護」「児童福祉」など福祉分野すべてが対象です。公務員として、福祉事務所や児童相談所で働いたり、医療機関で医療ソーシャルワーカーとして働いたり、相談員として、高齢者介護施設で働いたりと、活躍の場はかなり幅広いです。

精神保健福祉士

精神保健福祉士」は、精神保健福祉の領域で専門的な知識や技術を持ち、精神に障がいがある人たちの社会復帰を手助けしたり、必要な訓練を行ったりする精神科のソーシャルワーカーです。社会福祉士、介護福祉士とともに福祉系の国家資格として知られています。

仕事内容をもう少し詳しくいうと、医療費や生活費などの、公的支援制度の紹介、社会復帰ための日常訓練、会話の練習、就労支援、就職してからの職場への定着支援など多岐にわたります。社会福祉士と仕事内容が似ていると思いますが、明確に違うのは、 精神保健福祉士の支援対象者は精神障害者のみというところです。

一方、社会福祉士の支援対象者は、障害を抱える人すべてで、高齢者、児童など、幅広いです。 2つの資格には支援対象者に違いがあるものの、試験では共通科目も多く、実際に両方の資格を持って活躍する人も多いようです。

サービス提供責任者

いわゆるサ責です。介護福祉国家試験の受験資格になっている、実務者研修を修了すればなることができます。

訪問介護において、利用者宅に出向き、契約し、ニーズをアセスメントし、居宅サービス計画(ケアプラン)に基づいて、訪問介護計画を作成します。利用者本人だけでなく、家族や介護支援専門員、サービス提供機関との調整を行い、訪問介護員に指導やアドバイスを行います。訪問介護事業所の柱となる役職です。訪問介護事業所だけの職種というとこがポイントで、介護保険施設などにはない職種です。 訪問介護事業所には1名以上のサービス提供責任者の配置が義務付けられています。また、利用者の増加にあわせて、定められている配置人員数も増加します。

民生委員

民生委員法に基づいて厚生労働大臣から委嘱(特定の仕事をひとにまかせ、頼むこと)された非常勤の地方公務員です。ボランティアとして活動するため、給与はありません。ただし、必要な交通費・研修参加費などの活動費(定額)は支給されます。

社会福祉の増進のために、地域住民の立場から生活や福祉全般に関する相談・援助活動を行います。また、全ての民生委員児童福祉法によって児童委員も兼ねており、妊娠中の心配事や子育ての不安に関する様々な相談や支援も行っています。

核家族化が進み、地域社会のつながりが薄くなっている今日、子育てや介護の悩みを抱える人や、障害のある方、高齢者などが孤立し、必要な支援を受けられないケースがあります。そこで、民生委員・児童委員が地域住民の身近な相談相手となり、支援を必要とする住民と行政や専門機関をつなぐパイプ役を務めています。

民生委員の決まり方
  • STEP1
    町会、自治会の推薦などから民生委員・児童委員にふさわしい人を都道府県知事に推薦

  • STEP2
    都道府県知事厚生労働大臣推薦

  • STEP3
    厚生労働大臣委嘱

任期は3です。個人の私生活に立ち入ることもあるため、活動上知り得た情報については守秘義務が課せられています。この守秘義務は退任後も引き続き課されます。

支援相談員

支援相談員は、介護老人保健施設で入所者や家族の相談窓口となる人です。入所定員100人にあたり、常勤1人の支援相談員の配置が義務付けられています

主な仕事内容は、入所者や家族の相談に乗ることですが、他にも日常生活のサポート、退所後のケアなど幅広く、入所者と家族をサポートする重要な役割を担っています。

相談支援専門員

相談支援専門員の仕事は、障害のある人の全般的な相談支援です。障害福祉サービスを利用するときに作成するサービス等利用計画の作成も、相談支援専門員の仕事です。

ここはちょっと混乱しやすいところなので、相談支援専門員介護支援専門員を比較しながら整理しておきます。

まず介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険法に基づいて、高齢者を支援します。そして、作成するのは、介護サービス計画(ケアプラン)です。

