『発達と老化の理解』過去問

過去問

『発達と老化の理解』の過去問

プロダクティブ・エイジングに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.バルテルが最初に提唱した。
2.高齢者の経済的自立を目指した概念である。
3.エイジズムによる高齢者のとらえ方を肯定した概念である。
4.主観的幸福感とは無関係である。
5.プロダクティブな活動には、セルフケアが含まれる。

正解5

参考テキスト
プロダクティブエイジング

1.提唱したのは、アメリカのロバート・バトラーです。

2.経済的な自立を目指した概念ではなく、高齢者に様々な生産的な活動に寄与し、自立を求めた概念です。

3.参考テキスト
エイジズム

4.主観的な幸福感とも関連があります。

5.セルフケアは”自分で自分の健康を管理すること”です。

高齢者に対する次の見方のうち、エイジズム(ageism)に該当するものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.心身機能の個人差が大きくなる。
2.視覚機能が低下する。
3.流動性知能が低下する。
4.認知機能が低下する。
5.頑固な性格になる。

正解5

選択肢1~4は医学的見地からの事実です。

老年期の精神疾患と精神症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.老年期うつ病は、若年者のうつ病と比べて抑うつ気分が軽い。
2.アルツハイマー型認知症は、脳の器質的変化を伴わない。
3.うつ病等で自殺を試みた高齢者が死に至る率は、若年者の場合と比べて低い。
4.せん妄は、夜間よりも昼間に生じやすい。
5.老年期に発症した統合失調症は、妄想型が少ない。

正解1

1.参考テキスト
老年期うつ病の特徴

2.脳の萎縮脳溝の拡大が認められるなど、脳の器質的変化が認められます。

3.高いです。

4.せん妄は夜間せん妄というものもあり、昼間よりも夜間に生じやすい傾向にあります。

5.統合失調症は青年期に多く発症する原因不明の疾患で、幻覚妄想意欲の欠如などの症状があります。老年期に発症する統合失調症は、妄想型が多い。

死別直後の遺族の心理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.周囲からのサポートに関係なく、死別後の生活に適応する。
2.悲嘆の経験は、心身に影響を及ぼさない。
3.悲嘆のプロセスは、多くの人で同じように進む。
4.十分に悲しむことが、悲嘆を乗り越えるために有効である。
5.遺族への心理的ケアは、緩和ケアには含まれない。

正解4

1.死別後の生活に適応できるかどうかは、周囲からのサポートの影響も大きいです。

2.悲嘆の深さにより心身に影響があることは十分にあり得ます。

3.十人十色です。

5.含まれます。

緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者その家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に同定し、適切な評価と治療によって、苦痛の予防と緩和を行うことで、QOL(Quality of Life:生活の質) を改善するアプローチである.

WHOの定義(2002年)

脱水時の状態として、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.徐脈
2.血圧の上昇
3.皮膚緊張の増加
4.めまい
5.体重の増加

正解4

参考テキスト
脱水

1.徐脈を生じやすいのは、低栄養などの場合です。脱水時は頻脈を生じやすい。

2.脱水時は、血圧は低下します。

3.脱水の場合、皮膚緊張(肌の張り)低下します。

5.体内の水分量が減っているので、体重は減少します。

褥瘡の発生部位として、最も頻度の高いものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.大転子部
2.肩甲骨周辺
3.仙骨部
4.踵部
5.肘関節

正解3

参考テキスト
褥瘡

パーキンソン病に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.40歳代で発症することが最も多い。
2.突進現象が認められる。
3.筋肉の異常が原因である。
4.認知症を合併することはまれである。
5.発症後5年以内に死亡することが多い。

正解2

参考テキスト
パーキンソン病

1.パーキンソン病は、50~65歳で発症するものが多く、高齢になるほど発病率が増加します。

3.パーキンソン病は、の神経細胞の変性消失が原因です。

4.認知症を合併することも少なくありません。

5.パーキンソン病は、薬物療法などにより、嚥下障害による肺炎などの合併症がなければ、直接的な死因になることは少ないです。

パーキンソン病(Parkinson disease)の症状として、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.後屈した姿勢
2.大股な歩行
3.血圧の上昇
4.頻回な下痢
5.無表情

