『生活支援技術』過去問

『生活支援技術』の過去問

介護予防と生活環境に関する問題

生活支援を行う時の視点として、最も適切なものを1つ選びなさい(第26回介護福祉士国家試験)

1.介護職の持つ知識より、経験を重視する。

2.利用者のできないことに焦点を当てる。

3.利用者の生活歴を理解して行う。

4.利用者が1人で生活行為ができることを目的として行う。

5.利用者の性生活に関する情報は考慮しない。

正解3

1.知識も経験もどちらも重要です。

2.できないことを把握することも必要ですが、基本は利用者の残存能力を活用した生活支援を提供していくことが大切です。

3.生活支援を提供するにあたっては、利用者の心身状態ニーズ生活歴などを理解しておくことは重要です。

4.1人で生活行為ができること目的とするのではなく、利用者のニーズに合わせ、その利用者に適した生活を実現することを目的とします。

5.性生活に関する情報も考慮する必要はあります。

生活に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
(第27回介護福祉士国家試験)

1.生活は、食事と排泄と睡眠の3つの要素で構成される。

2.生活空間とは、居間と寝室のことである。

3.生活圏は、どのライフステージでも同じである。

4.高齢者の生活様式は、画一化されている。

5.生活時間は、その人独自のものがある。

正解5

1.活動や仕事など他のさまざまな要素も含まれています。

2.生活空間とは、日常生活が営まれている環境の範囲のことをいい、玄関、トイレ、キッチンなども含まれます。

3.子どもと大人の生活圏が異なるように、ライフステージにより異なります。

4.高齢者の生活様式は、その人によって独自かつ多様です。

自立支援の説明として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.対象者は、介護保険の要介護3以上の人に限られること

2.対象者は、意思表示のできる人に限られること

3.ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)を回復すること

4.経済的自立を目指すこと

5.自己選択・自己決定を支援すること

正解5

1&2.介護福祉士は、すべての利用者に対して、自立支援の考え方で介護をするべきです。対象者を限定する必要はありません。

3&4.自立支援は身体的な自立や経済的自立に限ったことではないため、自立支援の説明としては不十分です。

要介護度が高く、日中もベッド上で過ごしている利用者の廃用症候群(disuse syndrome)の予防として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.安静を保ち臥位で過ごしてもらう。

2.4時間ごとに体位変換を行う。

3.ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)は全介助で行う。

4.個別レクリエーションを取り入れる。

5.一人で過ごせる環境をつくる。

正解4

1.安静を保ち、臥位で過ごしてもらっても、廃用症候群の予防にはなりません。

2.4時間ごとの体位交換では褥瘡のリスクがあります。基本的には2時間を超えない範囲で体位交換を行います。ただし、「2時間ごと」を絶対的なものとしてとらえる必要はありません。褥瘡患者の組織耐久性や活動性・可動性のレベルによっても、あるいは病院、在宅、施設などの状況によっても変わってきます。また、粘弾性フォームマットレスなどを使用する場合は、4時間を超えない範囲で行ってもよいとされています。

粘弾性フォーム」は、バネの様な「弾性」と粘土やガムの様な「粘性」を併せ持つ性質です。ウレタンのマットレスなどがそうです。

3.要介護度が高く、ベッド上で過ごしていても、全介助と決めつけず、利用者のできる生活を探し、介助することが廃用症候群の予防につながります。

4.ベッド上であっても個別レクリエーションを活用し、活動性のある生活を送ることで、廃用症候群の予防になります。

5.日中ベッド上で過ごしている利用者に対して、一人で過ごせる環境を作っても活動性は上がらず、廃用症候群の予防にはなりません。

住環境と健康に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.シックハウス症候群(sick house syndrome)は、生活が不活発なために全身の機能が低下することをいう。

2.熱中症(heatstroke)は屋内でも発生する。

3.ヒートショックは、熱湯や熱風を浴びることで生じるやけどのことである。

4.ダニの死がいはアレルギー症状の原因にはならない。

5.浴室などのカビは健康に影響がない。

正解2

1.シックハウス症候群とは、化学物質による室内空気汚染などと、それに伴う健康への悪影響のことです。生活が不活発なために全身の機能が低下することは、廃用症候群(生活不活発病)といわれます。

3.ヒートショックは、急激な温度差により血圧が大きく変動することで失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こし、身体へ悪影響を及ぼすことです。

4.アレルギー症状の原因になります。

5.カビはアレルギー疾患、感染症などの要因になり得ます。

Jさん(70歳、男性)は、右片麻痺があり、妻と二人暮らしである。週1回の通所介護(デイサービス)と、週1回の自宅での訪問介護員(ホームヘルパー)による入浴介助を受けている。移動は四脚杖歩行で、排泄と入浴は一部介助が必要である。Jさんは居住環境を整備して、できるだけ今の生活を維持しながら妻の負担を減らしたいと望んでいる。
Jさんに対する介護職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい
(第26回介護福祉士国家試験)

1.車いすで出入りできるようにトイレを広くする。

2.トイレでの排泄をやめて、寝室にポータブルトイレを置く。

3.浴槽の出入りをしやすくするために、リフトを設置する。

4.部屋の出入り口にある段差をスロープ(slope)にする。

5.トイレの中に手すりをつける。

正解5

1.Jさんは四脚杖を利用し移動できているので、現時点で車いすを活用する必要はないと判断できます。

2.排泄はできる限りトイレで行えるように支援することが望ましいです。Jさんは一部介助を受けトイレで排泄できているので、現時点でポータブルトイレを設置する必要はありません。

3.Jさんは一部介助で入浴できており、リフトを設置する必要はありません。

4.Jさんは四脚杖を利用し移動できているので、段差をスロープにする必要はありません。杖移動の場合、逆に転倒のリスクが高くなる可能性もあります。

5.設問文から排泄の一部介助は妻が行っていると推測できます。よって排泄介助の負担軽減を図るため、トイレに手すりを設置するよう助言することは適切です。

自宅で暮らす高齢者の室内環境として、適切なものを1つ選びなさい。(第24回介護福祉士国家試験)

1.皮膚感覚の鈍化に配慮して、床暖房を設ける。

2.嗅覚の低下に配慮して、電磁調理器を用いる。

3.聴覚の低下に配慮して、防犯ベルの音量を下げる。

4.視覚の低下に配慮して、照明を暗くする。

5.体温調節機能の低下に配慮して、真夏日は冷房器具の使用を控える。

正解2

1.加齢に伴う皮膚感覚の鈍化によって、床暖房や湯たんぽなどを活用した場合、低温やけどを生じるおそれがあります。

2.加齢に伴う嗅覚の低下によって、ガス漏れなどの際、異臭を感じ取りにくくなります。よって火事を回避するために電磁調理器を活用することは適切です。

3.

老人性難聴(加齢性難聴)は、感音性難聴であることが多く、高音が聞き取りにくい。

そのため、防犯ベルの音量を下げるのではなく、その高齢者にとって聞き取りやすい防犯ベルの音量・音域・音の種類に設定する必要があります。また、音だけでなく、非常時に点灯するランプのように視覚的に伝えるものを付加するのもよい。

4.加齢に伴う視覚の低下によって、物に気づかず転倒しやすくなるため、適度の明るさを確保する必要があります。また、直接光源が目に入らないように間接照明を設けることが望ましいです。

5.真夏日に冷房器具の使用を控えると、熱中症を生じるおそれがあります。そのため、季節に合わせて冷暖房器具を用いて、こまめに温度調整を図る必要があります。また湿度も調整することが大切です。

図は、扉を閉めた部屋の窓の位置を表している。効果的な換気を行うために開ける窓として、最も適切なものを1 つ選びなさい。
(注) 窓の大きさや高さはすべて同じものである。天井の高さは同じである。家具は何もない。周囲に建物はない。(第29回介護福祉士国家試験)

1.Aだけ開ける。
2.BとCを開ける。
3.Eだけ開ける。
4.AとDを開ける。
5.AとEを開ける。

正解4

換気は、窓を2箇所以上開けて空気の入り口と出口を作ることが大切です。さらに、2箇所の窓を直線的に開けることで空気の通りがよくなります。

介護老人福祉施設における居室の環境整備で留意すべき点として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.利用者が使い慣れた家具を置く。

2.居室のドアは開けたままにしておく。

3.時計は天井に近い壁に掛ける。

4.居室の温度は、介護福祉職の感覚に基づいて調整する。

5.多床室は、入口から室内が見通せるように家具を配置する。

正解1

2&5.プライバシーを守る必要があります。

3.利用者の見やすい位置、気に入った位置に掛けるのが大切です。

4.利用者の感覚に基づいて調整します。ただし、極端に暑がったり、寒がったりする場合は、体調を確認し、介護福祉職が調整しなければならない場合もあります。

トイレの環境整備として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.就寝時の寝室よりも照明を明るくする。

2.介助が必要な場合は、洋式便器の後方に介助スペースを確保する。

3.出入口の扉は、外開きより内開きの方がよい。

4.L字型手すりの直径は50㎜程度を目安にする。

5.縦手すりは、洋式便座の先端よりも後方側面に設置する。

正解1

1.高齢者は夜間帯にトイレに行くことが多いので、転倒防止を図るためにも、寝室よりもトイレの照明を明るくする必要があります。

2.後方ではなく前方に確保します。

3.引き戸がベストで、次いで外開きです。内開きの場合、トイレ内で利用者が倒れていた場合、扉が開かなくなる可能性があります。

4.しっかり握れる30程度が適切です。商品化されているものでは32㎜が多いです。

5.洋式便器の先端より前方側面に設置します。

下肢筋力が低下して介護を必要とする人に適した浴室改修に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.浴室の入り口は引き戸にする。

2.縦に長く浅めの洋式の浴槽にする。

3.浴槽の縁は厚みを20cmにする。

4.床から浴槽の縁までの高さは20cmにする。

5.浴室と脱衣室の段差は10cmにする。

正解1

1.浴室内の戸の前で転倒して動けない場合などを考えると、引き戸がベストです。安全性の面では外開きでも問題ありませんが、車いすなどを使用する場合は、ドアが邪魔になる場合があります。

2.縦に長いと、足を伸ばしたときに体が沈み込み、浴槽内で溺れる可能性が高くなります。

3.20cmではまたぐ幅が大きくなって片足立ちの状態になり、立位でのバランスを崩し、転倒のリスクが高まります。厚みは5~10cm程度が適切です。

4.40㎝程度が適切です。一般的にこの高さであると、浴槽縁部分に出入りしやすくなります。また、立位でも比較的安定した姿勢でまたぎ越しができる高さでもあります。

5.段差を解消した方が転倒のリスクは減ります。

歩行が可能な脊髄小脳変性症(spinocerebellardegeneration)の高齢者の転倒予防に留意した環境整備に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.弾力性が高い床材を使用する。

2.洋式トイレの予備のトイレットぺーパーは足元に置く。

3.頻繁に移動する場所には手すりを取りつける。

4.調理用具は、頭上のつり棚に収納する。

5.いすにキャスターをつける。

正解3

参考テキスト⇒脊髄小脳変性症

1.弾力性が高い床材を使用すると、転倒時の安全性は増します。しかし、歩行時には不安定になり、転倒のリスクが高まるので、選択肢3の方がベターです。

2.予備のトイレットペーパーを足元に置くと、補充の際、頭を低く下げるためバランスを崩し、転倒のリスクが高まります。また、ふらついてトイレットペーパーを踏みつけて転倒する可能性もあります。

4.頭上の高いところにあるものを取ろうとすると、足元の意識が低くなり、ふらつきなど転倒のリスクが高まります。

5.イスにキャスターがついていると、ふらついたときに支えになりません。

杖歩行している高齢者の寝室の環境整備に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.足元灯を用意する。
2.ベッドの高さは60~65cmにする。
3.マットレスは柔らかいものにする。
4.布団は床に敷く。
5.特殊寝台(介護ベッド)に変更する。

正解1

1.夜間に起きてトイレにいく場合など、転倒を防止するために、足元の照明は重要です。

2.ベッドの高さは、利用者が立ち上がりやすい高さが適しているといえます。これは、ベッド上で端座位になった際に、両足の足底が床につく程度の高さです。個人差がありますが、ベッドの高さは一般的に35~40cm程度がよいとされています。60~65㎝は高すぎます。

3.マットレスが柔らかすぎると体が沈み込んでしまうため、起き上がりや立ち上がり、寝返りなどの動作をスムーズに行うためには適度な硬さがある方がよいです。

4.杖歩行している高齢者にとって、床からの立ち上がりの動作は難しいため、ベッドを利用するほうが適切です。

5.杖を使えば歩行できるほどの能力を有しているので、身体機能の維持、向上の観点から適切ではありません。

一戸建ての住宅に暮らす利用者の地震対策に関する訪問介護員(ホームヘルパー)の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.家具には、キャスターをつける。

2.書棚の上部には、重いものを収納する。

3.食器棚は、ガラス扉を外す。

4.外への避難経路は、玄関の1方向とする。

5.非常時に持ち出す物は、リュックサックにまとめておく。

正解5

1.家具が移動してしまう可能性が高く、危険です。

2.落下してきた場合の危険度が上がるので、適切ではありません。

3.食器が棚から落ちて、割れてしまう可能性があるので食器棚の扉を外すのは、適当ではありません。

4.家が損壊し、玄関が塞がる可能性もあるので不適切です。避難経路は複数想定しておくことが望ましいです。

5.いざという時に、すばやく非難できるので、適切です。

ユニバーサルデザイン(universal design)の7原則に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.高齢者が優先的に使用できる。

2.使い方を統一する。

3.情報伝達の手段は1つにする。

4.使用するためには訓練が必要である。

5.誰にでも使える大きさと広さが確保されている。

正解5

参考テキスト⇒ユニバーサルデザイン

選択肢5の『スペースの確保』が適切です。

介護保険の給付対象となる住宅改修として、正しいものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)

1.住宅用火災警報器を設置する。
2.緊急通報装置を設置する。
3.ガスコンロを電磁調理器に取り替える。
4.風呂場に取り外し可能な手すりを設置する。
5.和式便器を洋式便器に取り替える。

正解5

参考テキスト⇒住宅改修

選択肢5以外は、住宅改修の給付対象ではありません。

介護保険の給付対象となる住宅改修として、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.寝室の近くにトイレを増設する。
2.階段に昇降機を設置する。
3.手すりを取り付けるために壁の下地を補強する。
4.浴室内にすのこを置く。
5.浴室に暖房機を設置する。

正解3

参考テキスト⇒住宅改修

選択肢3以外は、住宅改修の給付対象ではありません。

介護保険の給付対象となる住宅改修を利用してトイレを改修するとき、介護福祉職が助言する内容として、正しいものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.開き戸は、自動ドアに変更できる。
2.和式便器の上に、腰掛便座を設置できる。
3.滑りにくい床材に変更できる。
4.取り外しが可能な手すりを設置できる。
5.現在使用している洋式便器に、洗浄機能を付加できる。

正解3

選択肢3以外は、住宅改修の給付対象ではありません。

2.腰掛け便座は、特定福祉用具販売の対象です。

公的介護保険による購入の対象となる腰掛便座は、大きく分けると、4つのタイプがあります。

出典 明治安田生命グループ介護総合情報サイトMY介護の広場

和式便器の上に置いて腰掛式に変換するもの。洋式便器の上に置いて高さを補うもの。電動式またはスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能を有しているもの。便座、バケツ等からなり、移動可能である便器の4つです。

4.取り付けに工事を行わない手すりは、福祉用具貸与の対象です。

次の記述のうち、古い住宅で暮らす高齢者が、ヒートショックを防ぐために必要な環境整備の方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.居室の室温を低くする。
2.脱衣室の照明を明るくする。
3.トイレに床置き式の小型のパネルヒーターを置く。
4.入浴直前に浴槽の湯音を60℃にし、蒸気を立てる。
5.24時間換気システムを導入する。

正解3

ヒートショック
暖かい居室やリビングから寒いトイレや脱衣場へ行くと、血管を収縮させ、熱を体の外に逃がさないように調節します。

血管が収縮すると血液が流れにくくなり、その結果として血圧は急上昇します。その状態から暖かい部屋や浴槽につかったりすると、血管が拡張して、血圧が急激に低下します。

このように血圧が大きく変動することで、心筋梗塞や脳血管障害などを引き起こすのをヒートショックといいます。対策は、リビングや居室と脱衣場などとの温度差を小さくすることです。

1.居室と脱衣場の両方の室温を低くすれば、温度差はなくなりますが、そこから湯船に入ると、血圧の変動が一段と大きくなるので、居室の室温を低くするのではなく、脱衣場やトイレの気温を上げる方が適切です。 

2.照明は関係ありません。

3.トイレに床置き式の小型のパネルヒーターを置くことで、トイレと居室などとの温度差が小さくなり、ヒートショックの予防につながります。

4.常識的に湯温60℃はヤバイです。

5.換気は関係ありません。

高齢者にとって安全で使いやすい扉の工夫として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.トイレの扉は内開きにする。
2.開き戸は杖の使用者が移動しやすい。
3.引き戸は開閉の速度が速くなる。
4.アコーディオンドアは気密性が高い。
5.引き戸の取っ手は棒型にする。

正解5

1.トイレの中で倒れた場合、内開きだと体にあたって、外からドアが開けられない可能性があるので、トイレの扉は、外開き引き戸が基本です。

2.開き戸は開閉する際に、前後の動きが大きいので杖を使っている高齢者にとっては使いにくいです。

3.開閉の速度が速くなるのは開き戸です。

4.蛇腹部分に隙間ができやすく、気密性は低いです。

5.くぼんだ形でそこに指をひっかけて開閉するタイプのものだと、握力が弱かったり、手が不自由な人にとっては開閉が難しいため、棒型の方が適切です。

下肢の筋力が低下してつまずきやすくなった高齢者に適した靴として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.靴底の溝が浅い靴
2.靴底が薄く硬い靴
3.足の指が固定される靴
4.足背をしっかり覆う靴
5.重い靴

正解4

1.溝が浅い靴は滑りやすいので不適切です。

2.靴底が薄いと歩くときの足への衝撃が強くなるので、下肢筋力の低下している高齢者には適していません。また靴底が硬いと、足先を曲げにくくなり、すり足になりやすく、つまづきやすくなるので不適切です。靴の中に薄い鉄板が入っていて一切曲がらない靴をイメージしてみてください。

3.ビジネスシューズなど、足先ががっちり固まっている靴は、足先が曲げにくく、すり足になりやすいので、つまずきやすいです。スニーカーを履いて走るのと、ビジネスシューズを履いて走るのはどちらがきついでしょうか。

4.足背は足の甲のことで、逆に足背が覆われていない、ぶかぶかのスリッパなどをイメージしてください。すり足になり、つまずきやすいです。なので足背をしっかり覆う靴は適切です。

5.靴が重いと足を上げにくく、つまずきやすくなるので不適切です。

老化に伴う機能低下のある高齢者の住まいに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.寝室はトイレに近い場所が望ましい。
2.寝室は玄関と別の階にする。
3.夜間の騒音レベルは80dB以下になるようにする。
4.ベッドは照明の真下に配置する。
5.壁紙と手すりは同色にするのが望ましい。

正解1

高齢者は、機能低下や排尿の頻度が増えることから、トイレへのアクセスが容易であることが重要です。寝室をトイレに近い場所に設定することで、夜間のトイレへの移動が容易になり、転倒や事故のリスクが軽減されます。

2.高齢者にとって、階段の昇降は転倒リスクが高いため、適切ではありません。

3.80dBは、電車の通過音やドライヤーや洗濯機の脱水のときの音くらいあり、かなり大きいです。

4.照明の真下にベッドを配置すると、眩しさや光の反射が眠りを妨げる可能性があります。

5.同色にすると、視認性が低くなり、手すりの利用が困難になることがあります。手すりは壁紙とは対照的な色にすることで、視認性が向上し、安全性が確保されます。

移動・移乗に関する問題

移動補助具に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)

1.ロフストランドクラッチは、握力の弱い人に適している。

2.スクーター型電動三輪車は、頚髄損傷の人に適している。

3.ステッキ型杖は、失調性歩行のある人に適している。

4.四輪歩行車は、杖歩行の安定した人に適している。

5.交互型四脚歩行器は、片麻痺のある人に適している。

正解1

参考テキスト⇒歩行を補助する福祉用具

1.杖上方の前腕支えと握りの2か所で支持することで安定性がよくなり、上肢の力を有効に使うことができるため、握力の弱い人などに適しています。

2.頚髄損傷がある人は、通常、麻痺があるだけでなく、座位が保てない場合もあることから、スクーター型電動三輪車による移動は適しません。

3.失調性歩行は、両足が広く離れ、歩幅が一定しないだけでなく、体幹がふらついている特徴があることから、ステッキ型杖の使用は適切ではありません。

4.杖歩行で安定しているのなら、四輪歩行車を使う必要がありません。

5.交互型四脚歩行器は歩行時に交互左右に動かして歩行します。左右のハンドグリップを握って動かさなければならないため、片麻痺のある人には適しません。

歩行のための福祉用具に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.歩行器は、杖に比べて安定性がある。

2.歩行器型杖(ウォーカーケイン)は、歩行が比較的安定している場合に用いる。

3.シルバーカーは、自立歩行ができない場合に使用する。

4.ロフストランドクラッチ(Lofstrand crutch)は、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)がある人に適している。

5.固定式歩行器は、左右のフレームを交互に持ち上げて使用する。

正解1

参考テキスト⇒歩行を補助する福祉用具

2.ウォーカーケインは支持面積が広く、手を放しても杖自体が立っているので、立位や歩行時のバランスが悪い場合に用いられます。

3.シルバーカーは、下肢筋力低下などで、持続歩行が難しい場合などに使用します。自立歩行できない場合は使用できません

4.関節リウマチがある人に適している杖は、プラットホームクラッチ(前腕支持型杖)です。

5.固定式歩行器は、左右のフレームを同時に持ち上げて使用するものです。歩行器は杖に比べ、支持性・安定性が高いです。フレームを左右交互に動かす交互式歩行器と、歩行器自体を持ち上げて動かす固定式歩行器があります。

ロフストランドクラッチ(Lofstrand crutch)の握りの高さを決める身体部位の位置として、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.臍部
2.腋窩部
3.大転子部
4.肘関節部
5.腸骨部

正解3

ロフストランドクラッチは、握り部分とカフとよばれる前腕を支える部分で身体を支える杖です。設問ではカフではなく、握りの高さを決める身体部位を問われています。基本的には通常の杖の握りの部分と同様で、大転子部の高さが正しい握りの高さです。

視力障害のある人の移動の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)

1.介護者は、利用者の手首を握って誘導する。

2.バスに乗る場合、介護者は先に乗る。

3.エスカレーターから降りる場合、介護者は後から降りる。

4.白杖を使用している場合、介護者は後ろに立ち、声かけによって誘導する。

5.駅のホームで電車を待つ場合、介護者は利用者を点字ブロックの上に誘導する。

正解2

手引き歩行を始める合図として、介護者は声をかけながら手の甲で視覚障害者の手の甲に触れます。基本姿勢は、介護者の肘の少し上を利用者に握ってもらい、介護者が利用者の半歩前を歩きます。歩くペースは利用者に合わせ周囲の状況を説明しながら歩きます。階段の上り下りは、一度停止し、利用者が足先で階段の縁を確認してからゆっくり上り下りします。

手引き歩行(ガイドヘルプ)

1.肘の少し上あたりを握ってもらいます。

2.バスの場合、介護者が先に乗り、先に降りて介助します。

3.エスカレーターの場合も介護者が先に乗り先に降りて介助します。

4.白杖を使用している場合であっても、介護者は利用者の斜め前に立ち、声かけによって誘導します。

5.点字ブロックは視覚障害者が一人で安全に歩くための手がかりとなるように設置されています。介護者がいるときには利用者を点字ブロックの上に誘導する必要はありません。

視覚障害者の外出支援に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.タクシーに乗るときは、支援者が先に乗って誘導する。