一方、相談支援専門員は、障害者総合支援法に基づいて、障害者を支援します。そして作成するのは、サービス等利用計画です。

介護支援専門員と相談支援専門員はぜんぜん別の職種で、ケアプランとサービス等利用計画も別のものです。相談支援専門員も介護支援専門員も主な業務は支援計画の作成と関係各所との連絡調整であることに変わりはありませんが、障害者福祉と高齢者福祉では制度に大きな違いがあるため、しっかり区別しておく必要があります。

相談支援専門員が仕事で扱う範囲は、保健、医療、福祉、就労、教育など、多くの分野にわたります。具体的な就職先は、相談支援事業所基幹相談支援センターなどです。相談支援事業支所などの説明は障害者総合支援法で詳しく説明しています。

相談支援専門員になるには、障害者の相談や介護などの実務経験と、相談支援従事者初任者研修の修了が義務づけられています。また、資格取得後も5年に1度の研修を受講しないと、資格がなくなってしまうという厳しい条件があります。

その他

チームアプローチにおいては、その他、家族、友人、ボランティア、建築士などとの連携も重要です。

地域連携

社会福祉協議会

社会福祉法において地域福祉を推進する団体として位置づけられた、公共性の高い非営利民間福祉団体です。社会福祉協議会は、全国社会福祉協議会、都道府県社会福祉協議会(例:埼玉県社会福祉協議会)、市町村社会福祉協議会(例:川口市社会福祉協議会)、地区社会福祉協議会と、行政単位で設置されています。社会福祉協議会では、訪問介護や通所介護などの事業運営を行ったり、ボランティアセンターを設置したり、高齢者の見守り支援ネットワークや地域組織化を推進したりしています。

ボランティアセセンターとは?

ボランティア活動に参加できるよういろいろな事業を行っています。ボランティア活動をしたい人とボランティア活動を頼みたい人をつないだり、ボランティアの養成をしていくための各種講座などを実施したりしているところです。

福祉事務所

福祉事務所は「社会福祉法」に基づき、都道府県および特別区に設置が義務づけられている、地域住民の福祉を行う行政機関です。町村では設置できる、となっており、任意設置です。福祉事務所という名称は、法的に定めのある固有の名称ではなく便宜的につけられた名称で、地域によっては福祉事務センターなど別の名称を付けている場合もあります。具体的な業務内容は、

  • 生活に困窮している人の相談や、生活保護の実施。
  • 保育所・母子生活支援施設・助産施設への入所をはじめ、児童、家庭の福祉についての相談。
  • 知的障害者の支援施設への入所など、知的障害者の福祉についての相談
  • 身体障害者手帳の交付、施設への入所、補装具や更生医療の給付など、身体障害者の福祉についての相談
  • 老人ホームヘの入所など、高齢者福祉についての相談

などで、 福祉事務所にはケースワーカー、医療ソーシャルワーカー、保健師などの専門職員が配置され、担当地域内の住民の相談に応じ、学校や病院、福祉施設などの関係機関、あるいは民生委員・児童委員などと連携をとって問題を解決に導く役割を果たしています。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、介護福祉国家試験では毎年、設問や選択肢に出てくるので、重要ですね。

2005(平成17)年の介護保険法の改正によって2006(平成18)年に新設されました。

地域の保健医療福祉をつなぐ包括的で継続的な支援を行う機関です。地域における介護相談の最初の窓口となるのが地域包括支援センターであり、高齢者が住み慣れた自宅や地域で生活できるように、必要な介護サービスや保健福祉サービス、その他、日常生活支援などの相談に応じています。地域包括支援センターは、原則市町村に一か所以上設置することになっていますが、定数に決まりはなく、市町村によっては10か所以上配置しているところもあります。


地域包括支援センターが担当する地域を日常生活圏といいます。人口2~3万人ごとの地域包括支援センターの担当地域を指し、多くの場合中学校ごとの学区がこれにあたります。
地域包括支援センターの責任主体は市区町村であり、センター設置の可否や担当圏域設定などは、市区町村が行います。センターには、原則として保健師社会福祉士主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)これらに準ずるものを含む)が配置されます。