正解5

1.姿勢反射障害前かがみの姿勢になります。

2.姿勢反射障害小刻みな歩行になります。

3.自立神経系の症状として、起立性低血圧があります。

4.パーキンソン病の80%以上の人に便秘がみられるとされています。

5.顔の筋肉が固縮することによって表情が乏しくなる仮面様顔貌がみられます。

加齢に伴う筋肉の変化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.70歳代までは、筋肉量は維持される。
2.タンパク質をとることは、筋肉量の維持に有効である。
3.高齢期になってからの運動は、筋肉量の増加には無効である。
4.筋肉量の減少の主要な原因は、悪性腫瘍の合併である。
5.筋肉量の減少は、下肢よりも上肢の方が顕著である。

正解2

1.40歳頃より低下します。

2.タンパク質は、筋肉、皮膚、臓器などの身体の組織を形成します。

3.高齢期になってからの運動でも筋肉量の増加が期待できます。

4.主要な原因は、加齢と活動量の減少です。

5.下肢の方が顕著です。

Aさん(70歳、男性)は、65歳で定年退職した後、学生時代の旧友のほか、地域のボランティアサークルで知り合った新しい仲間と親交を深めてきた。しかし、サークルでトラブルが起きるようになって、1,2年前からはサークルへの参加が徐々に減り、安心できる旧友とばかり頻繁につきあうようになった。Aさん自身はこの生活に満足している。
Aさんの生活への適応状況を説明する理論として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.活動理論
2.離脱理論
3.社会情動的選択理論
4.愛着理論
5.心の理論

正解3

参考テキスト
社会情動的選択理論

設問を読んで、積極的に選択肢3を選べば大丈夫です。他の選択肢は気にしなくてもかまいません。

加齢の影響を強く受ける記憶として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.個人の生活の中で生じる出来事や体験に関する記憶
2.学習や経験によって獲得された知識の記憶
3.スポーツなど、自分の体で覚える記憶
4.過去の社会的事件など、自分の体験とは直接関わらない記憶
5.人の顔や風景など、自覚せずに残されている記憶

正解1

参考テキスト
記憶のしくみと知能

1.これはエピソード記憶のことであり、加齢の影響を受けます。

2.これは意味記憶のことであり、加齢の影響を受けにくいです。

3.これは手続き記憶のことであり、加齢の影響を受けにくいです。

4.これは長期記憶(≒遠隔記憶)のことであり、加齢の影響を受けにくいです。

5.人の顔や風景など自覚せずに残されている記憶は、意味記憶非言語記憶に属し、加齢による著しい影響は受けません。

老化に伴う知的機能の変化に関する次の記述のうち、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.目から入る感覚記憶は低下しやすい。
2.からだで覚えた手続き記憶は忘れにくい。
3.昨日の出来事などのエピソード記憶は忘れにくい。
4.計算などの流動性知能は低下しにくい。
5.経験や学習で得られた結晶性知能は低下しやすい。

正解2

1.視覚や聴覚などの感覚の低下に伴い、感覚記憶も低下する可能性はありますが、感覚機能が維持されている場合もあり、一概に低下するとは言えません。

2.手続き記憶加齢の影響を受けにくい

3.出来事、特に最近の出来事に関する記憶(エピソード記憶忘れやすい

4.流動性知能は低下しやすい。

5.結晶性知能は低下しにくい。

老年期の記憶と注意機能に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.自分の若い頃の記憶では、40歳代の出来事をよく覚えている。
2.数字の逆唱課題で答えられる数字の個数は、加齢による影響を受けない。
3.複数のことを同時に行う能力は、加齢によって低下する。
4.騒がしい場所での作業効率は、若年者より高齢者が高い。
5.エピソード記憶は、加齢による影響を受けない。

正解3

1.何歳の頃の記憶が一番覚えているかは、個人差があるので適切ではありません。

2&3.数字の逆順を頭に浮かべて、ひとつづつ数えるというように複数のことを同時に行うために必要な記憶を作業記憶ワーキングメモリといいます。この作業記憶加齢により低下します。