2.電車を待つときは、点字ブロックの上で待つように誘導する。

3.狭い通路は、後ろから誘導する。

4.雨の日は、フード付きのレインコートの着用を勧める。

5.利用者から一時離れるときは、柱や壁に触れる位置まで誘導する。

正解5

1.タクシー等の乗用車の場合は介護者は後で乗り、先に降りて介助するのが基本です。これは、 タクシーなど乗用車の場合は、屋根に頭をぶつけないよう高さの確認をしてもらうためです。

2.点字ブロックの上で待つのは他の視覚障害のある人の移動の妨げになります。

3.狭い通路では視覚障害のある人に支援者の真後ろに入ってもらい、一列で歩くようにします。

4.フードにより耳がふさがって周囲の音が聞こえづらくなり、危険です。支援者と二人で入れる大きい傘を用意し、背の高い方が傘を持つとよい。

5.利用者が安心して待てるように、柱や壁に触れる位置まで誘導するのが適切です。

パーキンソン病の姿勢反射障害のある人の歩行介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.曲がり角では、勢いをつけて曲がってもらう。

2.曲がり角では、直角に曲がってもらう。

3.一度足を引いてから歩き出してもらう。

4.支援者のペースに合わせて歩き出してもらう。

5.階段よりスロープを歩いてもらう。

正解3

1.パーキンソン病のある人には、様々な歩行障害がみられ、方向転換しずらかったり、バランスを崩しやすかったりします。よって、曲がり角を勢いよく曲がることはできず、転倒のリスクがあります。

2.バランスを崩しやすく、方向転換の際に転倒しやすいため、直角に曲がるのは不適切です。

3.歩行しようとするとき最初の一歩がなかなか踏み出せないことが多いです(すくみ足)。その際は、歩行にリズムをつけることで改善される場合があります。例えば、片方の足を一歩引いてから歩き出すことで歩きやすくなることもあります。

4.利用者本人のペースに合わせるのが基本です。

5.平地では小刻み歩行やすり足歩行であっても、階段ではテンポよく歩ける人もいます。逆にスロープのように傾斜があるところでは、つまずきやすく、転倒のリスクが高まります。

左片麻痺で杖を使用している利用者の階段昇降時の介護として、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.上がるときは、患側の足から出すように促す。

2.上がるときは、利用者の左後方に立つ。

3.健側の上肢を支える。

4.下りるときは、健側の足から出すように促す。

5.下りるときは、利用者の右後方に立つ。

正解2

基本は杖(てすり)ー患側ー健側ですが、階段を上る場合は杖(てすり)ー健側ー患側となります。

杖歩行

1.階段を上る時は、健側の足から上ります。

3.基本は患側を支えます。

4.階段を下りる時は、患側の足から出します。

5.下りるときは、転倒に注意を払い、利用者の患側(左)の前方に立ちます。

右片麻痺の利用者が、手すりを利用して階段を昇降するときの介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.手すりが利用者の右側になるように声をかける。

2.階段を昇るとき、利用者の左後方に立つ。

3.階段を昇るとき、右足から出すように声をかける。

4.階段を降りるとき、利用者の右前方に立つ。

5.階段を降りるとき、左足から出すように声をかける。

正解4

基本は杖(てすり)ー患側ー健側ですが、階段を上る場合は杖(てすり)ー健側ー患側となります。

杖歩行

1.手すりは自身でつかめるように、利用者の健側(左側)になるようにします。

2.階段を上る時は、利用者の患側(右側)後方で支援します。

3.階段を上る時は、健側(左側)から足を出します。

4.適切です。階段を下りる時は、利用者の患側(右側)前方で支援します。

5.階段を下りる時は、患側(右側)から足を出します。

屋外での車いすの介助方法として、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.段差を上がるときは、キャスターを斜めに向ける。

2.段差を下がるときは、後ろ向きで後輪から下りる。

3.急な上り坂では、両腕の力で素早く進む。

4.急な下り坂では、前向きで進む。

5.砂利道では、後輪を持ち上げて進む。

正解2

1.段差を上がるときは、段差に対して正面に車いすを向け、直角に近づき、ティッピングレバーを軽く踏み、前輪を浮かせて上がります。

ティッピングレバーは、段差などで介助者が前輪を上げる時に足を掛けて踏み込むためのレバーです

3.急な上り坂では、全身の力でゆっくり押し進めます。

4.急な下り坂では、後ろ向きで進みます。

5.砂利道では、キャスターを持ち上げて進みます。

入居施設で生活する利用者が車いすを使用して外出するときに、介護福祉職が計画、準備することとして、最も優先すべきものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.長時間の外出を企画する。
2.家族に同行を依頼する。
3.外出先の経路情報を集める。
4.折り畳み傘を用意する。
5.介助ベルトを用意する。

正解3

1.利用者が行きたい場所への外出を企画すべきです。長時間か短時間は利用者の希望によります。

2.利用者や家族が同行を望むのであれば、同行を計画してもよいですが、事前の計画で最も優先すべきものではありません。

3.車いすで移動できるのか、多目的トイレはあるか等の情報は必須です。

4.傘では介助者が片手で車いすを押すことになるので、レインコートの方が適切です。

5.介助ベルトは、歩行訓練時や入浴時に、安全に介助するためのベルトです。転びそうになった時にも、とっさに持ち手をつかめるため、転倒予防に効果的ですが、車いすでの移動に使うものではありません。

介助ベルト

出典 株式会社 特殊衣料

ボディメカニクスを活用したベッド上の移動介護に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.臥位から座位への介護では、利用者の腰部を支点にする。

2.介護職の重心と利用者の重心との距離は、離れている方が良い。

3.利用者の身体とベッドの接する面積を狭くする。

4.水平移動では、介護職はベッドの端に両肘をつける。

5.腰痛予防のため、介護職は主に腕の筋力を活用する。

正解3

参考テキスト⇒ボディメカニクス

1.臥位から座位への介護では、利用者の臀部を支点とします。

2.介護者と利用者の重心を近づけると、介助が容易になります。

3.摩擦が少なくなり、移動介護が行いやすくなります。

4.水平移動では、介護者は利用者の肩と臀部の下に手をしっかり入れ、介護者の膝をベッドにつけて、両手で利用者の身体を引くようにします。

5.腕の筋力だけでなく、背筋、腹筋、大腿筋などの大きな筋群を活用することによって負担が軽減され、腰痛予防につながります。

ボディメカニクスの基本原則に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.介護者の支持基底面積は、狭くとる方が身体は安定する。

2.介護者は体幹をねじらず、足先を移動の方向に向ける。

3.介護者は大きな筋群よりも、指先や腕の力を使う。

4.介護者は重心をできるだけ高くする。

5.利用者の身体をベッド上で水平移動する場合は、背部が接する面積を広くする。

正解2

1.支持基底面積広い方が安定します。

2.体幹がねじれていると、不安定になりやすいです。

3.大きな筋群活用した方が、身体への負荷も少ない。

4.重心を低くした方が身体への負荷も少ない。

5.接する面積が広い方が摩擦も大きいので動かしにくい。

右片麻痺の利用者がベッドから立位になるときの介護方法として、適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.利用者の右膝に手を当て、立ち上がるのを補助する。

2.麻痺側の下肢を外転させる。

3.背すじを伸ばしたまま立ち上がるように、声をかける。

4.ベッドに深く腰掛けるように、声をかける。

5.利用者の左側に立つ。

正解1

1.利用者の患側である右側の膝に手を当てて立ち上がりを補助するのは適切です。

2.支持基底面積を広げ安定させるために下肢を外転させるのは適切ですが、患側ではなく健側の下肢を外転させるようにします。

気をつけの姿勢から足を外側に動かすような動作を外転といいます。

3.かかとを引き前傾姿勢をとってもらうほうが立ち上がりやすいです。

4.浅く腰かけてもらう方が立ち上がりやすいです。

5.患側である右側に立ちます。

ベッドの端に座っている左片麻痺の利用者の、立ち上がりまでの基本的な介護として、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.利用者の右側に立つ。

2.立ち上がる前に、深く座りなおすように促す。

3.利用者の右膝を支える。

4.利用者を真上に持ち上げる。

5.立ち上がった時に、利用者の右膝の裏が伸びていることを確認する。

正解5

1.介護者は、利用者の患側である左側に立って支援します。

2.立ち上がる前には、浅く座りかかとを引いてもらいます。

3.膝折れ防止のために、患側である左膝を支えます。

4.前傾してもらい、健側の下肢に体重をのせながら、お辞儀をするように腰を浮かせ、立ち上がるように介助します。

5.利用者の膝裏が伸びていると立位が安定するので、確認することは重要です。

右片麻痺の利用者を仰臥位から左側臥位にする場合の体位変換の方法として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.左側へ水平に移動する。
2.両上肢は体幹に沿わせて置く。
3.両下肢は伸ばす。
4.枕を左側に寄せる。
5.肩と膝を同時に倒す。

正解4

1.左側へ水平移動をする必要がありません。

2.利用者の身体はできる限り小さくまとめます。胸のあたりで手を組んでもらうなどして、ベッドと身体の接触面積を小さくすると、小さい力で移乗、移動することができます。

3.両膝を立てて側臥位になりやすい姿勢をとることや、両膝を立てることが困難であれば、両膝を組み、できる限り身体を小さくまとめるとよい。

4.枕を左側に寄せることで、側臥位になっても安楽な状態で休むことができます。

5.同時ではなく、膝から先に倒すことにより、自然な動きで上半身を動かすことができ、小さい力で体位変換することができます。

Mさん(89 歳、女性)は、加齢に伴う両下肢の筋力低下がある。立位保持ができなくて、日中ベッドで臥床して過ごすことが多い。ベッドから車いすへの移乗は一部介助が必要であるが、車いすは自分で操作できる。
Mさんの上肢を活用した移乗介護に使用する福祉用具として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)


1.スライディングボード
2.スライディングシート(マット)
3.回転移動盤
4.介助型車いす
5.移動用リフト

正解1

参考テキスト⇒移乗に使われる福祉用具

1.Mさんの上肢を活用しつつ、移乗ができる福祉用具です。

2.スライディングシートは基本的にベッド上の移動補助に使われるものであり、ベッドから車いすの移乗には不適切です。

3.回転移動盤は、立位後、方向転換が困難な場合に活用するものであり、立位保持ができないMさんには使用できません。

4.介助型車椅子は移乗の福祉用具ではありません。

5.移動用リフトでは、Mさんの上肢を活用した移乗ができません。

選択肢1から5の順で、ベッドから車いすへ全介助で移乗するときの、利用者の動作と、介護福祉職の身体の使い方の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験改)

1.上半身を起こす — 手首で持ち上げる

2.ベッドの端に座る — 踵を浮かせて、低くかがむ

3.立ち上がる — 前腕で真上に引き上げる

4.車いすに移る — 重心を安定させて、ご本人と一緒に回転し、密着したままゆっくり座る

5.深く座り直す — 座り直す方向に向けて、上下の重心移動をする

正解4

1.手首の力だけで上半身を起こそうとすると、手首の負担が大きくなります。利用者にかかる圧も強くなり、負担をかけてしまいます。利用者の肩甲骨と腰に手を当て重心移動で上体を起こすようにします。

2.踵を浮かせると、支持基底面積が狭くなりバランスを崩しやすくなります。介護者は踵を床につけて、支持基底面を広くとり、重心を低くして身体を安定させる。

3. 立ち上がり動作は、真上ではなく前傾姿勢になってもらい、前上方に誘導します。

4.適切です。

5.かかとが浮かない程度に足を引いてもらい、前傾姿勢を促し、前方に誘導することで臀部を浮かせて座り直してもらいます。上下の重心移動ではなく、前後の重心移動を利用します。

右片麻痺のある利用者が、ベッドサイドでポータブルトイレを使用するときの設置場所として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.A  2.B  3.C  4.D  5.E

正解2

参考動画⇒ポータブルトイレへの移乗方法~片麻痺の方向け~

右片麻痺の場合、ベッド上で起き上がる、床に足を下ろすという動作を行う時、健側の腕でベッド柵につかまりながら、健側のほうに降ります。よってCDEは不適切です。

ポータブルトイレは、利用者が寝ている状態の健側の足側に置きます。

介護福祉職が利用者を仰臥位(背臥位)から側臥位へ体位変換するとき、図に示された力点の部位として、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.AとC
2.AとD
3.BとC
4.BとD
5.BとE

正解1

まず、ひざを高くたてることで、ベッドと接する部分が小さくなり、摩擦が少なくなります。そうすることによって、手足を伸ばして寝ている状態よりも、少ない力で介助をすることができます。
そして膝を向ける方向に回転させると、上半身も一緒に回転するので、それに合わせて肩を起こすと、介護者にも利用者にも負担を少なく体位変換できます。

標準型車いすを用いた移動の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.急な上り坂は、すばやく進む。
2.急な下り坂は、前向きで進む。
3.踏切を渡るときは、前輪を上げて駆動輪でレールを越えて進む。
4.段差を上がるときは、前輪を上げて進み駆動輪が段差に接する前に前輪を下ろす。
5.砂利道では、駆動輪を持ち上げて進む。

正解3

1.急な上り坂は、ゆっくり進むようにします。

2.急な下り坂は、後ろ向きで進みます。

3.これは正しいです。

4.駆動輪が段差に接してから前輪をおろします。前輪を段差の上にのせてすぐに下すと、何かの拍子にちょっと車イスが後ろに下がってしまった場合、ガタンっと前輪が落ちる危険があるので。

5.砂利道では、駆動輪ではなく、前輪を浮かせて進みます。

Lさん(25歳、男性)は、第7胸髄節(Th7)を損傷したが、現在、状態は安定していて、車いすを利用すれば1人で日常生活ができるようになった。図はLさんの自宅の浴室であり、必要な手すりは既に設置されている。Lさんが1人で浴槽に入るための福祉用具として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.段差解消機
2.ストレッチャー
3.すべり止めマット
4.四点歩行器
5.移乗台

正解5

胸髄損傷の場合、上肢の機能は通常保たれているため、腕や手を使った動作が一般的にできます。また、車イスの操作移乗などの動作も可能です。ただし、下肢の機能に影響があるため、歩行が困難になることが一般的です。

移乗台は、浴槽の縁にボードを渡して、そこに腰掛けて浴槽に入るための福祉用具です。Lさんは手すりを使って車いすから移乗台に移動し、ボードに深く腰掛け横移動し、ゆっくり身体の向きを変えて浴槽の中に片方ずつ足をいれて入浴できます。

出典 Yahoo!ショッピング

1.段差解消機は、車いすに乗った人が、段差を垂直に移動するための介護用リフトです。浴槽に入るための福祉用具として適切ではありません。

出典 イプロス都市まちづくり

2.ストレッチャーは、患者を横たわらせて移動させるためのもので、Lさんの場合には適していません。

3.すべり止めマットは、浴槽の中に入れたり、浴室の床に敷いて転倒を予防するためのものです。Lさんは胸髄損傷で立位が保てないと考えられるため、1人で浴槽に入るための福祉用具としては適切ではありません。

4.Lさんは胸髄損傷で立位・歩行は困難と考えられるので、歩行器は適切ではありません。

左片麻痺のある利用者が、浴槽内から一部介助で立ち上がる方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.利用者の左膝を立てて、左の踵を臀部に引き寄せてもらう。
2.浴槽の底面に両手を置いてもらう。
3.右手で手すりをつかんで前傾姿勢をとり、臀部を浮かしてもらう。
4.利用者の両腋窩に手を入れて支える。
5.素早く立ち上がるように促す。

正解3

1.左片麻痺のある利用者には、左側の身体機能が制限されており、この方法は困難です。右膝を立てて、右の踵を臀部に引き寄せてもらい、その後選択肢3のようにします。

2.浴槽から立ち上がる場合、右手(健側)で手すりや浴槽の縁をつかんで立ち上がってもらいます。左片麻痺のある利用者は、左手の力が弱く、浴槽の底面に両手をついても安定して立ち上がれません。

4.左片麻痺のある利用者は、患側の足に力が入りにくいため、介助者が利用者のを両手で支えることで、安全に立ち上がることができます。ただし、自立支援の観点から、できるだけ利用者自身が立ち上がりの動作を行える方法を選ぶことが望ましいので、選択肢3の方がベターです。

5.立ち上がるスピードを速めることは、利用者に負担をかけ、バランスを失う可能性があるので不適切です。

利用者を仰臥位(背臥位)から側臥位へ体位変換するとき、トルクの原理を応用した介護方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.利用者とベッドの接地面を広くする。
2.利用者の下肢を交差させる。
3.利用者の膝を立てる。
4.滑りやすいシートを利用者の下に敷く。
5.利用者に近づく。

正解3

トルクの原理を応用した介護方法というのは、簡単に言えば、介護者が利用者の回転運動を利用して、かかる力を最小限に抑える介護方法と言えます。

膝を立てることで、利用者の体重が足元に分散され、介護者が利用者を回す際にかかる力が最小限に抑えられます。

1.トルクの原理を応用して、仰臥位から側臥位へ体位変換する。具体的には利用者の体を小さくまとめて膝を立て、肩と腰を支えながら回転させると、利用者とベッドの接地面は狭くなります。

2.下肢は膝を立てるだけで、交差させません。下肢を交差させたまま体位変換を行うと利用者に不快感を与える可能性があります。

4.ベッド上で上下左右に平行移動させる場合には有効ですが、体位変換時に滑りやすいシートを利用者の下に敷いても意味がありません。

5.介護者が利用者に近づくことは、力をかけやすくなりますが、トルクの原理を活用した方法ではありません。

スライディングボードを用いた、ベッドから車いすへの移乗の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.アームサポートが固定された車いすを準備する。
2.ベッドから車いすへの移乗時には、ベッドを車いすの座面より少し高くする。
3.ベッドと車いすの間を大きくあけ、スライディングボードを設置する。
4.スライディングボード上では、臀部(でんぶ)を素早く移動させる。
5.車いすに座位を安定させ、からだを傾けずにスライディングボードを抜く。

正解2

スライディングボード

出典 SCRIO

ベッドを車いすの座面よりも少し高く設定することで、移乗時に利用者が自然に車いすに滑り落ちるような感覚で移動できるため、移乗がスムーズに行えます。また、利用者の力をあまり必要とせず、介護者の負担も軽減されます。

1.アームサポートがあると移乗時に邪魔になるので、取り外せるか移動させられる車イスが望ましいです。

3.転落の危険があるので、ベッドと車いすの間は、できるだけあけないようにします。

4.安全のために、スライディングボード上での移動は、急激な動作ではなく、ゆっくりとした動作で行います。

5.選択肢5の内容は間違っていませんが、「ベッドから車いすへの移乗の介護」で最も適切なものを選べということなので、選択肢2の方がベターです。

睡眠に関する問題

安眠のための介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.午後に1時間以上の昼寝をするように勧める。

2.なるべく早い時間に床に就くように勧める。

3.日中、適度な疲労が得られる運動をするように勧める。

4.寝る前に熱めの風呂に入るように勧める。

5.寝る前に緑茶を飲むように勧める。

正解3

1.長時間の昼寝は昼夜逆転につながりやすいので、適切ではありません。

2.就寝時間は人によって異なります。その人の生活のリズムを尊重し、規則的な生活習慣になるようにします。

3.これは適切です。

4.足浴や、ぬるめの湯につかることは安眠につながりますが、熱めの風呂に入ると交感神経が刺激され、安眠につながりません。

5.緑茶やコーヒーには覚醒作用があるカフェインが含まれているため不適切です。

Cさんは、関節リウマチが徐々に進行している。何とか自力で寝返りをすることができるが、思うように関節が動かなくなってきている。体調に変動があるため1日の過ごし方も不規則で昼夜逆転の生活が続いている。Cさんが夜間、安眠が得られるような介護福祉職の対応として、適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.早朝の散歩を勧める。

2.朝食は、とらないように勧める。

3.午後から、温水プールで運動をするように勧める。

4.マットレスは、柔らかいものを勧める。

5.枕は、高く硬いものを勧める。

正解3

1.関節リウマチの特徴で朝起きてから1時間くらい、「朝のこわばり」がでます。重いかばんなどを持った後はしばらく拳が開けなくなったりしますが、それと似た感覚です。これが全身の関節に現れるので、早朝の散歩は控えたほうがよいです。

2.昼夜逆転の生活が続いているため、食事をきちんととり、1日の生活にメリハリをつけ、規則正しい生活ができるようにする必要があります。

3.温水プールで身体が温まると血液循環も良くなり、身体が動かしやすくなります。また、浮力により関節にかかる負担も軽くなるため、プール内で歩行するのもよいです。日中に適度に運動することで夜間の安眠にもつながります。医師と相談しつつ、無理のない範囲で運動することは大切です。

4.マットレスが柔らかすぎると関節に負担を与えてしまいます。よって、身体が沈み込みすぎない適度な硬さのマットレスを使用する必要があります。

5.枕が高すぎると、首が前に傾き、呼吸しずらくなります。高い枕ではなく、その人の頸部に適した枕を使う必要があります。

安眠を促す生活習慣に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.就寝直前に入浴する。
2.夜食をとる。
3.就寝前に、軽いストレッチを行う。
4.就寝前に、温かいコーヒーや紅茶を飲む。
5.多量に飲酒する。

正解3

1.身体の深部(内部)体温が下がると眠くなり、安眠につながります。ぬるめの湯であれば、入浴するとリラックス効果で副交感神経が働き、体の表面の血行が良くなり、やがて放熱により深部体温が下がります。しかし、就寝直前での入浴は放熱に時間がかかり、深部体温がすぐに下がらないので適切ではありません。

2.睡眠中でも消化は行われ、胃腸は忙しく働きます。その状態では脳や体は休まることはなく、睡眠に入っても浅い眠りにしかなりません。また、睡眠中は胃腸の運動がゆっくりになるので、重い食事を摂るとムカつきの原因となる可能性もあり、安眠につながるとは言えません。

3.就寝前に軽いストレッチを行うと、リラックス効果で副交感神経が働き快眠につながります。

4.温かいコーヒーや紅茶に含まれるカフェインは、神経を興奮させてアドレナリンの分泌を促すため、脳が興奮状態になり、なかなか寝つけなくなります。

5.アルコールは寝つきを良くしますが、多量に飲酒するとアルコールを分解するために身体が活発になり、交感神経を刺激して浅い眠りになります。またアルコールには利尿作用もあるため、夜間に目が覚めることにもつながります。

概日リズム(サーカディアンリズム(circadian rhythm))を回復させるための介護福祉職の関わりとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.早朝に、高強度運動を行うように勧める。

2.起床後はカーテンを開けて、日光を浴びるように勧める。

3.夕食に、トリプトファン(tryptophan)を含む食事を提供する。

4.就寝前に、テレビを見たり、パソコンを使ったりすることを勧める。

5.平日の睡眠時間が短いときには、休日の「寝だめ」を勧める。

正解2

参考テキスト⇒概日リズム(サーカディアンリズム)

1.高強度運動ではなく、適度な運動が効果的です。

2.日光は最も強い同調因子であるので、適切です。

3.トリプトファンセロトニンになり、そしてメラトニンになるまでには、時間がかかります。ですから、夜にメラトニンを十分に分泌するためには、朝食にトリプトファンを摂取する必要があります。

4.就寝前に、テレビを見たり、パソコンを使ったりすると、交感神経が刺激され、寝つきが悪くなります。

5.休日の寝だめは、体内リズムをずらし、逆効果になります。

昼夜逆転している利用者への介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.食べたい時に、食事をするように促す。