地域包括支援センターの業務

総合相談支援業務
介護保険のことはもちろん、ご家族やお金、住環境など、65歳以上の方に関して、原則なんでも相談できます。高齢者本人だけでなく、その家族の相談も受けてくれます。

相談内容は、

  • 介護保険のサービスってどうやって申し込むの?
  • 家族が認知症かもしれない
  • 施設への入居を考えている
  • なんとか自宅での生活を続けたい

など多岐にわたります。

なかには、「自分でも何を相談したいのかよくわからないけれど、とにかく困っているから電話をしている」というような内容もありますが、対応している社会福祉士主任ケアマネがうまく困りごとやニーズを引き出してくれます。そして、相談内容により、様々な制度や専門機関の中から必要なサービスを選択し、紹介てくれます。

また、地域包括支援ネットワーク(後述)の構築、地域の高齢者の状況の実態把握なども行っています。

介護予防ケアマネジメント業務(第一号介護予防支援事業)
高齢者が要介護状態になることをできるだけ遅らせ、要支援・要介護状態になってもその悪化をできる限り防ぐために要支援1・2または事業対象者(基本チェックリスト対象者)に対するする介護予防ケアプランの作成、必要な援助を行います。

ちなみに要介護者のケアマネジメントは地域包括支援センターの担当外で、居宅介護支援事業所が行います。

権利擁護業務
成年後見制度の紹介や、虐待を早期に発見したり、消費者被害などに対応してくれます。

ひとつずつ、もう少し詳しく説明します

成年後見制度

不動産や預貯金などの財産管理、介護などのサービスや施設への入所などに関する契約といった場面において適切な判断をすることが難しくなった方を支援する制度

地域包括支援センター成年後見制度の利用が必要と判断した場合は、申し立てなど手続きの支援をしてくれます。また、適切な成年後見人を選任できるよう、成年後見人候補を推薦する団体なども紹介てくれます。

高齢者虐待防止法に基づき、地域包括支援センターでは虐待の早期発見・把握に努め対応します。緊急の場合など必要に応じて、老人福祉施設等への入所など、他の機関と提携して高齢者を守ります。

・振り込め詐欺などの悪質な詐欺商法や消費者金融などの消費者被害の防止など、さまざまな権利に関する問題に対応してくれます。

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
高齢者は地域での望ましい生活の維持継続を阻害するさまざまな複合的な課題(医療的な問題、金銭の問題、住環境、人間関係など)を抱えている場合が多くあります。

このような高齢者が、有する能力を活かしつつ、その人らしい自立した生活を継続するためには、本人の意欲や適応能力などの維持や回復を援助するとともに、課題の解決に有効だと考えられるあらゆる社会資源を自己決定に基づきコーディネートし、本人や家族が必要なときに必要な社会資源を切れ目なく活用できるように援助していくケアマネジメントが不可欠だといえます。このようなケアマネジメントを包括的・継続的ケアマネジメントといいます。

包括的・継続的ケアマネジメントを実践するのは、居宅介護支援事業所などの地域の介護支援専門員です。介護支援専門員が包括的・継続的ケアマネジメントを行いやすい環境を整えるとともに、個々の介護支援専門員が利用者を援助している際に、状況に応じて地域包括センター職員が介護支援専門員の実践をサポートするのが、包括的・継続的ケアマネジメント支援業務です。

具体的な支援例は、以下のようなものがあります。

  • 介護支援専門員のネットワークを構築
    介護支援専門員相互の情報交換等を行う場を設定したりして、地域の介護支援専門員の日常的な業務の円滑な実施を支援します。
  • 関係機関との連携体制構築支援
    居宅介護支援事業所の介護支援専門員が一人で、包括的・継続的ケアマネジメントを実践できるだけの関係を多職種・多機関と作っていくことは容易なことではないので、地域の介護支援専門員と関係機関の間の連携を支援します。
  • 介護支援専門員に対する個別の相談窓口の設置
  • ケアプランに対するアドバイス
  • 支援困難事例等への指導
    地域の介護支援専門員が抱える支援困難事例について、適宜、地域包括支援センターの各専門職や地域の関係者、関係機関との連携の下で、具体的な支援方針を検討し、指導などを行います。

包括的・継続的ケアマネジメントを達成するためのひとつの手段が、居宅介護支援事業所の介護支援専門員へのサポートなのです。

上記に加えて、2014(平成26)年の介護保険法の改正により下記のものが追加されました。(施行は2015(平成27)年)

  • 在宅医療・介護連携推進事業
    地域の医療・介護の資源の把握、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築推進、医療・介護関係者の研修など
  • 生活支援体制整備事業
    コーディネーターの配置や協議体の設置など
  • 認知症総合支援事業
    認知症初期集中支援チームの関与による認知症の早期診断早期対応や地域支援推進員による相談対応など

上記3つは↓で詳しく説明しています。
地域支援事業

地域包括支援ネットワーク

高齢者や障害のある人などを支援するために、さまざまな社会的資源が有機的に連携することができる環境整備として構築されるものです。

例えば、高齢者虐待防止ネットワーク見守りネットワークなどがあります。

地域包括支援センターは、行政機関、医療機関、介護サービス事業者、地域の利用者やその家族、地域住民、民生委員、社会福祉協議会等の関係団体等によって構成される人的資源からなる地域包括支援ネットワークの構築(市町村内の他機関との連携)に努める必要があります。

保健所と市町村保健センター

ともに地域保健法という法律に基づいて設置されている行政機関です。 地域の住民の疾病の予防、健康増進、食品に関する相談及び各種検査など保健・衛生・生活環境等に関する幅広い分野でサービスを実施しています。

ざっくり違いをいうと、保健所広域的・専門的なサービスを実施し、住民に身近な保健サービスは市区町村保健センターで実施されているといったかんじです。

保健所の仕事の例

  • 飲食店・食品製造業等の営業許可・監視指導、食中毒対策等
  • 薬物乱用防止対策
  • 薬局等の開設許可・監視指導等
  • 水質調査
  • 衛生教育に関する広報・普及啓発、各種講習会等
  • 地域保健に関わる統計の作成

市町村保健センターの仕事の例

地域住民に対する仕事で

  • 健康相談
  • 保健指導
  • 予防接種や各種検診

など、身近なものです。

セルフヘルプグループ

自助グループ・当事者組織・本人の会などともいわれ、病気、障害、依存、マイノリティグループなど、同じ状況にある人々が課題を共有し、相互に援助し合うために組織し、運営する自立性と継続性を有するグループです。相互に援助者、相談者の役割を経験することで、専門職からの一方向の援助の実を受けた場合では得られない、自尊心や自分が他者の手助けができるという感覚を強化でき、仲間同士の共感が問題解決に寄与します。

海外ドラマなどで円形になった椅子に患者が座り、そのうちの一人が全員に経験談を話す場面がありますが、それですね。

EPA介護福祉士候補者

EPA(経済連携協定)に基づき、日本の介護施設で就労と研修をしながら、日本の介護福祉士の資格取得を目指す外国の方々を「EPA介護福祉士候補者」と言います。EPA介護福祉士候補者は、あくまでも経済活動を通じた、国同士の連携強化を図ることが目的で、介護人材の不足を補充するための措置ではありません。

EPA(Economic Partnership Agreement)とは、国と国の経済連携を図り、「人」、「物」、「お金」などの交流を通じて親密な関係を築くための条約を言います。


EPA介護福祉士に関してのポイントは、

2008(平成20年度)から受け入れスタート

・受け入れ国は現在3か国インドネシアフィリピンベトナム

在留期間

資格取得前日本に滞在できる期間は4と決まっていますが、滞在最終年度(4年目)で不合格だった場合でも、1年間の滞在延長が認められています。それでも合格できなかった場合は、帰国しなければなりません。

資格取得後合格すれば上限なく在留資格を更新でき、介護福祉士として働き続けられます。

受け入れ施設
定員30名以上の介護施設であること 常勤介護職員の4割以上が介護福祉士有資格者であることなど

お疲れ様です。「介護の基本」9/13読破です。
次の記事はこちらです。
介護の現場での感染対策

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