『総合問題』過去問

『総合問題』の過去問

次の事例を読んで答えなさい。
〔事例〕
Jさん(36歳、男性)は、6歳の時、大学病院で精神(発達)遅滞の判定を受け、療育手帳(重度)が交付された。
両親はJさんに必要以上の世話をし、衣服の着脱も介助していた。しかし、両親が高齢になり家庭でJさんの介護が困難になったため、一週間前にJさんは障害者支援施設に入所した。言葉によるコミュニケーションは簡単な単語の理解ができる程度であり、生活全般に指示や見守りが必要である。たばこの吸殻を食べてしまう行為がみられ、吸殻を探して施設の近所まで出歩くなどの行動もみられた。対人関係をうまく築けないようで、なれない人たちの中に入ると、上肢を噛むなどの自傷行為が現れることも分かってきた。
入所当日、Jさんが初めて衣服を着替える時に、介護職が行う支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.Jさんが自分でできるまで待つ。

2.衣服の前後・表裏に印をつける。

3.Jさんの着る順番に衣服を並べておく。

4.Jさんが着てから、間違いを訂正する。

5.Jさんが着られなくなると、そのたびに支援をする。

正解5

衣服の着脱に関しての情報は”両親はJさんに必要以上の世話をし、衣服の着脱も介助していた”ということ以外にはないため、現時点でJさんが着脱行為をどの程度できるのかがわかりません。なので選択肢1、2、3は適当ではありません。

選択肢4は、一通り服を着てから間違いを訂正しても、Jさんが理解できない可能性があります。知的障害のあるJさんに対しては、適切の衣服を着る過程を短いスパンで区切って伝えることが望ましいです。

有する能力を活用してもらうという自立支援の観点からも選択肢5が適当です。

日中にJさんが利用しているサービスとして、正しいものを1つ選びなさい。

1.同行援護
2.生活介護
3.療養介護
4.居宅介護
5.短期入所

正解2

参考)⇒障害者総合支援法

1.同行援護視覚障害者のためのサービスです。

2.生活介護は、常に介護を必要とする障害者が、障害者支援施設等に通って、主に昼間に、入浴・排せつ・食事の介護等を受けるとともに、創作的活動を行ったり、生産活動の機会の提供を受けたりする福祉サービスで、Jさんが日中に利用しているサービスとしては適当です。

3.療養介護は、病院等に入院している障害者に対して、主に昼間に、レクリエーションを含む機能訓練や療養上の管理、看護。あと食事、入浴、排せつ、着替えなどで医学的管理の下に行われる介護や日常生活上の相談などを行うサービスで、さらに対象者はALS等の病気で、気管切開をして、人工呼吸器による呼吸管理を行っている障害支援区分6の方や筋ジストロフィー患者又は重症心身障害者で、障害支援区分5以上の方なので、適当ではありません。

4.居宅介護は、居宅で入浴や食事の介護などを行うサービスであり、障害者支援施設に入所しているJさんが利用しているサービスとしては不適当です。

5.短期入所(ショートステイ)は、居宅において、介護者の病気などの理由により、障害者支援施設などに短期間入所して、食事や入浴の介護などを提供するサービスです。Jさんは一時的に障害者支援施設に入所したわけではないので、適当ではありません。

Jさんは、日中は空き缶つぶしなどの軽作業をしている。介護職が時間ごとに次の行動を支援すると、大きな混乱もなくできるようになり、施設での生活リズムが少しずつ身についてきた。そこで、介護職はJさんが他者と円滑な関係を作れるような支援を提案した。
この提案した内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.出歩かないように、活動範囲は居室に限定する。

2.少人数のレクリエーションを行う。

3.多くの入所者と共同作業を行う。

4.自傷行為がみられた場合、向精神薬の服用を検討する。

5.複雑な作業課題を日中活動として行う。

正解2

1.他者との円滑な関係を作れるような支援としては適当ではありません。

2.これは適切です。

3.Jさんは対人関係をうまく築けないようで、なれない人たちの中に入ると、上肢を噛むなどの自傷行為が現れると書かれているので、多くの入所者と共同作業を行うのは適当ではありません。

4.薬の服用は医師が検討するものであり、介護福祉職が検討するものではありません。

5.Jさんは施設での生活リズムがついてきた段階であり、いきなり複雑な作業課題を行うことでリズムが崩れてしまう可能性があります。また、複雑な作業課題を行うことで他者との円滑な関係を作れるようになるとは考えにくいので、不適当です。

次の事例を読んで答えなさい。
〔事例〕
Kさん(65歳)は、夫(70歳)と二人暮らしをしていた。Kさんは骨粗鬆症(osteoporosis)と診断を受けていたが、最近、約束していたことを忘れるなどの記憶力の低下や人格の変化がみられるようになり、前頭側頭型認知症(Front Temporal Dementia)と診断され、要介護認定で要介護3となった。
 夫は体調を崩して、近所の病院に入院することになった。夫が介護支援専門員(ケアマネージャー)に相談して、Kさんは、夫の入院する病院に併設されている施設に入所した。この施設は、看護、医学的管理の下に介護や機能訓練などを実施している。

Kさんは施設入所後、介護職の問いかけに返事をしなかったり、急に服を脱ぎ出すなどの行動を繰り返した。日常生活では、すべての動作に見守りと声かけが必要な状態であった。(第26回介護福祉士国家試験)

Kさんが入所した施設として、次の中から正しいものを1つ選びなさい。

1.小規模多機能型居宅介護
2.介護老人福祉施設
3.認知症対応型共同生活介護
4.介護老人保健施設
5.救護施設

正解4

小規模多機能型居宅介護は通い、訪問、短期の宿泊を組み合わせて提供するサービスで、入所するものではありません。また、”看護、医学的管理の下に介護や機能訓練などを実施している”とあり、このように対応できるのは、選択肢4の介護老人保健施設のみです。

ちなみに選択肢5の救護施設は、社会福祉法第2条によって定められた第一種社会福祉事業で、生活保護法第38条第1項第1号によって規定された保護施設のひとつです。

身体障害のある人(視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、等)、知的障害のある人、精神障害のある人、それらの障害を重複して持つ人、アルコール依存症の人、ホームレスの人など、多様で複合的な課題を持つ人々を幅広く受け入れる施設で、“地域におけるセーフティネット”としての役割があります。

Kさんが自室で急に服を脱ぎだしたときの介護職の対応として、次の記述の中から最も適切なものを1つ選びなさい。

1.服を脱いでいる行動を止める。

2.服を脱がないように説得する。

3.服を脱ぐのは、恥ずかしいことだと伝える。

4.落ち着くまで見守る。

5.服を脱いでいる行動を無視する。

正解4

1.前頭側頭型認知症にみられる繰り返しの行為を無理やりやめさせようとすると、怒ったり暴力を振るうこともあり、適切ではありません。

2.まず、急に衣服を脱ぎだす行為の意味を把握する必要があります。その意味を把握できていない段階では説得は難しいと考えられます。

3.前頭側頭型認知症では、思考や感情の表現、判断をコントロールする前頭葉が障害されるため、刺激に対する反応や欲求が抑えられず、本能のまま行動するようになります。相手に対して遠慮がなくなり、礼儀に欠ける行動をとったり、社会性がなくなることがあります。そのため、恥ずかしいということを理解できない可能性が高いので、適当ではありません。

4.自室なので、これは適切です。

5.自室なのでまだ大丈夫ですが、他の入所者の前でも同じような行動をとる可能性があり、無視はできません。

夫は体調が回復して退院した。その2日後、夫は施設を訪ねた。夫とKさんが廊下を歩いていると、Kさんは急にバランスを崩し、尻もちをついて転倒した。その時、手はつかなかった。
Kさんの状況から、最も骨折(fracture)しやすい部位として、適切なものを1つ選びなさい。

1.橈骨
2.鎖骨
3.上腕骨
4.脊椎
5.肩甲骨

正解4

”手をつかず、尻もち”とあるので、可能性が高いのは選択肢4の脊椎と考えられます。

出典 厚生労働省

次の事例を読んで答えなさい。

事例】
Lさん(80歳)は、妻(75歳)と二人暮らしである。半年前に脳梗塞(cerebral infarction)を起こし、左片麻痺が残った。時間をかければ、着脱や洗面など、身の回りのことができる。現在、要介護1で、週1回訪問介護(ホームヘルプサービス)を受けている。妻は、70歳ころから軽い心不全(heart failure)がくり返し起きるため、屋内での生活が中心となっている。
Lさんは、自分でできることは自分でやりたいと思っているが、妻は夫の世話は自分の役割と思って、Lさんが自分でできることでも世話をしてしまう。
Lさんはお風呂が好きで、脳梗塞(cerebral infarction)を起こす前は、毎日、湯船につかっていた。しかし、自宅の浴槽の縁が浴室の床から遠く、妻の介助では、湯船につかることができないために、退院後はシャワーを使用していた。Lさんは「在宅生活を続けながら、週1回でも湯船につかりたい」と訪問介護員(ホームヘルパー)に話している。(第26回介護福祉士国家試験)

Lさんが起き上がって自分で上着を着ようとしていると、妻が介助して着せた。
それを見た訪問介護員(ホームヘルパー)の妻への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.「Lさんはできますよ、次から本人に任せてみましょう」

2.「次からは、私がやりましょう」

3.「Lさんに楽をさせないようにしましょう」

4.「これからも服を着せてあげましょう」

5.「まず、ご自分のことを心配しましょう」

正解1

・時間をかければ、着脱や洗面など、身の回りのことができる。
・自分でできることは自分でやりたいと思っている。

とあり、自立支援の観点から本人の有する能力を使ってもらうことが大切です。

妻は、訪問介護員(ホームヘルパー)に「おとといの朝、夫が咳をしていたので病院に行き診察を受けましたが、医師から、熱もないし検査結果も心配はないと言われました。念のためベッドに寝かせていますが、自分で寝返りはしています」と話した。
臥床を続けた場合に、最初に現れると予測される身体の状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.嚥下障害
2.寝たきり状態
3.筋力低下
4.心不全(heart failure)
5.褥瘡

正解3

1.嚥下障害については何も書かれておらず、検査結果も心配ないとのことなので、適当ではありません。

2.この状態が何か月も続くならば可能性はありますが、最初に現れる予測としては選択肢3の方がベターです。

3.これは適切です。

4.軽い心不全が繰り返し起こるのは妻です。

5.自分で寝返りをしていると書かれているので、適当ではありません。

Lさんの「在宅生活を続けながら、週1回でも湯船につかりたい」という希望をかなえるための介護保険のサービスとして、次の中から最も適切なものを1つ選びなさい。

1.訪問リハビリテーション
2.居宅療養管理指導
3.訪問看護
4.特定施設入居者生活介護
5.通所介護

正解5

選択肢1~3の訪問リハビリ、居宅療養管理指導、訪問看護には入浴介助を提供するサービスは含まれていません。

特定施設入居者生活介護は特定施設(介護付き有料老人ホーム、介護型ケアハウス、養護老人ホーム、有料老人老人ホームに相当するサービスを提供しているサービス付き高齢者向け住宅)入居している要介護者を対象とした日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話を行うサービスです。在宅生活を続けながらという希望から外れてしまうため適当ではありません。

在宅生活を続けながら湯船につかりたいという希望をかなえるためには、選択肢5の通所介護を利用して、銭湯にいくようなイメージで湯船につかる、訪問介護を利用して、自宅での入浴を支援してもらう、訪問入浴介護を利用するなどが考えられます。

次の事例を読んで答えなさい。
〔事例〕
M君(8歳、男性)はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchene muscular dystrophy)と診断され、地元の小学校に通学している。保育所時代の友達も多く、学校生活でも様々な手助けをしてくれている
母親は働いていて、小学校の授業が終わる時間にM君を迎えにいくことができない。そこで、放課後等デイサービスを利用しているが、母親は友人から、「学童保育には年齢制限があったけど、M君の利用している放課後等デイサービスは大丈夫なの」と言われた。母親はサービスを利用する際に説明を受けた気もするが、記憶が確かではなく心配になってきた。
最近、M君は歩行が不安定になってきており、母親は、M君が車いすを使用する時期になってきたのではないかと感じている。身体的な機能を考えると、できるだけ歩かせたいと思う一方、歩行を重視すれば、行動範囲が狭くなり、M君の世界を広げることができなくなるかもしれないと考えている。筋力低下がADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)に深刻な影響を及ぼし始めている現状を、M君のガイドヘルパーをしているY介護職に、母親はときどき相談している。(第26回介護福祉士国家試験)

母親はY介護職に「息子の利用している放課後等デイサービスは、通常はいつまで利用できるのか」尋ねた。Y介護職の回答として、正しいものを1つ選びなさい。

1.小学校3年生まで
2.小学校卒業まで
3.中学校卒業まで
4.高等学校卒業まで
5.大学卒業まで

正解4

放課後等デイサービスは、原則として6歳~18歳までの就学児童で、障害手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などの手帳を所持する児童。または、発達の特性について医師の診断書がある児童を対象に、放課後や夏休みなどの長期休暇に利用できる福祉サービスです。

個別の発達支援や集団活動を通して、家と学校以外の居場所や友だちをつくることができるので“障害児の学童”とも表現されます。児童発達支援管理責任者が作成する個別支援計画に基づいて、自立支援と日常生活の充実のための活動などが行われています。

M君のようなデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchene muscular dystrophy)の人が、車いすを使用するようになっても最後まで自立できるADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)として、正しいものを1つ選びなさい。

1.食事動作
2.入浴動作
3.排泄動作
4.更衣動作
5.移乗動作

正解1

筋ジストロフィーは、身体の筋肉が壊れやすく、再生されにくいという症状をもつ、たくさんの疾患の総称で、指定難病の一つです。
その他の症状では、筋ジストロフィーの型ごとに、拘縮・変形、呼吸機能障害、心筋障害、嚥下機能障害、消化管症状、骨代謝異常、内分泌代謝異常、眼症状、難聴、中枢神経障害等の様々な特徴があります。

※デュシェンヌ型や、エメリー・ドライフス型などたくさんの型とその症状がありますが、そこまで細かく覚える必要はありません。


幼児期から始まる筋力低下により、徐々に歩行が困難になり、いずれ寝たきりの状態となります。

車イスを使用した場合、排泄や入浴時に必要になる移乗動作、ズボンなどの更衣など比較的筋力が要する動作は困難になってきますが、通常、食事動作は他の動作より比較的維持されます。

M君はやがて歩けなくなることが予想される。Y介護職は母親から「筋力をできるだけ保ちながら、今の活動範囲を維持するためには、今後どうしたらよいのでしょうか」と助言を求められた。
Y介護職の提案として、もっとも適切なものを1つ選びなさい。

1.自走式普通型車いすと電動普通型車いす2台の使い分け

2.自走式普通車いすの利用

3.手押し型車いすの利用

4.電動普通車いすの利用

5.歩行の継続

正解2

歩行が困難になることが予想されるので、選択肢5は不適切です。また、筋力をできるだけ保ちながら、ということなので、選択肢3の手押し型車イスと選択肢4の電動普通車イスは適当ではありません。自走できるうちは、自走式普通車イスを利用して、筋力が低下してきて、自走式が使えなくなってから、電動普通車イスに切り替えます。併用する必要はありません。

次の事例を読んで答えなさい。

【事 例】
Gさん(75 歳、男性)は、妻と穏やかに暮らしていた。ドライブが趣味で、妻が買い物に行くときは送り迎えをした。妻の買い物がない日には、いつも近くのUコミュニティセンターで、仲間たちと囲碁や将棋をしていた。そんなGさんが、半年前からUコミュニティセンターに行かない日が多くなり、家の中をうろうろしたり、妻に買い物に行く時間を何度も確認し、車の鍵を探しまわることが多くなった。2 か月ほど前、買い物の後で家に帰る道が分からなくなり、同じ道を行ったり来たりしているので、妻が、「次の路地に入ってください」と言うと、「分かっとる」と大声を出した。家に到着すると、「今年は免許更新の年だ」と言った。心配した妻が、かかりつけのH医師にGさんの診察を依頼した。アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断され、その後、要介護1 と認定された。現在、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し、妻は訪問介護員(ホームヘルパー)がいる間に買い物に出かけている。(第27回介護福祉士国家試験)

妻は、Gさんのことが心配でなかなか自宅を空けることができない。妻が自宅から気軽に相談できる機関として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.高齢者生活福祉センター
2.地域活動支援センター
3.市町村保健センター
4.認知症コールセンター
5.認知症介護研究・研修センター

正解4

1.高齢者生活福祉センター(通称:生活支援ハウス)は、一人暮らしで独立して生活する事が不安な高齢者や夫婦のみの世帯などを対象に、安心して健康で明るい生活ができるよう居住の場を提供するものです。また、介護保険の認定を受けている方以外で、自立した生活が送れることが条件となります。
妻がGさんの認知症のことで気軽に相談できる機関としては適当ではありません。