2.1時間以上、昼寝をするように促す。

3.タ方に、散歩をするように促す。

4.寝る直前に熱いお風呂に入るように促す。

5.眠くなるまで、テレビを見て過ごすように促す。

正解3

1.食事時間はある程度決めて、規則正しい生活リズムを整えていくことが望ましいです。

2.1時間以上の昼寝は、夜に眠れなくなり、結果的に昼夜逆転を引き起こしてしまう可能性があります。

3.夜間のスムーズな入眠のためには、適度な疲労感と精神面での安定が必要です。

4.熱いお風呂での入浴は、交感神経が刺激され、覚醒を促すことになり逆効果となります。

5.睡眠直前までテレビを見続けていると、視覚からの映像と光による脳細胞への刺激が続き、交感神経が優位になり眠りを妨げます。

眠れないと訴える高齢者に介護福祉職が行う助言して、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.起床時に日光を浴びるように勧める。

2.日中、長い昼寝をするように勧める。

3.夕食後2時間以内に就寝するように勧める。

4.寝る前に緑茶を飲むように勧める。

5.決まった就床時刻を守るように勧める。

正解1

1.体内リズムを調整するホルモンの一つに眠気を誘うメラトニンがあります。メラトニンセロトニンを原料として合成されます。そして、このセロトニン日光を浴びることによって分泌されます。

2.日中の長い昼寝は生活リズムを狂わせてしまったり、夜の睡眠の質を低下させてしまうため、適切ではありません。

3.食事をとった後にすぐ眠ると身体は消化吸収に集中することになり、睡眠が浅くなる原因となります。夕食と就寝時間の間隔は2~3時間はあけることが望ましいです。

4.緑茶にはカフェインが含まれています。カフェインは脳を覚醒させる働きがあるので、寝る前に飲むことは勧められません。

5.生活リズムを規則正しくすることは大切ですが、生活リズムは個人によって異なります。特定の時刻に寝るように勧めるのは適切ではありません。

Dさん(75歳、女性)は、以前は散歩が好きで、毎日、1時間ぐらい近所を歩いていた。最近、心不全(heart failure)が進行して歩行がゆっくりとなり、散歩も出かけず、窓のそばに座って過ごすことが多くなった。食事は、すぐおなかがいっぱいになるからと、6回に分けて食べている。夜、「横になると呼吸が苦しい時があり、眠れていない」 という言葉が聞かれるようになった。
Dさんへの安眠の支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.寝る前に、肩までつかって入浴する。

2.寝る30分前に、少量の食事を摂取する。

3.以前のように、毎日1時間の散歩を再開する。

4.就寝時は、セミファーラー位にする。

5.朝、目覚めた時にカーテンを開ける。

正解4

参考テキスト⇒心不全

1.肩までつかって入浴すると、静水圧作用により心臓の負担が大きくなるので、水位を心臓よりも低くする必要があります。

2.安眠の支援をするうえで大切なことは、寝る前に適度に体温を下げることです。食事を摂ると、消化のためにからだの深部体温が上昇してしまいます。

3.心不全が進行しているDさんが、以前のように、毎日1時間の散歩を再開することは病状を悪化させる可能性があり危険です。

4.セミファーラー位は 仰向けに寝て、上半身を15度から30度起こした姿勢のことです。40度~60度ならファーラー位(半座位)、90度起こした状態は座位といいます。 軽く上体を起こすことによって、横隔膜が下がりやすくなり、呼吸がしやすくなります

5.カーテンを開け日光を浴びることは大切ですが、「横になると呼吸が苦しい時があり、眠れていない」 と発言されていることから、安眠の支援はここを改善するものでなければなりません。

Bさん(84歳、男性)は、生活全般に介護を必要としている。ベッド上に仰臥位でいるBさんは、喘息があり、咳込みが続き呼吸が苦しくなり、「楽な姿勢にしてほしい」と訴えた。
介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.枕を外して、顔を横に向けて腹臥位にする。

2.枕を重ねて、頭を高くする。

3.左側臥位にして、背中にクッションを当てる。

4.半座位(ファーラー位)にする。

5.オーバーベッドテーブルの上に枕を置いて、上半身を伏せる。

正解5

1.腹臥位は呼吸運動が妨げられる姿勢です。

2.顎を引いた状態で気道が圧迫され、呼吸がしにくくなります。

3.左側臥位でクッションは抱えるようにし、手足の力を抜きリラックスした姿勢を取れば、仰臥位より呼吸は楽になりますが、選択肢5の方がベターです。

4.仰臥位よりファーラー位のほうが呼吸が楽になりますが、咳き込みが続いてると書かれており、選択肢5のほうがさらに楽です。

5.これは起座位で適切です。心疾患の人には安楽な姿勢であり、喘息発作では呼吸がしやすくなります。

睡眠の環境を整える介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.寝具を選ぶときは、保湿性を最優先する。
2.湯たんぽを使用するときは、皮膚に直接触れないようにする。
3.寝室の温度は、1年を通して15℃前後が望ましい。
4.枕は、顎が頸部につくぐらいの高さにする。
5.就寝中の電気毛布は、スイッチを切る必要がない。

正解2

1.寝具に保湿性は必要ありません。

2.低温やけどのリスクがあるので、これは適切です。

3.一般的に高齢者に適した室温は24℃±2℃くらいなので15℃前後は少し低すぎます。

4.苦しくて寝られません。

5.人は眠りにつくとき体温が下がり眠気がきますが、 電気毛布だと体温が下がることがありません。そのまま眠っても体温が上がったままだと眠りが浅くなります。

また、電気毛布で就寝中の体温を無理に上昇させると体温調節機能も低下して脱水症状や免疫力の低下を招きます。

なので、就寝する30分くらい前に電源をONにして布団をあたためておき、布団に入ったらスイッチを切るという使い方が適切です。

Lさん(78歳、男性)は、脳梗塞後遺症による右片麻痺がある。妻の介護疲れで、3日前から介護老人保健施設の短期入所療養介護(ショートステイ)を利用している。入所以降、Lさんは日中もベッドで横になっていることが多かったため、介護福祉職がLさんに話を聞くと「夜、眠れなくて困っている」と訴えた。介護福祉職のLさんへの対応として最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.施設の起床時間や消灯時間をわかりやすく伝える。
2.眠ろうとする意志が大切だと説明する。
3.自宅での睡眠の状況について詳しく尋ねる。
4.日中の睡眠の必要性を伝える。
5.睡眠薬の服用について提案する。

正解3

1.施設の生活に合わせるのではなく、Lさんの在宅での生活を継続できるようにすることが大事なので、適当ではありません。

2.眠ろうとする意志があれば眠れるわけではないので、不適切です。

3.自宅にいるときから眠れないのか、ショートステイを利用している時だけ眠れないのか、情報が必要なため、自宅での睡眠状況について詳しく尋ねるのは適切です。

4.日中にしっかり眠ると、夜間の不眠の原因になるので不適切です。

5.睡眠薬の服用に関しては、医師が判断することなので不適切です。

整容・入浴等に関する問題

片麻痺のある利用者が着脱できる衣服を選択するときの助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.留めるボタンが小さいブラウスを勧める。

2.かぶり式のセーターを勧める。

3.股上の浅いスラックスを勧める。

4.伸縮性のないスラックスを勧める。

5.ウエストをひもで結ぶスラックスを勧める。

正解2

1.片麻痺がある場合、ボタンが小さいと留めることが難しくなります。

2.比較的容易に着脱できるかぶり式のセーターやトレーナーを勧めることは適切です。

3.股上の深いスラックスのほうが着脱しやすいです。

4.伸縮性のあるスラックスの方が着脱しやすいです。

5.片麻痺がある場合、ウエスト部分を紐で結ぶのは困難です。

介護を必要とする高齢者の衣服と、その支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.片麻痺の高齢者には、支援者が着脱させやすい前あきの上着の購入を勧める。

2.左片麻痺がある場合は、左半身から脱ぐように進める。

3.生活のリズムを保つために、昼と夜とで衣服を替えるように勧める。

4.衣服は気候に合わせて支援者が選ぶ。

5.季節に関係なく、保温性よりも通気性を重視した衣類を勧める。

正解3

1&4.利用者が着脱しやすい衣服がのぞましいです。片麻痺がある場合、ゆったりとした伸縮性のある、かぶりタイプの衣服も適しています。また、利用者の好みのデザインや色等も大切にする必要があります。

2.脱健着患が基本です。左片麻痺なので右から脱ぎ、左から着るようにします。

3.これは適切です。ただし、その方のこれまでの生活習慣を無視して、必ず”着替えてもらうようにする”となってくると不適切になります。

5.冬場は保温性も重要です。

L さん(86 歳、女性)は、 アルツハイマー型認知症(dementia of theAlzheimer’s type)があり、通所介護(デイサービス)に通っている。最近、季節外れの服を着ていることが多くなった。夏のある日、通所介護(デイサービス)の介護福祉職が迎えに行くと、厚手の上着を着て汗をかきながら玄関で待っていた。
介護福祉職のLさんへの対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.「車を待たせているので早く着替えましょう」と、着替えを促す。

2.鏡を見せて、間違いを指摘する。

3.「今は夏ですよ」と、季節を伝える。

4.服装にはふれず、そのまま本人の行動を尊重する。

5.「汗をかいていますね。上着を脱ぎませんか」と、働きかける。

正解5

1.「車を待たせている」「早く着替える」という表現は、介護福祉職の都合であり、Lさんに対する介護にはなっていません。認知症の利用者に対して、急かした介護は不適切です。

2&3.間違いを指摘することで、Lさんの自尊心が傷つく可能性があります。また、否定されたという印象をもってしまうため、適切ではありません。

4.Lさんは発汗している状態であり、服装にふれないことは、脱水の危険を高めてしまうため、適切ではありません。

5.Lさんの間違いではなく、汗をかいているという事実に対して、声かけしており、適切です。

実行機能障害のある利用者への更衣の介護として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.季節に合う衣類を介護福祉職が選ぶ。
2.利用者の好みよりも機能性を重視する。
3.必要な衣類をまとめて渡す。
4.隣で洋服を着る動作を示す。
5.着る順番を紙に書いて渡す。

正解4

1&2.利用者本位ではなく、介護者本位になっています。衣類の選択を介護福祉職がすることは適切とはいえません。

3.衣類をまとめて渡しても、それをどのような順番で、どのように着ればよいのかがわからないため、適切ではありません。

4.実行機能障害のある利用者への介護は、動作一つひとつに対して、丁寧に声かけしたり、やって見せたりすることが重要です。

5.着る順序を紙に書いただけでは、途中でわからなくなってしまう可能性があります。

保温効果を高めるための着衣に関する次の助言のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.衣類の間に薄手の衣類を重ねて着るように勧める。

2.一番上に通気性の高い衣類を着るように勧める。

3.一回り小さいサイズの衣類を着るように勧める。

4.肌に接する衣類は、防水性の高いものを着るように勧める。

5.袖幅の大きい衣類を着るように勧める。

正解1

1.薄手の衣類を重ねると空気の層ができます。空気は熱伝導率が低く、熱を伝えにくいため、熱を逃がしにくなります。

2.一番上に通気性の高い衣類を着ると、せっかく温まった空気が逃げてしまい保温効果が下がってしまいます。一番上には気密性の高いコート類などにし、熱の発散を防ぐようにします。

3.一回り小さいサイズの衣類でからだにぴったりと密着すると、からだを締め付けるため血行が悪くなり逆効果となります。保温効果を高めるには、流動しない程度の空気の層を何層も作るような重ね着が効果的です。

4.肌に接する衣類は、肌触り伸縮性が大切です。防水性が高いと蒸れて不快感が増す可能性があります。

5.袖幅の大きい衣類は、からだと衣類の間の温かい空気を袖口から外へ逃がしてしまうことになるため、保温効果は低いです。

頸髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)の利用者が自分で更衣できるようにするための介護福祉職の助言として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.かぶりの衣類より、前あきの衣類を勧める。

2.ズボンの更衣は座位で行うように勧める。

3.ファスナーはボタンに変えるように勧める。

4.靴下にループをつけるように勧める。

5.上衣の着脱は仰臥位で行うように勧める。

正解4

参考テキスト⇒脊髄損傷

第6頸髄節まで機能残存:四肢麻痺ですが、肩・肘を曲げることと、手首を背屈することが可能になってきます。手指を使った細かな動作は困難ですが、大部分の人が、身の回りのことが可能になる可能性があります。

1.第6頸髄節までの機能が残存しているとの情報からは、一部の上肢機能が残存していることを推測できますが、手の微細な動きや指の動きが制限されている可能性があります。

なので前開きの衣服にあるボタンやファスナーの操作は難しい場合があります。このような場合、かぶり式の衣服が適切です。

一方で、前開きの衣服は、手関節や前腕の動きを最大限に活用することで、着脱を容易にすることができます。特に、大きなボタンやファスナー、またはマジックテープのような簡単に操作できる開閉部がある衣服を選ぶことで、独立した着脱が可能となる場合があります。利用者状態やできることが詳しく書かれていないため、選択肢1は確実に✖とは言い切れません。なので公式の正解は選択肢4ですが、選択肢1で間違っても問題ありません。

2.第6頸髄節まで機能残存では、座位だと臀部を持ち上げる動作が困難で、ズボンが履けません。ズボンを履く際は、ベッド上でギャッジアップを利用した長座位と側臥位の姿勢で行います。

参考テキスト⇒『自分で行う更衣動作

↑かなり詳しく記載されていますが、がんばって覚える必要はありません。どのように更衣するのかざっと目を通しておくくらいで大丈夫です。

3.ボタンのかけ外しは難しいので、ファスナーにリングをつけてるなどの工夫をします。

4.これは適切です。ギャッジアップ座位で、腕を使って片足を引き上げて、ループを引いて間口を広げ踵まで通します。ただし、ギャッジアップができないベッドだと、靴下を履くために足を自身の手の届く範囲に持ってくること自体が難しい可能性があります。

5.利用者が自分で更衣(上衣)できるようにするためには、ベッドをギャッジアップし、背もたれがある状態で更衣するとよいです。

ベッド上で臥床したままの利用者に行う和式寝衣の交換の介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.袖を抜くときは手→肘→肩の順で行う。

2.脱いだ寝衣を広げ、その上に新しい寝衣を重ねて広げる。

3.利用者の脊柱と新しい寝衣の背縫いの部分を合わせる。

4.左前身頃の上に、右前身頃を重ねる。

5.腰紐は結び目が背中に回るように結ぶ。

正解3

1.袖を抜くときは、肩→肘→手の順番です。

2.脱いだ寝衣の上に新しい寝衣を重ねると、新しい寝衣が汚れる可能性があります。

3.浴衣などと同様に衣服と体を合わせるには、脊柱と背縫いの線を合わせると衣服の位置がずれにくくなります。

4.選択肢は亡くなった人の場合の着せ方です。通常は、右前身頃の上に、左前身頃を重ねます。つまり、左の襟が上の状態です。↓通常の着物の着方

kimono

出典 EPARK

5.腰紐は結び目が前面にくるように結びます。背中に結び目が来ると褥瘡の原因になります。

次の記述のうち、高次脳機能障害(higher brain dysfunction)による着衣失行のある人に対する着衣の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.着替えができない理由を本人に確認する。

2.左右がわかるように衣類に印をつける。

3.着衣の前に全ての手順を口頭で指示する。

4.衣服を畳んで渡す。

5.着衣の方法を毎回変えるように勧める。

正解2

参考テキスト⇒高次脳機能障害のある人の支援のポイント

1.理由を本人に確認しても、何の解決にもつながりません。加えて、本人の自尊心を傷つけてしまう可能性もあります。

2.適切です。他には、隣で着衣動作をみせるなどの支援もあります。

3.説明は短く簡潔にが原則です。全ての手順を説明しても、忘れてしまったり、混乱してしまう可能性が高いです。

4.あらかじめ広げたものを渡さないと、上下左右や裏表などの認識ができない可能性があります。

5.着衣だけに限らず、高次脳機能障害のある人の支援は、関わる支援者が同じ指示を出し、同じパターンで進めることが、本人の混乱を防ぎ、行動の確実な定着を促すことにつながります。

介護福祉職が行う身じたく・整容の支援と使用する道具の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.ベッド上での口腔ケア — ガーグルベースン

2.浴室での洗髪 — ドライシャンプー

3.総義歯の洗浄 — 歯磨剤

4.耳垢(耳あか)の除去 — ピンセット

5.ベッド上での洗顔 — 冷水で絞ったタオル

正解1

1.ガーグルベースン(↑画像)とは、ベッド上などでうがいした水や嘔吐物を受けるのに使う、カーブした洗面器のようなものです。

2.ドライシャンプーは水で流す必要がないシャンプーです。浴室で洗髪できるならば必要ありません。

3.歯磨剤は、義歯を傷つける場合あるため、使用しません。義歯は、義歯洗浄剤を使用するようにします。

4.耳垢の除去には、綿棒や耳かきを使用します。ピンセットでは耳を傷つけてしまう可能性があります。

5.冷たいタオルで顔を拭きたいというような要望がある場合を除き、通常は温水で絞ったタオルを使用します。

更衣のための介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.手指の細かな動作が難しい利用者に、マグネット式のボタンを勧める。

2.認知症(dementia)のある利用者に、ボタンエイドの使用を勧める。

3.下肢の筋力低下のある利用者に、立位で更衣をするように勧める。

4.視覚障害のある利用者に、ソックスエイドの使用を勧める。

5.片麻痺のある利用者に、袖ぐりの小さい上衣を勧める。

正解1

1.手指の細かな動作が難しい利用者にマグネット式のボタンやマジックテープで留めるタイプのものを勧めるのは適切です。

2.ボタンエイドは手指に障害がある人などが、ボタンを留めるために使う自助具です。ボタン穴に差し込んでボダンを引き出す必要があるため、認知症のある利用者が使うことは難しいです。

ボタンエイド

出典 アビリティーズ

3.下肢筋力が低下している利用者に対して、立位で更衣をするように勧めることは、転倒のリスクもあり、不適切です。

4.ソックスエイドは視覚障害者ではなく、腰痛や股関節の骨折などにより足先まで手が届かない人が靴下を履くときに使用する自助具です。

ソックスエイド

出典 アビリティーズ

5.片麻痺のある利用者には、袖ぐりの大きい上衣が望ましいです。袖ぐりはアームホールです。

袖ぐりなど

出典 dfashion

ベッド上での全介助を要する利用者の口腔ケアの基本的留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第24回介護福祉士国家試験)

1.洗口剤を使用して、歯垢を除去する。
2.舌の汚れを取り除く。
3.義歯をつけたまま行う。
4.硬い毛の歯ブラシを使う。
5.仰臥位で行う。

正解2

1.洗口剤を用いる含嗽法(ぶくぶくうがい)では、食物残渣の除去や口腔内の保湿を目的としており、歯垢を完全に除去することはできません。そのため、ブラッシングなども行う必要があります。

2.歯だけでなく、舌などの口腔内の汚れを取り除くことも重要です。

3.義歯を外してから行う必要があります。

4.口腔内を傷つけないように、基本的に柔らかめの歯ブラシがよい。

5.誤嚥の危険性があるため、仰臥位では行いません。

介護が必要な利用者の口腔ケアの方法として、適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.ベッド上で実施する場合、仰臥位にする。

2.全部床義歯(総入れ歯)の場合、上からはずす。

3.ブラシの部分が大きく硬い歯ブラシを選ぶ。

4.うがいができる場合、ブラッシング前にうがいをする。

5.舌苔は残さず取り除く。

正解4

1.できる限り座位で行う事が基本ですが、寝たきりの場合には、誤嚥を防止するため、側臥位にして行う。

2.全部床義歯は上から装着し、下からはずすのが基本です。理由は下から装着すると、上をつける時にぶつかり、少しつけにくいからです。下からはずす理由も同様です。

3.その者に適した歯ブラシを選択することが望ましいです。一般的に、ブラシ部分が大きいと、奥歯が磨きにくく、ブラシが硬いと、歯茎などを傷つけやすいです。

4.ブラッシング前にうがいをすることで、口腔内に適度な湿り気を与え粘膜の損傷を防ぎ、汚れを取り除けます。

5.舌苔は、専用のブラシやスポンジブラシで、奥から手前にかき出すように取り除きます。一度に全部取ろうとすると、舌を傷つけてしまったり、長時間のケアで利用者が疲労したりしてしまうので、数回にわけるのが適切です。

義歯の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい(第29回介護福祉士国家試験)

1.上顎用の総義歯は、義歯の後方を下げるようにしてはずす。

2.水を入れた専用のボールの中でブラッシングする。

3.ブラッシングするときは、柔らかめの歯ブラシを用いる。

4.保管容器に、義歯の半分がつかる程度の水を入れて保管する。

5.総義歯を装着するときは、回転させずにまっすぐ口腔内に入れる。

正解

1.上顎用の総義歯を外す場合は、義歯の後方を下げることで、そこから空気が入り、外しやすくなります。

2.義歯は流水で洗います。洗浄時は落として破損しないように、水を張ったボール等を使用して洗うとよいです。

3.義歯用の歯ブラシを使用し、流水で洗います。義歯用の歯ブラシが用意できない場合は固めの歯ブラシでも代用できます。

義歯用歯ブラシ

4.義歯の変形やひび割れを防止するために、義歯全体が水につかるようにして保管します。

5.総義歯を装着する場合は、義歯を回転させて口腔内に半分程度入れ、その後義歯を戻し、残りの部分を入れるとスムーズに装着できます。

Cさん(75歳、男性)は、頚椎症(cervical spondylosis)と診断された。手がしびれ、指先に力が入らない。しびれが強い左手に加えて、最近では、右手の症状が進行して、食後の歯磨きがうまくできなくなった。
Cさんが口腔の清潔を保つための介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.歯間ブラシの使用を勧める。

2.歯ブラシをやめて、洗口液のうがいをするように勧める。

3.柄を太くした歯ブラシの使用を勧める。

4.口をすすぐときは、上を向くように勧める。

5.歯ブラシを歯肉に当てるように勧める。

正解3

1.Cさんのように手がしびれ、細かい動作が難しい場合、歯間ブラシでは歯肉を傷つけてしまう可能性があります。

2.洗口液によるうがいでは、歯垢を除去することができません。「歯磨きが”うまく”できなくなった」と書かれているだけで、できないとは書かれていないので、歯磨きをやめるのではなく、うまくできるような支援を考えるべきです。

3.指先に力が入らない人は、柄を太くすることで、持ちやすく、操作しやすくなります。

4.上を向いて口をすすぐことは、誤嚥のリスクがあります。

5.歯肉のブラッシングは、口腔の清潔を保つために有効ですが、手のしびれで歯磨きがうまくできなくなったCさんの場合、歯肉を傷つけてしまう可能性があります。

電気かみそりを使ったひげそりの方法として、適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.蒸しタオルを当ててひげを柔らかくする。

2.電気かみそりを皮膚に強く押し当てる。

3.電気かみそりを皮膚に対して直角に当てる。

4.ひげの流れに沿って剃る。

5.顎の下などの湾曲した部分は、皮膚を寄せるようにして剃る。

正解3

1.電気かみそりの場合は、ひげが固い方が剃りやすいので、蒸しタオルを当ててひげを柔らかくする必要はありません。

2.皮膚を傷つけないように軽く当てるようにします。

3.これは適切です。

4.ひげの流れと反対方向に剃ります。

5.皮膚を広げるようにして剃ります。

耳・鼻の清潔保持の介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)

1.耳垢が取りにくい時は、ピンセットを使う。

2.乾燥した耳垢は綿棒で湿らせてから取る。

3.綿棒は内耳まで入れる。

4.鼻は左右同時にかむ。

5.鼻毛は毛抜きで抜く。

正解2

1.耳垢が取りにくい場合は、無理に取らず、耳鼻科への受診を勧めます。また、耳垢をとる場合は通常、綿棒や耳かきを使用します。ピンセットは使いません。

2.これは適切です。

3.耳掃除ができるのは外耳のみです。

4.左右同時にかむと、鼓膜に強い圧力がかかります。そうすると細菌やウイルスを介した鼻水が、耳管を通して中耳に送り込まれ、耳痛や耳だれをおこす急性中耳炎になることがあります。