4.作業しにくい環境への適応力が若年者よりも高齢者の方が高いとは考えにくいです。

5.エピソード記憶加齢の影響を受けます

めまいや立ちくらみが時々ある高齢者への介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.勢いをつけて立ち上がることを勧める。
2.首を左右に振る体操をすることを勧める。
3.降圧薬の服用を勧める。
4.抗不安薬の服用を勧める。
5.転んでもけがをしないように部屋を片付けることを勧める。

正解5

1.転倒のリスクが上がります。

2.めまいを増長する恐れがあります。

3&4.介護福祉職は医学的判断はできません。主治医に受診するように促すことが適切です。

5.適切です。さらにテーブルの角を柔らかいもので保護するなど、居室の環境を整えることも大切です。

Bさん(82歳、男性)は、脳梗塞の既往歴があり、右片麻痺がある。以前から食事中にむせることがあった。半年前には、肺炎で入院したこともある。昨日から元気がなく、食欲もなくて普段の半分も食べられない。呼吸数は1分間に24回、体温は37.4℃だった。
Bさんに起こっていることとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
(第28回介護福祉士国家試験)

1.脳梗塞
2.急性腸炎
3.感冒
4.誤嚥性肺炎
5.胃潰瘍

正解4

・元気がない
・肺炎での入院歴
・食事中にむせることがある
・微熱
等しか判断材料がないので、選択肢4が妥当です。

変形性膝関節症と診断された高齢者への介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.膝を冷やす。
2.正座をする。
3.杖を使う。
4.体重を増やす。
5.階段の昇り降りの運動をする。

正解3

参考テキスト
変形性膝関節症

膝の負担を減らす方向での助言が適切です。

在宅医療に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.主治医は、地域医療支援病院の医師でなければならない。
2.保健所では、在宅医療を受ける患者の支援は行わない。
3.在宅での静脈注射は、医師でなければ実施できない。
4.在宅でのガン患者に対する緩和ケアは、保険診療の対象外である。
5.在宅療養支援診療所は、24時間往診が可能な体制を確保しなければならない。

正解5

1.主治医は地域医療支援病院の医師である必要はありません。自宅からの距離などを考慮して利用者が選択可能です。

2.保健所は在宅医療の地域における連携に関わる重要な役割を期待されています。

3.在宅での静脈注射は診療補助の範疇として看護師の実施も認められています。

4.ガンの緩和ケアは在宅の場合であっても、保険診療の対象となります。

5.在宅療養支援診療所は、設置基準の要件の1つとして24時間往診可能な体制の確保が厚生労働省により定められています。

高齢者の薬物代謝に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回本介護福祉士国家試験)

1.消化管からの薬剤の吸収力は低下する。
2.肝臓での薬剤の代謝に要する時間が短縮する。
3.腎臓からの薬物排泄量は増加する。
4.脂溶性薬剤の蓄積は起こりにくくなる。
5.複数の薬剤間の相互作用が起こりやすい。

正解5

1.薬剤の吸収は年齢の影響が少ないと考えられています。

2.加齢に伴い肝臓の能力は低下します。したがって、肝臓での薬剤の代謝に要する時間が短縮されるということはありません。
参考テキスト⇒肝臓の働き

3.加齢による腎機能の低下とともに排泄しにくくなります。

4.ほとんどの薬は、吸収されても体中に均一に広がっていくわけではありません。水溶性の薬は、血液中や細胞を囲む体液中にとどまる傾向があります。脂溶性の薬は、脂肪組織に集積する傾向があります。
成人と比べて高齢者では体内の水分量筋肉量低下しますが、逆に体内脂肪は増加します。そのため、脂溶性薬剤の蓄積が起こりやすくなります。

5.多くの薬剤を投与される機会が増え、相互作用の問題が起きやすくなります。

加齢に伴う身体機能の低下を感じている高齢者の心理に関する次の記述のうち、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.身体機能の低下に対する不安や悲しみを、自分が経験しているのではなく、友人のことだと考えることで心理的安定を図ろうとすることを、抑圧という。