2.地域活動支援センターは、障害のある人の日中の活動をサポートする機関で、創作、生産活動、地域交流など、地域生活を支える多様なサービスを行っています。具体的には、調理教室、手芸教室、パソコン教室やワークスペースを提供して自由に使ってもらうとか、そのセンターによっていろいろです。

生産活動に関してイメージしやすいように、実例を一つ紹介しておきます。

千葉県の浦安に『とも』ともという名前の地域活動支援センターがあって、そこが運営している、ほっぷっというお店が、新浦安駅の中にあります。昼はリサイクルショップで、夜は立ち飲み屋というお店で、障害のある方が、それぞれの目的や希望、生活スタイルに合わせて働いています。そしてお店の収益が障害のあるスタッフの工賃となっています。
妻がGさんの認知症のことで気軽に相談できる機関としては適当ではありません。

3.~保健所と市町村保健センターについて~
ともに地域保健法という法律に基づいて設置されている行政機関です。 地域の住民の疾病の予防、健康増進、食品に関する相談及び各種検査など保健・衛生・生活環境等に関する幅広い分野でサービスを実施しています。
ざっくり違いをいうと、保健所は広域的・専門的なサービスを実施し、住民に身近な保健サービスは市区町村の保健センターで実施されているといったかんじです。市町村保健センターの仕事の例をあげると、

  • 健康相談
  • 保健指導
  • 予防接種や各種検診

のように地域住民に身近なものとなっています。
ここでも認知症に関する相談は可能ですが、選択肢4の方がベターです。

4.認知症コールセンターは、認知症がある者やその家族の認知症に関する悩みや介護に関する悩みを相談できる総合相談窓口で、 妻がGさんの認知症のことで気軽に相談できる機関として適切です。自治体が、社会福祉法人やNPO法人に委託して運営している場合が多いです。
具体例は↓
川崎市:認知症コールセンター

5.認知症介護研究・研修センターとは、認知症のケアなどについての研修や研究を行う専門機関で、 妻がGさんの認知症のことで気軽に相談できる機関としては適当ではありません。

妻は交通事故を心配して、1日も早く車の運転をやめさせたいと考えている。現在のGさんの状況について、訪問介護員(ホームヘルパー)の妻に対する助言として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.車の鍵を隠すことを勧める。

2.Gさんに断りなく車を処分することを勧める。

3.「免許更新期間は過ぎました」とGさんに言うように勧める。

4.近くの警察署に相談することを勧める。

5.「あなたの運転は怖いから乗りません」とGさんに言うように勧める。

正解4

選択肢1、2と選択肢3のように嘘をつくことは、Gさんと妻の人間関係を悪化させるリスクがあり適当ではありません。選択肢5は選択肢1、2、3と比べれば、人間関係が悪化するレベルは低いですが、Gさんがそれで車の運転をやめるかどうかわかりません。選択肢4の方がベターです。

4.運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に認知機能検査を受けなければならないこととされています。都道府県警には運転適性窓口があり、認知症の運転者に関する相談に応じてくれます。法律で定められていると伝える方がGさんも相談しやすいと考えられます。

妻はGさんと、自宅でできるだけ長く生活したいと考えている。また、自分が旅行などで一定期間家を空けることができるのかと心配している。妻の心配に対応する介護保険のサービスとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.短期入所療養介護
2.通所リハビリテーション
3.通所介護(デイサービス)
4.認知症対応型通所介護
5.訪問看護

正解1

”自分が旅行などで一定期間家を空けることができるのかと心配している”とあるので、短期間の泊まりのサービスが必要です。選択肢の中では短期入所療養介護のみ泊まりのサービスがあります。

次の事例を読んで答えなさい。

【事 例】
Jさん(80 歳、女性)は3 年前にレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断され、要介護3 と認定された。次第に徘徊することが多くなって、夫(88 歳)が介護することは難しくなり、現在は認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用している。Jさんは、「先生が怖い顔をしてあっちから歩いてくる」など、実際にはないことを口にしていた。Jさんはグループホームから出て行き、Vコンビニエンスストアで発見されたことが1 回ある。家族の了解を得て、GPS追跡機をJさんの身に着けてもらうことにした。また、地域のネットワークを活用して、Jさんが発見されたVコンビニエンスストアの店員、地域の民生委員、自治会、老人クラブなどに呼びかけ、一人で歩いているJさんを見かけたときは、グループホームに連絡を入れてもらうようにした。一方で、介護福祉職は、Jさんが外出したいときには、付き添って外出していた。(第27回介護福祉士国家試験)

Jさんに見られる症状として、正しいものを1 つ選びなさい。

1.感情失禁
2.奇異行動
3.無動
4.無言
5.幻視

正解5

1.感情失禁血管性認知症の特徴です。

2.奇異行動は奇声を発したり、子供じみた行為をしたり、不衛生・不適切な行為をしたり、異常な行動をすることです、統合失調症や認知症でみられます。Jさんの場合は、”「先生が怖い顔をしてあっちから歩いてくる」など、実際にはないことを口にしていた”と書かれており、これはレビー小体型認知症の特徴の一つである幻視です。

3.無動は、動作緩慢とも言い、動きが鈍くなることです。パーキンソン病の四大症状の一つです。

4.Jさんはしゃべっているので、無言ではありません。

地域の住民から、「Jさんに似た人をW橋のそばで見かけました」と連絡が入った。W橋はVコンビニエンスストアから2 km ほど離れている。JさんのGPS追跡機が居室で見つかったが、Jさんの姿はグループホーム内に見当たらなかった。この時点で、介護福祉職がとるべき対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.グループホームで帰ってくるのを待つ。

2.休暇中の職員全員に出勤してもらう。

3.地域のネットワークに協力を依頼する。

4.Jさん宅に探しに行く。

5.VコンビニエンスストアでJさんが来るのを待つ。

正解3

1.Jさんが自力で返ってくる可能性もゼロではありませんが、可能性としては低く、ただ待っているだけでは適当な対応策とはいえません。

2.場合によっては、休日出勤を依頼することも視野に入れる必要はありますが、介護福祉職ではなく、管理者の仕事です。

3.”Jさんが発見されたVコンビニエンスストアの店員,地域の民生委員,自治会,老人クラブなどに呼びかけ,一人で歩いているJさんを見かけたときは,グループホームに連絡を入れてもらうようにした。”と書かれており、地域のネットワークがすでにあるので、これは適切です。

4.Jさんが外出していなくなってしまった場合、自宅に帰ってくる可能性もあるので、まず家族へ連絡し待機してもらうように依頼することが望ましいです。自宅に誰もいない場合は、介護職員が探しに行く必要もありますが、選択肢3の方がベターです。

5.JさんがVコンビニエンスストアに来る可能性はありますが、介護職員がそこでただ待っていても、早期発見にはつながりません。Vコンビニエンスストアの店員にJさんを見かけたら連絡を入れてもらうように依頼する方が適切です。そして、これは選択肢3の内容になります。

JさんはW橋近くで無事に発見された。グループホームの職員は今後のJさんへの対応について話合いを行った。介護福祉職のJさんへの対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.Jさんの居室に鍵をかけ、居室の中で過ごしてもらう。

2.無断外出がたくさんの人に迷惑がかかることを伝え、反省を促す。

3.Jさんの1 日の生活リズムを再確認する。

4.グループホームの利用をやめるように勧める。

5.今後、出かけるときは、職員に声をかけるように伝える。

正解3

1.身体拘束にあたり、不適切です。

2&5.説明しても理解できない、忘れてしまうといった可能性があり、適当ではありません。

3.これは適切です。外に出ていきそうになる時間帯・リビングの状態などが把握できれば、より適切な支援が可能です。

4.スタッフに暴行し、出ていくというような状態でなければ、自宅での生活が難しいJさんにグループホームの利用をやめるように勧めるのは適切ではありません。

次の事例を読んで答えなさい。

【事 例】
Kさん(46 歳、男性)は、1年前、事故が原因で全盲となった。失明当初は、自宅にひきこもってしまい、妻と離婚し、仕事も辞めてしまった。その後、なんとか元の自分の生活を取り戻したいと思って、総合リハビリテーションセンターを利用し始めたが、初めは、受傷による心理的な影響が大きく、積極的に訓練に参加することができなかった。(第27回介護福祉士国家試験)

センターの介護福祉職のKさんへの対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.他の視覚障害者も頑張っていることを伝える。

2.1 日でも早く一人で歩くことができるように励ます。

3.センター内の視覚障害者の集いへの参加を勧める。

4.障害者スポーツへの参加を勧める。

5.経済的な支援やサービスに関する制度について説明する。

正解3

1&2.今の段階では、意欲よりも心理的な負担を感じさせる恐れがあるので、適当ではありません。

3.今のKさんに必要なのは心理的なケアを含めた支援で、共感できる人たちとの交流は適切です。

4&5.選択肢4,5はKさんが訓練に積極的に臨めるようになった後の段階です。今は訓練にも積極的に参加できないという状態なので、適当ではありません。

Kさんとのコミュニケーションを図るためのセンターの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.話したり、手で触れたりしてコミュニケーションを図る。

2.読話を用いてコミュニケーションを図る。

3.点字を用いてコミュニケーションを図る。

4.Kさんの話をうなずきながら聞く。

5.「あれ」、「これ」という指示代名詞を用いてコミュニケーションを図る。

正解1

1.視覚以外は正常と考えられるので、話したり、時には手で触れたりしてコミュニケーションを図るのは適切です。ただし、あまり強いスキンシップは不快感を与えてしまう可能性もあるので注意が必要です。

2.読話は、話し手の口唇の動きを見て会話の内容を理解するものなので、視覚障害者とのコミュニケーションとしては不適切です。

3.失明してから1年ほどで、発話でコミュニケーションをとることができるKさんが点字を習得しているとは考えにくいので、適当ではありません。

4.うなずいてもKさんには伝わらないので、相づちを入れるほうが適切です。

5.視覚障害者であるKさんは目で見ることができないため、「あれ」や「これ」といった表現は控えて、具体的な表現にするべきです。

センターの介護福祉職のアドバイスなどもあり、Kさんは徐々に歩行訓練、日常生活動作訓練、点字訓練、音声ソフトを導入したパソコンの訓練等を行うことができるようになった。また、Kさんは、比較的早く、盲導犬と生活する訓練を受け、現在、盲導犬と一緒に自宅で生活することが可能になった。Kさんがいつも相談に行っている地域活動支援センターの職員から盲導犬とその利用者への接し方について一般の人に話してほしいと依頼された。Kさんが話す内容として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.盲導犬がそばにいれば困ることはないので、視覚障害者に話しかけないでほしい。

2.仕事中の盲導犬に声をかけて励ましてほしい。

3.仕事中の盲導犬に水や食べ物を与えてほしい。

4.盲導犬が通路をふさぐなどの困った行動をしていても、黙って見ていてほしい。

5.盲導犬がハーネス(harness)をつけているときは、仕事中なので見守ってほしい。

正解5

1.盲導犬がそばにいても、困ることが起きる場合もあるので、話しかけないでほしいと一般人に話すのは適当ではありません。

2&3.仕事中の盲導犬に対しては、仕事に集中できるようにかかわる必要があるため、声をかけて励ましたり、水や食べ物を与えたりするのは、適当ではありません。

4.黙ってみているのではなく、視覚的にわかりやすく伝えてもらう方がよいので、適当ではありません。

5.これは適切です。

出典 みやざき アクセシビリティ情報マップ

次の事例を読んで答えなさい。

【事 例】
Lさん(45 歳、男性)は30 歳の頃、統合失調症(schizophrenia)と診断された。両親と弟がいるが、関係が悪く、現在は両親の家の近くにアパートの一室を借りて住んでいる。精神状態が悪くなると、誰かが襲ってくると思い込み、部屋から一歩も出ることができなくなる。その結果、部屋の中はゴミがいっぱいで、Lさんが寝る場所以外はゴミで埋められていた。心配した母親は相談支援専門員に状況を話した。相談支援専門員が、Lさんに障害支援区分の認定を受けてもらったところ、区分3と判定された。A訪問介護員が派遣されることになった。LさんはA訪問介護員が部屋に入ることは受け入れたが、家事の支援は受け入れなかった。A訪問介護員は粘り強くLさんの話を聞き、「Lさんのいる場所と私がいる場所ぐらいは作りたい」と伝えた。その結果、Lさんと一緒にゴミを少し片づけることができた。A訪問介護員は、Lさんの定期的な通院にも付き添うことができるようになった。Lさんは服薬もしっかりとするようになってきた。(第27回介護福祉士国家試験)

精神状態が悪くなったときのLさんの症状として、正しいものを1 つ選びなさい。

1.幻覚
2.妄想
3.せん妄(delirium)
4.思考途絶
5.感情鈍麻

正解2

~統合失調症の症状~

  • 健康なときにはなかった状態があらわれる陽性症状
    例)幻覚妄想
  • 健康なときにはあったものが失われる陰性症状
    例)感情の平板化意欲の欠如
    感情の平板化は、外部からの刺激に対して、自然に起こるはずの喜怒哀楽の感情が起こりにくくなることです

”精神状態が悪くなると,誰かが襲ってくると思い込み”と書かれており、これは妄想です。幻覚は、実際にないものが感覚として感じられることです。

Lさんは移動のときに見守りが必要である。Lさんの定期的な通院に付き添うことが可能となるサービスとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.居宅介護
2.同行援護
3.生活介護
4.自立訓練
5.療養介護

正解1

1.居宅介護(ホームヘルプサービス)は、日常生活をおくる上で支障のある障害者等を対象に、安心して自宅で生活を送ることができるように提供される、生活の基本サービスです。ホームヘルパーが、自宅を訪問して、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯や掃除等の家事や買い物の代行、生活に関する相談、通院の付き添い、その他の生活全般にわたる援助を行います。

2.同行援護は、視覚障害により移動に著しい困難がある、障害支援区分2以上の障害者を対象としたサービスで、外出する時に同行して必要な視覚的情報の支援、例えば、看板を読んだり、代筆したり、あと移動の援護、排泄・食事の介護、その他外出時に必要な援助を行うサービスです。

3.生活介護は、常に介護を必要とする障害者が、障害者支援施設等に通って、主に昼間に、入浴・排せつ・食事の介護等を受けるとともに、創作的活動を行ったり、生産活動の機会の提供を受けたりする福祉サービスです。Lさんは一人で暮らしており、常に介護を必要としているわけではないので適当ではありません。

4.自立訓練は、身体機能に障害のある人に対してリハビリテーションなどを行ったり、知的障害や精神障害がある方が、障害者支援施設や障害福祉サービス事業所、自宅において 日常生活を送る上で必要な、身の回りの基本的な事に関して訓練を行うサービスで、通院の付き添いは含まれていません。

5.療養介護は、病院等に入院している障害者に対して、主に昼間に、レクリエーションを含む機能訓練や療養上の管理、看護。あと食事、入浴、排せつ、着替えなどで医学的管理の下に行われる介護や日常生活上の相談などを行うサービスです。
対象者はALS等の病気で、気管切開をして、人工呼吸器による呼吸管理を行っている障害支援区分6の方や筋ジストロフィー患者又は重症心身障害者で、障害支援区分5以上の方で、病院等への長期の入院による医療的ケアに加えて、常時の介護を必要とする障害者となっているので、Lさんは利用できません。

LさんとA訪問介護員との信頼関係ができ、部屋の中もきれいに片づいた。Lさんはこの後の生活についての漠然とした不安をA訪問介護員に相談するようになった。Lさんを交えた支援会議の前に、担当の相談支援専門員とサービス提供責任者、A訪問介護員が会議を開いた。A訪問介護員が提案する内容として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.両親と話し合い、一緒に住むこと

2.仕事を見つけるために、公共職業安定所(ハローワーク)に行くこと

3.地域活動支援センターの利用

4.共同生活援助(グループホーム)の利用

5.継続的な服薬管理のための短期間の入院

正解3

1.Lさんは、両親、弟の関係が悪く、アパートに住んでいる、と書かれており適当ではありません。

2.訪問介護員と一緒にゴミを少し片づけることができ、服薬もしっかりとするようになってきたという状態で、ほとんど外出していない状況に加えて、本人が就労を希望しているかどうかわからないので、適当ではありません。

3.地域活動支援センターは、障害のある人の日中の活動をサポートする機関で、創作、生産活動、地域交流など、地域生活を支える多様なサービスを行っています。具体的には、調理教室、手芸教室、パソコン教室やワークスペースを提供して自由に使ってもらうとか、そのセンターによっていろいろです。Lさんは、今後の生活に漠然とした不安を抱えている点や、それらを解消するために地域活動支援センターの活用を提案するのは適切です。