耳管

出典 おおた耳鼻咽喉科

耳管は中耳と咽頭をつなぐ管状の器官です。気圧を調節する働きがあり、高い山に登った時などの耳のふさがりが、あくびをしたり、つばを飲み込むと治るのは、耳管が開いて、空気を出し入れするからです。

鼻をかむときは、ゆっくりと左右交互に片方ずつかむようにします。

5.毛を抜いて引っ張ることで毛穴に傷がつき、粘膜が傷ついて炎症を起こす可能性があります。抜かずに切るようにします。

高齢者の整容支援の注意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.整髪料の使用は避ける。

2.目やにを拭きとるときは、目じりから目頭に向かって拭く。

3.爪を切る時は、少しずつ切る。

4.耳垢が固い時は、ピンセットを使って除去する。

5.義歯は乾燥させてからケースに保管する。

正解3

1.利用者本人が使いたいかどうかが重要です。

2.目頭から目じり向かって拭くのが基本です。

3.高齢者は爪がもろくて割れやすいため、少しずつ切るようにします。また、深く切りすぎると巻き爪の原因になったりするので注意が必要です。

4.耳垢が固いときは無理して取ろうとせず、耳鼻咽喉科の医師に相談するようにします。

5.義歯は乾燥させるとひび割れや変形を引き起こすため、日中、使用しないときは保存容器の水のなかに浸して保管し、夜間は義歯洗浄剤につけておきます。

ベッド上での洗髪の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)

1.洗髪前は、ブラッシングを控える。

2.シャンプー剤を直接頭皮につける。

3.爪を立てマッサージしながら洗う。

4.すすぎ湯を流す前にシャンプーの泡を取り除く。

5.ドライヤーは、頭皮から5㎝離して使用する。

正解4

1.洗髪前にブラッシングを行い、地肌の汚れを浮かせます。頭皮の血行も良くなり、髪のからみもとることができます。

2.多くのシャンプーは、その成分のほとんどが水分と界面活性剤となっています。この界面活性剤は頭皮には刺激が強く、直接つけると頭皮を痛めてしまう可能性があるので、手で泡立ててからつけます。

3.頭皮を傷つけないように、爪をたてず、指のでもむように洗います。

4.すすぐ時間を短縮でき、すすぐためのお湯も少なくて済みます。

5.5㎝では熱いので、20cm程度は離す必要があります。

長期臥床している高齢者にケリーパッドを使用して行うベッド上での洗髪に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.膝を伸ばした仰臥位で行う。

2.頭皮に直接お湯をかけて、生え際を濡らす。

3.後頭部を洗う時は、頭部を前屈させる。

4.すすぐ前に、タオルで余分な泡を拭き取る。

5.すすぎは高い位置からお湯をかける。

正解4

ケリーパッドを使用した洗髪↓

ケリーパッド

出典 八戸看護専門学校 看護学科

1.膝を立て、膝下にクッションを入れると腹筋の緊張が和らぎます。できるだけ安楽な姿勢で行うようにしなければなりません。

2.介助者の手で湯温を確認しながら、毛髪全体にお湯をかけます。事前にブラッシングを行い、フケなどを浮かせておけば、よりきれいに洗髪できます。

3.頸部の負担を考え、前屈も後屈もさせず、頭部全体を支えて洗います。

4.すすぎの際はまずタオルで頭を包み込むようにしてシャンプー液をふき取るとります。こうすることにより、すすぎのお湯と時間を節約できます。

5.高い位置からお湯をかけると、お湯が飛び散る可能性があり、不適切です。

介護福祉職が行う爪切りに関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.爪は十分に乾燥させてから切る。

2.周囲の皮膚に腫れや傷がある場合は、少しずつ切る。

3.手の爪は、手首を持って動かないようにして切る。

4.爪の先端の白い部分を1mm ぐらい残して切る。

5.爪やすりは、中央から端に向かってかける。

正解4

参考テキスト⇒爪切り介助の技術

1.乾燥させてから切ると、割れやすくなるので不適切です。爪は水分に浸すと柔らかくなるので、入浴後や蒸しタオルなどを当てた後に行うと安全です。

2.爪の周囲の皮膚に腫れや傷がある場合は、医療職に連絡する必要があります。

3.手の爪を切る際、手首を持っても指先が動いたりするため、注意が必要です。

4.これは適切です。

5.爪やすりは「ささくれ」ができないように、端から中央に向かってかけます

清拭の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.目の周りは目尻から目頭に向かって拭く。

2.背部は患部を下にして拭く。

3.腹部は臍部から恥骨部に向かって拭く。

4.両下肢は末梢から中枢に向かって拭く。

5.皮膚についた水分は最後にまとめて拭く。

正解4

参考テキスト⇒清拭

1.目頭から目尻に向かって拭きます。

2.体の重みで患部が悪化する可能性があるので、患部を上にして背部を拭きます。片麻痺がある場合も、患側を上にして拭きます。

3.腹部は腸の走行に沿って拭きます。これは腸の蠕動運動を促進させるためです。よく「の」の字を書くように拭くと表現されます。

5.皮膚についた水分は、利用者の体温を下げてしまうので、その都度こまめに拭く必要があります。

入浴介助に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第24回介護福祉士国家試験)

1.空腹時の入浴は避ける。

2.温度の確認のために肩にお湯をかける。

3.片麻痺の場合、麻痺側から浴槽に入る。

4.新陳代謝を抑えるために長く湯につかる。

5.入浴後は、休息をとった後に身体の水分を拭きとる。

正解1

1.入浴はカロリーを消費し、低血糖になる可能性があるので、空腹時は避ける必要があります。特に糖尿病の方は注意が必要です。

2.温度確認は介護職の手で行います。

3.

浴槽への出入りの原則は、健側から行う。健側から入ることによって浴槽の温度が自身で確かめられるし、浴槽内での足の踏ん張りもきくため。

生活支援技術テキスト

4.長湯は、血圧の変化など人体への影響が大きいため、5~10分が望ましいです。

5.体表に水分が残っていると、熱が奪われ寒さを感じます。入浴後は、まず身体の水分を拭きとり、保湿を図るとともに、水分を補給したうえで十分に休息する必要があります。

老人性掻痒症がある人の入浴の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)

1.硫黄を含む入浴剤を使う。

2.弱酸性の石けんでからだを洗う。

3.かゆみのある部位は、ブラシでこする。

4.皮膚を乾燥させてから、保湿剤を塗布する。

5.着替えの下着は、厚めの羊毛素材にする。

正解2

1.硫黄を含む入浴剤は、皮膚を乾燥させやすく適切ではありません。

2.pH4~6の弱酸性が皮膚表面での細菌増殖を防ぐと考えられています。石けんは皮膚のpHに近い弱酸性のものが適切です。

ちなみにpHは、水の性質を知るための一つの目安として使われ、pH値が7より小さいとき酸性を示し、7より大きいときアルカリ性を示します。

3.老人性掻痒症では擦りすぎるとかゆみを誘発して悪化させてしまいます。

4.水分をふきとった後、皮膚が乾燥する前に、保湿剤を塗布します。

5.羊毛素材などの毛の素材は、皮膚を刺激しやすいです。

右片麻痺があり一部介助があれば歩行できる利用者の入浴介護として、適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.浴室内では、介護職は利用者の左側に付き、腕と腰を支えながら一緒に移動する。

2.浴室の出入り口に一段の段差がある場合は、左足から下がり、右足から上がる。

3.浴槽に入るときは、まず右足を入れ、次に左足を入れる。

4.浴槽から出るときは、浴槽の縁やバスボードにいったん座る。

5.介護職が利用者の全身を洗う。

正解4

参考テキスト⇒片麻痺がある利用者の入浴介助の留意点

1.利用者の患側について介助するのが基本です。

2.原則は、段差をあがる場合は、健側から。段差を下りる場合は、患側からです。

3.湯温が利用者自信でも確認でき、浴槽内でふんばれるので、まず健側である左足から入れます。

4.これは適切です。

5.自立支援の観点から、利用者が自分で行える動作については自分でやってもらうように対応することが適切です。

手浴・足浴に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.手浴は、温めて手指を動かすことで拘縮の予防につながる。

2.手浴は、寝た姿勢のままで行う方が良い。

3.足浴は、眠気がとれて覚醒する。

4.足浴は、冬場は寒いので避ける。

5.手浴・足浴の時間は、長いほど良い。

正解1

2.寝たきりの場合であれば寝たまま行っても問題ありません。座位を保持できる場合であれば椅子や車いすに座ってもらうなどして行っても問題ありません。寝た姿勢で行う方が良いということはありません。

3.血行が促進され、爽快感も得られるので快眠につながりやすいという効果があります。

4.血行が促進され、身体全体が温かく感じられるようになります。特に手足が冷えやすい冬場に実施すると効果的です。

5.利用者の心身状態に合わせて、適宜調整する必要があります。長時間の手浴・足浴はエネルギーの消耗につながるため、長いほど良いというわけではありません。

ベッド上で足浴を実施するときの基本的な手順や方法として、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.ベッドの足元をギャッジアップする。

2.お湯の温度の確認は、利用者、介護福祉職の順に行う。

3.ズボンを脱がせて、下肢を露出する。

4.洗う側の足関節を保持しながら洗う。

5.両足を一度に持ち上げて、すすぐ。

正解4

1.上半身を起こせるようであれば、ベッドに腰掛け、足底部が床につくようにベッドの高さを合わせます。上半身を起こすことができない場合は、ベッドに横になったまま膝を曲げ、膝の下に枕やクッションをいれて体の安定を確保するようにします。足元をギャッジアップすると湯を入れている容器が安定ません。

2.介護職>利用者の順に行います。

3.膝までまくれば、ズボンを脱がせる必要性はありません。プライバシーの観点からも露出は極力減らすべきす。

4.これは適切です。

5.片足ずつすすぎます。両足同時では利用者、介護者ともに負担が大きいです。

入浴介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.埋込式ペースメーカーを装着している人は、シャワー浴にする。

2.人工肛門(ストーマ)のある人は、湯が入らないように装具をつける。

3.酸素療養中の人は、鼻カニューレをはずして入浴する。

4.血液透析を受けている人は、透析直後の入浴を控える。

5.腹水がある人は、洋式タイプの浴槽に横たわった状態で入浴する。

正解4

1.入浴は、熱い風呂や長湯で心臓に負担をかけない限り、ペースメーカーに影響を与えません

2.装具を装着したままでも、外した状態でも入浴できます。※尿路ストーマの場合は、尿が常に出ているので、基本的には入浴の際に装具をつけて入浴します。

3.酸素療養中の人は湯の量はみぞおちの高さ程度までにし、鼻カニューレをはずさずに入浴するようにします。

4.透析後は血圧が低い傾向にあり、入浴によって更に血圧が低下する可能性があります。

ぬるめのお湯では副交感神経が刺激され、リラックスし、血圧は下がります。逆に熱いお湯では血圧は上がります。

また、入浴によってシャント穿刺部の出血と感染の危険性があるため透析直後の入浴は控えるようにします。

5.

腹水:腹腔内に多量の体液が貯留した状態。腹水が貯留すると、横隔膜が押し上げられ、呼吸がしにくい状態となる。

呼吸を圧迫しないように、胸より下の浅い浴槽に入るようにしなければなりません。

消化管ストーマを造設している人の入浴に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.排便のあった日だけ入浴する。

2.回腸ストーマの場合は、食後1時間以内に入浴する。

3.装具を外して入浴できる。

4.ストーマ部分は、石けんをつけず、こすりながら洗う。

5.公衆浴場の利用は避ける。

正解3

1.消化管ストーマがあるからといって入浴を制限する必要はありません。むしろ毎日入浴したほうが、皮膚の清潔保持によいです。

2.排便の多い食後1時間以内の入浴は避けた方がよいです。

3.装具を外しても、装具をつけたままでも、どちらでも入浴できます

4.清潔保持のためにも、石けんを使うのは好ましいですが、ストーマ周辺の皮膚はデリケートであるため、低刺激弱酸性の石けんを用い、強くこすらないようにします。また、石けんが残らないようにしっかりと洗い流すことも大切です。

5.公衆浴場の利用も可能です。

入浴時のヒートショックに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.高血圧の人は、ヒートショックを起こしにくい。

2.ヒートショックは、夏に起こりやすい。

3.ヒートショック予防として、浴室・脱衣室との温度差を小さくする。

4.ヒートショック予防として、湯の温度は高めにする。

5.ヒートショックは、入浴前に起こりやすい。

正解3

1.高血圧の人の方がリスクは高いです。

2.ヒートショックは冬に発生しやすいです。

3.これは適切です。

4.湯の温度を高めにすると、脱衣室との温度差がかえって大きくなり、ヒートショックの危険性を高めてしまいます。

5.入浴前でなく、入浴中に起こりやすいです。

入浴介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.入浴前の血圧が平常時より高くても、自覚症状がなければ入浴を勧める。

2.プライバシーを保護するために、皮膚の観察はしない。

3.湯温は、介護福祉職が直接肌で触れて確認する。

4.浴槽への出入りにシャワーチェアーを用いるときは、浴槽より低い位置に調整する。

5.片麻痺の利用者の場合は、麻痺側から浴槽に入る。

正解3

1.平常時より血圧が高ければ、自覚症状の有無にかかわらず、様子観察をした方がよいです。

2.プライバシーの保護と皮膚の観察は別問題であり、皮膚の観察をしないことは不適切な介助です。

3.直接肌で確認した後、利用者にも確認してもらうようにします。

4.浴槽の出入りにシャワーチェアーを用いる際は、浴槽と同じ高さに調整します。同じ高さのほうが、いったん浴槽の縁に腰を掛ける等がやりやすいです。

5.片麻痺の利用者の場合は、健側から温度を確かめながら浴槽に入るようにします。

糖尿病(diabetes mellitus)のある利用者の入浴時に、特に注意して観察すべき皮膚の部位として、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.A  2.B  3.C  4.D  5.E

正解5

糖尿病の三大合併症のひとつに糖尿病神経障害があり、感覚神経や自立神経に障害が起こる危険性があります。感覚神経が障害されると、手足にしびれや違和感などがあらわれます。悪化すると、痛みや温度といった感覚がなくなってしまいます。その結果、ケガ等に気づかず患部が壊疽を起こしてしまう可能性があります。したがって手足の指を観察することが重要です。

介護が必要な利用者の口腔ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.うがいができる場合には、ブラッシング前にうがいをする。

2.歯磨きは、頭部を後屈させて行う。

3.部分床義歯のクラスプ部分は、流水で軽く洗う。

4.全部の歯がない利用者には、硬い毛の歯ブラシを使用する。

5.舌の清拭は、手前から奥に向かって行う。

正解1

1.食べかすなどの残渣物を流すことができて、ブラッシングしやすくなるので適切です。

2.後屈した状態で行うと、唾液などの水分がのどの方へ流れ、誤嚥する可能性があるので、不適切です。

3.クラスプ部分は汚れがつきやすく、細菌が繁殖しやすいので、流水ではなく、専用の歯ブラシや植毛部分が小さい歯ブラシなどで丁寧に洗う必要があります。

出典 稲葉歯科医院

4.硬い毛の歯ブラシだと歯肉を傷つけてしまう可能性があるので、柔らかい毛のものを使用する方が適切です。

5.手前から奥へ向かって行うと汚れや唾液がのどに落ちていき、誤嚥する可能性があるので、奥から手前に向かって行うのが正しいです。

口腔内が乾燥している人への助言に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.苦味の強い食べ物を勧める。
2.臥床時は仰臥位(背臥位)で枕を使用しないように勧める。
3.水分は控えるように勧める。
4.唾液腺マッサージをするように勧める。
5.ジェルタイプの保湿剤は、前回塗った上に重ねて塗るように勧める。

正解4

1.酸味の強いもので、唾液の分泌を促すのならわかりますが、苦みの強いものを食べる理由がありません。

2.枕なしで寝るのはきついし、さらに頭が後ろに下がって口が開きやすくなります。口が開くと口呼吸になって口腔内が乾燥しやすくなるので不適切です。

3.脱水のリスクもあり、唾液分泌も低下するので不適切です。

4。これは適切です。

口腔内にある大唾液腺、具体的には耳下腺舌下腺顎下腺をやさしくマッサージすることで、唾液の分泌が促されます。唾液の分泌が増えることで、口腔内の自浄作用が働き、口腔内が潤います。顎の下から舌を真上に持ち上げるように指でゆっくり押して、舌下線を刺激してみてください。唾液が分泌されるのがわかると思います。

5.口腔内の乾燥を防ぐために、ジェルタイプの保湿剤を口腔内に塗るのは有効ですが、細菌が繁殖するリスクがあるため、前回塗った保湿剤はふき取って、新しく塗るようにします。

入浴の身体への作用を踏まえた介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.浮力作用があるため、食後すぐの入浴は避ける。
2.浮力作用があるため、入浴中に関節運動を促す。
3.静水圧作用があるため、入浴後に水分補給をする。
4.静水圧作用があるため、入浴前にトイレに誘導する。
5.温熱作用があるため、お湯につかる時間を短くする。

正解2

1.食後は消化を促進するために、胃などの消化器官に血液が集まりエネルギーを送ります。入浴の温熱作用静水圧作用によって血流が良くなり、胃に血液が集まらなくなり、消化が悪くなる、というのが食後すぐの入浴を避ける理由なので、誤りです。

2.浮力作用で、体が軽くなり、関節や筋肉を動かしやすくなるので、これは適切です。

3.静水圧作用ではなく、温熱作用で身体があたたまり、汗を書くので入浴後の水分補給が必要になります。

4.入浴前にトイレ誘導するのは、入浴で副交感神経が優位になって、腎臓や膀胱の働きが促進されて、排尿が促進されるからです。(38℃~41℃の中温浴の場合)

ぬるめのお湯につかることで排尿が促進されるので、静水圧作用ではなく、温熱作用のためと言えます。

5.温熱作用は、新陳代謝を高め、体内の老廃物や疲労物質が取り除かれ、疲労回復効果がありますが、38℃~41℃のぬるめのお湯にゆっくりつかる方が効果があるので、適当ではありません。

四肢麻痺の利用者の手浴に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.仰臥位(背臥位)で行う。
2.手指は、30分以上お湯に浸す。
3.手関節を支えながら洗う。
4.指間は、強く洗う。
5.指間は、自然乾燥させる。

正解3

1.仰臥位で実施する場合もありますが、ファーラー位で実施する場合もあります。利用者の状態や希望に応じて負担の少ない体位で実施するのが適切で、必ず仰臥位で行う必要はないので、適当ではありません。

2.手浴でも長すぎると疲労感があるので、5~10分ほどが適当です。

3.これは適切です。

4.強く洗うと皮膚が傷つく可能性があるので、やさしく丁寧にあらうのが基本です。

5.濡れたままだと気持ち悪いし、タオルで丁寧に水分をふき取ります。

利用者の状態に応じた清潔の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.乾燥性皮膚疾患がある場合、弱アルカリ性の石鹸で洗う。

2.人工透析をしている場合、柔らかいタオルでからだを洗う。

3.褥瘡がある場合、石鹸をつけた指で褥瘡部をこすって洗う。

4.糖尿病性神経障害(diabetic neuropathy)がある場合、足の指の間はナイロンたわしで洗う。

5.浮腫のある部分は、タオルで強く押し当てて洗う。

正解2

1.pH4~6の弱酸性が皮膚表面での細菌増殖を防ぐので、石鹸は基本的に皮膚のpH に近い弱酸性のものを使用します。

2.人工透析をしている、していないにかかわらず、柔らかいタオルを使うのは適切です。” 人工透析をしている場合 “と限定しているところがちょっともやっとしますが、他の選択肢が明らかに間違っているので、この選択肢を選びます。

一応細かく説明すると、

人工透析患者の場合、シャント部からの感染や出血を防ぐために、柔らかいタオルで体を洗います。シャントに関してはあまり細かく説明してもきりがないし、試験的にも必要ないので、ざっくり説明すると、

血液透析を行うためには、体内からたくさんの血液を連続的に取り出す必要があります。そのため手首などの動脈と静脈を結び付け、血流量の多い太い静脈をつくる手術を行って、血液を取り出しやすくします。これが「シャント」です。

シャントは皮膚の内側にあるので、そこをつよくゴシゴシこすったりしないようにやさしく体を洗う必要があるというところです。

3.褥瘡をこすって洗うと悪化するので不適切です。

4.糖尿病性神経障害がある場合、足指の間に傷がついても気づかないことが多く、壊疽につながることがあります。ナイロンたわしは皮膚が傷つきやすいので基本的に使いません。

5.むくんでいる部分は皮膚が傷つきやすいので、不適切です。

入浴関連用具の使用方法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.シャワー用車いすは、段差に注意して移動する。
2.入浴の移乗台は、浴槽よりも高く設定する。
3.浴槽設置式リフトは、臥位の状態で使用する。
4.入浴用介助ベルトは、利用者の胸部に装着する。
5.ストレッチャーで機械浴槽に入るときは、ストレッチャーのベルトを外す。

正解1

シャワー用車イスのキャスターは、通常の車イスより小さいため、段差を越えにくく、またクッション性も低いため、段差を越える際には注意が必要です。

2.入浴の移乗台は、浴槽の高さに合わせて設定するべきです。浴槽より高く設定すると、利用者が移乗する際にバランスを崩す可能性があります。

3.

出典 株式会社モリトー

浴槽設置式リフトは、通常、座位の状態で使用されます。

4.入浴用介助ベルトは、利用者が立ち上がる際に介助者がベルトの部分を握って介助するための装具で、通常、利用者の腰部に装着されます。胸部に装着すると、利用者の呼吸や動きを制限してしまうためです。

5.ストレッチャーで機械浴槽に入る際には、ストレッチャーのベルトを緩めたり調整したりすることがあるかもしれませんが、完全に外すことは推奨されません。利用者が浮力の影響で不安定になるため、ベルトを適切に調整して利用者の安全を確保する必要があります。

出典 SAKAImed

シャワー浴の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.シャワーの湯温は、介護福祉職よりも先に利用者が確認する。
2.からだ全体にシャワーをかけるときは、上肢から先に行う。
3.利用者が寒さを訴えたときは、熱いシャワーをかける。
4.利用者が陰部を洗うときは、介護福祉職は背部に立って見守る。
5.脱衣室に移動してから、からだの水分を拭きとる。

正解4

利用者のプライバシーに配慮する必要があるので、適切です。

1.介護職が先に確認し、適切な温度に調節しなければなりません。

2.シャワーの湯は心臓に遠い部位からかけるのが基本です。これは心臓へ急な刺激を与えないようするためで、上肢ではなく下肢からかけます。

3.ヒートショックを避けるため、急激な温度変化を避ける必要があります。熱いシャワーをかけるのではなく、ぬるめの温度から徐々に温度を上げていったり、肩にタオルをかけたりして対応します。

5.体に水分が残っていると、蒸発する際に体温を低下させてしまいます。シャワー後は、シャワー室内で体を拭いてから脱衣室に移動することが望ましいです。

耳の清潔に関する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.耳垢の状態を観察した。
2.綿棒を外耳道の入口から3cm程度挿入した。
3.耳介を上前方に軽く引きながら、耳垢を除去した。
4.蒸しタオルで耳垢塞栓を柔らかくして除去した。
5.耳かきを使用して、耳垢を毎日除去した。

正解1

介護福祉職では対応できない場合もあるので、まず耳垢の状態を観察することが重要です。耳垢が過剰に詰まっている場合や、異常がある場合には、耳鼻科を受診するなど適切な対応を行う必要があります。

2.