2.受け身的で、子どものように振る舞うことで心理的安定を図ろうとすることを、投影という。

3.身体機能の低下の代わりに、認知的な活動での優越感を持つことで心理的安定を図ろうとすることを、補償という。

4.身体機能を使う場面を避けて、ひきこもることで心理的安定を図ろうとすることを、退行という。

5.身体機能の低下に対する不安や悲しみを、無意識的に抑えることで心理的に安定を図ろうとすることを、逃避という。

正解3

適応機制の問題です。

1.投射投影)です。

2.退行です。

4.逃避です。

5.抑圧です。

甲状腺機能低下症(hypothyroidism)の症状として,適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.浮腫
2.下痢
3.動悸
4.いらいら感
5.手の震え

正解1

参考テキスト⇒甲状腺機能低下症

選択肢2~5は甲状腺機能亢進症の症状です。甲状腺機能亢進症は甲状腺機能低下症と逆で甲状腺ホルモンが出過ぎて働きがつよく出る病気です。

めまいとその症状に関する次の記述のうち、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.メニエール病(Meniere disease)では、立ちくらみが起こる。
2.良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo)では、回転感がある。
3.低血圧によるめまいは、耳鳴りを伴う。
4.不整脈によるめまいは、頭痛を伴う。
5.脳梗塞(cerebral infarction)では、めまいは起こらない。

正解2

参考テキスト⇒めまい

積極的に選択肢2が選べれば大丈夫です。

Aさん(79 歳、女性)は、介護老人福祉施設で生活している。糖尿病(diabetesmellitus)でインスリン治療が必要で、1日に一度、昼食後に自己注射をしていて、併せて毎食直前に血糖を下げる薬を内服している。医師からは血糖のコントロール状態は良好であると言われている。ある日、Aさんの医療機関の受診が長びいた。
B介護福祉職がAさんに遅めの昼食をとってもらう準備をしていると、Aさんが「頭がふらふらする」と訴えた。冷や汗もかいているようである。

B介護福祉職によるAさんへの対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.昼食をとらずに、すぐにベッドで休んでもらう。
2.昼食前の内服薬をすぐに飲んでもらう。
3.すぐに看護師に血糖を測定してもらう。
4.すぐにインスリン(insulin)を自己注射してもらう。
5.様子を見る。

正解3

参考テキスト⇒ホルモンによる血糖値の調節
     ⇒糖尿病

1.低血糖の可能性があり、食事は必要です。

2.服薬により、さらに低血糖が悪化する可能性があります。

3.他の原因を除外するために低血糖を確認する必要があるので適切です。

4.インスリン注射で低血糖は悪化します。

5.低血糖が進むと意識障害となり、放置すると脳の障害まで進む可能性があり危険です。

キューブラー・ロス(Kubler-Ross, E.)が提唱した死の受容過程における「取り引き」 に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.死ぬのがなぜ自分なのかと怒る。
2.自分が死ぬことはないと思う。
3.つらい治療を我慢して受けるので助けてほしいと願う。
4.安らかな気持ちで死を受け入れる。
5.もう助からないと思って絶望する。

正解3

参考テキスト⇒キューブラー・ロスの5段階モデル

1.第2段階の「怒り」です。

2.第1段階の「否認」です。

4.第5段階の「受容」です。

5.第4段階の「抑うつ」です。

老化に伴う身体の変化に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.骨密度が上昇する。
2.唾液の分泌量が増加する。
3.肺活量が増加する。
4.貧血になりやすい。
5.皮膚の表面が湿潤化する。

正解4

1.骨密度は低下します。

2.唾液の分泌量は減少します。

3.肺活量は低下します。

5.皮膚は乾燥しやすい状態になります。

老化に伴う感覚や知覚の変化に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.「1時(いちじ)」と「7時(しちじ)」のような似た音を聞き取ることが難しくなる。
2.暗さに目が慣れる能力よりも、まぶしさに目が慣れる能力が低下する。
3.味覚の低下は個人差が少ない。
4.高音域よりも、低音域の音が聞こえにくくなる。
5.通常の明るさよりも、薄暗い方がよく物が見える。