4.共同生活援助(グループホーム)は、障がいのある人が一軒家やアパート、マンションなどで共同生活をするサービスであり、利用者が日中活動から帰宅して翌朝外出するまでの夜間帯休日のサービスです。「世話人」や「支援員」と呼ばれる職員が調理、掃除、洗濯など日常生活上の支援や生活上の相談対応を行います。また、入浴、排せつ、食事などの介護が必要な方には、介護サービスも提供します。利用者は、日中は仕事に出たり、他の福祉サービスを提供する事業所に通ったりしています。
Lさんは、訪問介護員と一緒にゴミを少し片づけることができ、服薬もしっかりとするようになってきたという状態なので、現在のアパートでの生活を継続できるように支援していく方が適切です。共同生活援助を利用するということは、引っ越しをしなければならず、また、”LさんはA訪問介護員が部屋に入ることは受け入れたが、家事の支援は受け入れなかった”とあるので、共同生活援助の利用をすすめるのは適切ではありません。

5.”Lさんの定期的な通院にも付き添うことができるようになった。Lさんは服薬もしっかりとするようになってきた。”と書かれています。さらに、入院の必要性の判断は主治医が行うべきものなので、適切ではありません。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Jさん(56 歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で、左片麻痺と高次脳機能障害(higher brain dysfunction)があるために、障害者支援施設に入所して、車いすでの生活をしている。Jさんは、現在の施設に作業活動がないことを不満に思っていて、たびたび、妻に「職業訓練や収入を得ることが目的ではなく、のんびりと楽しみながら作業がしたい」と話している。妻はどうしたらよいのか分からず介護福祉職に相談した。介護福祉職は、Jさんが利用できるプログラムについて検討した。その結果、Jさんに合った創作的活動を取り入れたプログラムを実施することになった。(第28回介護福祉士国家試験)

Jさんが利用している日中のサービスとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.重度訪問介護
2.就労移行支援
3.居宅介護
4.就労継続支援A型
5.生活介護

正解5

1.重度訪問介護で訪問できるのは、自宅、入院又は入所中の病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院及び助産所であり、障害者支援施設には訪問できないので不適切です。

2&4.「職業訓練や収入を得ることが目的ではなく,のんびりと楽しみながら作業がしたい」と話しているJさんには、就労移行支援や、就労継続支援A型は必要ありません。

3.居宅介護は、日常生活をおくる上で支障のある障害者等を対象に、安心して自宅で生活を送ることができるように提供される、生活の基本サービスです。ホームヘルパーが、自宅を訪問して、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯や掃除等の家事や買い物の代行、生活に関する相談、通院の付き添い、その他の生活全般にわたる援助を行います。Jさんは障害者入所施設に入所しているので、利用できません。

5.生活介護は、常に介護を必要とする障害者が、障害者支援施設等に通って、主に昼間に、入浴・排せつ・食事の介護等を受けるとともに、創作的活動を行ったり、生産活動の機会の提供を受けたりする福祉サービスです。問題文に”Jさんに合った創作的活動を取り入れたプログラムを実施することになった”とあるため、適切です。

生活介護は主に昼間のサービスとなっていますが、夜間はどうするの?

夜間は、施設入所支援を併用している場合が多いです。

Jさんは、創作的活動に参加したが、その作業手順が複雑になると、何からやればよいのか分からなくなって、計画的に作業を進めることができない。作業をしているときのJさんの状態として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.遂行機能障害
2.半側空間無視
3.構音障害
4.知的障害
5.記憶障害

正解1

実行機能障害は、遂行機能障害ともいい、高次脳機能障害でみられる症状の一つで、自分で計画を立ててものごとを実行することができない。状況に応じた判断ができない。人に指示してもらわないと何もできない。行き当たりばったりの行動をするなどです。

Jさんは昼食の時に上着を汚したので、居室で着替えようとしていた。Jさんは、上着を手にしたまま、どうすればよいのか分からなくなった。このときのJさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.着替えていないことを注意する。
2.着替えるまで待つ。
3.着替えができない理由を聞く。
4.着替えの動作のきっかけをつくる。
5.着替えの手順を細かく指示する。

正解4

1.高次脳機能障害の症状で、着替えたくても着替えの仕方が分からないという状態のJさんを注意するのは不適切です。

2.実行機能障害で着替えの手順がわからずに手が止まっており、自発的に更衣することは難しいため、適当ではありません。

3.Jさんの実行機能障害について介護福祉職は把握しておくべきです。

4.これは適切です。実行機能障害では、自発的に行動をはじめることが難しいので、動作のきっかけをつくることは大切です。そして、その後は、本人のわからない・できない部分のみを支援し、できるところは本人に行ってもらい、有する能力を活用していく支援が大切です。

5.実行機能障害では、論理的に考えたり、計画したりすることが苦手になるため、細かく指示しすぎると、かえって混乱してしまう場合があります。Jさんがわからない・できないところを中心にシンプルにわかりやすく伝えることが大切です。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
K君( 7 歳、男性)は、3歳の時に不随意運動型(アテトーゼ型(athetosis))脳性麻痺(cerebral palsy)と診断された。頸部や体幹をねじらせたり、反らせたり、上肢が伸展する運動が自分の意志とは関係なく起こってしまう不随意運動型特有の症状が現れていた。時々、筋肉の緊張が強くなり、体幹や上肢の不随意運動が大きくなることもあった。知的障害は見られず、車いすを使って、近所の小学校へ通学していた。登校・下校のときだけ母親が付き添って、教室内では車いすを何とか自分で操作して過ごしていた。言葉は努力性の発語で、聞き取りにくく、同級生と意思疎通が困難なことがしばしばあったが、慣れ親しんだ友達との会話は可能であった。(第28回介護福祉士国家試験)

K君の状態に適した車いすとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.普通型車いす
2.電動普通型車いす
3.片手駆動式普通型車いす
4.手動リフト式普通型車いす
5.リクライニング・ティルト式普通型車いす

正解5

” 頸部や体幹をねじらせたり、反らせたり、上肢が伸展する運動が自分の意志とは関係なく起こってしまう不随意運動型特有の症状が現れていた。時々、筋肉の緊張が強くなり、体幹や上肢の不随意運動が大きくなることもあった。”
と書かれているので、頸部や体幹のサポートを行える車イスが適切です。

1.普通型の車イスでは、頸部や体幹のサポートはできないので、適当ではありません。

2.不随意運動があるので、自分で操作する電動普通車イスだと、意図しない動きをさせてしまうリスクがあります。また、頸部、体幹のも保護できません。

3.片手駆動式普通型車イスは、文字通り片手で動かせる車イスで、片麻痺の方が利用する物です。

4.手動リフト式普通型車イスは、座面の高さを上下に移動できる車イスで、頸部や体幹を保持する機能はありません。

5.座面と背もたれが連動して倒れる機能を「ティルト」といい、背もたれのみが倒れる機能を「リクライニング」といいます。倒れることにより、座位(座っている状態)によるお尻や太ももにかかる体重を背中や腰に分散できるというメリットがあります。また、仙骨座りを防ぎ、座位姿勢の保持をサポートできます。

出典 動画で分かる福祉用具の使い方・選び方
仙骨座り

K君の小学校の夏休みが近づいた。母親は夏休み中にK君が人との交流を持てる場所がないか、K君が幼少の時から介護方法について相談していた介護福祉士であるL相談支援専門員に相談した。
L相談支援専門員が提案するサービスとして、適切なものを1 つ選びなさい。

1.移動支援事業
2.福祉型障害児入所施設
3.保育所等訪問支援事業
4.放課後等デイサービス
5.医療型障害児入所施設

正解4

1.移動支援事業市町村地域生活支援事業必須事業のひとつで、移動が困難な人に対して、冠婚葬祭や投票などの社会生活を送る上で欠かすことのできない外出や、イベントへの参加といった余暇活動のための外出支援をヘルパーが行うサービスです。人との交流が目的のサービスではありません。

2&5.選択肢2、5は入所施設であり、夏休み中に人との交流を目的とする場所ではありません。

3.保育所等訪問支援事業は、保育所幼稚園小学校特別支援学校などに通う障害のある児童を対象に、専門スタッフが保育所等を訪問し、障害児本人に集団生活適応のための訓練等を行ったり、訪問先施設のスタッフに支援方法等の指導等を行う事業です。
K君は、慣れ親しんだ友達との会話は可能であるし、そもそも夏休み期間中なので適当ではありません。

参考)⇒障害児通所支援

4.放課後等デイサービスは、原則として6歳から18歳までの就学児童で、障がい手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳などの手帳を所持する児童、または、発達の特性について医師の診断書がある児童を対象にとするサービスです。

児童発達支援管理責任者が作成する個別支援計画に基づいて、自立支援と日常生活の充実のための活動、創作活動、地域交流の機会の提供などを実施します。

放課後や夏休みなどの長期休暇に利用できる福祉サービスで、個別の発達支援や集団活動を通して、家と学校以外の居場所や友だちをつくることができるので“障がい児の学童”とも表現されます。夏休み中にK君が人との交流を持てる場所として適切です。

K君は2 年生になった。4 月にクラス替えで、新しい同級生が多くなり、K君の言葉が分からないという理由で関係がうまくいかなくなった。そのため、K君の筋肉の緊張は今までよりも強くなり、不随意運動も大きくなった。給食の時に食べ物をうまく口に運べなくて、担任の先生が介助する場面が増えてきた。担任の先生から、この状況を聞いた母親は心配になって、K君の学校での食事について、L相談支援専門員に相談をした。L相談支援専門員の助言として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.クラスの同級生と会話をしながら食事をする。

2.自助具を使用して自力で食べる。

3.リラックスできる環境を作って、自力で食事ができるように支援する。

4.途中まで自力で食べてもらって、その後は介助する。

5.仲の良い友達を選んで、食事介助をしてもらう。

正解3

1.これは次の段階の目標です。現在の課題は、「同級生との関係がうまく行っておらず、緊張が強くなり、不随意運動が大きくなっている」というところなので、選択肢3の方がベターです。

2.緊張が強く、不随意運動が大きくなってしまう状態では、自助具でもうまく使えないと考えられます。

3.これは適切です。

4.「給食の時に食べ物をうまく口に運べなくて,担任の先生が介助する場面が増えてきた」という状態なので、選択肢3の方がベターです。

5.誤嚥のリスクもあり、適切ではありません。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Mさん(71 歳、女性)は、仕事を持つ息子と二人で生活している。最近、鍋を焦がすことがあったり、買物をして家に帰れなくなったりすることがあった。心配した息子が受診させたところ、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。要介護認定で要介護1 となり、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。
Mさんは、訪問介護員(ホームヘルパー)と息子以外の人との接触はなく、テレビの前で過ごしていることが多い。心配した息子は、通所介護(デイサービス)を勧めたが、一人で通うことが不安で、利用を拒んでいた。このままだと認知症(dementia)が悪化するのではないかと息子の不安が大きくなっていた。(第28回介護福祉士国家試験)

息子は、Mさんが少しでも多く外出して、人と話すような機会を設けたいと考えて、訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。次のうち、Mさんが息子と一緒に利用できるものとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.認知症カフェ
2.生活支援ハウス
3.地域活動支援センター
4.通所リハビリテーション
5.就労継続支援B型

正解1

1.認知症カフェを運営しているのは、個人またはNPO法人や介護事業所などの団体などです。開催場所は多様で、介護施設の一角や地域のコミュニティセンター、商店街の空き店舗などが多いようです。個人が自宅を開放しているケースもあります。

認知症カフェは、利用者を限定せず、認知症の当事者家族地域住民介護や医療の専門職などさまざまな方が集うこと大きな特徴です。地域の人たちが気軽に集い、認知症の人や家族の悩みを共有し合いながら、専門職に相談もできる場所となっています。Mさんが息子と一緒に利用できるものとして適切です。

2.高齢者生活福祉センター(通称:生活支援ハウス)は、主に自治体が運営する、健康自立型の高齢者向け福祉施設で、利用対象者は介護保険の認定を受けている方以外で、自立した生活が送れることが条件となります。独立して生活することに不安のある高齢者に対して、住まい、生活相談や緊急時の対応、娯楽や地域住民との交流などのサービスを提供します。

これは住居を提供するサービスで、そもそもMさんと息子は、住むところに困っているわけではないので、適当ではありません。

3.地域活動支援センターは、移動支援事業と同じく、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業必須事業の1つで、障害のある人の日中の活動をサポートする機関で、創作、生産活動、地域交流など、地域生活を支える多様なサービスを行っています。

障害者を対象としたサービスで、息子と一緒に利用できないので、適切ではありません。

4.通所リハビリテーションは、介護保険制度のサービスで、要支援あるいは要介護と認定された利用者が介護老人保健施設などに通ってリハビリテーション等を受けられるサービスです。

まず息子は要介護でも要支援でもないので、利用できません。そして、” 通所介護(デイサービス)を勧めたが、一人で通うことが不安で、利用を拒んでいた ”と書かれているので、適当ではありません。

5.Mさんは就労を希望しているわけではないので、適当ではありません。

Mさんは、訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒に調理していたが、最近、途中で動作が止まってしまうことがあった。調理の途中で、動作が止まってしまうMさんへの支援として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.本人が調理動作を行うまで待つ。

2.本人に代わって調理を行う。

3.ジェスチャーを使って調理動作のヒントを出す。

4.調理動作が楽にできる自助具を用意する。

5.調理動作の手順書を渡して覚えてもらう。

正解3

1. アルツハイマー型認知症中核症状記憶障害実行機能障害があるので、 本人が次の動作を行えるか少し待つのは問題ありませんが、できない可能性も高いので、調理動作を行うまで待つというのは適当ではありません。選択肢3の方がベターです。

2.自立支援の観点から、Mさんの有する能力を活用してもらうことが大切なので、適当ではありません。

3.適切です。

4.もし手に力が入りにくくて、包丁を持ってるのがつらくて調理動作がとまってしまう、というような状況なら適切な支援ですが、問題文には、そのような状況は書かれておらず、鍋を焦がすことがあったり、買物をして家に帰れなくなったりした、ということしか書かれていないので、記憶障害や実行機能障害を念頭においた支援が適切です。

5.アルツハイマー型認知症中核症状記憶障害実行機能障害があるので、選択肢5の手順書を渡して覚えてもらうというのは、理解できなかったり、実行に移せなかったりする可能性が高く、適切ではありません。

息子は、Mさんへの適切な支援方法について訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。
息子に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の助言として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.Mさんを認知症対応型共同生活介護(グループホーム)へ入居させるように勧める。

2.Mさんに買物をさせないようにする。

3.Mさんと一緒にテレビを見るように勧める。

4.Mさんが失敗したらそのたびに指摘する。

5.Mさんのできることを見つけて、一緒に行うように勧める。

正解5

1.Mさんにも息子にもそのような希望はみられず、適当ではありません。

2.一人での買い物はリスクがありますが、息子や訪問介護員と一緒であれば可能です。外出は生活の刺激にもなり、好きな食材を選ぶなど主体的な生活につながるので、選択肢2は不適切です。

3.Mさんは、すでにテレビの前で過ごすことが多くなっており、メリハリのある主体的な生活を送るためにも、テレビの前で過ごすのを勧めるのは適当ではありません。

4.Mさんが自信を失い、やる気の低下につながります。失敗しても大丈夫なことを伝え、失敗が少なくなるように環境などを整えることが重要です。

5.できることが増えると自信につながります。また、”一人で通うことが不安で”と書かれているので、息子がMさんと何か一緒に行うように勧めるのは適切です。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Aさん(70 歳、女性)は、20 年前に2 型糖尿病(diabetes mellitus type2)を発症して、 8年前から血糖値の自己測定とインスリン(insulin)の自己注射を朝食前に行っている。4年前から変形性膝関節症(knee osteoarthritis)が悪化して車いすの生活となり、自宅での生活が少しずつ困難になった。要介護3 と認定されて、2年前に介護老人福祉施設に入所した。入所後も
血糖値の自己測定とインスリン(insulin)の自己注射は介護福祉職の見守りのもとに行っていて、空腹時血糖値は120~150 mg/dl でコントロールされていた。ある日の夜中に数回にわたって下痢便が見られ、起床時には嘔吐し、腹痛と発熱が見られた。(第28回介護福祉士国家試験)

Aさんに確認すると、2日前に知人と外出して貝を生で食べたことが分かった。その後も嘔吐、腹痛が止まらないので、ノロウイルス(Norovirus)の感染が疑われた。
原因が分かるまでの間、施設内感染の対策で、Aさんの吐物を拭き取るときに用いるものとして、正しいものを1 つ選びなさい。

1.ぬるま湯
2.消毒用エタノール溶液
3.ベンザルコニウム塩化物溶液
4.次亜塩素酸ナトリウム溶液
5.クロルヘキシジングルコン酸塩溶液

正解4

ノロウイルスはアルコールに対する抵抗性が強いため、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が効果的です。

朝食前に介護福祉職がAさんの様子を観察すると、冷や汗、動悸、めまいなどの症状はなく、血糖値は130 mg/dl であった。Aさんは、嘔気、腹痛があり食欲がないと訴えた。
看護職に報告するまでの間に、介護福祉職がAさんに説明する内容として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.インスリン(insulin)の量を増やして、自己注射をする。