出典 たなか耳鼻咽喉科

外耳道の奥まで綿棒を挿入すると鼓膜を傷めたり、耳垢を奥に押し込んでしまうリスクがあります。綿棒や耳かきで外耳道の入口から約1cm程度の範囲だけを軽く掃除するのが適切です。

3.やってみるとわかると思いますが、耳介を上前方に軽く引くと、耳掃除しにくいです。

4.耳垢栓塞は、耳垢が固まってしまい、耳の穴が塞がってしまうことをいいます。耳垢栓塞の除去医療行為にあたり、介護福祉職は対応できないので、看護師に依頼するか、耳鼻科を受診する必要があります。

5.耳垢はある程度の量であれば、耳の保護や自浄作用があるため、無闇に取り除くことは避けるべきです。個人差がありますが、1カ月に1回くらいの目安で、綿棒や耳かきで外耳道の入口から約1cm程度の範囲だけを軽く掃除するのが適切です。強くやりすぎたり頻繁に行ったりすると、外耳道炎の原因となる恐れがあります。

経管栄養を行っている利用者への口腔ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.スポンジブラシは水を大量に含ませて使用する。
2.上顎部は、口腔の奥から手前に向かって清拭する。
3.栄養剤注入後すぐに実施する。
4.口腔内を乾燥させて終了する。
5.空腹時の口腔ケアは避ける。

正解2

汚れを奥に押し込まないようにするため、口腔の奥から手前に向かって清拭します。

1.大量の水を含ませると、利用者が誤嚥するリスクが高まります。

3.栄養剤注入直後は、口腔内を刺激すると嘔吐を引き起こすことがあるので、避けるべきです。

4.口腔内が乾燥すると、唾液の分泌が減少します。唾液には抗菌作用があり、口腔内の細菌の繁殖を抑える役割があります。

唾液が十分に分泌されている状態では、細菌の繁殖が抑制され、口腔内の環境が保たれます。しかし、口腔内が乾燥して唾液の分泌が減少すると、抗菌作用が低下し、細菌が繁殖しやすくなります。

5.満腹時栄養剤注入直後などは、口腔ケアで嘔吐を引き起こす可能性があるので、避ける必要がありますが、空腹時はとくに問題ありません。

Mさん(84歳、男性)は、10年前に脳梗塞で右片麻痺になり、右上肢の屈曲拘縮がある。今までは自分で洋服を着ていたが、1週間ほど前から左肩関節の周囲に軽い痛みを感じるようになり、上着の着脱の介護が必要になった。Mさんへの上着の着脱の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.服を脱ぐときは、右上肢から脱ぐ。
2.右手首に袖を通すときは、介護福祉職の指先に力を入れて手首をつかむ。
3.右肘関節を伸展するときは、素早く動かす。
4.右肘に袖を通すときは、前腕を下から支える。
5.衣類を準備するときは、かぶり式のものを選択する。

正解4

上からつかむ形だと、余計な力が入り傷をつけてしまう可能性があるので、前腕部を下から支えるのは適切です。

1.片麻痺の人の着脱は、脱健着患が基本です。Mさんは右側が患側になるので、健側の左上肢から脱ぎます。

2.指先に力を入れて右手首をつかむと、アザになったり、傷つけたりしてりまう可能性があるので、右手首に袖を通すときには、介護福祉職の掌で軽くMさんの右手首をつかむようにします。

3.ゆっくりと負担がかからないように動かすようにします。

5.片麻痺がある場合、かぶり式の衣類は麻痺側の腕を通しにくいので、前開きの衣類が適切である。

歯ブラシを使用した口腔ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.歯ブラシの毛は硬いものを勧める。
2.強い力で磨く。
3.歯と歯肉の境目のブラッシングは避ける。
4.歯ブラシを小刻みに動かしながら磨く。
5.使用後の歯ブラシは、柄の部分を上にしてコップに入れて保管する。

正解4

歯の表面に均等に歯磨き剤を適用し、歯垢を効果的に除去するために、小刻みに動かしながら歯を磨くことが効果的です。

1.歯ブラシは、毛の硬いものは歯茎を傷つけやすいので、普通やわらかめのものが適切です。

2.強い力で磨くと、歯肉を傷つけたり、歯のエナメル質を削り取る恐れがあります。適度な力で磨くことが重要です。

3.歯と歯肉の境目は、歯垢が溜まりやすいため、歯肉の溝に対しては45度で毛先をあてて、軽い力で小刻みに動かして磨くようにします。

5.使用後の歯ブラシは、水でよく洗い、毛の部分を上にして乾燥させることが望ましいです。これにより、細菌の繁殖を抑えることができます。

排泄に関する問題

ベッド上で差し込み便器を使用し、排便するときの介助に関する次の記述のうち、適切でないものを1つ選びなさい。(第24回介護福祉士国家試験)

1.ベッド上での排泄を説明し、了解を得る。

2.便器の中にトイレットペーパーを敷く。

3.仙骨部を便器のふちに当て固定する。

4.男性の場合は尿器を同時に準備する。

5.気兼ねなく一人で排便できる環境をつくる。

正解3

最近の問題では見かけないんですが、”適切でないものを選べ”という問題です。100%もう出ないとも言えないので、心の片隅に。

選択肢3以外は適切な内容です。

参考テキスト⇒差し込み便器

差し込み便器の中央肛門がくるように配置します。

ベッド上で腰上げが可能な高齢者への、差し込み便器による排泄介護の方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.使用前の便器は温めておく。

2.便器を差し込むときは両脚を伸ばしてもらう。

3.男性の場合は、トイレットペーパーを陰茎の先端に当てておく。

4.便器の位置を確認したらベッドを水平にする。

5.排泄中はベッドサイドで待機する。

正解1

1.これは適切です。

2.両脚を曲げて、腰を浮かせてもらいます。設問にも”腰上げが可能”とあるので有する能力を使ってもらうことは大切です。

3.女性の場合は、尿の飛び散りを防ぐため、トイレットペーパーを陰部に当てておきます。男性の場合は、別に尿器を用意しておきます。

4.腹圧をかけやすいように、ベッドをギャッチアップしておきます。

5.羞恥心に配慮する必要があり、ベッドサイドで待機するのは不適切です。

前立腺肥大症で留置カテーテルを使用している軽度の認知症の人への対応として、適切なものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)

1.畜尿袋を腰より高い位置に固定する。

2.尿量が減少するように、日中の水分摂取量を控えるように促す。

3.尿を観察するために、畜尿袋のカバーは外したままにする。

4.留置カテーテルを抜く恐れがあるので、介護職の判断でミトン型の手袋を着ける。

5.陰茎を上向きにして、腹部に留置カテーテルを固定する。

正解5

参考テキスト⇒膀胱留置カテーテル

1.尿が逆流しないように、膀胱よりも低い位置に固定します。

2.尿を濃縮させないよう、水分摂取量を確保し、尿量を維持できるようにすることが重要です。

水分を十分に摂取すると、体内で生成される尿の量が増え、頻繁に排尿することが可能となります。この頻繁な排尿が、細菌などの異物が尿道や膀胱内に滞留することを防ぎ、尿路感染を予防します。

また、水分を適量摂取すると尿が希釈され、尿の濃度が低くなります。尿の濃度が高いと、その中の塩分が細菌の増殖を助ける場合があります。したがって、水分を摂取し、尿を希釈することで、細菌の増殖を抑え、尿路感染のリスクを下げることができます。

3.自尊心に配慮し、カバーをつけておく必要があります。

4.身体拘束、行動制限に該当する不適切な対応です。

5.下向きに固定すると、尿道が圧迫され、潰瘍が形成される可能性があります。

Lさん(79歳、女性)は、介護老人保健施設に入所している。右片麻痺、両変形性膝関節症(knee osteoarthritis)がある。トイレまでの移動が困難になってきたため、夜間は、ポータブルトイレを使用することになった。座位保持は可能である。居室は個室で、ベッドを使用している。
Lさんへの対応として、適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.ポータブルトイレは、利用者の右側に置く。

2.ベッドの高さより、低い座面のポータブルトイレを選ぶ。

3.ベッドにスイングアーム介助バーを設置する。

4.夜間はズボンを履かず、下着だけとする。

5.排泄物は、朝、まとめて片づける。

正解3

1.Lさんは右片麻痺なので、ポータブルトイレを設置する場合、健側である左側に置く必要があります。

2.ベッドとポータブルトイレの高さは同程度にすることによって、移動が楽になります。

3.スイングアーム介助バーを設置することにより、ベッドからの移乗や立ち上がりが容易になります。

スイングアーム介助バー

出典 介護便り|ケアマネ、大谷宏子の知らなきゃ損する介護の話

4.入所者の自尊心に配慮しなければならないので、夜間もズボンを履く必要があります。その際、着脱動作が容易に行えるズボンを選ぶことが大切です。

5.排泄後は、汚物の状態を確認し、速やかに後始末をしなければなりません。

Bさん(86歳、女性)は、介護老人福祉施設で生活している。脳梗塞の後遺症で左片麻痺があり、最近は筋力の低下が目立っている。Bさんは日中はポータブルトイレ、夜間は紙おむつを使用している。Bさんの使用しているポータブルトイレは木製の背もたれとひじ掛けがついてるタイプである。Bさんがポータブルトイレを使用するときの排泄介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.ポータブルトイレは、ベッドの左側の足元に置く。

2.ポータブルトイレの足元に新聞紙を敷く。

3.座位が安定しないときは、背もたれに寄りかかるように座ってもらう。

4.排泄が終了したら、立ち上がる前に下着やズボンを大腿部まで上げておく。

5.使用したポータブルトイレの中の排泄物は、1日分をまとめて片づける。

正解4

1.左片麻痺があるため、ベッド上で起き上がる、床に足を下ろすという動作を行う時、健側の右腕でベッド柵につかまりながら、右のほうに降ります。したがって、ポータブルトイレはベッド右側に設置します。

2.足元に新聞紙を敷くと滑ったり、新聞紙が破れて足の自由が利かなくなったりするなど、危険性が高まります。筋力低下が目立つBさんには滑り止めマットを敷いたり、手すりを設置したりし、安定して座位や立位がとれる環境を整えることが重要です。

3.背もたれに寄りかかるように座ると、腹圧をかけにくく、排泄時に力むことができません。さらに、筋力低下が目立つBさんの場合、両足で身体を支えることができず、いすからずり落ちてしまう可能性もあります。

4.立位後にスムーズに下着とズボンを着ることができ、Bさんの身体的負担の軽減につながります。

5.その都度片づけるようにします。

Aさんは、寝たきり状態の夫を家で介護している。Aさんは、尿器を使って排泄介助を行っている。Aさんの夜間の介護負担を軽くするものとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.差し込み便器
2.自動排泄処理装置
3.ポータブルトイレ
4.おむつ
5.肘かけ状の簡易手すり

正解2

1.基本的には、男性の差し込み便器の使用は、大便に使用するものであり、排尿には使用しません。また、差し込み便器では、Aさんが寝たきりの夫に差し込み便器を入れたり、片付けたりといった介助が発生するため、介護負担は軽くなりません。

2.自動排泄処理装置は、寝たきりの夫が排尿した際、センサーが感知して尿が吸引されるもので、Aさんの夜間の介護負担を軽減できます。

3.寝たきりの夫に対するポータブルトイレの使用では、介護負担の軽減にはなりません。

4.おむつを使用しても、おむつの交換の手間があり、介護負担の軽減にはなりません。

5.寝たきりの夫に対する肘かけ状の簡易手すりでは、介護負担の軽減にはなりません。

肘掛け状手すり

下痢が続いている要介護高齢者への対応に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.水分摂取を控える。
2.肛門周辺の皮膚を強く拭く。
3.温めた牛乳を提供する。
4.下痢以外に訴えがないので、ようすを見る。
5.排泄物は感染源として取り扱う。

正解5

1.下痢が続くと体内から、水分や電解質が失われて脱水症状を生じるおそれがあります。よって水分摂取を控えることは適切ではありません。ただし、水分だけを補給するとナトリウム欠乏性の脱水を生じる可能性があるので、経口補水液などで水分補給することが適切です。

2.下痢が続くと腸液が周りの皮膚に付き皮膚炎を起こす可能性があります。皮膚を保護する必要があるので、強く拭くことは適切ではありません。

3.牛乳は、下痢の症状を助長させる可能性があります。

4.下痢が続いている場合は、原因を明確にするために、主治医に相談するなどの対応が必要です。

5.スタンダードプリコーションの観点から適切です。

おむつ交換時に配慮することとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.他の利用者がいる場合でも、「おむつを替えますよ」と直接的な表現で伝える。

2.清拭用の温タオルの温度を感じるために、手袋は使わずに陰部を拭く。

3.陰部洗浄をする場合は、ぬるま湯を使う。

4.紙おむつの腹部のテープは、上のテープと下のテープを平行に止める。

5.腹部とおむつの間に隙間を作らない。

正解3

参考テキスト⇒おむつ

1.自尊心羞恥心への配慮が必要です。

2.感染予防や衛生面の配慮から手袋を使うのは基本です。

3.これは適切です。

4.クロスするようにとめます。
クロスに止めるメリットは、

下側のテープを斜め上に止めることで、
・股の隙間が少なくなり、尿漏れが軽減する。
・股関節が動かしやすい。

上側のテープを斜め下に止めることで、
・背中の隙間が少なくなり、背漏れが軽減する。
・骨盤に引っ掛けるようにテープを止めることで動いてもズレにくくなる。
・腹部の圧迫が軽減される。

5.指1~2本程度の隙間ができるようにします。

排泄介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.ベッドで尿器を使用する場合、ベッドの足元を上げる。

2.差し込み便器の開口部の中央に仙骨が来るようにする。

3.テープ止めタイプの紙おむつの中に、尿取りパッドを複数当てる。

4.自己導尿を行う場合、座位姿勢で行えるように支援する。

5.トイレにL字手すりを設置する場合、横手すりは車いすの座面の高さに合わせる。

正解4

1.ベッドで尿器を使用する場合、通常はベッドの頭側を上げ、利用者を半座位にします。足元を上げると、尿が逆流する可能性があります。

2.肛門が差し込み便器の開口部中央にくるように当てます。

3.複数枚当てても吸収量は増えません。かえって通気性が悪くなり肌荒れの原因となるため不適切です。

4.座位姿勢だと腹圧がかかりやすく自己導尿しやすいので適切です。

5.手すりの高さは利用者が立ち上がる際に手を置く位置が適切で、L字手すりの横手すり部分が、便器の座面から22~25cm程度上方を目安に設置します。車イスの座面の高さでは低すぎて、利用者が立ち上がる際に十分な支えとなりません。

腸管出血性大腸菌で下痢が続いている利用者のおむつ交換をするときの留意点として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.汚れたおむつをビニール袋に入れて、袋の口を固く縛る。

2.汚れたシーツには、アルコールを噴霧する。

3.手洗いは、洗面器にためた水で行う。

4.臀部の汚れは、トイレットペーパーで拭けばよい。

5.専用の手袋を繰り返して使用する。

正解1

腸管出血性大腸菌は動物の腸内に生息しており、汚染された食肉やその加工品・飲料水を飲食することで感染します。 感染者の便で汚染された手指で取り扱う食品などを介して、二次感染を起こすこともあります。 しかしながら、衛生的な食材の取り扱いと十分な加熱調理、手洗い、消毒を徹底することで感染を予防できます。

1.これは適切です。

2.汚れたシーツにはアルコールを噴霧せず、シーツを交換します。

3.手洗いは洗面器にためた水ではなく、清潔な流水で洗います。

4.下痢で臀部が汚れている場合は、ぬるめのお湯を陰洗ボトルなどで流しながら、清拭を行い清潔を保つようにします。

5.排せつ介助は、使い捨ての手袋で実施します。

おむつで排泄を行っている利用者の陰部の清拭に関する次の記述のうち 適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.排便がなければ、臀部の清拭は省略できる。

2.女性では、会陰から肛門に向かって拭く。

3.本人の希望がなければ、実施しなくてよい。

4.男性の清拭の回数は、女性よりも少なくてよい。

5.週2回入浴を実施していれば、毎日行わなくてよい。

正解2

1.排便がなくても、蒸れていたり、尿汚染もあるので臀部の清拭を行う必要があります。

2.清拭は感染防止のため「前から後ろ」「陰部から臀部」が基本です。

3.おむつで排泄を行っている利用者は、羞恥心から陰部清拭の依頼をためらったりすることがあります。本人の希望がないからといって実施しないのではなく、利用者の尊厳の保持プライバシーを保護し、安心して希望を伝えられるように支援することが必要です。

4.回数に違いはありません。

5.陰部清拭は、尿道や肌門周囲に付着した排泄物や汗などの分泌物といった汚れを取り除くだけでなく、皮膚や粘膜の防衛機能を保ち、新陳代謝を促進させる効果があります。汗は生活していくなかで毎日かくものです。週2回入浴を実施していれば、毎日、陰部清拭を行わなくてよいわけではありません。

排便のメカニズムに基づく排泄の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.トイレまでの歩行は、胃・結腸反射を誘発するために有効である。

2.食後の臥床は、腸内の蠕動蓮動の亢進に有効である。

3.トイレ誘導は、便意を催してから30分後が有効である。

4.腹部マッサージは、下行結腸、横行結腸、上行結腸の順に行うことが有効である。

5.便座に座って足底を床につけた前傾姿勢は、腹圧を高めるために有効である。

正解5

1.胃・結腸反射とは、食べ物が胃に入ることによって、結腸が反射的に収縮し、便を直腸へ送り出そうとすることで、歩行とは関係がありません。

2.蠕動運動の亢進には、 適度な運動水分の摂取食物繊維の摂取排便習慣をつける等が有効であり、食後の臥床は関係がありません。

3.利用者が便意を催したときは、すぐにトイレに誘導し、便失禁が起こらないようにします。

4.小腸から運ばれた消化物は、上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸の順に進んでいくため、 それに沿ってなぞると便秘の予防に有効です。
参考テキスト⇒便の生成のしくみ

5.これは適切です。

直腸性便秘のある高齢者の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.排便時は隣に立って見守る。
2.市販の下剤を毎日勧める。
3.日中の活動を控えるように勧める。
4.朝食後、トイレに誘導する。
5.食物繊維は控えるように勧める。

正解4

参考テキスト⇒便秘

1.支えていないと座位が保持できないような場合をのぞき、プライバシーの観点から不適切です。

2.下剤に頼るのではなく、適度な運動食事内容の検討規則的な排便習慣をつける支援を試みることが大切です。

3.適度な運動は、便秘の予防につながります。

4.食後は、胃・結腸反射によって蠕動運動が起こります。また、朝は副交感神経が優位になっており、蠕動運動が活発です。そのため、朝食後、トイレに誘導し排便習慣をつけるよう支援することは直腸性便秘の予防には適切です。

5.食物繊維が多いものを摂取すると、腸壁の神経を刺激することにより蠕動運動が活発になり便通が促進されます。

消化管ストーマを造設している人の生活支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.排泄物がパウチの3分の1から2分の1程度たまったら処理するように助言する。

2.ベルトでウエストを締める服を選ぶように助言する。

3.ラジオ体操は控えるように助言する。

4.回腸ストーマのある人は水分摂取は控えるように助言する。

5.れんこんやごぼうを多くとるように助言する。

正解1

パウチが満杯になると、重さによりパウチが剥がれやすくなったり、漏れやすくなる可能性があるので、通常はパウチが3分の1から2分の1程度まで満たされたら交換または排出を行うことが推奨されます。

出典 HAPPY HEART MEDICAL SUPPLY

2.ベルトの締めすぎによる圧迫や体動による摩擦などにより皮膚損傷を生じる可能性があります。ベルト使用時は適度に緩める(皮膚との隙間に指が2本入る程度)か、皮膚の接触部にガーゼなどを挟むようにします。

3.一般的な運動は問題なく行えるので、適度な運動は大切です。

4.回腸ストーマを造設している人は、水分を吸収するはたらきのある大腸を消化物が通らないため、水様便が持続的に排池されます。そのため、脱水や電解質異常を起こしやすいので、十分な水分摂取を心がける必要があります。
参考テキスト⇒消化器系ストーマ

5.消化の悪いれんこんやごぼうを多く摂取すると、 摂取した物が未消化のままでストーマを塞ぐこともあるので注意が必要です。

Cさん(81歳、女性)は、介護老人保健施設に入所している。腹圧性尿失禁があり、トイレでの排泄や下着の交換には介護が必要だが、遠慮して下着の交換を申し出ないことがある。食堂で昼食をとっている最中に激しくむせ込んでいたので背中をさすったところ、むせ込みは収まったが失禁をしたらしく、周囲に尿臭が漂った。
このときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.尿臭がすることを伝える。

2.下着が濡れていないかと尋ねる。

3.むせた時に尿が漏れなかったかと尋ねる。

4.トイレに誘導して、下着を交換する。

5.Cさんが下着を替えてほしいと言うまで待つ。

正解4

1~3.”周囲に尿臭が漂っている” ”腹圧性尿失禁がある”という点から介護職はわざわざ訪ねなくても察知できなければなりません。加えて、Cさんの自尊心を傷つけるため不適切です。

4.これは適切です。

5.遠慮して下着の交換を申し出ないと書かれているので、不適切です。

数日前から下痢を繰り返している在宅の高齢者について、訪問介護員(ホームヘルパー)が入手すべき次の情報のうち、最も緊急度の高いものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.意識の状態
2.食事の内容
3.下痢の回数
4.水分の摂取量
5.肛門部の皮膚の状態

正解1

参考テキスト⇒下痢

選択肢1~5はどれも必要かつ大事な情報です。この問題で問われているのは緊急度です。

下痢が続いていると、体内の水分や電解質(ナトリウム、カリウムなど)が減少する可能性があり、これが極度になると脱水状態を引き起こします。脱水状態が深刻になると、混乱や意識低下、最悪の場合は意識喪失やショック状態を引き起こす可能性があります。

そのため、訪問介護員がまず確認すべきは高齢者の意識の状態です。もし意識の異常が確認された場合、すぐに医療機関に連絡し、適切な医療措置を取ることが必要となります。

2.下痢が続くと食事量が減り、栄養不足になることがあります。また食中毒の可能性もあるので、食事内容は重要な情報ですが、緊急度という点では選択肢1のほう優先されます。

3.下痢の回数だけでなく、形状なども重要な情報ですが、最も緊急度が高いとはいえません。

4.下痢は水分電解質が同時に失われ、脱水症状を起こしやすいです。ナトリウム欠乏性脱水では意識障害が起こる可能性があります。水分摂取量を確認することも大事ですが、それよりも先に意識状態を把握しておくことが優先されます。

5.下痢の水様便は消化酵素が含まれており、肛門周辺の皮膚に炎症を起こしやすいです。そのため、肛門部の皮膚の状態に関する情報は大切ですが、最も緊急度が高いとはいえません。

解熱を目的にした坐薬(座薬)の挿入に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.挿入時は仰臥位(背臥位)で膝を伸ばす。

2.挿入時は腹式呼吸を促す。

3.坐薬(座薬)はとがっていない方から挿入する。

4.挿入後は坐薬(座薬)が排出されないことを確認する。

5.衣服を整えてから手袋を外す。

正解4

1.仰臥位では挿入しにくいです。側臥位で両足を曲げてもらい、肛門部がしっかり確認できる体位がのぞましいです。

2.腹式呼吸では腹圧がかかりやすいため、外肛門括約筋を弛緩させ、腹圧をかかりづらくする口呼吸が望ましいです。

3.とがっている方から挿入します。ワセリンやベビーオイルなどの潤滑剤を先端につけておくとスムーズに挿入できます。

4.これは適切です。

5.手袋は汚染されているので、外してから衣服を整えます。

Kさん(72歳、女性、要介護2)は、脳梗塞(cerebral infarction)で入院したが回復し、自宅への退院に向けてリハビリテーションに取り組んでいる。トイレへは手すりを使って移動し、トイレ動作は自立している。退院後も自宅のトイレでの排泄を希望している。Kさんが自宅のトイレで排泄を実現するために必要な情報として、最も優先されるものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.便意・尿意の有無
2.飲食の状況
3.衣服の脱衣の様子
4.家族介護者の有無
5.トイレまでの通路の状況

正解5

1.トイレまで移動し、トイレ動作は自立していると設問に書かれており、便意・尿意はあると判断できるため、適当ではありません。

2.Kさんに便秘や下痢などの症状がみられる、という場合なら「飲食の状況」は優先度の高い情報ですが、そのようなことは設問に書かれていないので、適当ではありません。

3.トイレ動作が自立とあるので、特に優先すべきものではありません。

4.トイレ動作が自立とあるので、特に優先すべきものではありません。

5.病院では手すりを使って移動、トイレ動作は自立、Kさんは自宅のトイレでの排泄を希望というあたりから、病院の環境とは異なる自宅でもトイレでの排泄を行うために、トイレまでの通路の状況は優先度の高い情報です。

自己導尿を行っている利用者に対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.座位が不安定な場合は、体を支える。

2.利用者が自己導尿を行っている間は、そばで見守る。

3.利用者と一緒にカテーテルを持ち、挿入する。

4.再利用のカテーテルは水道水で洗い、乾燥させる。

5.尿の観察は利用者自身で行うように伝える。

正解1

1.プライバシーの問題もありますが、自己導尿は両手を使うので、座位が不安定な場合は、体位が保持できるように支援する方が、優先度は高いです。

2.プライバシーに配慮する必要があるので、不適切です。

3.自己導尿は一般的には本人が自分で行うものであり、介護福祉職が介入することは基本的にはありません。ただし、介護福祉職が支援する範囲としては、例えば座位が不安定な場合に体を支えたり、導尿器具の準備や後片付け、清掃等の支援などは可能です。

4.カテーテルは一回ごとの使い捨てのもを利用するか、使用後のカテーテルの内側と外側を水道水で十分に洗浄し、よく水を切ってから消毒液の入ったケースに入れて保存する必要があります。

5.客観的に観察する必要があるので、介護福祉職も観察・記録します。

下肢筋力の低下により立位に一部介助が必要な車いす利用者が、トイレで排泄をするときの介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.便座の高さは、利用者の膝よりも低くなるように調整する。

2.便座に移乗する前に、車いすのバックサポートに寄りかかってもらう。

3.車いすから便座に移乗するときは、利用者の上腕を支える。

4.利用者が便座に移乗したら、座位が安定していることを確認する。

5.立ち上がる前に、下着とズボンを下腿部まで下げておく。

正解4

1.便座の高さを膝よりも低くすると、下肢筋力の低下した人が立ち上がりにくくなります。膝の位置よりも高い方が立ち上がりやすいです。

2.車イスに浅く座らないと立ち上がりにくいので、適当ではありません。

3.一部介助がどの程度必要か、また、手すりの有無など、トイレ内の環境が書かれていないので、少しわかりにくいですが、上腕を支えている場合、膝折れなどでバランすを崩して倒れそうになったとき、腕の関節を痛めてしまう可能性があるので、腰や肩甲骨あたりを支える方が適切です。

4.これは記述の通りです。

5.一部介助は必要ですが、立位はとれるので、車いすから立ち上がってから、下着とズボンを下腿部まで下げます。

便秘の傾向がある高齢者に自然排便を促すための介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.朝食を抜くように勧める。
2.油を控えるように勧める。
3.散歩をするように勧める。
4.腰部を冷やすように勧める。
5.就寝前にトイレに座るように勧める。

正解3

散歩などの適度な運動は、腸の動きを促し、便通を良くする効果があります。

1.朝食を食べると腸が刺激されて、自然排便につながります。朝食を抜くことは、栄養不足や低血糖の原因となり、便秘の改善には効果がないため、適切ではありません。

2.油は、腸内で便がスムーズに移動する助けになります。ただし、摂取量が過剰になると、消化器官に負担をかけ、腸の働きを鈍らせることがあります。適度な油分摂取が重要です。

4.腰部を冷やすことは、筋肉を緊張させ、腸の動きを悪くする可能性があります。逆に、腰部を温めることで血行が促進され、腸の働きが活発になることが期待できます。

5.自然な排便反射を促すためには、特に朝食後など、食後にトイレに行くことが推奨されます。ただし、個々の生活リズムや体調に合わせた対応が必要なので、一概に不適切とはいえませんが、選択肢3の方がベターです。

認知機能の低下による機能性尿失禁で、夜間、トイレではない場所で排尿してしまう利用者への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.日中、足上げ運動をする。
2.ズボンのゴムひもを緩いものに変える。
3.膀胱訓練を行う。
4.排泄してしまう場所に入れないようにする。
5.トイレの照明をつけて、ドアを開けておく。

正解5

この問題では、認知機能の低下による機能性尿失禁が問題となっています。夜間、トイレではない場所で排尿してしまう利用者への対応として、トイレを利用者にとって分かりやすくすることが重要です。

家事・食事に関する問題

高齢者の身体機能の変化に対応した食事の提供方法として、適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.味覚の低下に対しては、調味料を多用する。

2.唾液分泌の低下に対しては、主食をパンにする。

3.腸の蠕動運動の低下に対しては、根菜類を積極的に取り入れる。

4.咀嚼力の低下に対しては、肉料理を控える。

5.口渇感の低下に対しては、酸味のある味付けにする。

正解3

1.高齢者は、加齢に伴い、味覚が低下することが多いです。そのため、濃い味付けを好むようになり、塩分や糖分を過剰に摂取しやすくなります。調味料を多用するのではなく、減塩醤油を使ったり、薄い味付けのものと普通の味付けのものを提供し、相対的に味の濃さを感じてもらうなどの工夫が必要です。

2.パンは、口腔内の水分を吸い取りやすく、誤嚥につながる恐れがあります。

3.根野菜には食物繊維が多く含まれています。食物繊維は腸の蠕動運動を促進させる効果があります。

4.肉はたんぱく質を摂取できる食材なので、控えるのではなく、薄く切るなど食べやすく工夫することが大切です。

5.口渇感が低下し問題となるのは脱水です。酸味のある味付けで唾液の分泌が促進され、口腔内が潤いやすくなりますが、咳き込んで、誤嚥を生じるリスクもあります。酸味をつけても口渇感の低下が改善されるわけではないので、脱水の予防にはなりません。

加齢に伴う身体機能の変化に対応した食事として、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.味覚の低下に対しては、塩分や糖分を多く用いる。

2.消化吸収機能の低下に対しては、炭水化物を中心とした食事を基本とする。

3.唾液分泌の低下に対しては、パンを主食にする。

4.咀嚼力の低下に対しては、肉料理を控える。

5.腸の蠕動運動の低下に対しては、乳酸菌を含む食品を積極的に取り入れる。

正解5

1.味覚は、舌の表面にある味蕾という器官の働きにより感知しますが、加齢とともに味蕾の数が減少して味覚の低下につながります。特に塩分に対して感受性が低下します。塩分や糖分を多く摂取すると高血圧をはじめとする生活習慣病の引き金になるので注意が必要です。

2.加齢の影響で消化吸収機能の低下が起こり、各器官の働きも衰えます。高齢者においては、食欲の減退も起こると低栄養が懸念されます。炭水化物は比較的摂取しやすいので、炭水化物を中心とするのではなく、不足しがちなタンパク質やカルシウムを摂取できるような食事にすることが大切です。

3.加齢に伴い唾液の分泌は少なくなります。唾液は食べ物をまとまりやすくして食道の入り口に運び、嚥下を助けます。唾液の分泌が減少した高齢者には、水分が少なく嚥下しにくいパンは主食には適しません。

4.肉はタンパク質を多く含む食品で必須アミノ酸の栄養源となるので、控えるのではなく、薄切り肉やひき肉を利用し、柔らかく調理する工夫をして料理に加えます。

5.加齢により腸の蠕動運動も低下します。蠕動運動を活発にする乳酸菌食物繊維を含む食品は積極的に摂取するとよいです。

食事介護の基本として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.立って介護する。

2.介護職に向けて食事を並べる。

3.初めにお茶や汁物で口の中を湿らせてもらう。

4.主菜を食べ終えてから、主食を食べてもらう。

5.全介助の場合は、2~3口ごとに飲み込んだことを確認する。

正解3

1.利用者と目線の高さを合わせるのが基本です。

2.利用者に向けて並べます。

3.特に高齢者の場合、加齢に伴って唾液分泌量が低下しており、口腔内が乾燥しています。咀嚼や嚥下をスムーズに行える効果があるので、適切です。

4.利用者本人の習慣や好みに合わせることが大切です。

5.一口ごとに飲み込んだかどうかを確認する必要があります。

和食の基本的な配膳の位置として、正しいものを1 つ選びなさい。
(注) 右利きの場合である。(第29回介護福祉士国家試験)

1.A汁物 B副菜 C副菜 D主菜

2.A主菜 B汁物 C副菜 D副菜

3.A主菜 B副菜 C副菜 D汁物

4.A副菜 B副菜 C主菜 D汁物

5.A副菜 B主菜 C副菜 D汁物

正解5

和食の一汁三菜の配膳図です。一般に、Bは主菜(焼き物・揚げ物・刺身などおかずの中で主となるもの)、Dが汁物(味噌汁や吸い物)、Aが副菜、Cは副々菜(小鉢など)となります。

慢性腎不全の人の食事について、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.砂糖を控える。
2.肉や魚を控える。
3.みそ汁を毎食とる。
4.乳製品を毎食とる。
5.野菜は生でサラダにする。

正解2

参考テキスト⇒腎機能障害の人の食事

1.タンパク質を制限しなければならず、カロリーの摂取量が減ってしまうため、代わりに糖質、脂質でカロリーを補給する必要があります。

2.タンパク質を制限しなければならないので、正しいです。

3.塩分を制限しなければならないので、不適切です。

4.塩分と同様にカリウムも制限しなければなりません。牛乳にはカリウムが多く含まれています。

5.野菜類は小さく切り、ゆでることで、カリウムと溶かし流すことができるので、カリウム摂取量を減らすために、生ではなく、ホットサラダのほうがよい。

介護が必要な利用者の状況に応じた食事の提供に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.片麻痺の人には、頭部を後屈させて介護する。

2.視覚障害の人には、クロックポジションで説明する。

3.嚥下障害の人には、食事の温度は体温と同程度にする。

4.構音障害の人には、会話をしながら食事をすることを勧める。

5.認知症の人には、その人が好む献立を繰り返し提供する。

正解2

1.誤嚥を予防する観点から、頭部を後屈させるのではなく、やや前傾させる姿勢をとらせることが大切です。

出典 けあぴく

前傾姿勢にするのは、顎を引いて頸部を前屈させることで、咽頭から気管にかけて確度がついて誤嚥しにくくなるからです。逆に後屈させると誤嚥しやすくなります。

2.適切です。

クロックポジション

3.体温よりも高いか低い方が嚥下反射が起こりやすいです。

4.構音障害があるなど、誤嚥を生じやすい利用者にはできる限り食べることに集中してもらう必要があります。

5.認知症に限らず、好みに合わせることは大切ですが、栄養のバランスも考えなければなりません。

いすに座っている右片麻痺の利用者の食事介護時の留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.口の右側に食物を入れる。

2.利用者の左腕はテーブルの上にのせたままにしておく。

3.刻み食にする。

4.上唇にスプーンを運ぶ。

5.一口ごとに、飲み込みを確認する。

正解5

1.右片麻痺なので、健側(左)に食物を入れる必要があります。

2.麻痺側(右)の上肢をテーブルの上に置くことで安定した姿勢になります。

3.嚥下機能について何も書かれていないので、刻み食が適当かどうかわかりません。

4.下唇にスプーンを運びます。

5.これは適切です。

左半側空間無視のある利用者の食事介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.利用者の左側にトレー(tray)を置く。

2.トレー(tray)の右側に印をつける。

3.クロックポジションに従って配膳する。

4.食べる様子を観察して適宜食器の位置を変える。

5.利用者の右側にテレビをつけておく。

正解4

参考テキスト⇒半側空間無視

1.トレイは右側にずらして置くようにします。

2.左端を認識しやすいようにトレイの左端や左隅にテープなどで目印をつけることは効果的です。

3.クロックポジション視覚障害者のための支援方法で、半側空間無視では使いません。

4.半側空間無視のある利用者への食事介護は、食事の様子を観察し、見えやすい場所に適宜食器の位置を変えることが必要です。

5.無視側にテレビをつけておくことで認知できない方向への注意喚起になります。この場合は左側が適切です。

Lさん(83 歳、女性)は、誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)の既往があり、要介護2の判定を受けている。週2回、通所リハビリテーションを利用している。今日、通所リハビリテーションに来たLさんは、提供された食事をほとんど食べていない。食事以外に摂取している水分は、1日200~300 ml だという。Lさんの手の甲の皮膚をつまむと、つまんだ形がそのまま残った。尿量も少なく、尿の色は濃い黄色であった。
Lさんへの対応として、適切なものを1 つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.散歩を勧める。
2.入浴を勧める。
3.コーヒーを勧める。
4.おやつにゼリーを勧める。
5.食事の一時休止を勧める。

正解4

設問からLさんは脱水症状であると考えられます。

水分を補給する必要があるので、選択肢3か4ですが、カフェインを含むお茶やコーヒー、アルコールは利尿作用があるので、体内の水分を外に出してしまいます。よってほとんどが水分で飲み込みやすいゼリーのほうがベターです。

Aさん(38歳)は、共同生活援助(グループホーム)に入居している。料理が得意で、普段はエプロンを身に着けて揚げ物料理をガスコンロで作っている。防火を意識した調理支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.調理材料は、ガスコンロの周辺に置く。

2.調理をするときは、袖口を絞った衣類を着てもらう。

3.調理に時間がかかるときは、鍋から離れてもらう。

4.火災警報器は、床に近い部分に設置する。

5.強い火力で調理してもらう。

正解2

1.引火の恐れがあります。

2.袖口が開いたものを着ていると袖口から引火する事が有るので、これは適切です。

3.調理中にその場を離れると、引火など、何かあった場合対処できないため危険です。

4.煙は上に昇っていくため、天井など高い場所に設置する必要があります。

5.調理するものによっては強火が必要になることもありますが、引火のリスクも高くなるので、その際は介護職員が支援に入る必要があります。

Mさん(78歳、女性)は、体格指数(BMI)は18.7である。病気や食事制限はない。この1年間で体重が2kg減少し、「最近、歩くのが遅くなり、疲れやすくなった」と言っている。Mさんに普段の食生活を尋ねたところ、お茶漬けやうどんで済ますことが多いと答えた。
介護福祉職が食事バランスガイドを用いて摂取を勧める区分として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.主食
2.副菜
3.主菜
4.牛乳・乳製品
5.果物

正解3

設問からMさんは低栄養状態だと推測できます。(参考テキスト⇒低栄養

Mさんはお茶漬けやうどんを食べているので、エネルギー源となる炭水化物は摂取できています。よって不足しているのはたんぱく質なので、肉や魚、卵や大豆などのたんぱく質を多く含む料理である主菜が正解です。

食事バランスガイド

出典 農林水産省

調理環境を清潔に保つための方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.布巾を使った後は、流水で洗う。

2.食器を洗ったスポンジは、軽く絞って洗剤の泡を残す。

3.魚や肉を切ったまな板の汚れは、熱湯で洗い流す。

4.金属製のスプーンの消毒は、塩素系漂白剤に1時間以上つけ置きする。

5.包丁は、刃と持ち手の境目の部分も洗浄して消毒する。

正解5

1.流水で洗うだけでは雑菌は落ちません。洗剤で洗ったり、煮沸消毒したりするのも有効です。無地のものであれば塩素系漂白剤も有効です。そして、洗った後に乾燥させることが大事です。

2.食器を洗ったスポンジは、十分にすすぎ、固く絞ります。スポンジに水分が残っていると雑菌が繁殖しやすくなるので、風通しのよい場所などで保管し、乾燥させることが大事です。

3.まず洗剤を用いて水でよく洗います。その後に熱湯で消毒します。使用後すぐに熱湯をかけてしまうと、たんぱく質が固まってしまい汚れが落としにくくなります。

4.塩素系漂白剤につけすぎると金属を腐敗させる原因になります。金属の消毒はアルコールを使用するか、熱湯または煮沸消毒が望ましいです。

5.持ち手の部分は細かな凹凸があるので、雑菌が付着・繁殖しやすいです。使用後はしっかり洗浄・消毒をすることが望ましいです。

食品の凝固に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.ゼラチンは沸騰した湯で溶かす。

2.寒天は常温で固まる。

3.片栗粉は熱湯で溶いてから加える。

4.ペクチンは精製塩で固まる。

5.増粘剤(とろみ剤)は添加後、かき混ぜずに提供する。

正解2

食品を凝固させるものをまとめると、

  • ゼラチン
    ゼラチンは、でしっかりふやかしてから、50~60℃位の湯で溶かします。
  • 片栗粉
    片栗粉は水で溶いてから加えます。
  • 寒天
    寒天は、常温で固まる性質があります。
  • 増粘剤(とろみ剤)
    増粘剤(とろみ剤)は添加後、しっかりかき混ぜて提供します。すぐにかき混ぜないとダマになり、きちんと溶けなくなってしまいます。
  • ペクチン
    果物等に含まれ、糖や酸により固まる性質をもつもの(ハイメトキシルペクチン)と、カルシウムやマグネシウムなどと反応して固まるもの(ローメトキシルペクチン)があります。
    具体的な例をあげると、フルーチェが固まるのもこのペクチンの性質です。フルーチェのペクチンと牛乳のカルシウムの働きで固まります。

1.ゼラチンは、水でしっかりふやかしてから、50~60℃位の湯で溶かします。

2.これは正しいです。

3.片栗粉は水で溶いてから加えます。

4.ペクチンは、糖や酸またはカルシウムやマグネシウムなどと反応して固まります。

5.かき混ぜないとだまができてしまうので、不適切です。

骨粗鬆症予防に必要なビタミンKを多く含む食品として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.牛乳
2.卵
3.豚肉
4.にしん
5.納豆

正解

参考テキスト⇒骨粗鬆症予防

ビタミンKは、骨にカルシウムが取り込まれるのを促したり、カルシウムが尿中に排泄されるのを抑え、骨の破壊を防ぎます。

ビタミンKを多く含む食品は、緑黄色野菜、納豆、干しわかめ等があります。

生活習慣病(life-style related disease)の予防に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.糖尿病(diabetes mellitus)の予防として、たんぱく質の摂取量を増やす。

2.高血圧症(hypertension)の予防として、カリウム(K)の少ない食品を摂取する。

3.高コレステロール血症(hypercholesterolemia)の予防として、食物繊維を多く含む食品を摂取する。

4.骨粗鬆症(osteoporosis)の予防として、ビタミンK(vitamin K)の少ない食品を摂取する。

5.虚血性心疾患(ischemic heart disease)の予防として、起床後すぐの水分摂取は控える。

正解3

1.糖尿病の予防では、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・無機質の各栄養素をバランスよく摂取して、1つの栄養素に偏ることがないように注意します。1日の摂取カロリーを適量に保つことが望ましく、全体の糖質量を管理することも大切です。

2.高血圧症の予防では、塩分(ナトリウム)の摂取を控えることが大切です。カリウムにはナトリウムを体外へ排泄する作用があるため、塩分の摂りすぎが原因となる高血圧の予防や治療に効果が期待できます。

3.高コレステロール血症は血液中のコレステロール値が基準よりも高くなっている状態で、動脈硬化などの危険因子になります。予防には食物繊維の摂取が適しています。水溶性食物繊維はコレステロールを減らし、不溶性食物繊維は便通を良くして体外に有害物質を排出する効果があります。

4.ビタミンKビタミンDカルシウムの吸収を促進するので、骨粗鬆症の予防のためにしっかり摂取する必要があります。

5.参考テキスト⇒虚血性心疾患

体内の水分が不足すると、血液がドロドロになりやすく、心臓発作を起こしやすくなります。人間は眠っている間にも平均するとコップ1杯(200mL)程度の汗をかいています。また眠っているときは、一般に血圧が低下するため、血栓ができやすい状態になっています。よって寝る前や、起床時に水分を摂取することは、脱水予防になり、虚血性心疾患の予防にもなります

疾病のために食事制限がある利用者の食生活に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.人工透析をしている利用者には、生野菜を勧める。

2.高血圧の利用者には、 1日の塩分摂取量を10g以下にする。

3.骨粗鬆症(osteoporosis) の利用者には、豆類を勧める。

4.糖尿病(diabetes mellitus)の利用者には、朝食に1日のエネルギー量の半分を配分する。

5.肝疾患(liver disease)の利用者には、低カロリー、低たんぱくの食事を勧める。

正解3

1.参考テキスト⇒腎機能障害の人の食事

人工透析を受ける利用者の食事は、腎臓機能の負担軽減のために力リウム塩分たんぱく質水分の制限が必要です。生野菜生の果実には、力リウムが多く含まれているので不適切です。

2.1日10gの塩分量は、血圧に問題のない一般の人の塩分摂取量の目安です。高血圧と診断されている人の場合の塩分量は、1日6g程度に抑えなければなりません。

3.参考テキスト⇒骨粗鬆症予防

4.一度に多くのカロリーを摂取すると膵臓インスリンを分泌する)の負担が増し、高血糖になるリスクがあります。糖尿病の人は適切なカロリーの範囲内で、バランスよく栄養素を摂取することが重要で、1日の必要量を分散して摂取することが大事です。

5.参考テキスト⇒肝機能障害の人の食事

弛緩性便秘の利用者に提供する食べ物として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.ごぼうの煮物
2.白身魚の煮つけ
3.おかゆ
4.ゆで卵
5.焼き肉

正解1

参考テキスト⇒便秘

弛緩性便秘は、腸の蠕動運動が低下して起こる便秘です。筋力低下運動不足食物繊維量水分量の不足などが原因です。したがって、腸の蠕動運動を促進する食べ物が適切であり、正解は選択肢1のごぼうの煮物となります。

高齢者の食生活に関する助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.骨粗鬆症(osteoporosis)の予防として、ビタミンDの摂取を勧める。

2.高血圧症(hypertension)の予防として、果物の摂取を控える。

3.便秘の予防として、水分摂取を控える。

4.ドライマウス(dry mouth)の予防として、柔らかい食べものを勧める。

5.逆流性食道炎(reflux esophagitis)の予防として、食後すぐに横になる。

正解1

1.骨粗鬆症予防として摂取を勧める栄養素は、カルシウムビタミンDビタミンKイソフラボンなどです。

2.高血圧症の予防として、控えなければいけないのは塩分です。

3.水分を控えるのではなく、しっかりとることで便秘の予防につながります。

4.ドライマウスは、さまざまな原因により主に唾液の分泌量が少なくなり、口の中が乾燥状態となることです。唾液量が少なくなると口腔内に細菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因にもなります。
治療法の一つに、ガムやキャンディーなどをかんで、唾液腺を刺激するというものがあります。さらに、唾液腺を直接マッサージする方法、舌や口腔周囲の筋肉に一定の運動を負荷し鍛える筋機能療法なども行われます。柔らかい食べ物では、口腔周囲の筋肉に負荷を与えることはできないので、不適切です。

5.逆流性食道炎とは、胃の中で胃液と混ざり合った食べ物や胃液そのものが食道に逆流する病気です。胃液は強い酸性のため、食道に逆流すると、食道の粘膜を刺激して食道の粘膜がただれたり、潰瘍ができたりします。

食後すぐは、胃からの逆流が起きやすい状態にあるので、食後2~3時間ぐらいは、横になるのを避ける方がよいです。身体を起こしておいたほうが、胃からの逆流は抑えられます。

食中毒(foodborne disease)の予防に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.生食用海産魚介類は、塩水で洗う。

2.カレーやシチューは、常温で保存する。

3.生の肉を切った包丁とまな板は、すぐに洗って熱湯をかけておく。

4.豚肉は、中心部が50℃になるように1分間加熱する。

5.解凍した冷凍食品の残りは、再度冷凍して保管する。

正解3

参考テキスト⇒食中毒予防

1.生食魚介類による食中毒で、圧倒的に多いのが腸炎ビブリオという細菌によるものです。この細菌は海水程度の塩分を好むので、塩水で洗うのは不適切です。真水で洗浄することが重要です。

2.常温放置すると、細菌が増殖し食中毒の危険が高まります。保存する場合は、速やかに粗熱を取って冷蔵庫に保存したり、小分けにして冷凍保存したりする必要があります。

4.豚肉が原因食材となる可能性がある、サルモネラ食中毒カンピロバクター食中毒は、加熱調理が有効で、中心部75℃以上で1分以上加熱する必要があります。

5.一度解凍した食品は、冷凍によって休眠していた細菌が目を覚ましてー気に増殖し、 食中毒を起こす毒素をつくることがあります。再冷凍することは食中毒の危険を増大させることになるので不適切です。

肉入りのカレーを常温で保存し、翌日、加熱調理したときの食中毒の原因菌として、最も注意しなければならないものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.ウエルシュ菌
2.カンピロバクター
3.サルモネラ菌
4.腸炎ビブリオ
5.黄色ブドウ球菌

正解1

ウェルシュ菌は、土や水の中、健康な人や動物の腸内など自然界に幅広く生息している細菌です。特に牛・鶏・魚が保菌していることが多いです。

汚染された肉類や魚介類を使った煮込み料理が原因となる場合が多いので、カレーやシチューなどの大量調理は要注意です。

ウェルシュ菌食中毒の症状は腹痛、下痢、嘔吐などで、潜伏期間は6~18時間です。

ウェルシュ菌は空気が嫌いな細菌のため、粘性の高い煮込み料理を寸胴鍋で作ると、酸素の少ない”鍋底”近くでは増殖しやすくなります。酸素がないところでも増殖し、100℃、6時間の加熱にも耐える芽胞を形成します。

芽胞を一度作ってしまうと、通常の加熱では死滅しません。そうなる前に、調理中はよくかき混ぜ、鍋底にも空気を送りながら加熱するようにします。

調理後は早めに食べきり、室温で放置せずに残りを保存する場合は速やかに粗熱を取って冷蔵庫に保存するようにします。

洗濯に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.血液などのタンパク質の汚れには、高温での洗濯が効果的である。

2.淡色のものを洗うときには、蛍光増白剤の入った洗剤を使用する。

3.洗剤は、多く使用すればするほど汚れがよく落ちる。

4.水洗いできるウール・絹には、液体酸素系漂白剤を用いる。

5.ドライクリーニングは、主に水溶性の汚れを落とすのに適している。

正解4

1.血液や便などの汚れに含まれるタンパク質は、高温で凝固し落ちにくくなるので不適切です。

2.蛍光増白剤は、紫外線を吸収すると青白い光を発光する一種の染料と呼べる成分で、白物の衣類の白さを際立たせる効果があります。

蛍光増白剤は生地を傷めませんが、色味が変わり本来とは異なる色に洗いあがってしまいます。パステルカラーのような淡色のものに使用すると、白っぽく色あせた色合いになってしまいます。

白物以外では使用しないのが無難です。

3.洗剤を多く使用しても、汚れがよく落ちるものではありません。特にドラム式洗濯機の場合には、洗剤を多く使用すると大量の泡が発生し、その泡がクッションの役目を果たしてしまうため、汚れ落ちが不十分になりやすいです。

4.参考テキスト⇒漂白剤

5.ドライクリーニングは、有機溶剤(主に石油や塩素を原料にした液体)で油溶性の汚れを落とすのに適しています。

洗濯に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.ほころびや破れがあるものは、修理してから洗濯する。

2.色が移るのを防ぐために、素材の違うものは分けて洗濯する。

3.嘔吐物で汚れたカシミヤのセーターは、塩素系漂白剤につけてから洗濯する。

4.ファスナーは開けた状態で洗濯する。

5.マジックテープは、はずした状態で洗濯する。

正解1

1.ほころびや破れのある状態のまま洗濯をすると、ほころびや破れを広げてしまう可能性が高いです。

2.色移りを防ぐためには、白いものと色のあるものを分けて洗濯します。

3.塩素系漂白剤は殺菌効果は高いですが布も傷めやすく、には使用できません。

4.ファスナーを開けた状態で洗濯をしてしまうと、衣類の型崩れを起こしたり、フアスナーがほかの衣類を傷つけたり、また、フアスナーそのものを傷めてしまう原因となります。

5.マジックテープをはずした状態で洗濯をすると、マジックテープに糸くずが付着してマジックテープの密着機能が低下したり、マジックテープの片方がほかの衣類に密着し衣類を損傷させることもあります。

布団についた、ダニの死骸や糞などのダニアレルゲンを除去する方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.陰干しする。
2.掃除機で吸い取る。
3.強くたたく。
4.表面をしぼったタオルで拭く。
5.布団カバーを取り替える。

正解2

1.陰干ししても、死骸や糞等を除去することはできません。

ちなみに天日干しの場合でも布団の表面は熱くなりますが、日光が当たらない温度の低い布団の裏側にダニが逃げてしまいます。数時間後に表裏変えて干しても、実際に効果はあまりありません。

2.こまめに掃除機をかけることは有効です。掃除機以外では、洗濯機で丸洗いすることも効果的です。

3.強くたたいても、死骸が落ちるのではなく布団の中で砕け散っているだけです。それにより、アレルギーや咳などの症状が出てしまう原因となる可能性があります。そして、吸い取らなければまた布団に付着してしまいます。

4.ダニは乾燥に弱く、湿気を好むので、表面を絞ったタオルで拭いてはいけません。

ダニは高温に弱く55℃以上の温度で20~30分ほど加熱すると死滅します。コインランドリーなどの布団をまるごと入れられる乾燥機は60℃以上になるため、有効です。

5.布団自体に死骸・糞が残っているので意味がありません。

繊維製品に以下の表示があるときの取り扱いの留意点として、適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.しわになりやすいので、脱水は避ける。
2.色が落ちやすいので、単独で洗う。
3.手洗いする。
4.日陰のつり干しにする。
5.平干しにする。

正解4

参考テキスト⇒洗濯物の干し方

利用者から洗濯を依頼された。以下に示す取扱い表示がある場合、乾燥の方法として、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.日当たりのよい場所でつり干しする。
2.日陰でつり干しする。
3.日当たりのよい場所で平干しする。
4.日陰で平干しする。
5.乾燥機を使って高温で乾燥する。

正解4

参考テキスト⇒洗濯物の干し方

利用者の自宅の清掃を行うときの注意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.玄関は乾燥した茶殻をまいて掃く。

2.窓ガラスは最初に乾いた雑巾で拭く。

3.畳は畳の目に沿って拭く。

4.浴室にカビ取り剤を散布するときは窓を閉める。

5.はたきを使った掃除は低い所から始める。

正解3

1.湿った茶殻やちぎって濡らした新聞紙をまいて掃くと、埃が舞い上がるのを防ぐことができます。

2.窓ガラスは最初に水や洗剤を含ませた雑巾で拭きます。

4.浴室にカビ取り剤を散布するときは窓を開けます。

5.低い所から始めると、高い所をはたいて落とした挨などが、また低い所に付いてしまいます。

ノロウイルス(NoroVirus)に感染した人の嘔吐物のついた衣類の処理に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.嘔吐物を拭き取ったペーパータオルはごみ箱に捨てる。

2.汚染された部分にアルコールを噴霧する。

3.汚染された部分を強くもみ洗いする。

4.嘔吐物を取り除いた後、次亜塩素酸ナトリウム溶液につける。

5.40℃の湯で洗濯する。

正解4

1.嘔吐物便、またはそれらが乾燥し、ホコリとなったものを吸い込んで感染する場合もあるので、専用のビニール袋や感染性廃棄物容器に密閉し管理する必要があります。

2&4.ノロウイルスはアルコールに強い抵抗性があるため、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が効果的です。

3.二次感染を防ぐためにも、もみ洗いをすることは適切ではありません。次亜塩素酸ナトリウムで消毒した後に洗うようにします。あまりにも汚染がひどい場合は廃棄も検討します。

5.加熱消毒する場合は、少なくとも85℃~90℃のお湯である必要があります。

Jさん(80歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所している。食事の後、Jさんから「最近飲み込みにくくなって時間がかかる」と相談された。受診の結果、加齢による機能低下が疑われると診断された。次の記述のうち、Jさんが食事をするときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.リクライニングのいすを用意する。
2.栄養価の高い食事を準備する。
3.食前に嚥下体操を進める。
4.自力で全量を摂取できるように促す。
5.細かく刻んだ食事を提供する。

正解3

1.リクライニングのいすは、背もたれに寄りかかって食事をすることになります。背もたれを倒した状態で何かを食べると、誤嚥のリスクが高くなるので不適切です。

2.栄養価の高い食事を準備しても嚥下機能が改善するわけではありません。とろみをつけるなど、飲み込みやすい食事を準備する方が適切です。

3.これは正しいです。嚥下体操は、誤嚥予防や口腔機能の維持・回復を目的とした体操のことです。

4.自力で食事を摂取できないと設問に書かれていませんし、そもそも、全量摂取できることと、飲み込みにくさの改善は関係がないので不適切です。

5.咀嚼機能が低下している人に細かく刻んだ食事を提供する対応は適切ですが、嚥下機能が低下している場合は逆に誤嚥を生じやすいので不適切です。嚥下機能が低下している場合は、とろみをつけたものや、ゼリー状のものが適切です。

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)のある利用者の食事に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.繊維質の多い芋類を食事に取り入れる。
2.炭酸飲料で水分補給をする。
3.たんぱく質の多い食事は控える。
4.高カロリーの食事は控える。
5.一回の食事量を減らし、回数を増やす。

正解5

1&2.慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器機能障害者の場合、胃が膨れると横隔膜が圧迫されて呼吸が苦しくなる原因となります。よって繊維質の多い芋類、炭酸飲料など、ガスを発生させる食品の摂取は控える方がよいです。

3.呼吸筋の筋力が低下しないように、しっかりタンパク質を摂取する必要があります。

4.慢性閉塞性肺疾患の方は呼吸で通常の人よりもエネルギーを消費するため、カロリーの高い食事をとる必要があります。

5.満腹になると横隔膜の動きが悪くなるため、1回の食事量を減らして、回数を増やすのは適切です。

図の洗濯表示の記号の意味として、正しいものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.液温は30℃以上とし、洗濯機で洗濯ができる。

2.液温は30℃以上とし、洗濯機で弱い洗濯ができる。

3.液温は30℃以上とし、洗濯機で非常に弱い洗濯ができる。

4.液温は30℃を上限とし、洗濯機で弱い洗濯ができる。

5.液温は30℃を上限とし、洗濯機で非常に弱い洗濯ができる。

正解4

これは知らなければ、どうしようもないので、わからなければ適当に選んで次にいきましょう。生活支援技術は問題数が他科目の2倍あるので、こんなの知らない!という問題が必ず出てきます。知らないなと思ったら、適当にマークして次にいきましょう。

ちなみに設問の洗濯表記は、数字部分が液温の上限を表していて、洗濯の強さが、下線なしで通常下線一本で弱め下線2本でさらに弱めとなっています。

衣服についたバターのしみを取るための処理方法に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.水で洗い流す。
2.しみに洗剤を浸み込ませて、布の上に置いて叩く。
3.乾かした後、ブラッシングする。
4.氷で冷やしてもむ。
5.歯磨き粉をつけてもむ。

正解2

1.バターは油性なので、水で洗い流してもしみは取れません。選択肢は、水溶性のしみを取る方法です。

2.これは油溶性のシミの落とし方の一例なので、適切です。

3.乾燥させて、ブラッシングして落とすのは泥汚れです。

4.これは衣服などに付着したガムを取る方法です。ガムは冷やすと硬くなり粘着性も弱まるのでががして落とすことができます。

5.これは墨汁で汚れたときの落とし方です。

食中毒の予防に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.鮮魚や精肉は、買い物の最初に購入する。
2.冷蔵庫の食品は、隙間なく詰める。
3.作って保存しておく食品は、広く浅い容器に入れてすばやく冷ます。
4.再加熱するときは、中心部温度が60℃で1分間行う。
5.使い終わった器具は、微温湯をかけて消毒する。

正解3

1.常温にさらす時間を減らすために最後に購入します。

2.冷蔵庫の食品は隙間なく詰めると冷気が行き渡らず、傷みやすくなるので、不適切です。

3.これは適切です。

4.60℃だと足りません。食中毒の予防は、中心部を75度以上1分以上の加熱調理が必要です。

5.微温湯では意味がありません。熱湯をかけて殺菌消毒し、乾燥させる必要があります。

喘息のある利用者の自宅の掃除に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.掃除機をかける前に吸着率の高いモップで床を拭く。
2.掃除は低い所から高い所へ進める。
3.拭き掃除は往復拭きをする。
4.掃除機の吸い込み口はすばやく動かす。
5.掃除は部屋の出口から奥へ向かって進める。

正解1

1.ほこりが巻き上がらないように、先にモップで床を拭いておくのは適切です。

2.高い所にあるほこりが低いところへ落ちるため、高い所から低い所へ掃除を進めます。

3.往復拭きにすると、いったんふき取った汚れをもとに戻すことになるので、一方向に拭くのが基本です。

4.ほこりをしっかり吸わせるために、掃除機の吸い込み口はゆっくりと動かすのが基本です。

5.出入口から進めると、掃除が終わった箇所を歩くことになり、またほこりが落ちる可能性があるので 部屋の奥から出入り口に向かって進めます。

ベッドに比べて畳の部屋に布団を敷いて寝る場合の利点について、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.布団に湿気がこもらない。
2.立ち上がりの動作がしやすい。
3.介護の負担が少ない。
4.床からの音や振動が伝わりにくい。
5.転落の不安がない。

正解5

選択肢1~4はベッドの利点です。

慢性腎不全の利用者の食材や調理方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.エネルギーの高い植物油を控える。
2.レモンや香辛料を利用し、塩分を控えた味付けにする。
3.肉や魚を多めにする。
4.砂糖を控えた味付けにする。
5.野菜は生でサラダにする。

正解2

腎機能障害のある人の食事で、制限しなければならないのは、タンパク質・塩分・カリウムの3つです。レモンや香辛料を使用することで、味に変化をつけつつ、塩分を控えた調理が可能です。

1.腎機能障害のある人の食事では、タンパク質からのエネルギー量確保が難しくなるので、糖質と脂質から必要なエネルギー量を摂取しなければなりません。よってエネルギーの高い植物油を特に控える必要はありません。

3.慢性腎不全の利用者は、タンパク質の摂取量を制限する必要があります。肉や魚はタンパク質が豊富であるため、多く摂取することは適切ではありません。

4.慢性腎不全の利用者にとっては、タンパク質塩分の摂取量に注意が必要ですが、砂糖を特に控える必要はありません。

5.慢性腎不全の利用者は、カリウムの摂取量にも注意が必要です。生の野菜や果物はカリウムが多く含まれているため、茹でたり蒸したりすることでカリウムを減らす調理方法が適切です。そして煮汁はカリウムが溶けだしているので飲まないようにします。

Aさん(78歳、男性、要介護2)は、脳梗塞の後遺症で嚥下障害がある。自宅で妻と二人暮らしで、訪問介護(ホームヘルプサービス)を週1回利用している。訪問時、妻から、「飲み込みの難しいときがある。上手に食べさせるにはどうしたらよいか」と相談があった。訪問介護員(ホームヘルパー)の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.食事のときは、いすに浅く座るように勧める。
2.会話をしながら食事をするように勧める。
3.食事の後に嚥下体操をするように勧める。
4.肉、野菜、魚などは軟らかく調理するように勧める。
5.おかずを細かく刻むように勧める。

正解4

嚥下障害のある方には、軟らかく調理された食材が飲み込みやすく、誤嚥のリスクも低くなります。

1.椅子に深く腰掛けて、姿勢を安定させたほうが飲み込みやすいです。

2.会話をしながら食事をすると、口腔にある食物を誤嚥しやすくなります。

3.嚥下体操は食事の前に、口の周囲や舌、首、肩の運動を行って筋肉をほぐすものです。

5.刻み食は、硬いものと軟らかいものを一律の大きさに細かくきざむため、バラバラになりやすく、口の中で食塊の形成がしにくい食形態といえます。そのため咽頭に残りやすく、嚥下障害がある場合、誤嚥を引き起こすリスクが高くなります。

次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする衣類用漂白剤に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.全ての白物の漂白に使用できる。
2.色柄物の漂白に適している。
3.熱湯で薄めて用いる。
4.手指の消毒に適している。
5.衣類の除菌効果がある。

正解5

次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする衣類用漂白剤は、塩素系漂白剤です。

塩素系漂白剤は、漂白効果殺菌効果は非常に高いですが、布も傷めやすく、毛や絹には使用できません。綿・麻・アクリル・ポリエステルなどの白い衣類のみに使用できます。また、酸性タイプのものと混ぜると有害な塩素ガスが発生するので危険です。介護職におなじみのキッチンハイターはこの塩素系漂白剤です。

1.毛や絹には使用できません

2.漂白効果が強いため、色柄物に使用すると色落ちしてしまうことがあり、適切ではありません。

3.使用方法は製品によって異なりますが、熱湯を使うと次亜塩素酸ナトリウムの効果が低下する場合があり、適切ではありません。

4.次亜塩素酸ナトリウムは強アルカリ性で、皮膚を傷めるおそれがあります。手指の消毒には適していません。

終末期に関する問題

介護老人福祉施設での終末期の事前の意思確認として、適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験改)

1.90歳を超えれば、事前の意思確認は必要ない。

2.本人が意思表示できれば、家族の意向は確認しない。

3.入所時の意思を尊重して変更しない。

4.介護職が、医療処置の範囲を説明して了解を得る。

5.確認した内容を書面などで記録しておく。

正解5

1.年齢に関係なく、事前に意思確認をする必要があります。

2.本人の意思が最優先ですが、家族の意向も確認します。本人と家族の希望が食い違った場合は、双方の希望を調整する必要があります。

3.考え方や希望が変わることもあります。現在の意思を確認し、尊重することが大切です。

4.これは主治医などの医療職の役割です。

5.言った言わないの水掛け論になる可能性もあり、訴訟に発展する場合もあるので、説明事項や確認した内容などは、書面や、電子メールでのやり取りを保存したりして、記録しておく必要があります。

施設での終末期介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.マッサージや好きな音楽の鑑賞は、疼痛や不安の緩和に有効である。

2.死への恐怖を訴えた場合、それを否定する。

3.清拭を家族が行うことは避ける。

4.食事はカロリー摂取に重点を置く。

5.使用薬剤の特徴は把握しなくてもよい。

正解1

1.これは適切です。

2.否定するのではなく、死への恐怖など、入所者の気持ちを受容することが大切です。

3.できる限り入所者が家族と一緒に過ごせる時間を持てるように配慮する必要があります。清拭を家族が行うことを避ける必要はありません。

4.終末期においては、その者の好み希望などに合わせることが大切です。

5.どのような副作用があるか、その副作用の対処法など、使用する薬剤の特徴を把握しておくことは必要です。

介護老人福祉施設で臨終期にある人の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験過去問)

1.昼夜の区別を明確にするような照明にする。
2.定期の入浴を行う。
3.夜間の巡回は控える。
4.安楽な体位を保持する。
5.仲の良い入所者の面会を控える。

正解4

1.その人が安心できる環境整備は必要ですが、昼夜の区別を明確にするような照明は特に必要ありません。

2.入浴に関しては、主治医の意見入所者の希望などを踏まえて実施の可否を決める必要があり、定期の入浴を行う必要はありません。

3.容体が急変する場合もあり、夜間の巡回を控えることは適切ではありません。

4.これは適切です。

5.臨終期にある入所者に対しては、家族や友人と接する時間を設けることが望ましいです。

終末期で食欲が低下してきた利用者の食事介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.食事の回数を増やす。
2.1回の食事量を増やす。
3.高カロリーの食事を用意する。
4.嗜好を重視する。
5.経管栄養を勧める。

正解4

終末期では利用者が食べたいときに、食べたいものを食べることが大事です。また、「口から食べる」という喜びを利用者自身が最後まで感じられるように支援することも大切です。

施設入所者の終末期から死後における家族への支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.付き添いやすい環境を整える。

2.在宅と比べて、家族への支援の必要性は乏しい。

3.状態が変化したときだけ家族に報告する。

4.家族が希望しても、死後の処置は職員で行う。

5.故人の思い出話は控える。

正解1

1.これは適切です。

2.在宅、施設に関係なく、家族への支援は重要です。

3.適宜家族と連絡をとり、利用者の様子を伝え、利用者と家族をつなぐとともに、家族との関係形成も大切にしなければなりません。

4.家族の希望を尊重し、家族と職員が協力して死後の処置を行う事が大切です。

5.控えるのではなく、むしろ故人との思い出話を家族と職員がすることで、悲しみを分かち合うことにつながります。

終末期ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.家族の悲嘆に対するケアは、終末期ケアとともに行う。

2.緩和ケアとは、身体的苦痛を取り除くことである。

3.口腔ケアは控える。

4.看取りの場を決めるのは、医師である。

5.認知症対応型共同生活介護(グループホーム)利用者の終末期ケアは、病院で行う。

正解1

1.利用者が亡くなった後の遺族の悲嘆に対するケアをグリーフケアといいます。終末期ケアには、グリーフケアも含まれています。

2.緩和ケアは、身体的苦痛だけではなく、精神的苦痛霊的(スピリチュアル)な苦痛も和らげるケアです。

3.終末期でも、口腔内の痰を取り除いたり、口腔ケア用のスポンジなどで、口腔内を保湿することは大切です。

4.看取りの場を決定するのは医師ではなく、本人です。本人自らが決定することが困難な場合は、家族が行います。

5.グループホームでも看取りは可能です。終末期は病院で行うという決まりはなく、本人や家族の意思を尊重して決めます。

終末期にある利用者を施設で看取る家族への支援として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.毎日面会に来るように促す。
2.家族が利用者のためにできることを提案する。
3.積極的な情報提供は控える。
4.感情を表出しないように助言する。
5.パブリックスペースを用意する。

正解2

1.毎日の面会がお互いにとって望ましいとは限りません。

2.終末期にある利用者を前にすると、家族は何をしてよいのか戸惑うこともあります。家族の死別後の悲しみや後悔を軽減するうえでも適切です。

3.積極的な情報提供が、家族の意思の決定を尊重することにつながります。

4.家族がその時々の感情を表現することは、少しずつ気持ちを整理し、大切な人の死を受け入れていくうえで必要なプロセスです。介護福祉職はその感情に寄り添うことが大切であり、感情を表出しないように助言するのは適切ではありません。

5.パブリックスペースとは、誰もが共有することのできる開放的な場所のことをいいます。誰にも気兼ねなく過ごすことのできるプライベートな環境を用意することの方が重要です。

施設において、介護福祉職の行う死後の処置として、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.義歯ははずす。
2.衣服は施設が指定したものを用いる。
3.着物の場合は右前に合わせる。
4.着物の場合は帯紐を縦結びにする。
5.死後の処置は、死後3時間経過してから行う。

正解4

1.義歯は可能な限り装着し生前の顔貌に近づけることが大切です。

2.衣服は家族の希望のものや、本人が生前に準備をしていたものを用います。

3.通常、着物は男女ともに「右前」(左の襟が上の状態)です。わかりやすい確認方法として、「右手が襟にすっと入るかどうか」で確認できます。

右前着物

出典 きものと宝飾社

死後の場合に左前にします。左前は一般的に「死に装束」と捉えられています。

4.故人の衣装を結ぶ際、通常の蝶結びではなく、縦に結びます縦結びは、結んだ紐の輪や紐の先が根元の紐と垂直になるような結び方です。

5.医師による死亡診断が行われ、家族との対面をすませた後は、速やかに死後の処置を始めることが望ましいです。

終末期で終日臥床している利用者への便秘予防の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.水分摂取量を減らす。
2.腹部に冷罨法を行う。
3.下剤を用いて直腸を定期的に刺激する。
4.座位姿勢を保持する機会を作る。
5.小腸に沿って腹部マッサージを行う。

正解4

1.水分摂取量を減らすと逆に、便秘になる可能性が高まります。さらに脱水のリスクも高くなるので適切ではありません。

2.温めることで腸の蠕動運動促進されるので、冷罨法ではなく温罨法を行います。

冷罨法:氷嚢(ひょうのう)や冷湿布などで患部を冷やし、炎症や痛みをとる治療法。

温罨法:患部を温める治療法。温湿布などの湿性温罨法と湯たんぽ・光線照射などの乾性温罨法がある。

出典 コトバンク

3.下剤を用いると、身体への負担が大きくなるため、予防の対応としては、一般的には適切ではありません。ただし、利用者の状態、状況によっては効果的な場合もあるので、絶対に予防的に下剤を使用してはならないというわけではありません。

4.座位をとることによって、腸が重力によって伸長され刺激を受け活性化されます。また座位の方が腹圧をかけやすいので、適切です。

5.小腸ではなく大腸に沿って腹部マッサージを行います。

Fさん(80歳、女性)は、認知症(dementia)で高齢者施設に10年間入所していたが、死去した。夫(85歳)はFさんが入所中、毎日面会して、Fさんと共通の趣味である詩吟を楽しみ、時間を共に過ごしていた。夫はFさんが亡くなって1週間後、施設にお礼に訪れて、「毎日通うのは大変だったが、今は話し相手もいなくなり寂しい。自分で料理をする気もなくなり眠れない」と涙を流しながら話をした。
Fさんの夫に対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.気遣いの言葉をかけて、話を聴く。
2.良眠できる方法を助言する。
3.外食を勧める。
4.趣味に打ち込むように勧める。
5.元気を出すように励ます。

正解1

介護職として、まず気持ちを受け止めること話を聴くことが最も大切なポイントです。

Bさん(83歳、女性)は、介護老人福祉施設に入所している。終末期で、「最期はこの施設で迎えたい」という本人の希望があり、家族もそれを望んでいる。昨日から死前喘鳴が出現し、医師から、「あと数日でしょう」と言われた。
「呼吸が苦しそうだ」と言っている家族への介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.「自然な経過なので体位の工夫をして一緒に見守りましょう」

2.「Bさんに意識はないので心配いらないですよ」

3.「痰の吸引をすると楽になるので準備しますね」

4.「Bさんを励ましてください」

5.「すぐに救急車を呼びましょう」

正解1

1.これは適切です。

2.死前喘鳴が出ていてるからといって、意識がないとは限りません。最後の瞬間になる可能性も高く、家族には声かけを促すほうが適切です。

3.死前喘鳴は、のどの奥の方に分泌物がたまっていることが原因です。吸引しても取れない場合が多く、苦痛を与えるだけになってしまう可能性が高いので、適切ではありません。

4.回復の可能性のある病気ならば、励ますことも大事ですが、避けようのない死に向かっている人には適切ではありません。

5.医師からあと数日の余命宣告があり、本人も家族も施設での最後をのぞんでいるので、救急車を呼ぶことは適切ではありません。

高齢者施設において介護福祉職が行う死亡後の介護について、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.ペースメーカーを取り除く。
2.口が閉じない場合は紐で顔を固定する。
3.衣類は着衣がしやすい服を選ぶ。
4.全身清拭には水を使用する。
5.家族に、死亡後の介護を一緒に行うかどうかを確認する。

正解5

1.死亡後であっても、介護福祉職ができる処置ではありません。

2.胸の上で手を組ませ、固定するために手首を縛ったり、閉口のために顔を縛ったりすることは、ご遺体を傷つける処置です。枕を少し高くして顎の下にタオルを入れれば口は閉じ、肘の下にタオルを置いて高くすれば手を組ませやすくなります。
縛られているのを目にするのは家族にはつらく、かわいそうと感じる方が多いので、適切ではありません。

3.着衣がしやすい服を選ぶのではなく、遺族が用意した服や、故人が好んでいた服を選ぶのが適切です。

4.かつては湯灌(ゆかん)といってぬるめのお湯に入れて遺体を洗い清めました。しかし、今日ではあまり行われなくなってきたようです。顔や首、手、足をアルコールに浸した脱脂綿で拭き清めるという場合も多いです。

5.家族によっては、死亡後の介護を一緒に行いたくない場合、または一緒に行いたい場合があるので、適切です。

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年(平成30年)改訂(厚生労働省)において、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が重要視されている。このアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を踏まえた、人生の最終段階を迎えようとする人への介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.「生活上の悩みごとは、近くの地域包括支援センターに相談できます」

2.「今後の医療とケアについては、家族が代わりに決めるので安心です」

3.「今後の生活について、家族や医療・介護職員と一緒に、その都度話し合っていきましょう」

4.「口から食べることができなくなったら、介護職員に相談してください」

5.「意思を伝えられなくなったら、成年後見制度を利用しましょう」

正解3

アドバンスケアプラニングは、利用者もしくはそのご家族が、今後の意思決定能力の低下に備えて、事前によく話し合い、意思決定プロセスを決めておくことです。

選択肢2の家族が代わりに決める、選択肢4の口から食べることができなくなったら、選択肢5の意思を伝えられなくなったら、などは不安感が強くなるので、適当ではありません。

選択肢1は、人生の最終段階を迎えようとする人の生活上の悩みごとを地域包括支援センターに相談するのは適当ではありません。

死期が近づいたときの介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.食事量が減少したときは、高カロリーの食事を用意する。

2.チアノーゼ(cyanosis) が出現したときは、冷罨法を行う。

3.全身倦怠感が強いときは、全身清拭から部分清拭に切り替える。

4.傾眠傾向があるときは、話しかけないようにする。

5.口腔内乾燥があるときは、アイスマッサージを行う。

正解3

1.死期が近づいている場合の食事は、栄養よりも本人の好みのものを無理のない範囲でとることが適切です。

2.チアノーゼは、血流が悪くなっていることで現れるため、冷罨法ではなく、温罨法を行います。

3.全身清拭の方が疲労感は大きいので、これは適切です。

4.傾眠傾向があっても、最後まで耳は聞こえているため、そばで静かに話しかけると、本人は安心感を持てます。

5.アイスマッサージは、凍らせた綿棒で口腔内を刺激することにより、咀嚼や嚥下機能の活性化を目指すものであり、死期が近づいた利用者に対して行うことは適切ではありません。

高齢者施設で利用者の死後に行うデスカンファレンス(death conference)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.ボランティアに参加を求める。
2.ケアを振り返り、悲しみを共有する。
3.利用者の死亡直後に行う。
4.個人の責任や反省点を追求する。
5.自分の感情は抑える。

正解2

1.デスカンファレンスは、利用者の家族スタッフにも参加を求め、悲しみを共有しつつ、看取り業務の振り返りをすることで、ケアの質を高めることが目的です。なので、ボランティアに参加を求めることは適切ではありません。

2.これは適切です。

3.看取り直後はご家族の時間確保が難しいので、適切ではありません。

4.デスカンファレンスは、ケアの振り返りをする場であり、個人の責任や反省点を追求する場ではありません。

5.デスカンファレンスで反省点や改善案を話し合う中で、自分の悲しみの感情もチームと共有することができ、それがグリーフケアにつながります。なので、自分の感情を抑えるというのは適切ではありません。

Bさん(102歳、女性)は、介護老人福祉施設に入所している。高齢による身体機能の衰えがあり、機能低下の状態が長く続いていた。1週間前から経口摂取が困難になった。1日の大半は目を閉じ、臥床状態(がしょうじょうたい)が続いている。医師から、「老衰により死期が近い」と診断され、家族は施設で看取りたいと希望している。死が極めて近い状態にあるBさんの看取りに必要な情報として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.体重の減少
2.夜間の睡眠時間
3.延命治療の意思
4.嚥下可能な食形態
5.呼吸の状態

正解5

死の直前は呼吸が変化し、下顎呼吸鼻翼呼吸などが見られるので、呼吸の状態は重要な情報です。下顎呼吸は、下顎を上下させ、口をパクパクさせてあえぐような呼吸で、呼吸中枢の機能をほぼ失った状態です。死が数時間以内である場合に多くみられます。
鼻翼呼吸は、小鼻が開いて呼吸する状態で、少しでも酸素を取り込もうとしているための呼吸です。

1.老衰によって身体機能が衰え、1週間前から経口摂取が困難になったと書かれており、体重減少は自然の流れです。看取りに必要な情報ではありません。

2.死が極めて近い状態になると、1日中うとうとするようになるので、夜間の睡眠時間は、看取りに必要な情報ではありません。

3.Bさんの家族は施設で看取りたいと希望しており、必要な情報ではありません。

4.すでに経口摂取が困難な状態であり、必要な情報ではありません。

死亡後の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.死後硬直がみられてから実施する。
2.生前と同じように利用者に声をかけながら介護を行う。
3.義歯を外す。
4.髭剃り後はクリーム塗布を控える。
5.両手を組むために手首を包帯でしばる。

正解2

死亡後の介護では、敬意を持って遺体に接し、生前と同じように利用者に声をかけながら介護を行うことが適切です。

1.遺体の整容や清潔保持などは、死後硬直がみられる前に行います。

3.義歯を外すと、両頬がくぼんでしまうので、義歯は遺体の口の中に入れたままにし、遺体の顔の形を整えます。

4.死亡後は、皮膚が乾燥しやすいのでクリームを塗布し、乾燥を防ぐのは問題ありません。

5.亡くなった後、両手を組ませようとすると、うまく組めないことがあります。両手を組ませるために手首を包帯でしばると、痕がついたり、皮下出血したりする場合があるので、適切ではありません。近年では手を組まずに自然な状態で横に降ろした状態も珍しくありません。

その他の問題

クーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.デパートで購入した洋服は、どのような場合でもクーリング・オフできる。

2.訪問販売のクーリング・オフ期間は、10日間である。

3.電話勧誘販売のクーリング・オフ期間は、5日間である。

4.通信販売の場合、クーリング・オフできない。

5.訪問販売でのリフォーム工事は、工事完了後はどのような場合でもクーリング・オフできない。

正解4

参考テキスト⇒クーリング・オフ制度

1&4.通信販売やデパートでの購入など自分から買い物をした場合は、クーリング・オフ制度を利用できません。

2&3.8日間です。

4.店舗や自分から買い物をする通信販売での購入は、クーリングオフできません。

5.一般的に訪問営業によるリフォーム契約をクーリングオフする場合、消費者が業者を呼び出したのでない限り、契約締結時から8日以内に内容証明郵便や配達証明郵便などの書面で解除の意志を伝えれば、工事代金を払うことなく契約を解除できます。

Mさん(77歳、女性)は一人暮らしである。半年前に転倒し、1か月間入院した。退院後は自宅にこもるようになり、週一回の訪問介護を利用するようになった。ある朝、訪問介護事業所に、別居の長男から、「母が悪徳商法の被害に遭っているようです」と連絡があった。訪問販売で3か月間に高価な和服を次々に買っていて、Mさん名義の預金が100万円近く減っているという。長男は、「ほかにも買っているかもしれませんから、母の部屋を探してください。買った和服は着る機会もないので、クーリング・オフをさせます」と言い、すぐにでも手続きをとりたい様子である。この日訪問する訪問介護員の最初の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.ほかにも被害がないかどうか、Mさんの部屋の中を探す。

2.クーリング・オフが可能かどうか契約書の日付を確認する。

3.Mさんに和服を買うようになった経緯を確認する。

4.Mさんに和服を買うことが浪費であることを説明する。

5.販売業者にクーリング・オフの連絡を入れる。

正解3

1.訪問するなり、部屋の中を探し回ったら、Mさんに不快感を与える可能性が高いです。

2&5.Mさんがクーリング・オフを希望しているかどうかわからないので不適切です。

3&4.最も重要なのはMさんの気持ちや思いなどを理解することであり、傾聴してその経緯を確認することです。

Aさん(85歳、女性、要介護1)は、認知症(dementia)があり判断能力が不十分である。一人暮らしで、介護保険サービスを利用している。訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問したときに、物品売買契約書を見つけた。Aさんは、「昨日、訪問販売の業者が来た」「契約書については覚えていない」と話した。
訪問介護員(ホームヘルパー)から連絡を受けたサービス提供責任者が、迅速にクーリング・オフの手続きを相談する相手として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.行政書士
2.消費生活センター
3.家庭裁判所
4.保健所
5.相談支援事業所

正解2

悪質な販売・勧誘に関する相談窓口としては、国民生活センター消費生活センターなどがあります。

Bさん(78 歳、女性)は要支援2で、一人暮らしである。変形性膝関節症(knee osteoarthritis)が進んで、歩行に時間がかかるようになった。Bさんは調理が好きで、時間がかかっても近所の商店街に歩いて出かけて自分で食材を選んで作りたいと考えている。それを知った別居の長男は、Bさんの買物に行く負担を軽くする方法はないかと考えて、地域包括支援センターに相談した。
Bさんがこれからも買物や調理を継続していくための助言として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.買物代行サービスの利用を勧める。
2.ネットスーパーの利用を勧める。
3.電動車いすの利用を勧める。
4.シルバーカーの利用を勧める。
5.台所を車いす対応にリフォームすることを勧める。

正解4

「時間がかかっても近所の商店街に歩いて出かけて自分で食材を選んで作りたいと考えている」とあるので選択肢1、2は不適切です。
現状時間はかかるが歩けており、歩いて買い物に行けるような支援が適切です。

2019年度の家計調査(総務省統計局)における高齢単身無職世帯の家計収支に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験改)

1.主な収入源は仕送りである。
2.主な支出は保健医療費である。
3.1か月の実収入は15万円を超える。
4.消費支出が可処分所得を上回っている。
5.非消費支出は5千円以下である。

正解4

参考テキスト⇒家計調査

1.実収入の9割以上社会保障給付(年金等)です。

2.主な支出は食費です。

3.一か月の実収入は約11万円です。

4.消費支出はいわゆる生活費で、食費、医療費、光熱費などです。非消費支出は、直接税や社会保険料など消費を目的としない支出です。また可処分所得実収入ー非消費支出です。消費支出が可処分所得を上回っている、とは別の言い方をすれば赤字です。

5.1万円を超えています。

1か月の実収入が 12 万円の高齢者世帯で、消費支出が 14 万円、非消費支出が2万円の場合、可処分所得として、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.  8 万円
2. 10 万円
3. 12 万円
4. 14 万円
5. 16 万円

正解2

可処分所得は、一言でいうならば給料の手取りです。

可処分所得=実収入ー非消費支出(税金や社会保険料)

Bさん(87歳、女性)は夫(90歳)と二人暮らしである。Bさんには持病があり、夫は脳梗塞(cerebral infarction )の後遺症による軽い右片麻痺で、訪問介護(ホー ムヘルプサービス)を利用している。Bさんと夫は苦労して手に入れた自宅に愛着を感じており、以前から、「死ぬならこの家で」 と話していた。ある日Bさんは、「この家で死にたいと思っていたけど、いつまで二人で暮らせるか・・・」 と打ち明けた。
話を聞いた訪問介護員(ホームヘルパー)がBさんにかける言葉として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.「ご夫婦二人で入居できる施設を探しましょう」

2.「便利な道具がいろいろありますから使ってみましょう」

3.「どなたかご家族と同居できるといいですね」

4.「いざとなれば病院に入院しましょう」

5.「何か心配なことがおありなんですね」

正解

自宅に愛着を感じており、以前から、「死ぬならこの家で」とあるので、選択肢1、3、4は不適切です。

2.”便利な道具”が夫の介護のための道具なのか、自宅で暮らすために便利に使える道具なのか判別がつきません。また、Bさんは夫の介護負担を訴えてはいないので、選択肢5のほうがベターです。

5.不安に思っている原因を探るためにも適切な言葉かけです。

施設における介護福祉職と他職種との連携として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.食事時に咳込む利用者の嚥下機能の評価を、作業療法士に相談する。

2.寝たきりの利用者の仙骨部に発赤を見つけたときは、看護師に相談する。

3.体重減少が続いている利用者に気づいたときは、社会福祉士に相談する。

4.車いすでの食事時に姿勢が崩れてしまう利用者に気づいたときは、言語聴覚士に相談する。

5.嚥下困難のある利用者に提供する食事内容を、歯科衛生士に相談する。

正解2

1.嚥下機能の評価は、言語聴覚士(ST)歯科医師に相談します。

2.これは適切です。

3.体重減少が続いている利用者に気づいたときは、管理栄養士、看護師、医師などに相談します。

4.車いすでの食事時に姿勢が崩れてしまう利用者に気づいたときは、理学療法士(PT)に相談します。

5.嚥下困難のある利用者に提供する食事内容は、管理栄養士、栄養士に相談します。

エンゲル係数について相談を受けた介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.住居費について一緒に考える。
2.食料費の内容について一緒に考える。
3.光熱水道費の内容について一緒に考える。
4.交際費の内容について一緒に考える。
5.教養娯楽費の内容について一緒に考える。

正解2

エンゲル係数とは、家計の消費支出(世帯を維持していくために必要な支出)の「飲食費」が占める割合を指します。

下記のマークが表しているものとして、正しいものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.肢体不自由のある人が運転する自動車

2.障害者が利用できる建物、施設

3.義肢や義足などで援助や配慮を必要としている人

4.オストメイトであること、オストメイトのための設備があるトイレ

5.障害者の就労支援に取り組んでいる企業

正解4

このマークは、人工肛門・人工膀胱を造設している人( オストメイト )を表しています。オストメイトのための設備があるトイレなどに特に多くみられます。

たんぱく質・エネルギー低栄養状態(PEM:ProteinEnergyMalnutrition)が疑われる状況として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.要介護度が改善した。
2.1か月に3%以上の体重減少があった。
3.体格指数(BMI)が25.0以上になった。
4.低血圧症状が現れた。
5.声が枯れるようになった。

正解2

参考テキスト⇒低栄養

1.低栄養状態では日常生活動作が低下し、要介護度は上がる傾向にあります。

2.低栄養の指標の1つです。その他には、血清アルブミン値(3.8g/dl以下)体格指数(BMI)(20未満)などがあります。

3.BMI20以下だと低栄養のリスクが高まり、注意が必要です。

4&5.低栄養状態の特徴ではありません。

Eさん(78歳、女性)は、30年前に夫を亡くした。姑の介護を8年間一人で行い、1年前に自宅で看取った。隣県に住む息子に促されて介護付有料老人ホームに入居した。入居して間もないEさんは、「何をしてよいかわからない」と日中は部屋で一人で過ごしている。
ホームでの暮らしに戸惑っているEさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.規則正しい生活を送るように話す。
2.入居前の生活の様子を聞く。
3.ホームの日課を伝える。
4.介護福祉職がホームでの役割を決める。
5.長男に面会に来てもらえるように、生活相談員に依頼する。

正解2

1&3&4.生活の主体が利用者側ではなく、介護者側になっています。自分の生活をデザインするのはEさん本人でなければなりません。

2.Eさんを支援するためには、まずはEさんとの会話を通して、困りごとやニーズを引き出すことが重要です。

5.長男が面会に来てくれたとしても、状況は変わらない可能性が高いです。まずは、不安や困りごとなどを職員に話してくれるように、介護福祉職は、Eさんとの信頼関係を築くことが大切です。

介護老人保健施設の利用者の身じたくに関する専門職の役割として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.介護支援専門員(ケアマネジャー)は、洗面時の関節可動域の制限を改善する。

2.支援相談員は、着脱に使用する福祉用具を選定する。

3.栄養士は、破損した義歯を修復する。

4.看護師は、糖尿病(diabetes mellitus)に伴う管理が必要な利用者の爪切りを行う。

5.理学療法士は、身体状況に合わせて衣類を作り直す。

正解4

1.関節可動域の訓練は理学療法士が行います。介護支援専門員は利用者のケアマネジメントを行います。

2.参考テキスト⇒支援相談員

3.破損した義歯を修復するのは歯科技工士です。

4.これは適切です。

爪切りは、爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも炎症や化膿がなく、かつ糖尿病などの疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に限り、原則として医行為ではないとされ、医療職でなくても爪切りややすりがけをすることができます。

選択肢のような場合は、介護福祉職では爪切りを行えません。看護師や医師が行います。

5.参考テキスト⇒理学療法士

Hさん(35歳、男性)は6か月前、高所作業中に転落し、第6胸髄節(Th6)を損傷した。リハビリテーション後、車いすを利用すれば日常生活を送ることができる状態になっている。Hさんの身体機能に応じた車いすの特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.ヘッドサポートを装着している。
2.ハンドリムがないタイヤを装着している。
3.レバーが長いブレーキを装着している。
4.片手で駆動できるハンドリムを装着している。
5.腰部までのバックサポートを装着している。

正解5

第6胸髄節損傷は、下肢と体幹下部の麻痺、胸部から下の感覚の消失、腹筋と背筋が麻痺するので体幹の保持不安定あります

1.ヘッドサポートは頚髄損傷などで、首に麻痺があり頭を支えられない場合に用います。第6胸髄節(Th6)損傷では頸部に麻痺はないため、ヘッドサポートは必要ありません。

2.第6胸髄節損傷では両上肢に麻痺はなく、Hさんは自分でハンドリムの操作ができるため、ハンドリムがない車イスは適切ではありません。

3.レバーが長いブレーキは、上肢の力が弱かったり、ブレーキに手が届かない等の場合に使用します。Hさんは、上肢に麻痺がないため、ブレーキを長くする必要はありません。

4.片手で駆動できるハンドリムを装着しているのは、片麻痺用の車いすです。Hさんに上肢の片麻痺はないため、適切ではありません。

5.第6胸髄節損傷では、体幹保持の不安定さ、対麻痺があるため、腰部までのバックサポートを装着することは適切です。

視覚障害のある利用者の外出に同行するときの支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.トイレを使用するときは、トイレ内の情報を提供する。
2.階段を上るときは、利用者の手首を握って誘導する。
3.狭い場所を歩くときは、利用者の後ろに立って誘導する。
4.タクシーに乗るときは、支援者が先に乗って誘導する。
5.駅ではエレベーターよりエスカレーターの使用を勧める。

正解1

視覚障害のある利用者は、トイレ内の設備やレイアウトを把握するのが困難です。介護福祉職がトイレ内の情報を提供することで、利用者が安心してトイレを使用できます。

2.支援者は利用者が持っている白杖の反対側の半歩前に立ち、支援者の肘の少し上を利用者につかんでもらいます。基本平地での歩行介助と同じです。

3.「狭いので私の後ろを歩いてください」 などと伝え、誘導者の真後ろに入ってもらい、一列に歩きます。その際、誘導者は腕を後ろに回し、目の不自由な方は今まで曲げていた肘を伸ばして、二人の間隔は一歩あけ、足がつかえないようにします。

4.バスや電車では、支援者が先に乗り降りして誘導しますが、タクシーなどの乗用車の場合は、屋根に頭をぶつけないように、介助者は後で乗り、先に降りて介助します

5.視覚障害のある利用者にとって、エレベーターの方がエスカレーターよりも安全で利用しやすいです。

次の記述のうち、排泄物で汚れた衣類をタンスに隠してしまう認知症の利用者への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.タンスの中に汚れた衣類を入れられる場所を確保する。
2.「汚れた衣類は入れないように」とタンスに貼紙をする。
3.トイレに行くときには、同行して近くで監視する。
4.つなぎ服を勧める。
5.隠すところを見たら、毎回注意する。

正解1

汚れた衣類を入れられる場所を確保しておくのは適切ですが、必ずしもそこに汚染された衣類を入れてくれるとは限りません。一方、選択肢2の貼紙での対応は、書かれている内容が理解できない可能性があるのと、その人の行動を否定・禁止する内容なので、怒らせてしまう可能性があります。選択肢2より選択肢1のほうがベターです。

3.プライバシーへの配慮がないため適切ではありません。

4.つなぎ服は身体拘束に該当するため、不適切です。

5.注意しても覚えられず繰り返してしまう可能性が高いです。逆に注意することで不穏になってしまう可能性もあり、適切ではありません。

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