社会福祉士及び介護福祉士法とは

社会福祉士及び介護福祉士法のアイキャッチ画像 介護の基本

社会福祉士及び介護福祉士法とは

第一条 この法律は、社会福祉士及び介護福祉士の資格を定めて、その業務の適正を図り、もつて社会福祉の増進に寄与することを目的とする。

社会福祉士及び介護福祉士法

社会福祉士と介護福祉士の資格に関することと、その業務に関して定められた法律ですね。

もう少し具体的にいうと、業務を行う上での義務や義務違反に対する罰則、名称の使用制限などが書かれていますね。

いつ頃できた法律なのですか?

まずは、社会福祉士及び介護福祉士法ができた背景から説明していきます。

社会福祉士及び介護福祉士法ができた背景

1986(昭和61)年
東京で行われた第23回国際社会福祉会議を契機に、福祉人材の資格制度が議論されるようになりました。背景には、少子高齢化が急速に進み、高齢者世帯数が増加するなかで、人々の生活設計や生活パターンも変化し、高齢者、障害者(児)の福祉ニーズの多様化が進行したことがあります。

少子高齢化福祉ニーズの多様化がキーワードですね。
ところで、国際社会福祉会議ってなんですか?

国際社会福祉会議は世界各国が社会福祉に関する情報交換や交流をするために開催される国際会議です。主催は本部をウィーンにおく国際社会福祉協議会で、2年に1度開催されています。

1987(昭和62)年
日本学術会議
から、「社会福祉におけるケアワーカー(介護職員)の専門性資格制度について」の意見が提出されました。急速に進む高齢化社会のなかで、介護の科学化、社会化の必要性、異なった生活歴をもつ高齢者一人一人の状況によって、その自立への支援の必要性を主張し、資格制度として、高校卒業後2年の研修期間が必要である等の提言が行われました。

お手伝いさん的な介護職員ではなく、プロとしての介護職員が求められているということですね。

なるほど。ところで、日本学術会議とは何ですか?

日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。

日本学術会議

1987(昭和62)年
国際社会福祉会議
日本学術会議の意見を背景に、サービスの倫理と質を担保する専門職の必要性について議論されるようになり、1987(昭和62)年社会福祉士及び介護福祉士法が制定されました。

ここから具体的な法律の中身を説明していきます。特に介護福祉士国家試験で出題されているポイントを中心に説明しています。

介護福祉士に求められる義務

介護福祉士の義務は介護福祉士国家試験で頻出のテーマなので、ここでしっかり押さえておきましょう。

  • 信用失墜行為の禁止
    介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
  • 秘密保持義務
    正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。介護福祉士でなくなった後においても、同様とする
  • 連携
    その業務を行うに当たっては、その担当する者に、認知症であること等心身の状 況その他の状況に応じて、福祉サービス等が総合的かつ適切に提供されるよう、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

上記3つに加えて2007(平成19)年の社会福祉及び介護福祉士法の改正により新たに二つ規定されました。

  • 誠実義務
    その担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立って誠実にその業務を行分ければならない。
  • 資質向上の責務
    介護を取り巻く環境の変化による業務内容の変化に適応するため、介護等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない

介護福祉士の倫理綱領

介護福祉士の倫理綱領とは、介護福祉士の専門職としての社会責任や職業倫理を書き記したもので、行動の指針となるものです。介護福祉士の倫理綱領は日本介護福祉士会によって作られ、1995年11月17日に宣言されました。

介護福祉士の倫理綱領は、要約すると以下の行動規範から成り立っています。

  • 利用者本位、自立支援
  • 専門的サービスの提供
  • プライバシーの保護
  • 総合的サービスの提供と積極的な連携、協力
  • 利用者ニーズの代弁
  • 地域福祉の推進
  • 後継者の育成

介護福祉士の義務規定違反と罰則

義務規定違反罰則
秘密保持義務違反登録の取り消し、または期間を定めて介護福祉士の名称の使用の停止。
1年以下の懲役または30万円以下の罰金
名称の使用制限違反30万円以下の罰金
信用失墜行為の禁止違反登録の取り消し、または期間を定めて介護福祉士の名称の使用の停止

名称独占と業務独占

名称独占
国家資格において、登録による有資格者だけがその名称を用いることができる法的規制。

業務独占
国家資格を取得した者がその根拠法で定められた業務を独占すること。

介護福祉士名称独占です。これに対して例えば医師は名称独占であると同時に、資格免許がなければその業務を行うことが禁じられている業務独占でもあります。

介護福祉士の登録

介護福祉士となる資格を有する者が介護福祉士になるには、厚生労働省に備える介護福祉士登録簿に、氏名、生年月日などの登録を受けなければなりません。介護福祉士の登録者数は、2016(平成28)年3月末で140万8533人となっています。

介護福祉士の欠格事由

  • 「心身の故障により社会福祉士又は介護福祉士の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの」と社会福祉士及び介護福祉士法に明記されています。

    ※厚生労働省令で定める者は、「精神の機能の障害により社会福祉士又は介護福祉士の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」となっています。
  • 禁固刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しないもの
  • この法律の規定その他社会福祉又は保険医療に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しないもの
  • 規定により介護福祉士の登録を取り消され、その取り消しの日から起算して2年を経過しないもの

社会福祉士及び介護福祉士法の改正のポイント

試験対策として法律改正の時期とその内容をセットで覚えておきましょう

2007(平成19)年 の改正

社会福祉士及び介護福祉士法が改正され、介護福祉士の定義規定の見直されました。介護福祉士とは、

「登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上または精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう」

社会福祉士及び介護福祉士法

となりました。

また義務規定も見直されています。

義務規定の見直しに関しては、「介護福祉士に求められる義務」のところで書いているので、戻って確認してみてください。

2011(平成23)年 の改正

この改正で介護福祉士が医療的ケアを提供できるようになりました。
詳細は医療的ケアの記事で

お疲れ様です。「介護の基本」5/13読破です。まだ勉強できますか?
次の記事はこちらです。
ケアプランと介護計画(個別援助計画)の違い

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