正解1

2.暗順応(暗さに目が慣れる)と明順応(明るさに目が慣れる)ともに低下しますが、どちらかといえば、暗順応の方が低下します

3.個人差は大きい。

4.老人性難聴加齢性難聴は、感音性難聴であることが多く、高音が聞き取りにくい。

5.網膜の光の感度が低下し、通常よりも暗く見えるため、物を見る際は通常より明るい照度が必要です。

Aさん(86歳、男性)は、介護老人福祉施設に入所している。2か月前に転倒骨折で入院し、歩行訓練を経て施設に戻ってきたばかりである。施設では、転倒の危険性に配慮して、車いすを使用している。Aさんが車いすから立ち上がろうとするたびに、 介護福祉職が、「危ないから座っていてくださいね」と声をかけるようにした。その結果、 Aさんは、入院以前よりも口数が少なくなり、元気がなくなった。Aさんは、家族や施設の職員、他の入所者との関係は良好である。
Aさんの現在の心理的状態をマズロー(Maslow, A. H.)の欲求階層説に基づいて説明した次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.生理的欲求が充足されていない状態である。
2.安全欲求が充足されていない状態である。
3.承認欲求が充足されていない状態である。
4.所属・愛情欲求が充足されていない状態である。
5.自己実現欲求が充足されている状態である。

正解3

参考テキスト⇒マズローの欲求階層説

1.生理的欲求とは、人が生きていくための基本的・本能的な欲求のことを指します。睡眠欲、食欲、性欲などです。Aさんは、施設入所中のため生理的欲求は充足されていると考えられます。

2.安全欲求とは、安全・安心な暮らしを求める欲求のことを指します。家族や施設の職員、他の入所者とも良好な人間関係を築いており、職員も安全性を第一に考えた対応をしているので、安全欲求は充足されていると考えられます。

3.承認欲求とは、他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求のことを指します。この欲求が満たされないと、劣等感や無力感に襲われると言われています。また承認欲求には、自分で自分を承認することも含まれます。これは「自信」をつけたいという欲求です。

4.所属・愛情欲求とは、仲間を求め、集団に溶け込みたいという欲求のことを指します。Aさんは良好な人間関係を築き、集団に溶け込めているため、所属・愛情欲求は充足されていると考えられます。

5.自己実現欲求とは、自分自身をさらに成長させようとする欲求のことを指します。承認欲求がある程度満たされると、「あるべき自分になりたい」という欲求が生まれます。Aさんにとって、施設での生活は思い通りではなく、承認欲求が満たされていません。この状態では自己実現欲求も充足されません。

Bさん(75歳、男性)は半年前から尿が出にくくなり、時間がかかるようになった。2日前から風邪気味で、昨夜、飲酒後に市販の風邪薬を服用したところ尿が出なくなった。そのため、今朝になって病院を受診して導尿してもらった。
Bさんの日常生活上の注意点として、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.下半身の保温を心がける。
2.毎日、飲酒をする。
3.いすに座る時間を長くする。
4.排尿の回数を減らす。
5.飲水を控えるようにする。

正解1

・尿が出にくく、時間がかかる
・飲酒後に市販の風邪薬を服用したところ尿が出なくなった。

このあたりから、Bさんは前立腺肥大症と推測できます。前立腺肥大症は膀胱の下にある前立腺が肥大して、尿道を圧迫し、排尿障害を起こす病気です。

前立腺肥大症の人が市販の風邪薬を服用すると、鼻水を抑える成分である抗ヒスタミン薬などの影響で、膀胱内に尿がたまっているのに、排尿できない尿閉という状態になってしまう可能性があります。

1.下半身を冷やすと、前立腺も寒さによって収縮し尿道を締め付けるため、尿がでにくくなります。

2.アルコールは前立腺をうっ血させて、尿を出にくくさせます。うっ血とは血栓などの様々な要因によって臓器組織内の静脈や毛細血管内の血流が停滞し増加した状態のことです。

3.長時間座ったままでいると血液循環が悪くなり、下半身に血液が貯留するので、前立腺もうっ血し、尿がでにくくなります。

4.Bさんには、 排尿障害の所見が認められるため、排尿の回数を増やして体内環境を整えるような対応が必要です。

5.飲水を控えると脱水になるリスクがあります。適度に飲水することは必要です。

加齢に伴う身体機能の変化として、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.周辺視野が広くなる。
2.低周波の音から聞こえにくくなる。
3.味覚の感受性が低下する。
4.振動に敏感になる。
5.嗅覚が敏感になる。