2.インスリン(insulin)の量を減らして、自己注射をする。

3.インスリン(insulin)の自己注射をして、朝食を食べる。

4.インスリン(insulin)の自己注射をしないで、朝食を食べる。

5.インスリン(insulin)の自己注射をしないで、朝食を食べない。

正解5

1&2.介護職の判断でインスリンの量を増やしたり減らしたりはできないので、不適切です。

3.Aさんは嘔気、腹痛があり食欲がないという状態で、その状態で、インスリンの自己注射をするかしないかは、医療職に判断してもらう必要があるので、適当ではありません。

4.嘔気、腹痛があり食欲がないという訴えがあるので、適当ではありません。

5.これは適切です。

ちなみに問題文の冷や汗動悸めまい低血糖の症状です。

Aさんの症状は、治療を受けて1 週間ほどで回復した。しかし、その後、ぼんやりとした表情で過ごすことが多くなり、何事にもやる気がない様子で、「つらいから死にたい」と口にすることが多くなった。Aさんの訴えに対する介護福祉職の応答として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.「つらいことは考えない方がいいですね」

2.「死にたいぐらい、つらいのですね」

3.「死にたいと言うと、つらい気持ちが強くなりますね」

4.「死にたいと言うと、周りの人もつらくなりますね」

5.「つらいことよりも楽しいことを考えるといいですね」

正解2

うつ傾向の人に対する対応は、受容的・共感的な対応が基本なので、Aさんの気持ちをそのまま受け入れている、選択肢2が最も適切です。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Jさん(80 歳、男性、要介護2)は、2年前に脳梗塞(cerebral infarction)を起こして、左片麻痺になった。Jさんは、自宅で妻(80 歳)と過ごしたいと訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して、二人で暮らしていた。
Jさんは、数か月前に肺炎(pneumonia)を起こして入院した。炎症症状は消失したが、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を保菌した状態で退院した。
退院後のJさんは、なんとか立位がとれる状態である。排泄はポータブルトイレを利用して、妻が介助している。尿意はあり、1日の尿の回数も正常である。しかし、日が経つにつれて、妻には日に何回も行う立ち上がりや、ズボンや下着の上げ下ろしの介助は負担になり、時間がかかってJさんが失禁してしまうことも増えてきた。(第29回介護福祉士国家試験)

妻はJさんがMRSAの保菌者であることを気にしていた。妻が日常生活で留意する点として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.Jさんの食器は別にして洗浄する。

2.手洗いと手指の消毒を行う。

3.介助するときは、使い捨ての予防着を着用する。

4.Jさんの衣類は別にして洗濯する。

5.ポータブルトイレは、10%の次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒する。

正解2

MRSA自体は通常存在する菌であり、保菌しているだけでは、基本的に治療を行う必要はありません。入浴なども特別に配慮する必要もありません。耐性菌は主に接触感染であり、感染防止には手洗いが基本となります。
抗生物質は効きにくくなっていますが、アルコール次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液や熱水は効果があります。

参考)薬剤耐性菌による感染症

Jさんに該当する排尿障害として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.溢流性尿失禁
2.腹圧性尿失禁
3.反射性尿失禁
4.切迫性尿失禁
5.機能性尿失禁

正解5

機能性尿失禁は、認知症やADLの低下による、認知機能や運動機能の低下が原因で排泄行為が困難となって起こる尿失禁です。尿経路に器質的な障害が認められないにもかかわらず、身体障害などの要因によって、トイレに間に合わないために起こる尿失禁です。

※器質的な障害:臓器そのものに炎症や癌などがあり、その結果として様々な症状が出現する病気や病態のこと

下肢の麻痺など明らかな脊髄の神経学的異常のある患者では、なんの兆候も、尿意もなく尿が漏れることがあり、これを反射性尿失禁といいます。

他の選択肢も重要なので↓で確認しておいてください。

尿失禁の種類

妻の介護負担は増してきている。妻は自分も高齢なことから、介助ができなくなったときにどうすればいいのか心配になってきた。通ったり、泊まれたり、自分の体調不良時にも自宅を訪問してくれるサービスを利用したいと考えている。妻の希望に沿ったサービスとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.通所介護(デイサービス)
2.短期入所療養介護
3.小規模多機能型居宅介護
4.地域密着型特定施設入居者生活介護
5.地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

正解3

通い、泊まり、訪問を利用者の状況に合わせて柔軟に提供できるサービスと言えば、小規模多機能型居宅介護看護小規模多機能型居宅介護です。

正解選択肢以外のサービスが分からないという方は以下のページで復習してみてください。

具体的な介護サービス

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Kさん(88 歳、男性)は、妻(82 歳)と二人暮らしであった。5年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。1年ほど前から、会話がかみ合わなくなった。離れて暮らす一人息子のこともわからなくなり、「会社に行く」と外出して行方不明になることがあった。そのため、自宅での介護が困難で、半年前に認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居した。入居時は表情が険しく精神的に不安定で徘徊がたびたびみられた。しかし、事業所内で取り組んでいた回想法に参加すると、徘徊はみられなくなってきた。ある日の午後、「痛い、痛い」と繰り返しながら足を叩いて、床に座り込む様子が見られた。(第29回介護福祉士国家試験)

Kさんが痛みを訴えて床に座り込んだ時点で、介護福祉職がとる対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.いつからどのように痛いのか、詳しく質問する。
2.全身の状態を観察する。
3.嘔気の有無を質問する。
4.叩いている部位に湿布を貼る。
5.ベッド上で安静にしてもらう。

正解2

1&3.5年前にアルツハイマー型認知症と診断されており、人物の見当識もなくなっている状態なので、質問してもわからない可能性が高いです。また、嘔気があるかないかという質問の内容も理解できない可能性も高く、適切ではありません。

2.Kさんは会話がかみ合わない状態であるため、介護福祉職が全身を観察し、痛みの原因を把握する必要があります。

4.まず痛みの原因を把握しなければ、湿布を貼ることで逆効果になる場合もあるので、適切ではありません。

5.まず痛みの原因を把握する必要があります。救急搬送しなければならない状態である可能性もあり、ベッドで安静にしてもらうのは適切ではありません。

Kさんが痛みを訴えてから数日後の入浴時に、Kさんの右頸部から背部にかけて帯状の水疱を伴う発赤疹が確認された。病院を受診すると、帯状疱疹(herpes zoster)と診断された。
介護福祉職がKさんのからだの清潔を保つための方法として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.冷たい水で清拭をする。
2.乾布清拭をする。
3.ぬるめのお湯でシャワー浴をする。
4.熱めのお湯で入浴をする。
5.アルコールで清拭をする。

正解3

帯状疱疹のケアでは

刺激が少ない方法で患部を清潔に保つこと
・帯状疱疹の痛みは冷やすのではなく、適度に温める

上記2点がポイントになります。冷やすのはNGなので、選択肢1は不適切です。また、強い刺激もNGなので、選択肢2、4、5も適切ではありません。

病院を受診した日の夜中にKさんが、「仕事に行かないと怒られる」と興奮した口調で部屋から出てきた。介護福祉職がKさんの不安な思いを受け止めると、入眠した。しかし、30 分後に再び、「会社に行く」と興奮する様子が見られた。興奮しているKさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.会社は休みだと言う。
2.早く寝るようにと言う。
3.怒られることはないと言う。
4.仕事をしていた時の話をする。
5.息子の話をする。

正解4

認知症対応では受容的な対応が基本です。
まずはKさんの言い分を一旦そのまま受け止めることが大切です。なので選択肢1、2、3は適当ではありません。
選択肢4は、仕事をしていた時の話をすることで、Kさんの気持ちが落ち着く可能性があるので、適当です。選択肢5は話題を変えるという方法で、うまく行く場合もありますが、まずは選択肢4のような話でKさんの言い分を受容することが大切なので、選択肢4の方がベターです。Kさんが落ち着いた後で、話題転換をするのは適切です。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Lさん(25 歳、男性、障害支援区分5)は、大学2年生の時、交通事故が原因で頸髄損傷(cervical cord injury)となった。現在は毎日、居宅介護を利用しながら、母親と生活している。
Lさんは四肢麻痺のため自分で体を動かすことができずに、多くの時間をベッドで過ごしている。リクライニング式車いすに移乗するときは、移乗リフトを使用している。Lさんは、母親の腰痛が悪化していることを知っているので、母親に介助を頼むことを遠慮している。そのため、介護福祉職が来たときに、リクライニング式車いすに乗せてもらっている。Lさんは車いすで座位になると、たびたび起立性低血圧で気分が悪くなる。
日中はマウススティックを使用して、パソコンで友人とメールのやり取りを楽しんでいる。最近はパソコン教室に週1回は通いたいと考えて、「長時間の外出時の移動の介護をお願いしたいがどうしたらよいか」と介護福祉職に相談した。

Lさんの現在の生活状況から、今後、発症する可能性が高いものとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.てんかん(epilepsy)
2.仮面様顔貌
3.構音障害
4.安静時振戦
5.褥瘡

正解5

1.てんかんは、『脳の神経細胞(ニューロン)に突然発生する激しい電気的な興奮により繰り返す発作を特徴とし、それに様々な臨床症状や検査での異常が伴う病気』と定義されています。頚髄損傷では、特に脳の神経細胞に障害がでるわけではないので、発症する可能性が高いとはいえません。

2&4.これらはパーキンソン病の症状です。

3.構音障害は、音を作る器官(唇や舌、顎など)やその動きに問題があって発音がうまくできない状態であり、四肢麻痺のLさんにはない障害です。

5.Lさんは自分で体位変換できないので、褥瘡のリスクは高いです。

Lさんがリクライニング式車いすで起立性低血圧を起こしたときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.背もたれを倒す。
2.頭部を冷やす。
3.体温を測る。
4.衣服を調節する。
5.ベッドへ移乗する。

正解1

起立性低血圧は、自律神経障害の1つで、血管のコントロールが低下するため、からだを起こすと、下肢や腹腔臓器に血液が下りて貯留し、脳にいく血液が不足して血圧が低下することです。血圧が低下する結果、寝た姿勢から急に座ったり、立ったりすると、めまい頭重感、ひどいときには吐き気などを起こします。
対応方法は、頭部の位置を下げて、正常な血圧に戻すことなので、正解は選択肢1か選択肢5になります。Lさんは四肢麻痺であり、ベッドへの移乗は簡単ではないので、まずは背もたれを倒し、経過を観察し、改善されなければ、ベッドへ移乗するという流れがベストです。

介護福祉職は、Lさんがパソコン教室に通うことができるように、相談支援専門員にサービス等利用計画の変更を相談したいと考えている。Lさんが利用できるサービスとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.同行援護
2.行動援護
3.重度訪問介護
4.自立訓練事業
5.成年後見制度利用支援事業

正解3

1.同行援護の対象者は視覚障害者なので、Lさんは利用できません。

2.行動援護は、 障害支援区分3以上で 知的・精神障害により 、自分一人で行動することが著しく困難であって、常に介護を必要とする障害者を対象としたサービスなので、Lさんは利用できません。

3.重度訪問介護は、障害支援区分区分以上の重度の肢体不自由者又は知的障害もしくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって、常時介護を要する障害者を対象としています。
ヘルパーが自宅に訪問して、重度の障害を抱える方々の手足となり、地域での生活をサポートするサービスです。外出や移動も含め日常生活全般にわたる介護を総合的に提供して、常に介護を必要とする障害者の方でも、住み慣れた地域で在宅生活を継続できるよう支援を受けることができます。従来は、訪問先が居宅のみに限定されていましたが、 2016年の障害者総合支援法改正で、 訪問先に医療機関が追加され、入院中でもサービスが適用されるようになりました。

4.自立訓練は、身体機能や生活能力の向上を目指すための訓練を行ったり、日常生活を送る上で必要な、身の回りの基本的な事に関して訓練を行うサービスで、Lさんのパソコン教室へ通いたいという希望を叶えるものではありません。

5.成年後見制度利用支援事業は、経済的理由等で成年後見制度の利用を躊躇することのないように、成年後見制度の利用にかかる費用の全部、または一部を補助する事業です。
そして、成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分な人を保護し、支援する制度です。Lさんは判断能力に問題はないので、適当ではありません。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Mさん(19 歳、男性)は、染色体の異常による疾患で知的障害がある。特別支援学校の卒業後、自立した生活を目指して、両親から離れて、共同生活援助(グループホーム)を利用している。日中は、一定期間(おおむね 24 か月を標準とする)必要な訓練を受けることのできる日中活動のサービスを利用して、生産活動の訓練、職場体験の機会の提供などを受けている。
Mさんは、毎朝、このグループホームから駅まで歩いて、電車で日中活動の場所まで通っている。Mさんは、楽しそうに生き生きと訓練に励んでいる。(第29回介護福祉士国家試験)

Mさんの知的障害の起因疾患として、正しいものを1 つ選びなさい。

1.脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)
2.脳出血(cerebral hemorrhage)
3.筋萎縮性側索硬化症(ALS)
4.ダウン症候群(Down’s syndrome)
5.脊柱管狭窄症(spinal stenosis)

正解4

染色体の異常による疾患で知的障害がある”と書かれており、ダウン症候群と判断できます。

Mさんが利用している日中活動のサービスとして、正しいものを1 つ選びなさい。

1.就労移行支援
2.自立訓練(生活訓練)
3.就労継続支援A型(雇用型)
4.就労継続支援B型(非雇用型)
5.地域移行支援

正解1

1.就労移行支援は、一般企業への就職を目指す、障害のある方に対するサービスで、就労支援事業所などで、サービスが提供されます。学校に通うようなかんじで、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートを受けながら、一般企業への就職を目指します。

2.自立訓練には、機能訓練生活訓練があります。

機能訓練は、主に身体機能に障害のある人に対してリハビリテーションなどを行います。障害者支援施設や障害福祉サービス事業所に通ったり、または、利用者の自宅で、身体機能や生活能力の向上を目指すための訓練になります。

生活訓練は、知的障害精神障害がある方が、障害者支援施設や障害福祉サービス事業所、自宅において日常生活を送る上で必要な、身の回りの基本的な事に関して訓練を行い、地域生活への移行を目指します。

自立訓練は、長期間病院に入院していて退院した人や、特別支援学校を卒業した人で、これから地域で自立した生活をはじめようというような方が利用するサービスです。Mさんはすでに、共同生活援助(グループホーム)を利用して地域での生活を始めているので、このサービスは必要ありません。

3&4.就労継続支援はA型、B型ともに一般企業への就職が困難な方へ働く場所を提供するサービスです。Mさんは、共同生活援助(グループホーム)で自立した生活をしており、職場体験なども受けているので、適当ではありません。

5.地域相談支援は、障害者支援施設に入所している障害者や精神科病院に入院している精神障害者などに対して、地域生活への移行に向けた支援を行うもので、地域移行支援地域定着支援の2つがあります。
地域移行支援は、施設や病院から地域生活へ移行するために必要な住居の確保や、地域生活に移行するための活動に関する相談などを行うサービスで、訓練や職場体験などは実施しないので、適当ではありません。

ある朝、介護福祉士であるA世話人がMさんの部屋をのぞくと、グループホームを出る時間を過ぎていたが、まだ寝ていた。「今日は行かないの」と尋ねると、「日中活動がつまらないから行かない」と言いながら、布団をかぶってしまった。A世話人のMさんへの対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.両親に連絡して、日中活動に行くように話してもらう。

2.日中活動の楽しさについて話し合う。

3.日中活動の重要性について話し合う。

4.日中活動がつまらないと思う理由について話し合う。

5.気分転換に映画を見に行くことを勧める。

正解4

1.問題が解決しない場合は、両親に連絡しなければならない可能性はありますが、まずは「日中活動がつまらないから行かない」と言っている理由を把握する方が先です。

2.日中活動の楽しさについて話し合うことは、良い点を確認する作業であり、日中活動へのモチベーションを高めることにつながります。しかし、Mさんの日中活動は、就労移行支援であり、楽しむためのものではないので、選択肢4の方がベターです。

3.両親から離れて、共同生活援助を利用する段階で日中活動の重要性については理解している可能性は高いです。それでも、「日中活動がつまらないから行かない」となっていることを考えると選択肢4の方がベターです。

4.選択肢3も悪くないですが、まずは、「日中活動がつまらないから行かない」 と言っている理由を把握することが必要です。

5.気分転換をしても、根本的な解決にはならないので、適当ではありません。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Bさん(72歳、女性)は1か月前に脳出血(cerebral hemorrhage)で倒れて、不全麻痺は残ったが、自力でベッドから車いすに移乗できるまでに回復した。食事や排泄はベッドから離れて行えるようになり、在宅で生活することになった。Bさんは長女と同居しているが、長女は働いていて日中不在なので、介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス) を利用することになった。
Bさんは日中はベッド上での生活が主体である。車いすの左側のブレーキをかけ忘れることや、左側の物に気づかずに衝突してしまうことがある。また、食事の時にお膳の左側の食べ残しが目立ち、屋内の生活にも何らかの介助が必要である。(第30回介護福祉士国家試験)

Bさんの症状として、正しいものを1つ選びなさい。

1.全般性注意障害
2.失行
3.見当識障害
4.実行機能障害
5.左半側空間無視

正解5

” 車いすの左側のブレーキをかけ忘れることや、左側の物に気づかずに衝突してしまうことがある。また、食事の時にお膳の左側の食べ残しが目立ち ”というところから高次脳機能障害左半側空間無視と判断できます。

Bさんの状態に該当する障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の判定として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.ランクA1
2.ランクA2
3.ランクB1
4.ランクB2
5.ランクC1

正解3

ある朝、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると、Bさんが寝室の床に倒れていた。
訪問介護員(ホームヘルパー)が最初に取るべき行動として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.床から抱き起こす。
2.家族に連絡をする。
3.救急車を呼ぶ。
4.意識を確認する。
5.主治医に連絡する。

正解4

基本的に、倒れている人を発見した場合に最初にすべきことは、意識の確認です。意識がなければ救急車を呼び、意識があり会話できるなら全身状態を観察し、状況によって選択肢3や5となります。選択肢1は骨折している場合、悪化する恐れがあるので、最初に取るべき行動としては不適切です。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Cさん(87歳、女性)は、「財布がなくなった、誰かに盗られた」と訴えるようになった。 夫が盗られていないことを説明しても受け入れなかった。心配した夫に連れられて受診すると、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。その後、認知症(dementia) の進行に伴って夫の介護負担が増えたので、通所介護(デイサー ビス)を利用することになった。
ある日、介護福祉職が入浴介助をしている時、Cさんの体に複数のあざを見つけたため、 介護支援専門員(ケアマネジャー)に報告した。介護支援専門員(ケアマネジャー)から連絡を受けた地域包括支援センターの職員がCさんと夫に確認したところ、夫による暴力が原因であることがわかった。夫の介護負担が軽くなるように、短期入所生活介護(ショー トステイ)の利用を勧めたが、夫は拒否した。その後も、虐待は改善されなかった。そこで、市町村のやむを得ない事由による措置により施設に入所することになった。入所後まもなく、夜間に施設内を歩き回るCさんの様子が見られた。介護福祉職が声をかけると、「トイレの場所がわからない」と話した。日中はトイレで排泄を行い、下着を汚すことはなかった。(第30回介護福祉士国家試験)

通所介護(デイサービス)を利用する前のCさんにみられた認知症(dementia) の症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.幻覚
2.抑うつ
3.見当識障害
4.失認
5.妄想

正解5

”「財布がなくなった、誰かに盗られた」と訴えるようになった。 夫が盗られていないことを説明しても受け入れなかった。”と書かれており、アルツハイマー型認知症でみられる物盗られ妄想と判断できます。

Cさんが施設に入所する根拠となっている法律として、正しいものを1つ選びなさい。

1.介護保険法
2.生活保護法
3.老人福祉法
4.社会福祉法
5.精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

正解3

虐待等のやむを得ない事由による措置の法的根拠は高齢者虐待防止法もしくは老人福祉法となっています。

Cさんに対する夜間の排泄の支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.定時にトイレ誘導を行う。
2.トイレの入口を明るくする。
3.水分を控えるように話をする。
4.紙おむつの使用を勧める。
5.ポータブルトイレを居室に置く。

正解2

尿意があるので、選択肢1は適当ではありません。また、トイレまでの移動も問題ないので、選択肢4、5も適当ではありません。選択肢3は脱水のリスクが高くなるので適当ではありません。
”日中はトイレで排泄を行い、下着を汚すことはなかった”と書かれているので、夜間、トイレの場所がわかるように環境を整えている選択肢2が適切です。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
N市に住んでいるDさん(64歳、男性)は38歳の時にバイクで事故を起こして、第6頸髄節まで機能残存の頸髄損傷(cervical cord injury)となった。上肢の筋力向上と可動域の確保のためにリハビリテーションを行ったが、手関節は拘縮して、スプーンを握ることはできなかった。また、夏になると障害の特性から体調が悪くなることを自覚していた。 施設への入所も考えたが、家族と共に暮らすことを選んで、N市の居宅介護、重度訪問介護、地域生活支援事業の移動支援等の障害福祉のサービスを利用して生活していた。

最近、Dさんは元気がなく沈んだ様子である。心配したE介護福祉職が、「最近、元気がないようですが、何か心配事でもあるのですか」とDさんに聞いた。Dさんは、[65歳になると介護保険のサービスに移行して、障害福祉のサービスが利用できなくなるのではないか」、特に、「趣味の映画を映画館で見るための移動支援のサービスを利用できなくなるのではないか」 と心配していた。(第30回介護福祉士国家試験)

Dさんの夏の体調悪化を予防する対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.冷房設備のある部屋で過ごすように勧める。

2.清潔な空気を入れるように、時々換気することを勧める。

3.気温が上昇したら、なるべくベッドで休息することを勧める。

4.日中仮眠をとることを勧める。

5.食べやすいものを食べることを勧める。

正解1

1.暑い日には、汗をかくことや皮膚の血流を増やすことで体温は一定に保たれるように調節されます。頸髄損傷者高位胸髄損傷者には、体温調節障害が見られます。麻痺部分の汗が出ないために体の熱が放出されなくなり、体内に熱がこもります(「うつ熱」と言います。)。熱中症に至る危険もあります。また、寒い日は皮膚の血流が悪いため、反対に熱が上がりにくくなります。症状は、めまい、ふらつき、吐き気、頭痛、ふるえ、意識障害が起こることもあります。自覚症状が無い場合もあります。

予防策として

  • 温度の変化に影響されやすいことを自覚して過ごす
  • 暑い日の屋外では、涼しい所日陰で過ごすようにし、室内では冷房器具を使用して熱が体内にこもらないようする
  • 普段よりも水分を多めに摂る
  • 寒い時は筋肉が硬くなってくるので、暖房器具で室温調節をして、衣類、寝具でも調節を図る

あたりが大切です。

2.頸髄損傷者は、呼吸をするために働く筋肉が麻痺し、息を吸ったり吐いたりする力が弱くなります。肺そのものの機能も低下するため痰が多くなりますが、咳き込む力が弱いと痰が肺の中に溜まりやすく、その痰にバイ菌が感染して肺炎などを起こしやすくなります。
なので、痰を出しやすくするために、水分を十分に摂り、加湿器などで適度な湿度を保つことが大切です。また、埃っぽい空気は痰を増加させるので、換気は重要ですが、これは夏だけではなく、年間を通して必要なものなので、最も適当であるとはいえません。

3.気温が上昇した場合、ベッドで休むのではなく、選択肢1のように冷房設備のある部屋で過ごす方がよいです。

4.夜間の睡眠に影響を及ぼさない程度の仮眠は問題ありませんが、夏限定のものではないので、適切ではありません。

5.皮膚を丈夫にし、褥瘡を作らないようにタンパク質をしっかり摂取し、排便をスッキリさせ、時間をかけないに為に積極的に食物繊維を摂取することが大切です。また、栄養過多によるメタボリックシンドロームにも注意しなければなりません。つまり、しっかりとした栄養バランスを心がけた食事が大切で、食べやすいものを食べるというのは適切ではありません。

入浴時にかけ湯をする際、Dさんがお湯の温度を感じられる部位として、正しいものを1つ選びなさい。

1.A
2.B
3.C
4.D
5.E

正解1

参考)脊髄損傷

Dさんは第6頸髄節まで機能残存の頸髄損傷なので、肩や肘を曲げることは可能であるが、脚や胴体、手首は麻痺しているため、お湯の温度を感じることができません。従って、入浴時にかけ湯をする際、Dさんがお湯の温度を感じられる部位として正しいのは、Aです。

E介護福祉職は相談支援専門員にDさんの移動支援の利用について相談した。相談支援専門員がDさんに伝える内容として、適切なものを1つ選びなさい。

1.利用している居宅介護事業所の管理者の判断で利用できる。

2.相談支援専門員の判断で利用できる。

3.医師の判断で利用できる。

4.N市の判断で利用できる。

5.介護支援専門員(ケアマネジャー)の判断で利用できる。

正解4

Dさんが利用している移動支援事業は、地域生活支援事業必須事業のひとつです。地域生活支援事業は、都道府県、市区町村が主体となって実施するもので、大まかな枠組みは国から示されていますが、サービスの形や運用ルールは都道府県、市区町村が地域の実情に応じて柔軟に実施する事業です。医師、居宅介護事業所の管理者、相談支援専門員、介護支援専門員にDさんのサービス利用の可否を決める権限はありません。

参考)地域生活支援事業

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Fさん(21歳、男性、身体障害者手帳1級)は、大学1年生(18歳)の時に通学中の交通事故により両大腿切断術を受けた。その後、Fさんは19歳の時に大学を中退して、就労の社会経験がないまま、20歳の時に障害者支援施設に入所した。
現在、訓練中は両足に義足を装着し、2本の杖を使用して歩行できる状態である。また、 自動車の運転免許取得に向けて取り組み、社会復帰を目指している。訓練以外では車いすを使用しており、日常生活は自立している。(第30回介護福祉士国家試験)

Fさんが、所得保障のために利用している制度として、正しいものを1つ選びなさい。

1.傷病補償年金
2.障害基礎年金
3.障害厚生年金
4.特別児童扶養手当
5.特別障害給付金

正解2

1.傷病補償年金は、労災保険の給付のひとつです。Fさんは就労の社会経験がないと書かれているので、受け取ることはできません。

参考)⇒労働保険

2.障害基礎年金は、被保険者の障害等級が1級・2級の状態になった時に、国民年金の保険料納付済期間(免除期間も含む)が加入期間の3分の2以上であれば支給されます。20歳未満で障害の状態となった場合は、本人の所得制限(※)を条件に、20歳になってから障害基礎年金を受給できます。Fさんは20歳未満で障害の状態となっていますが、就労の社会経験がないと書かれているので、所得制限にはかからないと判断できます。
(※)2段階制となっており、前年の所得が一定の額を超えたら年金額の1/2相当額が支給停止となり、さらに一定の額を超えたら全額が支給停止となります。

3.Fさんは就労経験がないので、障害厚生年金を受け取ることはできません。

参考)⇒障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金)

4.特別児童扶養手当は、20歳未満の精神または身体に障害のある子どもを育てる父母などが受けられる手当です。

5.特別障害給付金は、国民年金の任意加入期間に加入しなかったことにより、障害基礎年金等を受給していない障害者の方について、福祉的措置として新たな法律により支給されるようになった制度です。

選択肢4,5や1についてはさらっと流して大丈夫です。積極的に選択肢2を選べれば問題ありません。

Fさんは、運転免許を取得して自家用車を購入することにした。全国一律に利用できる制度で、Fさんが自家用車利用に関して経済的負担を軽減できるものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.ドライブレコーダーの購入費
2.ガソリンの代金
3.自動ブレーキ装置の購入費
4.有料道路(高速自動車国道)の通行料金
5.ガソリンスタンドでの洗車料金

正解4

有料道路では、「身体障がい者の方が自ら運転する」または「重度の身体障がい者の方もしくは重度の知的障がい者の方が同乗し、障がい者ご本人以外の方が運転する場合」に、事前に登録された自動車1台に対して、割引率50%以下の障害者割引があります。

この問題は間違ってもいいかな、と思います。

Fさんは、車いすに長時間乗ったままで過ごさないように留意している。 その理由として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.関節の拘縮予防
2.骨の変形予防
3.神経麻痺の予防
4.腱の断裂予防
5.筋組織の壊死予防

正解1

長時間同じ姿勢で座り続けることで予期される弊害は、
・関節拘縮(関節の硬化)(Fさんは両大腿切断術を受けているが、股関節は残存している)
・同じ部位に長時間圧力がかかるため、血流の悪化から生じる褥瘡

骨の変形、神経麻痺、腱の断裂は、長時間同じ姿勢で座り続けていることが原因で生じるものではないので、選択肢3、4、5は間違いです。

また、褥瘡によって起こる症状は皮膚細胞の壊死であり、筋組織の壊死ではないので、選択肢5も不適切です。

次の事例を読んで答えなさい。

〔事例〕
Fさん(78歳、男性)は、妻(75歳)と二人で暮らしていた。1か月前に脳出血(cerebralhemorrhage)で入院して、左半身の不全麻痺がある。立ち上がりや歩行に介助が必要なため、杖や手すりを使用した歩行訓練をして、杖歩行が可能になった。病院のソーシャルワーカーの勧めで、Fさんは介護保険の申請をして結果を待っていた。ある日、「医師から退院の許可が出た」と、妻から介護支援専門員(ケアマネジャー)に連絡があった。
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、「Fさんの退院後の在宅サービスを検討したいので病院に集まってほしい」と、在宅支援の関係者に会議への参加を依頼した。訪問介護員(ホームヘルパー)は、ケアプランの検討のために病院に行って、会議に参加した。会議には、主治医、病棟看護師、理学療法士も参加した。トイレで転ぶのではないかというFさんの心配について話し合った結果、トイレに手すりが必要だということになった。また、左足指に白癬(tinea)があり、薬が処方されていることも確認された。(第31回介護福祉士国家試験)

介護支援専門員(ケアマネジャー)が招集した会議として、正しいものを1つ選びなさい。

1.退院前カンファレンス
2.サービス担当者会議
3.支援調整会議
4.地域ケア会議
5.介護・医療連携推進会議

正解2

2.介護支援専門員は、その中心的業務である居宅サービス計画(ケアプラン)の作成のためにサービス担当者会議を開催し、関係各職から専門的意見を聴取し、サービス内容を検討することとされています。

4.地域ケア会議を主催するのは、地域包括支援センター市区町村(保険者)です。
参考)地域ケア会議

選択肢1、3、5に関しては知らなくても問題ありません。積極的に選択肢2が選べれば大丈夫です。

図はFさん宅のトイレである。手すりを設置する位置として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.A
2.B
3.C
4.D
5.E

正解1

Fさんは、左半身の不全麻痺があって、立ち上がりや歩行に介助を必要と書かれています。麻痺のない健側は右半身であり、右手で手すりを持つことになるため、正解はAかBのいずれかです。
さらに、便座に座ったり立ったりする際は、床と平行に設置されたBの手すりよりも、垂直に設置されたAの手すりのほうが、立ち座りの運動を行いやすいです。

訪問介護員(ホームヘルパー)が、自宅に戻ったFさんの皮膚疾患に関する日常生活上の留意点を妻に指導する内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.からだを温める。
2.足を乾燥させる。
3.着衣や寝具は熱処理する。
4.足にワセリンを塗る。
5.処方された塗り薬は気がついたときに塗る。

正解2

1.白癬は、カビの一種である白癬菌によって起こる疾患であり、白癬菌は、湿度70%以上、温度15℃以上になると活発に増殖します。なので、白癬への対応としては、体を温めるように指導するのは、適切ではありません。

2.白癬菌は湿気を好むので、汗をかいたり、入浴したりした後は、足を乾燥させることが大切です。

3.白癬菌は、温度60℃以上になると死滅しますが、白癬菌の付着した着衣や寝具は、洗濯してしっかりと乾燥させれば、白癬菌の増殖を防ぐことができます。熱処理しても問題はありませんが、わざわざする必要もないことなので、選択肢2の方が適当です。

4.ワセリンは保湿剤です。足を乾燥させることが重要なので、適切ではありません。

5.医師の処方に従って、薬を塗り続ける必要があります。

次の事例を読んで、質問に答えなさい。

〔事例〕
Gさん(84歳、女性)は、8年前に経済的な理由から養護老人ホームに入所した。
Gさんは、「自分のことは、自分でやりたい」といつも話しており、毎朝の体操が日課であった。施設のプログラムである健康体操にも他の利用者と楽しみながら毎週参加していた。
しかし、最近は、足がすくんだようになり、始めの一歩をうまく出せず、歩行に不安を抱えるようになった。
Gさんは、物忘れなどの症状が以前からみられていたこと、また他の症状もみられるようになったことから、医師の診察を受けたところ、レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断された。
Gさんは、居室の前にあるトイレに行くとき、転倒してけがをするのではないかと不安になっている。Gさんが入所している施設は、N県から介護保険サービス事業者の指定を受けている。この施設で生活を続けたいというGさんの意向を受けて、本人を交えて施設職員と介護支援専門員(ケアマネジャー)が支援の内容を検討した。(第31回介護福祉士国家試験)

Gさんが診察を受けるきっかけとなった他の症状とは、発症した認知症(dementia)の特徴的な症状の一つである。
他の症状に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.片麻痺
2.脱抑制
3.幻視
4.常同行動
5.感情失禁

正解3

選択肢の中でレビー小体型認知症に特徴的なものは幻視です。
参考)⇒レビー小体型認知症

1.片麻痺は、脳血管障害の後遺症として起こることが多いので、血管性認知症に見られる場合があります。

2.認知症の方に限らず誰しも内向きの顔と外向きの顔があります。つまり、自宅で家族に見せる振る舞いと自宅以外で他人に見せる振る舞いです。人によっては飲酒している時とそうでないときでもその振る舞いに差が出てきます。この身近な人や飲酒の際に見せる状態のことを脱抑制状態といい、他人に見せる状態のことを抑制状態といいます。脱抑制状態は怒りっぽくなる人もいますが、はしゃぎすぎたり、わがままになったりします。

認知障害進行してくると容易に脱抑制状態となり、自宅ではなくても家族以外の人の前でも脱抑制状態になってしまいます。また、脱抑制状態では暴言や易怒性などの攻撃性が増すだけでなく、幻覚や妄想も出現しやすくなります。脱抑制は、前頭側頭型認知症にみられる症状です。

4.常同行動というのは、いつも同じ行動をすることで、起きる時間や朝食時間、散歩に行く時間、買い物の時間など、一日の中の行動がほぼ同じということが多くなります。 前頭側頭型認知症でみられることが多いです。

5.血管性認知症では、ちょっとしたことで、突然泣き出したり、怒り出したりする感情失禁がみられます。さまざまな感情をコントロールしづらく、怒りや悲しみなどが表出しやすくなります。

Gさんの移動に関する支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.床にある目印をまたぐように声かけをする。
2.車いすで移動する。
3.居室にカーペットを敷く。
4.歩幅を小さくするように声かけをする。
5.四点杖の使用を勧める。

正解1

1.レビー小体型認知症の特徴であるパーキンソン症状姿勢反射障害に”すくみ足”があります。Gさんは、足がすくんで、始めの一歩がうまく出せないと書かれています。床にある目印を目標とすることによって、始めの一歩が出しやすくなるので、床にある目印をまたぐように声かけをするのは適切です。

2.Gさんは、歩行に不安を抱えていますが、「自分のことは自分でやりたい」と話しています。また、歩けなくなったわけではないので、有する能力を活用するという点からも適当ではなありません。

3.”足がすくんだようになり、始めの一歩をうまく出せず”とあり、これはパーキンソン症状の姿勢反射障害と考えられます。姿勢反射障害は体のバランスを調整することができないだけでなく、歩くという動作にも影響を及ぼします。カーペットは、歩行障害がある人にとってはつまずきやすいので、適切ではありません。

4.歩幅を小さくすることは、パーキンソン症状である小刻み歩行を助長し、転倒のリスクが上がるので適切ではありません。

5.四点杖は、歩行が不安定な人向きの杖ですが、現時点でGさんは、福祉用具を使用しなくても歩行できるので、選択肢1の方がベターです。

Gさんの意向を踏まえた介護保険サービスとして、正しいものを1つ選びなさい。

1.看護小規模多機能型居宅介護
2.小規模多機能型居宅介護
3.短期入所療養介護
4.特定施設入居者生活介護
5.認知症対応型共同生活介護

正解4

1&2.看護小規模多機能型居宅介護小規模多機能型居宅介護居宅の要介護者を対象としいるサービスなので、養護老人ホームでの生活を続けたいというGさんの意向を踏まえたサービスとはいえません。

3.短期入所療養介護短期入所生活介護をあわせてショートステイといいます。
ショートステイは、短期的に施設に入所し介護・支援が受けられるサービスです。在宅で介護を続けていると、冠婚葬祭や出張などで自宅を数日間空けなければならない、介護者の体調不良など、一時的に在宅介護が難しくなる場合があると思います。そういう時に便利な介護サービスです。また介護者のレスパイトケアになるという側面もあります。

Gさんの意向は、現在生活している養護老人ホームで、そのまま生活したいというものなので、ショートステイではGさんの意向に沿うことはできません。

4.Gさんは8年前に、現在の養護老人ホームに入所して、楽しく暮らしていました。最近レビー小体型認知症と診断され、今後、介護が必要なことが予想されます。Gさんの意向は、このまま養護老人ホームでの生活を継続したいということであり、Gさんが入所している施設は、N県から介護保険サービス事業者の指定を受けている、つまり特定施設入居者生活介護が利用できるということなので、この選択肢は適切です。

特定施設入居者生活介護についてよくわからなければ↓のリンクから復習してみてください。
特定施設入居者生活介護

5.認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の高齢者が、入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話や機能訓練を受けながら共同生活する施設です。すでに養護老人ホームで生活しており、そこでの生活を継続したいと考えているGさんには適切ではありません。

次の事例を読んで、質問に答えなさい。

〔事例〕
Hさん(26歳、女性)は、腰髄損傷(lumbar spinal cord injury)で両下肢麻痺の障害があり、車いすを使用してADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)は自立している。銀行で働きながら一人暮らしをして、休日は、友人とスキューバダイビングを楽しんでいた。
Hさんは、こだわりや責任感が強く真面目で、悩みごとを打ち明けられない性格であった。
ある日、友人が表情の暗いHさんを心配して話を聞いてみると、「食事が喉を通らず、頭痛や思考力低下があり、寝つきは良いが、すぐに目が覚めて眠れず、仕事上のミスが続き仕事に行けない日がある」と話した。友人の勧めで専門医を受診した結果、Hさんはうつ病(depression)と診断された。
その後、治療を受けながら仕事を続けていたが、激しい動悸、息苦しさ、めまいを伴うパニック発作が繰り返し起こり、仕事を休職して治療に専念することにした。(第31回介護福祉士国家試験)

Hさんの睡眠障害として、正しいものを1つ選びなさい。

1.レストレスレッグス症候群
2.概日リズム睡眠障害
3.レム睡眠行動障害
4.環境因性睡眠障害
5.中途覚醒

正解5

1.レストレスレッグス症候群は、夕方から深夜にかけて、 下肢を中心として、「ムズムズする」「じっとしていると非常に不快」といった異常な感覚が出現してくる病気です。足を動かすとこの異常感覚はすぐに消えますが、じっとしていると再び出現してきます。そのため、布団の中でじっとしていることができず、入眠障害や中途覚醒の原因となります。Hさんにこのような症状は出ていないので適当ではありません。

2.概日リズム睡眠障害とは、昼・夜のサイクルと自分自身の体内時計のリズムとが合わないために、昼夜が逆転するなどして、社会的に要求される(または自ら望む)時間帯に睡眠をとることができず、生活に支障をきたしている状態です。設問文からこのような状況は読み取れないので適当ではありません。

3.一般的に睡眠は、脳が熟睡するといわれる深い眠りのノンレム睡眠と、夢を見ているといわれる浅い眠りのレム睡眠が交互に表れます。レム睡眠の特徴の一つは、脱力状態になることです。夢見に関わる脳の神経活動は高まっていますが、手足は脱力状態で、通常は思うように動かせません。レム睡眠時にこの脱力状態にならずに、夢の通りに行動してしまう病気がレム睡眠行動障害です。設問文からこのような症状は読み取れないので適当ではありません。

4.環境因性睡眠障害は、文字通りで、寝ている場所の温度や湿度、騒音、明るさといった睡眠時の環境が要因となって起こる睡眠障害です。設問文からこのような状況は読み取れないので適当ではありません。

5.中途覚醒とは、眠りが浅く、夜間に何度も目が覚めてしまう不眠症の一種です。Hさんは、寝つきは良いが、すぐに目が覚めて眠れず、仕事上のミスが続き仕事に行けない日があると話していることから、Hさんの睡眠障害は、中途覚醒であると考えられます。

Hさんの食欲不振や睡眠障害は改善せず、日常生活に介護が必要になり居宅介護を利用し始めた。半年ほど経過した頃、「早く良くなりたい」と介護福祉職に話した。
介護福祉職が、Hさんのつらい思いを受容した上でかける言葉として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.「早く良くなってくださいね」
2.「すぐに治りますよ」
3.「ゆっくり休むことも必要ですよ」
4.「治療、頑張ってくださいね」
5.「気分転換に旅行に行くといいですよ」

正解3

うつ病では、「がんばって」等、不用意に励ますことは、本人を逆に追い詰めてしまう可能性があります。声掛けとしては、Hさんのつらい思いを受容した上で「がんばらなくてもよい」「安心して休んで大丈夫」というニュアンスのものが適切です。選択肢1、2、4はHさんを励ますだけの内容で適切ではありません。選択肢5は治療に専念している段階のHさんには時期尚早です。

Hさんは仕事を休職して治療に専念した結果、趣味のスキューバダイビングが楽しめるまでに回復した。介護福祉職に、「仕事に復帰しようと思っている」と話した。
介護福祉職が紹介するサービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.リワークプログラム
2.レスパイトサービス
3.ピアカウンセリング
4.セルフヘルプグループ
5.ガイドヘルプサービス

正解1

1.リワークプログラムはうつの方の復職をスムーズにし、再休職を防止するためのプログラムです。 うつ病等により休職を余儀なくされ職場へ復帰しようとする時に、症状が改善しただけでは復帰が難しかったり、復職してもすぐに再休職する場合も少なくありません。
復職のためには生活リズムを整え、体力や集中力を徐々に回復させていく必要があります。また、休職に至るプロセスの中でコミュニケーションがうまくとれずストレスを過剰にためこんだり、自分の中でマイナス思考が強くなりすぎて体調を崩している場合も見受けられ、こうしたことへの対処能力を身につけるためのプログラムです。

2.レスパイトサービスは、介護者を、日々の介護から一時的に解放し、介護者の身体的・精神的負担の軽減を目的とするサービスです。

3.ピアカウンセリングは、同じような立場や悩みを抱えた人たちが集まって、同じ仲間として相談し合い、仲間同士で支え合うことを目的としたカウンセリングのことです。趣味のスキューバダイビングを楽しめるまでに回復し、仕事に復帰しようと考えているHさんにとっては、選択肢1の方がベターです。

4.セルフヘルプグループは、自助グループ・当事者組織・本人の会などともいわれ、病気、障害、依存、マイノリティグループなど、同じ状況にある人々が課題を共有し、相互に援助し合うために組織し、運営する自立性と継続性を有するグループです。相互に援助者、相談者の役割を経験することで、専門職からの一方向の援助の実を受けた場合では得られない、自尊心や自分が他者の手助けができるという感覚を強化でき、仲間同士の共感が問題解決に寄与します。

ピアカウンセリングと非常ににており、細かな違いはありますが、介護福祉士試験では、同じようなものと考えて差し支えありません。

5.ガイドヘルプサービスは、障害者総合支援法に定められた地域生活支援事業の中の必須事業の一つ移動支援事業のことです。
移動支援事業(ガイドヘルプサービス)は、移動が困難な人に対して、冠婚葬祭や投票などの社会生活を送る上で欠かすことのできない外出や、イベントへの参加といった余暇活動のための外出支援をガイドヘルパーが行うサービスです。支援の方法、外出先の範囲から負担費用に至るまで、地域によってサービスの詳細さまざまです。

次の事例を読んで、質問に答えなさい。

〔事例〕
Jさん(女性)は、介護福祉士養成施設の学生である。Jさんは、希望していた障害児入所施設で実習をすることになった。この実習では、障害特性を理解して、介護実践の在り方を学ぶだけではなく、個別支援計画(介護計画)作成と実施、評価までの介護過程の展開を学ぶことになっていた。
Jさんは、対象となる利用者としてK君(15歳、男性)を担当することになった。K君は重度の脳性麻痺(cerebral palsy)がある。K君が2歳の時に両親は離婚して、母親が一人でK君を育てていた。母子の生活は困窮していた。K君が9歳の時に、母親はK君を施設に入所させることを希望し、この施設に入所することになった。現在K君は、言語による意思の疎通は困難であり、座位が保持できる程度である。また、てんかん(epilepsy)の発作(強直間代発作)が時々みられるが、重積発作ではない。(第31回介護福祉士国家試験)

K君が入所している施設の根拠となる法律として、正しいものを1つ選びなさい。

1.母子及び父子並びに寡婦福祉法
2.障害者総合支援法
3.生活保護法
4.児童虐待の防止等に関する法律
5.児童福祉法

正解5

設問文からK君は障害児入所施設に入所していることがわかります。そして障害児入所施設児童福祉法に定められています。
参考)⇒障害児支援

Jさんは、K君の支援計画作成に責任を持つ職員に計画作成の注意点などを聞きたいと、実習指導者に相談した。K君の支援計画作成に責任を持つ職員として、正しいものを1つ選びなさい。

1.生活支援員
2.児童自立支援専門員
3.サービス提供責任者
4.児童発達支援管理責任者
5.相談支援専門員

正解4

1.生活支援員は、グループホームなどで障害者の日常生活上の支援を行ったり、就労移行支援事業所で求職活動の支援や障がいを持った方一人ひとりの適性に応じた職場の開拓、就職後の職場定着のサポートなどサービス管理責任者の補助的な業務を担っています。

2.児童自立支援専門員は、児童自立支援施設に配置される職員です。不良行為や家庭環境の問題など、生活指導が必要な子どもたちと寝食を共にし、その社会的更生を支援します。
共同生活によって子どもたちが健やかな生活習慣や日常生活上のマナーを身につけ、学習やスポーツ、作業を通して社会性を育めるよう指導します。また、職業指導、保護者や関係機関との連絡調整、地域との連携、各種行事の実施などを行います。住み込み勤務となり、24時間体制でサポートします。

3.サービス提供責任者が配置されるのは、訪問系介護サービスを行う事業所で、具体的には、介護保険法に基づく訪問介護事業所、障害者総合支援法に基づく居宅介護(ホームヘルプ)や重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障 害者等包括支援のサービスを行う事業所です。
そしてケアプランに基づく訪問介護計画(個別支援計画)サービス等利用計画に基づく居宅介護計画(個別支援計画)を作成します。

4.参考)⇒障害児支援

5.相談支援専門員とは、障害者総合支援法に基づき、基幹相談支援センター指定相談支援事業所などにおいて、サービス等利用計画の作成のほか、障害のある人の全般的な相談支援を行ういます。

Jさんは個別支援計画作成にあたって、昼食後にK君と向き合う時間を多くとった。ある日、K君に話しかけていると、突然両上下肢を硬直させ、がたがた震わせた後、意識を失ってしまった。慌てたJさんはすぐに、近くの職員に連絡をした。
K君の発作が落ち着いた後、実習指導者がJさんに、K君の発作時の対応について教える内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.大声で名前を呼ぶ
2.タオルを口にくわえさせる
3.顔を横にして顎を上げる
4.救急車を呼ぶ
5.からだを押さえて発作を止める

正解3

1.本人の名前を大声で呼んでも、発作が早く治まるということはありません。

2.発作が起きた時点で、すでに口の中をかんでしまっていることが多く、あまり意味がありません。また、タオルを口の中に入れることによって、窒息させてしまう危険性があるので適切ではありません。

3.発作が治まると、意識がない間に唾液や嘔吐物が出てくることがあるので、自然に流れ出るように顔を横向きにして、口元を床に向けます。そして顎を上げて気道を確保します。

4.
強直間代発作(きょうちょくかんだいほっさ): おそらく皆さんがてんかん発作と聞いて思い浮かべるのがこの発作です。 意識をなくし、手足をつっぱらせた後、ガクガクさせる全身けいれん発作です。 口から泡をふき、眼は白目をむきます。 つっぱり(強直)・ガクガク(間代)は通常、数分でおさまります。

重積発作:発作が止まらない、または意識を回復する前に発作を繰り返す状態

設問文に重責発作ではないと書かれています。通常は自然に治まるので、発作が起きたからといって、すぐに救急車を呼ぶ必要はありません。

5.発作を止めようとして、力づくで体を押さえつけても、てんかんの発作は治まるものではありません。

次の事例を読んで、問いに答えなさい。

〔事例〕
Lさん(78歳、女性)は一人暮らしをしている。「もったいない」が口癖で、物を大切にし、食べ物を残さないようにして生活している。半年前、脳の細い血管が詰まっていることがわかり、入院して治療を受けた。左半身にしびれがあり、右膝の変形性関節症(osteoarthritis)で痛みもあったために、介護保険の申請をしたところ、要介護1になった。家事はできるだけ自分でしたいという希望から、週に2回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して、掃除と調理を訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒にしている。(第32回介護福祉士国家試験)

Lさんが入院するきっかけになった脳の疾患として、適切なものを1つ選びなさい。

1.ラクナ梗塞
2.くも膜下出血
3.慢性硬膜下血腫
4.正常圧水頭症
5.高次脳機能障害

正解1

1.ラクナ梗塞は、脳に栄養を送る太い血管から分岐する細い動脈の血管壁が高血圧などによって厚くなったり、壊死を起こすことで、血管が狭くなり、そこに血の固まりが詰まって、小さな梗塞が起きた状態です。
麻痺やしびれ、言語障害、物が二重に見えるなど、様々の症状を引き起こすこともありますが、小さな梗塞であるため症状は軽いことが多く、場合にっては自覚症状が全くない場合もあり「無症候性脳梗塞」と呼ばれています。

2.参考)⇒脳血管障害

3.参考)⇒慢性硬膜下血腫

4.参考)⇒正常圧水頭症

5.高次脳機能障害とは、交通事故や脳血管障害などによって脳に損傷を受けたことにより、記憶・思考・学習・行為・言語といった知的な機能に障害が起こるものをいいます。Lさんの疾患として、適当ではありません。
参考)⇒高次脳機能障害

ある日、Lさんと一緒に調理していた訪問介護員(ホームヘルパー)は、賞味期限が2日前に切れた缶詰を見つけた。Lさんに対して訪問介護員(ホームヘルパー)がとる行動として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.黙って処分する
2.食べてはいけないと伝える
3.食べやすいように、缶のふたを開けておく
4.食べ方を相談する
5.保存容器に移して保管するように勧める

正解4

1.利用者の自宅の物を黙って処分するのは不適切です。Lさんは十分にコミュニケーションがとれる状態なので、賞味期限の意味を正しく伝えた上で、Lさんに確認する必要があります。

2.賞味期限は「記載された年月日まで、品質が変わらず、おいしく食べられる期限」のことです。賞味期限が切れても、すぐに食べてはいけないものになるわけではありません。また、Lさんは『「もったいない」が口癖で、物を大切にし、食べ物を残さないようにして生活している』と書かれており、Lさんの生活習慣を尊重することも大切です。よって食べてはいけないと伝えるのは適当ではありません。選択肢4のように相談する必要があります。

3.ふたを開けてしまうと、早めに食べなければならなくなります。ふたを開ける前に、その缶詰をどうするか、Lさんに確認しなければなりません。

4.これは適切です。

5.ふたを開けてしまった場合に、保管するなら保存容器に移すのは適切ですが、やはり選択肢3と同じで、まずはLさんに確認するのが先です。

介護保険の申請をしてから半年がたち、更新申請の時期になった。この半年でLさんは、訪問介護員(ホームヘルパー)が来ない日もいすに座って調理をするなど、回復してきている。更新申請の結果、Lさんは要支援1になった。次のうち、Lさんの介護予防サービス・支援計画書を作成する者として、適切なものを1つ選びなさい。

1.訪問介護事業所の訪問介護員(ホームヘルパー)

2.生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーター

3.地域包括支援センターの主任介護支援専門員

4.訪問介護事業所のサービス提供責任者

5.生活介護のサービス管理責任者

正解3

1.訪問介護員は、利用者宅を訪問して身体介護や家事の援助などを行う職種で、介護予防サービス・支援計画書の作成は行いません。

2.生活支援体制整備事業と生活支援コーディネータに関しては↓のリンク先に詳しく書いてあります。
参考)⇒地域支援事業(←生活支援体制整備事業の項目のところに詳細あります)

3.Lさんのような要支援者のために提供される、介護予防サービスの支援計画書の作成を行うのは基本的に地域包括支援センター主任ケアマネです。

4.訪問介護事業所のサービス提供責任者が作成するのは、要介護者のためのケアプランに基づいた、個別援助計画(訪問介護計画)です。

5.生活介護は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスです。サービス管理責任者は障害福祉サービス事業所で働く職種であり、基本的に介護保険のサービスには関わりません。

次の事例を読んで、問いに答えなさい。

〔事例〕
Mさん(80歳、男性)は、2年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)と診断された。Mさんは自宅で暮らし続けることを希望して、介護保険サービスを利用しながら妻と二人で生活していた。
その後、Mさんの症状が進行して妻の介護負担が大きくなったため、Mさんは、U社会福祉法人が運営する介護老人福祉施設に入所することになった。
Mさんの入所当日、担当のA介護福祉職は、生活相談員が作成した生活歴や家族構成などの基本情報の記録を事前に確認した上で、Mさんと関わった。(第32回介護福祉士国家試験)

次のうち、A介護福祉職が確認した記録として、適切なものを1つ選びなさい。

1.施設サービス計画書
2.インシデント報告書
3.エコマップ
4.プロセスレコード
5.フェイスシート

正解5

1.施設サービス計画書はケアプランであり、介護保険施設での施設サービスを利用者に提供する場合に作成しなければならない計画書で、介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成するものです。

ちなみに介護保険施設は、
介護老人福祉施設(特養)
介護老人保健施設(老健)
介護医療院
のことです。

2.インシデントはヒヤリ・ハットした出来事や介護者が気づいていなくても、潜在的に事故につながる可能性のあるものです。インシデントについての情報を把握・分析するための報告書をインシデントレポート(インシデント報告書)といいます。

3.エコマップは、利用者とその家族を中心とするさまざまな関係者や機関など、社会資源とのつながりを図式化することにより、関係性や役割を把握しやすくしたものです。生活歴や身体状況などの基本的な情報は書かれていません。

4.プロセスレコードは、プロセス(過程)レコード(記録)と名前の通りで、サービス提供の現場において、利用者とサービス提供者との間で行われたコミュニケーションの過程を記録したものです。

5.フェイスシートは、年齢、家族構成、これまでの生活状況や身体状況といった、利用者に関する情報を記録したもので、A介護福祉職が確認した記録として、適切です。

入所当日の昼食後、A介護福祉職はMさんに歯ブラシと歯磨き粉を渡して、歯磨きを促した。しかし、Mさんは歯ブラシと歯磨き粉を持ったまま、不安そうな顔で歯を磨こうとしなかった。
このときのMさんの症状に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。

1.幻視
2.失行
3.振戦
4.脱抑制
5.常同行動

正解2

1.幻視は、現実に存在しないものがリアルに見える症状で、レビー小体型認知症の特徴です。

2.運動機能は損なわれていないのに、目的に沿った適切な行動がとれなくなることです。例えば、衣服を適切に着ることができない着衣失行などがあります。Mさんの症状に該当するものとしては適当です。

3.振戦は、意思とは関係なく手足が細かく震えることで、パーキンソン病の主な症状のひとつです。

4.認知症の方に限らず誰しも内向きの顔と外向きの顔があります。つまり、自宅で家族に見せる振る舞いと自宅以外で他人に見せる振る舞いです。人によっては飲酒している時とそうでないときでもその振る舞いに差が出てきます。この身近な人や飲酒の際に見せる状態のことを脱抑制状態といい、他人に見せる状態のことを抑制状態といいます。脱抑制状態は怒りっぽくなる人もいますが、はしゃぎすぎたり、わがままになったりします。
認知障害が進行してくると容易に脱抑制状態となり、自宅ではなくても家族以外の人の前でも脱抑制状態になってしまいます。また、脱抑制状態では暴言や易怒性などの攻撃性が増すだけでなく、幻覚や妄想も出現しやすくなります前頭側頭型認知症などでみられます。Mさんに該当する症状ではありません。

5.常同行動は、いつも同じ行動をすることで、起きる時間や朝食時間、散歩に行く時間、買い物の時間など、一日の中の行動がほぼ同じということが多くなります。 前頭側頭型認知症でみられることが多いです。Mさんの症状に該当するものではありません。

面会に訪れた妻はA介護福祉職に、「最初は夫を施設に入れて申し訳ない気持ちもあったが、元気そうな夫を見て、今はこの施設を利用してよかったと思っている」と話した。A介護福祉職は妻の発言を受けて、介護サービスをもっと気軽に利用してもらうための取り組みが必要であると考えた。そこで、A介護福祉職は施設職員と検討した。その結果、地域の家族介護者を対象に、介護に関する情報提供や交流を図る場を無料で提供することを、独自の事業として継続的に行うことを法人として決定した上で、必要な手続きを行うこととした。
U社会福祉法人が行うこととした事業に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。

1.公益事業
2.日常生活自立支援事業
3.相談支援事業
4.自立相談支援事業
5.地域生活支援事業

正解1

1.”地域の家族介護者を対象に、介護に関する情報提供や交流を図る場を無料で提供することを、独自の事業として継続的に行うことを法人として決定した”と書かれており、日常生活または社会生活上の支援を必要とする人に対して、無料または低額な料金で実施される社会福祉法人公益事業に合致します。
社会福祉法人の事業に関して忘れてしまった人は下記リンクから復習してみてください。

参考)⇒社会福祉法人

2.日常生活自立支援事業は、認知症や知的障害、精神障害等により日常生活を営むのに支障があるけれど、この事業の契約内容については判断できる能力をもつ人に対して、無料または低額な料金で、福祉サービスの利用に関する相談、必要な手続き、費用の支払いに関する便宜供与、その他の福祉サービスの適切な利用のための一連の援助を一体的に行うものです。

実施主体は社会福祉協議会です。社会福祉協議会は、 社会福祉法において地域福祉を推進する団体として位置づけられた、公共性の高い非営利の民間福祉団体です。

Mさんの日常生活での援助は、入所した介護老人福祉施設や妻が行えるので、日常生活自立支援事業を利用する必要性がありません。

参考)⇒成年後見制度と日常生活自立支援事業

3.相談支援事業は、障害者総合支援法に基づき、障害者等障害児の保護者等を対象として、市区町村相談支援事業所などが実施主体となって、相談に応じたり必要な支援を行ったりする事業です。

4.(生活困窮者)自立相談支援事業は、生活困窮者自立支援法に定められている、行わなければならない2つの必須事業のうちの1つで、生活困窮者の相談窓口となる事業です。
生活困窮者の抱えている課題を適切に評価・分析(アセスメント)し、その課題を踏まえた「自立支援計画」を作成するなどの支援を行います。また、関係機関との連絡調整や支援の実施状況の確認なども行います。

参考)⇒生活困窮者自立支援法

5.地域生活支援事業は、障害者総合支援法に基づいて実施されるもので、市区町村が実施主体となる市町村地域生活支援事業と、都道府県が実施主体となる都道府県地域生活支援事業(高い専門性や広域的な対応を必要とするもの)があります。

参考)⇒地域生活支援事業

次の事例を読んで、問いに答えなさい。

〔事例〕
Bさん(22歳、男性)は、19歳の時に統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神保健指定医の診察の結果、入院の必要があると診断された。Bさん自身からは入院の同意が得られず、父親の同意で精神科病院に入院した。その後、数回の入退院を繰り返した後、21歳から居宅介護を週1回、訪問看護を月2回、デイケアを週3回利用しながら一人暮らしをしている。居宅介護では、料理や掃除、買物などの介護福祉職の支援を受けているが、Bさんも調子の良いときは一緒に行っている。訪問看護では、Bさんは、服薬を忘れることがあるため、看護師と一緒に薬の飲み忘れがないかを確認している。また、デイケアでは、運動と園芸のグループに参加している。(第32回介護福祉士国家試験)

Bさんが19歳で精神科病院に入院したときの入院形態として、正しいものを1つ選びなさい。

1.任意入院
2.医療保護入院
3.応急入院
4.措置入院
5.緊急措置入院

正解

”Bさん自身からは入院の同意が得られず、父親の同意で精神科病院に入院した”と書かれているので医療保護入院が正解です。他の選択肢がわからない方は↓のリンク先から復習してみてください。

参考)⇒入院の種類

Bさんは、居宅介護のC介護福祉職にはデイケアや生活のことについて安心して話すようになってきた。ある日、C介護福祉職が掃除をしていて、薬が2週間分内服されていないことを見つけた。また、Bさんは、「Cさんにだけ話します。みんなが私の悪口を言って、電波を飛ばして監視しています」とおびえながら話した。
話を聞いたC介護福祉職のBさんに対する最初の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.「今すぐ薬を飲んでください」

2.「悪口の内容を詳しく教えてください」

3.「薬を飲んでいないからですよ」

4.「医師に話しておきますね」

5.「それは不安ですね」

正解5

1.服薬に関しては、介護福祉職の判断で再開するよう指示することは、適当ではありません。薬を2週間分内服しておらず、妄想が現れている現在の状態を医師に報告し、相談することが必要です。

2.統合失調症の方への対応は、現実離れして理解できない言動や、幻覚、妄想があっても中立的な態度でかかわり、「それは違う」「それは間違いない!」というような応答は避け、否定も肯定もせず、受容的かつ非審判的態度で接することが大切です。
悪口の内容を詳しく話させることは、妄想の症状を助長してしまう可能性があります。

3.否定も肯定もせず、受容的かつ非審判的態度で接することが大切です。選択肢3は、薬を内服していないことを咎めているような言い方なので、適切ではありません。

4.”Bさんは、居宅介護のC介護福祉職にはデイケアや生活のことについて安心して話すようになってきた。” と書かれており、少なからず、C介護福祉職には心を開いていると判断できます。そこに「医師に話しておきますね」と告げるだけでは、突き放されたような感じに聞こえてしまうので、もっと受容的な態度で接する必要があります。

5.Bさんの訴え、気持ちを受容しており、適切です。

Bさんは、C介護福祉職と話したことをきっかけに、定期的に服薬できるようになり、以前と同じ支援を受けながら一人暮らしを続けている。最近は、デイケアで就労を目指すグループ活動に自ら参加するようになった。Bさんは、「就労に挑戦してみたい」という気持ちはあるが、就労経験のある他のメンバーの失敗談を聞くと、「自信がない」とも言っている。
Bさんへの支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.自分で料理と掃除ができるようになることが優先であると話す。

2.服薬ができなかったことを取り上げ、治療に専念するように話す。

3.無理せず、今の生活を維持することが大切であると話す。

4.長所を一緒に探し、どのような仕事が向いているのかを考えようと話す。

5.他のメンバーの失敗原因を考え、失敗しない対策をしようと話す。

正解4

Bさんの「就労に挑戦してみたい」という気持ちを後押しできるような支援が望ましいです。なので、選択肢1、2、3は適当ではありません。

選択肢5は、”就労経験のある他のメンバーの失敗談を聞くと、「自信がない」とも言っている。”と書かれているので、失敗の原因について考えるよりも選択肢4の方がベターです。

次の事例を読んで、問いに答えなさい。

〔事例〕
Dさん(59歳、女性)は30年前に関節リウマチ(rheumatoid arthritis)を発症して、現在、障害者支援施設に入所している。
Dさんは、朝は手の動きが悪く痛みがあるが、午後、痛みが少ないときは関節を動かす運動を行っている。足の痛みで歩くのが難しく車いすを使用しているが、最近は手の痛みが強くなり、自分で操作することが難しい。また、食欲がなく、この1か月間で体重が2kg減っている。夜中に目が覚めてしまうこともある。(第32回介護福祉士国家試験)

Dさんの朝の症状の原因として、最も可能性が高いものを1つ選びなさい。

1.睡眠不足
2.低栄養
3.平衡感覚の低下
4.筋力低下
5.関節の炎症

正解5

関節リウマチの特徴に、『関節のこわばり朝方が強く、季節や天候に左右される』というものがあります。

参考)⇒関節リウマチ

使っていた車いすを自分で操作することが困難になったDさんが、「障害者総合支援法」で電動車いすを購入するときに利用できるものとして、適切なものを1つ選びなさい。

1.介護給付費
2.補装具費
3.自立支援医療費
4.訓練等給付費
5.相談支援給付費

正解2

補装具は、障害のある人が日常生活上において必要な移動や動作等を確保するために、身体の欠損または損なわれた身体機能を補完・代替する用具のことです。

具体的には、義手や義足などの義肢、体の機能をサポートする装具、電動のものも含む車イス、補聴器などがあります。

この補装具の購入や修理にかかった費用の原則9割が補装具費として給付されます。つまり自己負担が1割ですみます。※所得によって自己負担額は変わってきます。

その他の選択肢については↓の記事で詳しく解説しています。重要なところなので、しっかり押さえておきましょう。

参考)⇒障害者総合支援法

Dさんは、「ここ数日、朝だけでなく1日中、何もしないのに手足の痛みが強くなってきた」と訴えている。日常生活で、Dさんが当面留意すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.前あきの衣類より、かぶりの衣類を選ぶ。

2.ベッドのマットレスは、柔らかいものを使用する。

3.関節を動かす運動を控える。

4.できるだけ低いイスを使う。

5.頸部が屈曲位になるように、高めの枕を使用する。

正解3

1.前あきの衣類は、片袖ずつ順番に通すことにより、肩や腕の関節をあまり動かさなくても着ることができますし、ファスナーやマジックテープを利用すれば指先の負担も減らすことができます。これに対し、頭からかぶる衣類は肩や腕の関節に負担がかかるので、適切ではありません。

2.柔らかいマットレスで、体が沈み込んでしまうと関節に負担がかかります。なのでマットレスはやや硬めのものを使用するようにします。

3.結論から言うと運動も安静もどちらも必要です。運動は筋萎縮や関節の拘縮・変形を防ぐために重要です。ただし、関節の痛み・腫れがひどく、発熱がある場合は、安静が大事です。
「ここ数日、朝だけでなく1日中、何もしないのに手足の痛みが強くなってきた」と書かれており、現時点での運動は控えた方がよいので、この選択肢は適切です。

4.低いイスを使用すると、膝の関節にかかる負担が大きくなるので、できるだけ低いイスを使うというのは、不適切です。

5.関節リウマチ患者でなくとも不適切です。高めの枕ではなく、自分に合った枕を使用することが大切です。

次の事例を読んで、次の3つの設問に答えなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

〔事例〕
Jさん(83歳、女性)は一人暮らしである。人と付き合うのが苦手で、近所付き合いもあまりなく、一人で静かに生活していた。80歳を過ぎた頃から右膝に痛みが出て、変形性膝関節症(knee osteoarthritis)と診断されたが、近くのスーパーへの買い物や、近所の散歩には出かけていた。1か月ほど前から膝の痛みが悪化し、散歩にも行かなくなった。食事量が減って痩せてきてしまい、1日中、
座ってテレビを見て過ごしている。現在のJさんに心配される病態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.フレイル(frailty)
2.不定愁訴
3.寛解
4.不穏
5.せん妄(delirium)

正解1

1.フレイルは、健康な状態から要介護へ移行する中間の段階と言われています。具体的には、加齢に伴い筋力が衰え、疲れやすくなり家に閉じこもりがちになるなど、年齢を重ねたことで生じやすい衰え全般を指しています。Jさんの様子から、これは適切です。

参考)⇒フレイル

2.不定愁訴は、「原因がはっきりわからないけれど、なんとなく体調が悪い」といった状態のことで、自律神経のバランスが崩れたときにあらわれることが多いといわれています。Jさんの場合は、変形性膝関節症の悪化が主な要因と分かっているので、適当ではありません。

3.病気が完全に治った「治癒」という状態ではありませんが、病気による症状や検査異常が消失した状態を「寛解」と呼びます。変形性膝関節症が悪化しているので、適切ではありません。

4.不穏は、落ち着きがなくなったり、暴れたりする状態をいうので、適当ではありません。

5.せん妄は、意識の混濁に加えて、錯覚、幻覚、妄想、不穏や興奮を伴う複雑な意識障害の一種です。Jさんにはあてはまりません。

Jさんは、食事量は回復したが、膝に痛みがあり、家の中ではつかまり歩きをしていた。要介護認定を受けたところ要支援2と判定され、家の近くの第一号通所事業(通所型サービス)を利用することになった。通所初日、車で迎えに行くと、Jさんは「心配だからやっぱり行くのはやめようかしら」と介護福祉職に言い、玄関の前からなかなか動かなかった。このときの介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.「急ぎましょう。すぐに車に乗ってください」

2.「心配なようですから、お休みにしましょう」

3.「歩けないようでしたら、車いすを用意しましょうか」

4.「初めてだから心配ですね。私もそばにいるので一緒に行きませんか」

5.「Jさんが行かないと、皆さん困ってしまいますよ」

正解4

1.Jさんの不安を軽減するような言葉かけが必要なので、不適切です。

2.介護福祉職の判断で計画されているサービスを中止するのは不適切です。

3.家の中ではつかまり歩きができており、玄関前から動かないのは不安な気持ちからと考えられます。Jさんの不安な気持ちを軽減させるような声掛けが必要であり、有する能力の活用という面からも車イスの使用を提案するのは適切ではありません。

4.Jさんの気持ちを受容した言葉かけで、これは適切です。

5.Jさんを責めるような発言で、Jさんの精神的な負担となる言葉かけであり、不適切です。

その後、Jさんは少しずつ回復し、膝の痛みもなく、家の中では何もつかまらずに歩くことができている。一人で散歩に出ようという意欲も出てきた。Jさんは、介護福祉職にもっと安定して歩けるように練習をしていきたいことや、外出するときは膝の負担を減らすために杖を使用したいと思っていることを話した。Jさんに合った、杖を使った歩き方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.杖(左手で持つ)を出す→右足を出す→左足を出す

2.杖(右手で持つ)を出す→左足を出す→右足を出す

3.杖(左手で持つ)と右足を出す→左足を出す

4.杖(右手で持つ)と左足を出す→右足を出す

5.杖(左手で持つ)と左足を出す→右足を出す

正解1or3

※不適切問題として、正解が2つになっています。

参考)⇒杖歩行

杖歩行のポイントは

  1. 健側の手に杖を持ち、健側の外側に杖を出す。
  2. 患側の足を出す。
  3. 健側の足を出す。
    このとき筋力のある方の足が浮くので、しっかり体重をかけられる杖の位置が重要です。

Jさんは右ひざに痛みがあるので患側は右側です。よって正解1です。

ただ、杖歩行に慣れて、もう少しスムーズに歩きたい場合は、杖と患側を同時に出した後に健側を出すことでバランスと歩行速度が得られやすい歩き方になります。なので、選択肢3も正解になります。

次の事例を読んで、次の3つの設問に答えなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

〔事例〕
Kさん(80歳、女性)は夫が亡くなった後、自宅で一人暮らしをしていた。ある日、一人娘のLさんが訪ねると、ごみが散乱しており、冷蔵庫の中には古くなった食材がたくさん入っていた。変化に驚いたLさんはKさんと病院を受診したところ、認知症(dementia)と診断された。Lさんは、Kさんに家庭的な雰囲気の中で生活をしてほしいと考えた。その結果、Kさんは認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用することになった。入所して1週間が経過し、Kさんと関わったM介護福祉職は、Kさんは短期記憶の低下により、最近の出来事については話すことは難しいが、自分が学校に通っていた頃の話や、子供の頃に歌っていた歌については生き生きと話すことを確認した。

M介護福祉職は、Kさんが今持っている認知能力を活用して、ほかの利用者と交流する機会を作りたいと考え、Kさんとほかの利用者に参加してもらう活動を企画することにした。M介護福祉職が企画した活動の手法として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.リアリティ・オリエンテーション(reality orientation)
2.ピアカウンセリング(peer counseling)
3.スーパービジョン(supervision)
4.回想法
5.社会生活技能訓練

正解4

1.参考)⇒リアリティ・オリエンテーション

2.ピアカウンセリングは、同じ障害や悩みを抱える人同士が、対等な立場で話し合いを繰り返し、自身の抑圧された感情を解放することで、問題の解決を図る方法のことです。

3.スーパービジョンは、キャリアの浅い職員の専門職としての能力を高めるために、熟練した職員が教育・支援するはたらきかけのことです。

4.回想法は、過去の懐かしい思い出を語り合ったり、誰かに話したりすることで脳が刺激され、精神状態を安定させる効果が期待できます。

軽度の認知症における回想法は記憶力を維持し、認知症の進行を抑制する効果が見込めるので、「最近の出来事については話すことは難しいが、自分が学校に通っていた頃の話や、子供の頃に歌っていた歌については生き生きと話す」と設問に書かれている、Kさんには適切です。

5.社会生活技能訓練は、ソーシャルスキルトレーニングのことで、リハビリテーション技法のひとつです。精神に障害を持ったひとが社会で生活していくために、対人関係を良好に維持する技能を身につけ、自信を回復し、ストレス対処や問題解決ができるスキルを習得するためのトレーニングです。

ある日、M介護福祉職がKさんの入浴介護を行っていたところ、手のひらや指の間に赤い丘疹を確認した。M介護福祉職がKさんに「かゆくないですか」と聞くと、「かゆい」と答えた。そのため、病院を受診したところ、角化型疥癬(hyperkeratotic scabies)と診断された。Kさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.入浴後の洗濯物は、ビニール袋に入れて運ぶ。
2.マスクを着けてもらう。
3.個室に隔離する必要はない。
4.介護は素手で行う。
5.ほかの利用者よりも先に入浴してもらう。

正解1

参考)⇒疥癬

1.これは適切です。

2.疥癬の感染経路は飛沫感染でなく、接触感染なので、マスクは意味がありません。

3.必要あります。

4.感染を予防するために、手袋や予防衣を使用しなければなりません。

5.感染予防のため、入浴は最後にします。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用するKさんの要介護度に変更があった場合に影響があるものとして、適切なものを1つ選びなさい。

1.介護保険料
2.認知症対応型共同生活介護費
3.介護サービスの利用者負担割合
4.食費
5.居住費

正解2

これはグループホームを利用する際の介護サービス費のことで、要介護度によって異なり、要介護度が高くなるほど、費用が高く設定されています。なので、これは正しいです。

出典 LIFULL介護

1.介護保険料の納付期間は、40歳になった月から一生涯ですが、自治体ごとに計算される基準額と、本人や世帯の所得によって決まります。所得が多い人ほど、多くの金額を納めるしくみになっており、要介護度は影響しません。

3.利用者負担は原則1割で、収入や世帯構成で2割もしくは3割になります。要介護度は影響しません。

4&5.食費や居住費はグループホームによって異なりますが、要介護度によってきまるものではなく、入居者は一律に同じ金額です。

次の事例を読んで、次の3つの設問に答えなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

〔事例〕
Aさん(10歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)であり、多動で発語は少ない。毎日のように道路に飛び出してしまったり、高い所に登ったりするなど、危険の判断ができない。また、感情の起伏が激しく、パニックになると止めても壁に頭を打ちつけ、気持ちが高ぶると騒ぎ出す。お金の使い方がわからないため好きなものをたくさん買おうとする。現在は特別支援学校に通っており、普段の介護は母親が一人で担っている。

Aさんのこのような状態に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.注意障害
2.遂行機能障害
3.強度行動障害
4.記憶障害
5.気分障害

正解3

強度行動障害とは、自分の体をたたく、食べられないものを口に入れる、危険な飛び出しなど、本人や周囲に影響を及ぼす行動が高い頻度で起こる障害です。

道路に飛び出す、壁に頭を打ち付けるなどの記述から、選択肢3が正解です。

Aさんの将来を考えて、家族以外の支援者と行動できるようにすることを目標に障害福祉サービスを利用することになった。介護福祉職と一緒に散歩に行き、外出時のルールを覚えたり、移動中の危険回避などの支援を受けている。Aさんが利用しているサービスとして、適切なものを1つ選びなさい。

1.同行援護
2.自立生活援助
3.自立訓練
4.生活介護
5.行動援護

正解5

1.同行援護は、視覚障害により移動に著しい困難がある、障害支援区分2以上の障害者を対象としたサービスで、外出する時に同行して必要な視覚的情報の支援を行うサービスです。

2.自立生活援助は、2016年の障害者総合支援法の改正時に新しく作られたサービスで、2018年に施行されています。障害者支援施設やグループホーム等で暮らしているけれど、「地域で一人暮らしをしたい」という障害者を支援するサービスです。

3.自立訓練は、身体機能や生活能力の向上を目指すための訓練や日常生活を送る上で必要な、身の回りの基本的な事に関して訓練を行うサービスです。

4.生活介護は、常に介護を必要とする障害者が、障害者支援施設等に通って、主に昼間に、入浴・排せつ・食事の介護等を受けるとともに、書道や手芸など、創作的活動を行ったり、生産活動の機会の提供を受けたりする福祉サービスです。

5.行動援護は、障害支援区分3以上知的・精神障害により、自分一人で行動することが著しく困難であって、常に介護を必要とする障害者を対象としたサービスで、主に、外出する際に、外出時の危険回避、外出の前後の着替えや移動中の介護、排せつ及び食事等の介護、その他行動する際に必要な援助を行います。

Aさんのサービス利用開始から6か月が経ち、支援の見直しをすることになった。Aさんの現状は、散歩では周囲を気にせず走り出すなど、まだ危険認知ができていない。介護福祉職はルールを守ることや周りに注意するように声かけをするが、注意されるとイライラし、パニックになることがある。一方で、スーパーではお菓子のパッケージを見て、硬貨を出し、長時間その場から動こうとしない。介護福祉職はAさんがお菓子とお金に注目している様子から、その力を引き出す支援を特別支援学校に提案した。介護福祉職が特別支援学校に提案した支援の背景となる考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.エンパワメント(empowerment)
2.アドボカシー(advocacy)
3.ピアサポート(peer support)
4.ノーマライゼーション(normalization)
5.インクルージョン(inclusion)

正解1

1.エンパワメントは、利用者の持っている力に着目し、その力を引き出して積極的に利用、援助することをいいます。Aさんがお金の使い方を理解して、自分で買い物ができる能力を引き出すという感じで、適切です。

2.アドボカシーは、弱い立場にある人の権利、利益を擁護して代弁することです。

3.ピアサポートは、一般的に、同じ問題や環境を体験する人が、対等な関係性の仲間で支え合うことをいいます。セルフヘルプグループもピアサポートに含まれます。

4.ノーマライゼーションは、社会的マイノリティや障害者が一般市民と同様の普通の生活・権利などが保証されるように環境整備を目指すことです。

5.ソーシャルインクルージョンのことで、「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う」という理念で、わかりやすい言葉にすると、困っている人に手を貸し、互いに助け合う、お互い様の社会といった感じです。

次の事例を読んで、次の3つの設問に答えなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

〔事例〕
Bさん(45歳、女性)はアパートで一人暮らしをしていた。家族や親戚との付き合いはなかったが、趣味も多く、充実した生活を送っていた。ある日、車で買い物に行く途中、交通事故を起こし、U病院に救急搬送され手術を受けた。手術の数日後、医師から、頚髄損傷(cervical cord injury)があり、第5頚髄節まで機能残存するための手術をしたこと、今後の治療方針、リハビリテーションによって今後の生活がどこまで可能になるかについて、丁寧に説明を受けた。

Bさんの今後の生活に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.自力歩行ができる。

2.自走式標準型車いすを自分で操作して、一人で外出することができる。

3.自発呼吸が困難になり、人工呼吸器が必要な生活になる。

4.電動車いすを自分で操作することが可能になる。

5.指を使った細かい作業が可能になる。

正解4

参考)⇒脊髄損傷

1.第5頚髄節までの機能残存の場合、残っている運動機能は、肩・肘を曲げることができる程度です。下肢と体幹は麻痺しているため、自立歩行はできません。

2.動かせる肩・ひじで、自走式の車イスを短い距離なら動かすことができるかもしれませんが、段差や坂道などは厳しく、一人での外出は困難だと考えられます。

3.自発呼吸が困難になり、人工呼吸器が必要になるのは、損傷レベルC1~C3です。BさんはC5レベルで、横隔膜での呼吸は可能です。

4.これは適切です。

5.自助具などを使って、食事やキーボードをひとつづつ押すというようなことはできる可能性がありますが、指を使った細かい作業は困難と考えられます。

Bさんは、入院当初は落ち込んでいたが、徐々に表情が明るくなり、U病院でのリハビリテーションにも積極的に取り組むようになった。現在はVリハビリテーション病院に転院して、退院後の生活に向けて身体障害者手帳を取得し、準備を進めている。Bさんは、以前のようなアパートでの一人暮らしはすぐには難しいと考え、障害者支援施設に入所を考えている。障害者支援施設に入所するために、Bさんがこの時期に行う手続きとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.居宅サービス計画を作成するために、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談する。

2.要介護認定を受けるために、市町村の窓口に申請する。

3.施設サービス計画を作成するために、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談する

4.サービス等利用計画を作成するために、相談支援専門員に相談する。

5.障害支援区分の認定を受けるために、市町村の窓口に申請する。

正解5

1&3.介護支援専門員要介護高齢者のケアマネジメントを行う職種で、障害者のケアマネジメントを行うのは相談支援専門員です。

2.要介護認定ではなく、障害支援区分の認定を受ける必要があります。

4.今後、Bさんが行わなければならない手続きではありますが、障害支援区分の認定を受けてからでないとサービス等利用計画は作ることができないので、正解は選択肢5です。

5.これは適切です。

その後、Bさんは希望どおり障害者支援施設に入所した。入所した施設では、C介護福祉職がBさんの担当になった。C介護福祉職は、Bさんから「日常生活で、もっと自分でできることを増やし、いずれは地域で生活したい」と言われた。そこでC介護福祉職は、施設内の他職種と連携して支援を行う必要があると考えた。C介護福祉職が連携する他職種とその業務内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.工作などの作業を行いながら身体機能の回復を図るために、看護師と連携する。

2.運動機能の維持・改善を図るために、理学療法士と連携する。

3.趣味活動を増やすことを目的に、管理栄養士と連携する。

4.活用できる地域のインフォーマルサービスを検討するために、義肢装具士と連携する。

5.栄養状態の面から健康増進を図るために、社会福祉士と連携する。

正解2

1.工作などの作業を行いながら身体機能の回復を図るのは作業療法士です。

2.これは適切です。

3.管理栄養士は、専門的な知識と技術を持って栄養指導や給食管理、栄養管理を行う職種で、趣味活動とは関係ありません。

4.インフォーマルサービスは、家族や友人などからの援助であり、義肢装具士と関係がありません。

5.社会福祉士ではなく栄養士の仕事です。

スポンサーリンク
keatonをフォローする