正解3

1.周辺視野は狭くなります。

2.高音域から聞こえずらくなります。低周波の音は低音です。

4.加齢に伴い振動覚も低下します。振動覚は皮膚感覚の一つで、触れている物の振動を感じる感覚です。

5.嗅覚は鈍感になります。

尿失禁に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.認知症(dementia)で尿を漏らすのを、腹圧性尿失禁という。
2.トイレまで我慢できずに尿を漏らすのを、切迫性尿失禁という。
3.重い物を持った時に尿を漏らすのを、混合性尿失禁という。
4.いろいろな原因が重なって尿を漏らすのを、溢流性尿失禁という。
5.前立腺肥大症(prostatichypertrophy)で尿を漏らすのを、機能性尿失禁という。

正解2

参考テキスト⇒尿失禁

1.機能性尿失禁のことです。

3.腹圧性尿失禁のことです。

4.混合性尿失禁のことです。

5.前立腺肥大症による尿失禁は、切迫性尿失禁溢流性尿失禁です。

Aさん(95歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所して6か月になる。入所間もない頃は、「買物に行きたい「」友達に会いに行きたい」と、いろいろ介護福祉職に要望したが、それらの要望には応えてもらえなかった。現在Aさんは、認知機能障害はなく、身体的にも大きな変化や異常は認められない。しかし、ほとんどの時間をベッドで過ごしていて、「どこか行きたいところはないですか」と介護福祉職が聞いても、「ない」と答えるだけである。

Aさんの現在の状態を説明するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験過)

1.学習性無力感
2.反動形成
3.統合失調症(schizophrenia)の陰性症状
4.せん妄(delirium)
5.パーソナリティの変化

正解1

1.Aさんに認知機能障害はなく、身体的にも大きな変化や異常は認められないことから、入所間もない頃に、いろいろ介護福祉職に要望したが、それらの要望には応えてもらえなかったことで、「何をしても無駄」という学習をし、無気力状態になったと考えられます。

2.反動形成適応機制の一つで、知られたくない欲求・感情と正反対の行動をとることによって、本当の自分を隠そうとする心の動きです。例えば、心の中では嫌っている相手に対して、あえて必要以上に親切で丁寧な対応をとることによって相手への憎しみの感情を隠そうとするような場合です。

3~5.「認知機能障害はなく、身体的にも大きな変化や異常は認められない」とあるので不適切です。

高齢者の疾患と治療に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.複数の慢性疾患を持つことは、まれである。
2.服用する薬剤の種類は、若年者より少ない。
3.服用する薬剤の種類が増えると、薬の副作用は出にくくなる。
4.高血圧症(hypertension)の治療目標は、若年者と同じにする。
5.薬剤の効果が強く出ることがある。

正解5

1~3.複数の慢性疾患を持つ可能性は高いです。その結果、薬剤の種類も若年者より増え、薬の副作用がでやすくなります。

4.高齢者の高血圧症は、収縮期血圧のみが上昇する収縮期高血圧症が特徴であり、若年者の一般的な高血圧症とは特徴が異なるため、治療目標は同一にはなりません。

高齢者の便秘に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.1日に1回、排便がない状態をいう。
2.病気が原因となることは、まれである。
3.腹筋の筋力低下は、原因となる。
4.薬剤が原因となることは、まれである。
5.下剤の服用を優先する。

正解3

参考テキスト⇒便秘

1.数日間排便がない状態をいいます。

2.大腸がんがクローン病など、病気が原因で便秘になることはまれではありません。

4.薬剤の影響による薬剤性便秘はまれではありません。

5.下剤は体への負担が大きいため、生活習慣食習慣を工夫・改善することを優先します。それでも改善しない場合に下剤をしようします。

高齢者の年齢規定に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.高年齢者等の雇用の安定等に関する法律では、高年齢者を75歳以上としている。
2.「高齢者虐待防止法」では、高齢者を65歳以上としている。
3.高齢者の医療の確保に関する法律では、後期高齢者を65歳以上としている。
4.道路交通法では、免許証の特例がある高齢者を60歳以上としている。
5.老人福祉法では、高齢者を55歳以上としている。

「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律」のことである。

正解2

老人福祉法や道路交通法など、法律によって高齢者の定義は異なります。

1.「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」において

この法律において「高年齢者」とは、厚生労働省令で定める年齢以上の者をいう。

高年齢者雇用安定法 第二条

高年齢者雇用安定法施行規則において、この年齢を55歳としていることから、55歳以上の労働者を「高年齢者」と呼ぶこととなります。

3.「高齢者の医療の確保に関する法律」では、後期高齢者の年齢は75歳以上とされています。ちなみに前期高齢者65~74歳と定義されています。

4.「道路交通法」には70歳以上の者の特例”が規定されています。具体的には、免許更新時に講習を受ける義務や、高齢運転者標識の貼り付けの努力義務等があります。

5.「老人福祉法」での高齢者は65歳以上とされています。

年齢規定に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.老人福祉法では、原則として70 歳以上の者を施策の対象としている。
2.介護保険法では、50 歳から第2 号被保険者になる。
3.高齢者の医療の確保に関する法律の後期高齢者医療制度は、60 歳以上の者を対象としている。
4.高年齢者等の雇用の安定等に関する法律では、事業主に、雇用している高年齢者が希望するときは、75 歳まで継続雇用することを義務づけている。
5.道路交通法では、運転免許証の更新を受けようとする75 歳以上の者に、認知機能検査を義務づけている。

正解5

1.原則として65歳以上を対象としています。

2.介護保険の第2号被保険者40~65歳未満の医療保険加入者です。

3.後期高齢者は75歳以上です。

4.65歳までです。

5.これは正しいです。前問の”70歳以上の者の特例”とはまた別の規定です。

高齢者において、心不全(heart failure)が進行した時に現れる症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.安静にすることで速やかに息切れが治まる。
2.運動によって呼吸苦が軽減する。
3.チアノーゼ(cyanosis)が生じる。
4.呼吸苦は、座位より仰臥位(背臥位)の方が軽減する。
5.下肢に限局した浮腫が生じる。

正解3

参考テキスト⇒心不全

1.悪化すると、安静にしていても症状がでるようになります。

2.運動して呼吸苦が軽減するということはありません。

4.座位の方が呼吸苦は軽減されます。

5.浮腫みは下肢に生じやすいですが、顔面などにもあらわれます。

Bさん(82歳、男性)は脳卒中(Stroke)による右片麻痺がある。ほとんどベッド上の生活で、排泄もおむつを使用している。一週間前から咳と鼻汁があり37.2℃の微熱で、元気がなく、いつもより動きが少なかった。食欲も低下して食事を残すようになっていた。今日、おむつの交換をしたときに仙骨部の皮膚があかくなり一部に水疱ができていた。
Bさんの皮膚状態とその対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.圧迫によって血流が悪くなったためである。
2.仙骨部にこうしたことが起こるのは、まれである。
3.食事量の低下とは無関係である。
4.体位交換は、できるだけ避ける。
5.おむつの交換は、できるだけ控える。

正解1

Bさんは褥瘡になる一歩手前と推測できます。

参考テキスト⇒褥瘡

2.仙骨部は褥瘡のできやすい部位です。

3.栄養状態の悪化は、皮膚状態が改善しづらくなったり、血流が悪くなる原因になるため、無関係ではありません。

4.持続的な圧迫を解除するために、定期的な体位交換は必要です。

5.皮膚を清潔に保つことが褥瘡の予防につながるので、おむつの交換を控える必要はありません。

糖尿病(diabetes mellitus)のある高齢者(要介護1)が転倒して、骨折(fracture)した。入院治療後に再び自宅療養を続けるための専門職の役割として、正しいものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.看護師は、糖尿病(diabetes mellitus)の薬の処方箋を交付する。
2.理学療法士は、糖尿病(diabetes mellitus)の食事メニューを考える。
3.管理栄養士は、自宅で料理ができるような作業訓練をする。
4.訪問介護員(ホームヘルパー)は、居宅サービス計画を立案する。
5.介護支援専門員(ケアマネジャー)は、訪問リハビリテーションの利用を提案する。

正解5

1.薬の処方箋は医師でなければ交付できません。

2.糖尿病の食事メニューを考えるのは栄養士の役割です。

3.自宅で料理ができるような作業訓練は、作業療法士の役割です。

4.訪問介護員は、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成できません。ほとんどの場合は介護支援専門員ケアマネジャー)が作成します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました