『発達と老化の理解』過去問

発達と老化の理解は、人が生まれてから死に至るまでのそれぞれの発達段階における特徴や発達課題、また、生涯発達の考え方についての理解となっていますが、全8問中、7問が老年期の問題になっており、1問目で、エリクソンやピアジェの発達段階諸説のようなものが取り上げられるのですが、ここらへんは学習労力と得点が割に合わないので、カットしています。

『発達と老化の理解』の過去問

プロダクティブ・エイジングに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.バルテルが最初に提唱した。

2.高齢者の経済的自立を目指した概念である。

3.エイジズムによる高齢者のとらえ方を肯定した概念である。

4.主観的幸福感とは無関係である。

5.プロダクティブな活動には、セルフケアが含まれる。

正解5

プロダクティブエイジングという考え方は、アメリカの医学者ロバートバトラーにより提唱されました。これまで社会的弱者と差別的にとらえられた高齢者像ではなく、さまざまなプロダクティブな活動を行い、その知識や経験で社会貢献する高齢者像を目指す考え方です。

プロダクティブな活動というのは、勉強、仕事、料理、ボランティア活動とか筋トレ、自分の体の健康管理とか生産的、創造的な活動のことです。

1.提唱したのは、アメリカのロバート・バトラーです。

2.経済的な自立を目指した概念ではなく、高齢者に様々な生産的な活動に貢献してもらい、自立を求めた概念です。

3.エイジズムは年齢による差別で、年寄り=頑固みたいに、高齢者であるという理由だけで、偏見を持ってみてしまうことです。

4.主観的な幸福感とも関連があります。

5.セルフケアは”自分で自分の健康を管理すること”です。

高齢者に対する次の見方のうち、エイジズム(ageism)に該当するものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.心身機能の個人差が大きくなる。
2.視覚機能が低下する。
3.流動性知能が低下する。
4.認知機能が低下する。
5.頑固な性格になる。

正解5

選択肢1~4は医学的見地からの事実です。

老年期の精神疾患と精神症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.老年期うつ病は、若年者のうつ病と比べて抑うつ気分が軽い。

2.アルツハイマー型認知症は、脳の器質的変化を伴わない。

3.うつ病等で自殺を試みた高齢者が死に至る率は、若年者の場合と比べて低い。

4.せん妄は、夜間よりも昼間に生じやすい。

5.老年期に発症した統合失調症は、妄想型が少ない。

正解1

1.参考テキスト
老年期うつ病の特徴

2.脳の萎縮脳溝の拡大が認められるなど、脳の器質的変化が認められます。器質的変化は組織や細胞が、もとの形態にもどらないような変化のことです。

3.高いです。

4.せん妄夜間せん妄というものもあり、昼間よりも夜間に生じやすい傾向にあります。

5.統合失調症は青年期に多く発症する原因不明の疾患で、幻覚妄想意欲の欠如などの症状があります。老年期に発症する統合失調症は、妄想型が多いです。

死別直後の遺族の心理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.周囲からのサポートに関係なく、死別後の生活に適応する。

2.悲嘆の経験は、心身に影響を及ぼさない。

3.悲嘆のプロセスは、多くの人で同じように進む。

4.十分に悲しむことが、悲嘆を乗り越えるために有効である。

5.遺族への心理的ケアは、緩和ケアには含まれない。

正解4

1.死別後の生活に適応できるかどうかは、周囲からのサポートの影響も大きいです。

2.悲嘆の深さにより心身に影響があることは十分にあり得ます。

3.十人十色です。

5.含まれます。

緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者その家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に同定し、適切な評価と治療によって、苦痛の予防と緩和を行うことで、QOL(Quality of Life:生活の質) を改善するアプローチである.

WHOの定義(2002年)

脱水時の状態として、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.徐脈
2.血圧の上昇
3.皮膚緊張の増加
4.めまい
5.体重の増加

正解4

参考テキスト
脱水

1.徐脈を生じやすいのは、低栄養などの場合です。脱水時は頻脈を生じやすいです。

2.脱水時、血圧は低下します。

3.脱水の場合、皮膚緊張(肌の張り)低下します。

4.ナトリウム欠乏性の脱水では、著しい血圧低下が現れます。その影響で頭痛めまい吐き気立ちくらみなどの循環器症状がみられます

5.体内の水分量が減っているので、体重は減少します。

褥瘡の発生部位として、最も頻度の高いものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.大転子部
2.肩甲骨周辺
3.仙骨部
4.踵部
5.肘関節

正解3

参考テキスト
褥瘡

パーキンソン病に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.40歳代で発症することが最も多い。
2.突進現象が認められる。
3.筋肉の異常が原因である。
4.認知症を合併することはまれである。
5.発症後5年以内に死亡することが多い。

正解2

参考テキスト
パーキンソン病

1.パーキンソン病は、50~65歳で発症するものが多く、高齢になるほど発病率が増加します。

2.パーキンソン病の四大症状の一つに姿勢反射障害があります。症状としては、前かがみの姿勢、小刻み歩行、突進現象、すくみ足、転倒しやすくなるなどです。

3.パーキンソン病は、の神経細胞の変性消失が原因です。

4.認知症を合併することも少なくありません。

5.パーキンソン病は、薬物療法などにより、嚥下障害による肺炎などの合併症がなければ、直接的な死因になることは少ないです。

パーキンソン病(Parkinson disease)の症状として、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.後屈した姿勢
2.大股な歩行
3.血圧の上昇
4.頻回な下痢
5.無表情

正解5

1.姿勢反射障害前かがみの姿勢になります。

2.姿勢反射障害小刻みな歩行になります。

3.自立神経系の症状として、起立性低血圧があります。

4.パーキンソン病の80%以上の人に便秘がみられるとされています。

5.顔の筋肉が固縮することによって表情が乏しくなる仮面様顔貌がみられます。

加齢に伴う筋肉の変化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.70歳代までは、筋肉量は維持される。

2.タンパク質をとることは、筋肉量の維持に有効である。

3.高齢期になってからの運動は、筋肉量の増加には無効である。

4.筋肉量の減少の主要な原因は、悪性腫瘍の合併である。

5.筋肉量の減少は、下肢よりも上肢の方が顕著である。

正解2

1.40歳頃より低下します。

2.タンパク質は、筋肉、皮膚、臓器などの身体の組織を形成するので、この選択肢は正しいです。

3.高齢期になってからの運動でも筋肉量の増加が期待できます。

4.主要な原因は、加齢と活動量の減少です。

5.下肢の方が顕著です。

Aさん(70歳、男性)は、65歳で定年退職した後、学生時代の旧友のほか、地域のボランティアサークルで知り合った新しい仲間と親交を深めてきた。しかし、サークルでトラブルが起きるようになって、1,2年前からはサークルへの参加が徐々に減り、安心できる旧友とばかり頻繁につきあうようになった。Aさん自身はこの生活に満足している。
Aさんの生活への適応状況を説明する理論として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.活動理論
2.離脱理論
3.社会情動的選択理論
4.愛着理論
5.心の理論

正解3

参考テキスト
社会情動的選択理論

設問を読んで、積極的に選択肢3を選べば大丈夫です。他の選択肢は気にしなくてもかまいません。

加齢の影響を強く受ける記憶として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.個人の生活の中で生じる出来事や体験に関する記憶

2.学習や経験によって獲得された知識の記憶

3.スポーツなど、自分の体で覚える記憶

4.過去の社会的事件など、自分の体験とは直接関わらない記憶

5.人の顔や風景など、自覚せずに残されている記憶

正解1

参考テキスト
記憶のしくみと知能

1.これはエピソード記憶のことであり、加齢の影響を受けます。

2.これは意味記憶のことであり、加齢の影響を受けにくいです。

3.これは手続き記憶のことであり、加齢の影響を受けにくいです。

4.これも意味記憶で、加齢の影響を受けにくいです。

5.人の顔や風景など自覚せずに残されている記憶は、意味記憶非言語記憶に属し、加齢による著しい影響は受けません。

老化に伴う知的機能の変化に関する次の記述のうち、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.目から入る感覚記憶は低下しやすい。

2.からだで覚えた手続き記憶は忘れにくい。

3.昨日の出来事などのエピソード記憶は忘れにくい。

4.計算などの流動性知能は低下しにくい。

5.経験や学習で得られた結晶性知能は低下しやすい。

正解2

1.視覚や聴覚などの感覚の低下に伴い、感覚記憶も低下する可能性はありますが、感覚機能が維持されている場合もあり、一概に低下するとは言えません。

2.手続き記憶加齢の影響を受けにくい

3.出来事、特に最近の出来事に関する記憶(エピソード記憶忘れやすい

4.新しいことを学習したり、新しい環境に適応したりする流動性知能は低下しやすい。

5.経験と強く関係する結晶性知能は高齢期でも比較的遅くまで維持されます。

老年期の記憶と注意機能に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.自分の若い頃の記憶では、40歳代の出来事をよく覚えている。

2.数字の逆唱課題で答えられる数字の個数は、加齢による影響を受けない。

3.複数のことを同時に行う能力は、加齢によって低下する。

4.騒がしい場所での作業効率は、若年者より高齢者が高い。

5.エピソード記憶は、加齢による影響を受けない。

正解3

1.何歳の頃の記憶が一番覚えているかは、個人差があるので適切ではありません。

2&3.数字の逆順を頭に浮かべて、ひとつづつ数えるというように複数のことを同時に行うために必要な記憶を作業記憶ワーキングメモリといいます。この作業記憶加齢により低下します。

4.作業しにくい環境への適応力が若年者よりも高齢者の方が高いとは考えにくいです。

5.エピソード記憶加齢の影響を受けます

めまいや立ちくらみが時々ある高齢者への介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.勢いをつけて立ち上がることを勧める。

2.首を左右に振る体操をすることを勧める。

3.降圧薬の服用を勧める。

4.抗不安薬の服用を勧める。

5.転んでもけがをしないように部屋を片付けることを勧める。

正解5

1.転倒のリスクが上がります。

2.めまいを増長する恐れがあります。

3&4.介護福祉職は医学的判断はできません。主治医に受診するように促すことが適切です。

5.適切です。さらにテーブルの角を柔らかいもので保護するなど、居室の環境を整えることも大切です。

Bさん(82歳、男性)は、脳梗塞の既往歴があり、右片麻痺がある。以前から食事中にむせることがあった。半年前には、肺炎で入院したこともある。昨日から元気がなく、食欲もなくて普段の半分も食べられない。呼吸数は1分間に24回、体温は37.4℃だった。
Bさんに起こっていることとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
(第28回介護福祉士国家試験)

1.脳梗塞
2.急性腸炎
3.感冒
4.誤嚥性肺炎
5.胃潰瘍

正解4

・元気がない
・肺炎での入院歴
・食事中にむせることがある
・微熱
等しか判断材料がないので、選択肢4が妥当です。

変形性膝関節症と診断された高齢者への介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.膝を冷やす。
2.正座をする。
3.杖を使う。
4.体重を増やす。
5.階段の昇り降りの運動をする。

正解3

参考テキスト
変形性膝関節症

膝の負担を減らす方向での助言が適切です。

在宅医療に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.主治医は、地域医療支援病院の医師でなければならない。

2.保健所では、在宅医療を受ける患者の支援は行わない。

3.在宅での静脈注射は、医師でなければ実施できない。

4.在宅でのガン患者に対する緩和ケアは、保険診療の対象外である。

5.在宅療養支援診療所は、24時間往診が可能な体制を確保しなければならない。

正解5

1.地域医療支援病院とは、地域の他の医療機関を支援することを目的としている病院のことで、

  • 他の病院の医療従事者の診療、研究、研修のための体制が整備されていること
  • 救急医療を提供する能力があること
  • 地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修を行わせる能力があること

などの要件に該当する病院が、都道府県知事により承認されます。

在宅医療の主治医が、この地域医療支援病院の医師である必要はありません。自宅からの距離などを考慮して利用者が選択可能です。

2.保健所は在宅医療の地域における連携に関わる重要な役割を期待されています。

3.在宅での静脈注射は診療補助の範疇として看護師の実施も認められています。

4.ガンの緩和ケアは在宅の場合であっても、保険診療の対象となります。

5.在宅療養支援診療所は、設置基準の要件の1つとして24時間往診可能な体制の確保が厚生労働省により定められています。

高齢者の薬物代謝に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回本介護福祉士国家試験)

1.消化管からの薬剤の吸収力は低下する。

2.肝臓での薬剤の代謝に要する時間が短縮する。

3.腎臓からの薬物排泄量は増加する。

4.脂溶性薬剤の蓄積は起こりにくくなる。

5.複数の薬剤間の相互作用が起こりやすい。

正解5

1.薬剤の吸収は年齢の影響が少ないと考えられています。

2.肝臓はアルコールや薬剤など、摂取した物質や代謝の際に生じた体に有害な物質を、毒性の低い物質に変えて尿や胆汁中に排泄するという解毒作用を持っています。 
代謝は、生命維持活動に必須なエネルギーの獲得や、成長に必要な有機材料を合成するために生体内で起るすべての生化学反応の総称です。

加齢に伴い肝臓の能力は低下します。したがって、肝臓での薬剤の代謝に要する時間が短縮されるということはありません。

3.腎臓は血液をろ過し、老廃物と体に必要なものを仕分けして、尿をつくり、体にとって不要なものを排泄します。加齢による腎機能の低下とともに排泄しにくくなります。

4.ほとんどの薬は、吸収されても体中に均一に広がっていくわけではありません。水溶性の薬は、血液中や細胞を囲む体液中にとどまる傾向があります。脂溶性の薬は、脂肪組織に集積する傾向があります。
成人と比べて高齢者では体内の水分量筋肉量低下しますが、逆に体内脂肪は増加します。そのため、脂溶性薬剤の蓄積が起こりやすくなります。

5.多くの薬剤を投与される機会が増え、相互作用の問題が起きやすくなります。

加齢に伴う身体機能の低下を感じている高齢者の心理に関する次の記述のうち、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.身体機能の低下に対する不安や悲しみを、自分が経験しているのではなく、友人のことだと考えることで心理的安定を図ろうとすることを、抑圧という。

2.受け身的で、子どものように振る舞うことで心理的安定を図ろうとすることを、投影という。

3.身体機能の低下の代わりに、認知的な活動での優越感を持つことで心理的安定を図ろうとすることを、補償という。

4.身体機能を使う場面を避けて、ひきこもることで心理的安定を図ろうとすることを、退行という。

5.身体機能の低下に対する不安や悲しみを、無意識的に抑えることで心理的に安定を図ろうとすることを、逃避という。

正解3

適応機制の問題です。

1.投射投影)です。

2.退行です。

4.逃避です。

5.抑圧です。

甲状腺機能低下症(hypothyroidism)の症状として、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.浮腫
2.下痢
3.動悸
4.いらいら感
5.手の震え

正解1

参考テキスト⇒甲状腺機能低下症

選択肢2~5は甲状腺機能亢進症の症状です。甲状腺機能亢進症は甲状腺機能低下症と逆で、甲状腺ホルモンが出過ぎて働きが強く出る病気です。

めまいとその症状に関する次の記述のうち、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.メニエール病では、立ちくらみが起こる。

2.良性発作性頭位めまい症では、回転感がある。

3.低血圧によるめまいは、耳鳴りを伴う。

4.不整脈によるめまいは、頭痛を伴う。

5.脳梗塞では、めまいは起こらない。

正解2

参考テキスト⇒めまい

良性発作性頭位めまい症は、突然の頭位の変化によって引き起こされるめまいで、回転感ふらつきを感じることが一般的です。

1.メニエール病では、めまいだけでなく、耳鳴りや難聴も特徴的な症状です。立ちくらみは、一般的な症状ではありません。

3.低血圧によるめまいは、立ちくらみやふらつきを感じることが一般的ですが、耳鳴りを伴うことは必ずしもありません。

4.不整脈によるめまいは、心拍の不規則さによって引き起こされますが、頭痛を伴うことは必ずしもありません。

5.脳梗塞では、めまいが起こることがあります。脳梗塞は、脳の血流が遮断されることで起こり、めまいやバランスの喪失、言語障害、麻痺などの症状が現れることがあります。

Aさん(79 歳、女性)は、介護老人福祉施設で生活している。糖尿病(diabetesmellitus)でインスリン治療が必要で、1日に一度、昼食後に自己注射をしていて、併せて毎食直前に血糖を下げる薬を内服している。医師からは血糖のコントロール状態は良好であると言われている。ある日、Aさんの医療機関の受診が長びいた。
B介護福祉職がAさんに遅めの昼食をとってもらう準備をしていると、Aさんが「頭がふらふらする」と訴えた。冷や汗もかいているようである。

B介護福祉職によるAさんへの対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.昼食をとらずに、すぐにベッドで休んでもらう。

2.昼食前の内服薬をすぐに飲んでもらう。

3.すぐに看護師に血糖を測定してもらう。

4.すぐにインスリン(insulin)を自己注射してもらう。

5.様子を見る。

正解3

参考テキスト⇒ホルモンによる血糖値の調節
     ⇒糖尿病

1.低血糖の可能性があり、食事は必要です。

2.服薬により、さらに低血糖が悪化する可能性があります。

3.他の原因を除外するために低血糖を確認する必要があるので適切です。

4.インスリン注射で低血糖は悪化します。

5.低血糖が進むと意識障害となり、放置すると脳の障害まで進む可能性があり危険です。

キューブラー・ロス(Kubler-Ross, E.)が提唱した死の受容過程における「取り引き」 に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.死ぬのがなぜ自分なのかと怒る。

2.自分が死ぬことはないと思う。

3.つらい治療を我慢して受けるので助けてほしいと願う。

4.安らかな気持ちで死を受け入れる。

5.もう助からないと思って絶望する。

正解3

参考テキスト⇒キューブラー・ロスの5段階モデル

1.第2段階の「怒り」です。

2.第1段階の「否認」です。

4.第5段階の「受容」です。

5.第4段階の「抑うつ」です。

老化に伴う身体の変化に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.骨密度が上昇する。
2.唾液の分泌量が増加する。
3.肺活量が増加する。
4.貧血になりやすい。
5.皮膚の表面が湿潤化する。

正解4

1.骨密度は低下します。

2.唾液の分泌量は減少します。

3.肺活量は低下します。

5.皮膚は乾燥しやすい状態になります。

老化に伴う感覚や知覚の変化に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.「1時(いちじ)」と「7時(しちじ)」のような似た音を聞き取ることが難しくなる。

2.暗さに目が慣れる能力よりも、まぶしさに目が慣れる能力が低下する。

3.味覚の低下は個人差が少ない。

4.高音域よりも、低音域の音が聞こえにくくなる。

5.通常の明るさよりも、薄暗い方がよく物が見える。

正解1

2.暗順応(暗さに目が慣れる)と明順応(明るさに目が慣れる)ともに低下しますが、どちらかといえば、暗順応の方が低下します

3.個人差は大きいです。

4.老人性難聴加齢性難聴は、感音性難聴であることが多く、高音が聞き取りにくくなります。

5.網膜の光の感度が低下し、通常よりも暗く見えるため、物を見る際は通常より明るい照度が必要です。

Aさん(86歳、男性)は、介護老人福祉施設に入所している。2か月前に転倒骨折で入院し、歩行訓練を経て施設に戻ってきたばかりである。施設では、転倒の危険性に配慮して、車いすを使用している。Aさんが車いすから立ち上がろうとするたびに、 介護福祉職が、「危ないから座っていてくださいね」と声をかけるようにした。その結果、 Aさんは、入院以前よりも口数が少なくなり、元気がなくなった。Aさんは、家族や施設の職員、他の入所者との関係は良好である。
Aさんの現在の心理的状態をマズロー(Maslow, A. H.)の欲求階層説に基づいて説明した次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.生理的欲求が充足されていない状態である。

2.安全欲求が充足されていない状態である。

3.承認欲求が充足されていない状態である。

4.所属・愛情欲求が充足されていない状態である。

5.自己実現欲求が充足されている状態である。

正解3

参考テキスト⇒マズローの欲求階層説

1.生理的欲求とは、人が生きていくための基本的・本能的な欲求のことを指します。睡眠欲、食欲、性欲などです。Aさんは、施設入所中のため生理的欲求は充足されていると考えられます。

2.安全欲求とは、安全・安心な暮らしを求める欲求のことを指します。家族や施設の職員、他の入所者とも良好な人間関係を築いており、職員も安全性を第一に考えた対応をしているので、安全欲求は充足されていると考えられます。

3.承認欲求とは、他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求のことを指します。この欲求が満たされないと、劣等感や無力感に襲われると言われています。また承認欲求には、自分で自分を承認することも含まれます。これは「自信」をつけたいという欲求です。

4.所属・愛情欲求とは、仲間を求め、集団に溶け込みたいという欲求のことを指します。Aさんは良好な人間関係を築き、集団に溶け込めているため、所属・愛情欲求は充足されていると考えられます。

5.自己実現欲求とは、自分自身をさらに成長させようとする欲求のことを指します。承認欲求がある程度満たされると、「あるべき自分になりたい」という欲求が生まれます。Aさんにとって、施設での生活は思い通りではなく、承認欲求が満たされていません。この状態では自己実現欲求も充足されません。

Bさん(75歳、男性)は半年前から尿が出にくくなり、時間がかかるようになった。2日前から風邪気味で、昨夜、飲酒後に市販の風邪薬を服用したところ尿が出なくなった。そのため、今朝になって病院を受診して導尿してもらった。
Bさんの日常生活上の注意点として、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.下半身の保温を心がける。
2.毎日、飲酒をする。
3.いすに座る時間を長くする。
4.排尿の回数を減らす。
5.飲水を控えるようにする。

正解1

・尿が出にくく、時間がかかる
・飲酒後に市販の風邪薬を服用したところ尿が出なくなった。

このあたりから、Bさんは前立腺肥大症と推測できます。前立腺肥大症は膀胱の下にある前立腺が肥大して、尿道を圧迫し、排尿障害を起こす病気です。

前立腺肥大症の人が市販の風邪薬を服用すると、鼻水を抑える成分である抗ヒスタミン薬などの影響で、膀胱内に尿がたまっているのに、排尿できない尿閉という状態になってしまう可能性があります。

1.下半身を冷やすと、前立腺も寒さによって収縮し尿道を締め付けるため、尿がでにくくなります。

2.アルコールは前立腺をうっ血させて、尿を出にくくさせます。うっ血とは血栓などの様々な要因によって臓器組織内の静脈や毛細血管内の血流が停滞し増加した状態のことです。

3.長時間座ったままでいると血液循環が悪くなり、下半身に血液が貯留するので、前立腺もうっ血し、尿がでにくくなります。

4.Bさんには、 排尿障害の所見が認められるため、排尿の回数を増やして体内環境を整えるような対応が必要です。

5.飲水を控えると脱水になるリスクがあります。適度に飲水することは必要です。

加齢に伴う身体機能の変化として、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.周辺視野が広くなる。
2.低周波の音から聞こえにくくなる。
3.味覚の感受性が低下する。
4.振動に敏感になる。
5.嗅覚が敏感になる。

正解3

1.周辺視野は狭くなります。

2.高音域から聞こえずらくなります。低周波の音は低音です。

4.加齢に伴い振動覚も低下します。振動覚は皮膚感覚の一つで、触れている物の振動を感じる感覚です。

5.嗅覚は鈍感になります。

尿失禁に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.認知症で尿を漏らすのを、腹圧性尿失禁という。

2.トイレまで我慢できずに尿を漏らすのを、切迫性尿失禁という。

3.重い物を持った時に尿を漏らすのを、混合性尿失禁という。

4.いろいろな原因が重なって尿を漏らすのを、溢流性尿失禁という。

5.前立腺肥大症で尿を漏らすのを、機能性尿失禁という。

正解2

参考テキスト⇒尿失禁

1.尿経路に器質的な障害が認められないにもかかわらず、認知症やADLの低下による、認知機能や運動機能の低下が原因で、排泄行為が困難となり漏れるのは、機能性尿失禁です。

例えば、

・左片麻痺でトイレまで行くのに時間がかかり、間に合わずに失禁してしまう。
・認知症の影響でトイレの場所がわからなくなり、排泄の失敗をしてしまう。

などです

3.出産・加齢などの影響で、骨盤底筋という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩み、重い荷物を持ち上げた時、走ったりジャンプをした時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に起こる失禁は、腹圧性尿失禁です。

4.混合性尿失禁のことです。

5.前立腺肥大症によって尿を漏らす場合は、通常、溢流性尿失禁が関連しています。前立腺肥大症では、前立腺が拡大し尿道を圧迫することで尿の排出が妨げられます。その結果、尿が膀胱に溜まり、ある程度の圧力がかかると尿が漏れ出ることがあります。

Aさん(95歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所して6か月になる。入所間もない頃は、「買物に行きたい「」友達に会いに行きたい」と、いろいろ介護福祉職に要望したが、それらの要望には応えてもらえなかった。現在Aさんは、認知機能障害はなく、身体的にも大きな変化や異常は認められない。しかし、ほとんどの時間をベッドで過ごしていて、「どこか行きたいところはないですか」と介護福祉職が聞いても、「ない」と答えるだけである。

Aさんの現在の状態を説明するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験過)

1.学習性無力感
2.反動形成
3.統合失調症(schizophrenia)の陰性症状
4.せん妄(delirium)
5.パーソナリティの変化

正解1

1.Aさんに認知機能障害はなく、身体的にも大きな変化や異常は認められないことから、入所間もない頃に、いろいろ介護福祉職に要望したが、それらの要望には応えてもらえなかったことで、「何をしても無駄」という学習をし、無気力状態になったと考えられます。

2.反動形成適応機制の一つで、知られたくない欲求・感情と正反対の行動をとることによって、本当の自分を隠そうとする心の動きです。例えば、心の中では嫌っている相手に対して、あえて必要以上に親切で丁寧な対応をとることによって相手への憎しみの感情を隠そうとするような場合です。

3~5.「認知機能障害はなく、身体的にも大きな変化や異常は認められない」とあるので不適切です。

高齢者の疾患と治療に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.複数の慢性疾患を持つことは、まれである。

2.服用する薬剤の種類は、若年者より少ない。

3.服用する薬剤の種類が増えると、薬の副作用は出にくくなる。

4.高血圧症(hypertension)の治療目標は、若年者と同じにする。

5.薬剤の効果が強く出ることがある。

正解5

1~3.複数の慢性疾患を持つ可能性は高いです。その結果、薬剤の種類も若年者より増え、薬の副作用がでやすくなります。

4.高齢者の高血圧症は、収縮期血圧のみが上昇する収縮期高血圧症が特徴であり、若年者の一般的な高血圧症とは特徴が異なるため、治療目標は同一にはなりません。

高齢者の便秘に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.1日に1回、排便がない状態をいう。
2.病気が原因となることは、まれである。
3.腹筋の筋力低下は、原因となる。
4.薬剤が原因となることは、まれである。
5.下剤の服用を優先する。

正解3

参考テキスト⇒便秘

1.数日間排便がない状態をいいます。

2.大腸がんやパーキンソン病など、病気が原因で便秘になることはまれではありません。

3.腸はぜん動運動で、便を肛門へと運んでいます。 腹筋が弱いと、腸のぜん動運動が不十分になるので便秘になりやすいです。 また、排便時も肛門に圧力をかける動きに腹筋が必要になります。

4.薬剤の影響による薬剤性便秘はまれではありません。

5.下剤は体への負担が大きいため、生活習慣食習慣を工夫・改善することを優先します。それでも改善しない場合に下剤の使用を検討します。

高齢者の年齢規定に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.高年齢者等の雇用の安定等に関する法律では、高年齢者を75歳以上としている。

2.「高齢者虐待防止法」では、高齢者を65歳以上としている。

3.高齢者の医療の確保に関する法律では、後期高齢者を65歳以上としている。

4.道路交通法では、免許証の特例がある高齢者を60歳以上としている。

5.老人福祉法では、高齢者を55歳以上としている。

※「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律」のことである。

正解2

老人福祉法や道路交通法など、法律によって高齢者の定義は異なります。

1.「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」において

この法律において「高年齢者」とは、厚生労働省令で定める年齢以上の者をいう。

高年齢者雇用安定法 第二条

高年齢者雇用安定法施行規則において、この年齢を55歳としていることから、55歳以上の労働者を「高年齢者」と呼ぶこととなります。

3.「高齢者の医療の確保に関する法律」では、後期高齢者の年齢は75歳以上とされています。ちなみに前期高齢者65~74歳と定義されています。

4.「道路交通法」には70歳以上の者の特例”が規定されています。具体的には、免許更新時に講習を受ける義務や、高齢運転者標識の貼り付けの努力義務等があります。

5.「老人福祉法」での高齢者は65歳以上とされています。

年齢規定に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.老人福祉法では、原則として70歳以上の者を施策の対象としている。

2.介護保険法では、50 歳から第2号被保険者になる。

3.高齢者の医療の確保に関する法律の後期高齢者医療制度は、60歳以上の者を対象としている。

4.高年齢者等の雇用の安定等に関する法律では、事業主に、雇用している高年齢者が希望するときは、75歳まで継続雇用することを義務づけている。

5.道路交通法では、運転免許証の更新を受けようとする75 歳以上の者に、認知機能検査を義務づけている。

正解5

1.原則として65歳以上を対象としています。

2.介護保険の第2号被保険者40~65歳未満の医療保険加入者です。

3.後期高齢者は75歳以上です。

4.65歳までです。

5.これは正しいです。前問の”70歳以上の者の特例”とはまた別の規定です。

高齢者において、心不全(heart failure)が進行した時に現れる症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.安静にすることで速やかに息切れが治まる。

2.運動によって呼吸苦が軽減する。

3.チアノーゼ(cyanosis)が生じる。

4.呼吸苦は、座位より仰臥位(背臥位)の方が軽減する。

5.下肢に限局した浮腫が生じる。

正解3

参考テキスト⇒心不全

1.悪化すると、安静にしていても症状がでるようになります。

2.運動して呼吸苦が軽減するということはありません。

4.座位の方が呼吸苦は軽減されます。

5.浮腫みは下肢に生じやすいですが、顔面などにもあらわれます。
※限局は、内容・意味などをせまく限ることです。

Bさん(82歳、男性)は脳卒中(Stroke)による右片麻痺がある。ほとんどベッド上の生活で、排泄もおむつを使用している。一週間前から咳と鼻汁があり37.2℃の微熱で、元気がなく、いつもより動きが少なかった。食欲も低下して食事を残すようになっていた。今日、おむつの交換をしたときに仙骨部の皮膚があかくなり一部に水疱ができていた。
Bさんの皮膚状態とその対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.圧迫によって血流が悪くなったためである。

2.仙骨部にこうしたことが起こるのは、まれである。

3.食事量の低下とは無関係である。

4.体位交換は、できるだけ避ける。

5.おむつの交換は、できるだけ控える。

正解1

Bさんは褥瘡になる一歩手前と推測できます。

参考テキスト⇒褥瘡

2.仙骨部は最も褥瘡のできやすい部位です。

3.栄養状態の悪化は、皮膚状態が改善しづらくなったり、血流が悪くなる原因になるため、無関係ではありません。

4.持続的な圧迫を解除するために、定期的な体位交換は必要です。

5.皮膚を清潔に保つことが褥瘡の予防につながるので、おむつの交換を控える必要はありません。

糖尿病(diabetes mellitus)のある高齢者(要介護1)が転倒して、骨折(fracture)した。入院治療後に再び自宅療養を続けるための専門職の役割として、正しいものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.看護師は、糖尿病(diabetes mellitus)の薬の処方箋を交付する。

2.理学療法士は、糖尿病(diabetes mellitus)の食事メニューを考える。

3.管理栄養士は、自宅で料理ができるような作業訓練をする。

4.訪問介護員(ホームヘルパー)は、居宅サービス計画を立案する。

5.介護支援専門員(ケアマネジャー)は、訪問リハビリテーションの利用を提案する。

正解5

1.薬の処方箋は医師でなければ交付できません。

2.糖尿病の食事メニューを考えるのは栄養士の役割です。

3.自宅で料理ができるような作業訓練は、作業療法士の役割です。

4.訪問介護員は、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成できません。ほとんどの場合は介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成します。

Aさん(小学4年生、男性)は、思いやりがあり友人も多い。図画工作や音楽が得意で落ち着いて熱心に取り組むが、苦手な科目がある。特に国語の授業のノートを見ると、黒板を書き写そうとしているが、文字の大きさもふぞろいで、一部の漢字で左右が入れ替わっているなどの誤りが多く見られ、途中で諦めた様子である。親子関係や家庭生活、身体機能、就学時健康診断などには問題がない。Aさんに当てはまる状態として最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)
2.愛着障害
3.注意欠陥多動性障害
4.学習障害
5.知的障害

正解4

落ち着いて熱心に取り組む、というところから選択肢3の注意欠陥多動性障害は✖です。

また、身体機能、就学時健康診断などに問題ないということから知的障害も✖です。

思いやりがあり、友人も多いとあるので、他者とのコミュニケーションが苦手であり、関係を築くことが難しい自閉症スペクトラム障害も✖

親子関係に問題ないので、選択肢2の愛着障害も✖

よって正解は4です

愛着障害は、幼少児期に保護者と愛着関係を築けず、対人関係や社会性に支障をきたす特徴があります。

学習障害(LD)は知的発達に問題はないが、読む、書く、計算するなど特定のものの習得と使用に著しい困難を示す障害で、文字を書く能力が極端に劣っているAさんに当てはまります。

医療や福祉の法律での年齢に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.35歳の人は、老人福祉施設に入所できる。
2.50歳の人は、介護保険の第一号被保険者である。
3.60歳の人は、医療保険の前期高齢者である。
4.70歳の人は、介護保険の第二号被保険者である。
5.75歳の人は、後期高齢者医療の被保険者である。

正解5

1.老人福祉施設に入所できるのは、65歳以上の人です。

2.第一号被保険者65歳以上です。

3.医療保険の前期高齢者65歳以上、75歳未満です。

4.第二号被保険者は、40歳以上、65歳未満医療保険加入者です。

高齢期の喪失体験と悲嘆に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.喪失体験とは、加齢に伴う身体機能の低下のことである。

2.悲嘆過程とは、病的な心のプロセスのことである。

3.死別後の悲嘆からの回復には、喪失に対する心理的対処だけでなく生活の立て直しへの対処も必要である。

4.ボウルビィ(Bowlby,J.)によれば、悲嘆過程には順序性はない。

5.身近な人との死別後に生じる病的悲嘆への支援では、亡くなった人への愛着をほかに向けることを目標にする。

正解3

1.喪失体験は、配偶者との死別などの心理的な喪失のことを指します。

2.悲嘆過程とは、大切な人との死別を十分に悲しみ立ち直っていく過程のことです。病的ではなく、正常な心のプロセスです。

3.これはその通りです。

4.ボウルビィの悲嘆理論

5.死別によって生じる悲嘆は、正常なストレス反応であり、それ自体は病的なものではありませんが、ときに悲嘆反応の持続期間や強度が通常の範囲を超える悲嘆がみられ、複雑性悲嘆(病的悲嘆)と呼ばれています。

病的悲嘆への支援では、以下のような目標があります。

1.悲嘆に対処するスキルを向上させる。
2.亡くなった人との関係や思い出を再評価し、適切に受け入れることができるようになる。
3.愛着を他の人や活動に向けることも重要ですが、無理に向けることを強要せず、自然にそのプロセスが進むようサポートする。


病的悲嘆に対処するためには、専門家のカウンセリングや心理療法(特に、認知行動療法や精神分析療法など)が役立つことがあります。サポートグループや友人や家族とのコミュニケーションも重要です。

悲嘆のプロセスは個人差があるので、亡くなった人への愛着を他に向けることが必ずしも唯一の目標ではありません。大切なのは、適切なサポートを受けながら、自分にとって最善の方法で悲嘆と向き合い、回復することです。

加齢による味覚の変化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.味蕾の数に年齢による違いはない。
2.服用する薬剤で味覚が変化することはない。
3.唾液が増加して味覚が敏感になる。
4.濃い味を好むようになる。
5.口腔ケアは関係ない。

正解4

1.加齢によって味蕾の数は減少します

2.服用する薬剤で味覚が変化する場合があります。また、副作用により味覚が低下する場合もあります。

3.加齢により唾液は減少して、味覚は鈍感になります。

4.これは正しいです。加齢により味覚が鈍感になるので、濃い味を好むようになります。

5.味覚は水に溶けたものしか感知できないため、口腔ケアで唾液分泌が増加すれば味覚も改善される場合があります。

意欲が低下した高齢者の動機づけに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.高い目標を他者が掲げると、動機づけが強まる。

2.本人が具体的に何をすべきかがわかると、動機づけが強まる。

3.本人にとって興味がある目標を掲げると、動機づけが弱まる。

4.小さな目標の達成を積み重ねていくと、動機づけが弱まる。

5.本人が自分にもできそうだと思う目標を掲げると、動機づけが弱まる。

正解2

1.通常の状態ならば、競争心から、動機付けが強まることもあるかもしれませんが、意欲が低下した状態では、他者が高い目標をかかげても、動機付けが強まることはないと考えられるので、適当ではありません。

2.これは正しいです。

3~5.選択肢3、4、5の興味がある目標小さな目標の達成自分にもできそうだと思う目標はすべてやる気がでて、動機付けが強まります。

高齢者の便秘に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.大腸がん(colorectal cancer)は、器質性便秘の原因になる。

2.弛緩性便秘はまれである。

3.けいれん性便秘では、大きく柔らかい便がでる。

4.直腸性便秘は、便が直腸に送られてこないために起こる。

5.薬剤で、便秘になることはまれである。

正解1

参考)⇒便秘

1.これは正しいです。

2.高齢者にはよくある便秘です。

3.けいれん性便秘では、コロコロしたウサギの糞のような便や、下痢になります。

4.直腸性便秘は、排便反射が弱く、便意を催さないことが原因です。

5.薬剤性便秘はまれではありません。

高齢者の転倒に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.介護が必要になる原因は、転倒による骨折(fracture)が最も多い。

2.服薬する薬剤と転倒は、関連がある。

3.転倒による骨折(fracture)の部位は、足首が最も多い。

4.転倒の場所は、屋内では浴室が最も多い。

5.過去に転倒したことがあると、再度の転倒の危険性は低くなる。

正解2

1.2019年の国民生活基礎調査で、介護が必要になった主な原因は、要介護者で最も多いのが認知症要支援者で最も多いのが関節疾患となっています。

2.服用することで、めまいやふらつきが起こる薬剤もあるので、これは正しいです。

3.転倒による骨折で最も多いのは大腿骨頸部骨折です。

4.転倒の場所は屋内では、居室・寝室が最も多いです。

5.下肢筋力など身体的な原因で転倒した場合は、再度転倒する危険は高いです。

高齢者の糖尿病(diabetes mellitus)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1.アミラーゼ(amylase)の作用不足が原因である。
2.ヘモグロビンA1c(HbA1c)の目標値は、若年者に比べて低めが推奨される。
3.若年者に比べて高血糖の持続による口渇感が強い。
4.運動療法は避けたほうがよい。
5.若年者に比べて低血糖の自覚症状に乏しい。

正解5

1.アミラーゼではなく、インスリンです。

2.一般成人の目標は、過去1~2ヵ月の血糖の状態を示すHbA1c値が「7.0%未満」ですが、これに対し高齢者では、健康状態や使用している薬の種類に応じて、目標となるHbA1c値が「7.0%未満」「7.5%未満」「8.0%未満」「8.5%未満」のいずれかになり、目標は緩めに設定されています。
高齢者の目標がやや緩めなのは、低血糖を予防しながら治療するためです。

高齢者は薬を分解する肝臓の機能や、薬を排出する腎臓の働きが低下しているため、低血糖を起こしやすく、重症化しやすいので、若年者に比べて、HbA1cの目標値が緩めに設定されています。

肝臓および腎臓の機能低下が低血糖に関与するメカニズムについて、補足しておきます

肝臓の役割:肝臓は、グルコース(ブドウ糖)からグリコーゲン(糖の貯蔵形態)をつくって肝臓内に蓄え、必要なときに再びグルコース(ブドウ糖)に分解して血液中に送り出し、血糖値を調整する重要な役割を果たします。血糖値が低いとき、肝臓はグリコーゲンを分解し、血液中にグルコースを放出します。肝臓の機能が低下すると、このプロセスがうまく働かず、血糖値が低下しやすくなります。

腎臓の役割:腎臓は、薬物の代謝および排出に関与しています。腎機能が低下すると、薬物の排出が遅れ、体内に薬物が蓄積しやすくなります。糖尿病患者がインスリンや他の血糖降下薬を使用している場合、腎機能低下によって薬物が体内に長く留まり、血糖値が過剰に低下するリスクが高まります。

3.高齢者は、加齢に伴って口渇感が低下しています。また、若年者に比べて、自覚症状を感じにくいため、高血糖の持続による口渇感が強いとはいえません。

4.糖尿病の治療は、食事療法運動療法が基本となります。

5.これは正しいです。

老化に伴う感覚機能や認知機能の変化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.大きな声で話しかけられても、かえって聞こえにくいことがある。

2.会話をしながら運転するほうが、安全に運転できるようになる。

3.白と黄色よりも、白と赤の区別がつきにくくなる。

4.低い声よりも、高い声のほうが聞き取りやすくなる。

5.薄暗い部屋のほうが、細かい作業をしやすくなる。

正解1

加齢以外に難聴の原因がないものを「老人性難聴」といいます。老人性難聴は、感音性難聴であることが多いです。

そして感音性難聴の特徴としては以下のようなものがあります。

  • 音がひずんで聞こえ言葉がはっきりしないことが多い。
  • 高音から聞き取りにくくなる
  • 補聴器を使用しても言葉を判別することは難しい。
  • 大きな音はうるさく感じるが、小さな音はあまり聞こえないことがある。

感音性難聴の場合、大声で話しかけるのは適切ではありません。

2.注意機能の低下によって、複数のことを同時に行うことが難しくなります。

3.白と赤のようにはっきりとした色の組み合わせのほうが、区別しやすいです。

4.高齢者の難聴は感音性難聴が多く、高い音域から聞こえにくくなります。

5.視覚機能の低下によって、薄暗い部屋では物が見えにくくなります。

高齢者の睡眠に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.午前中の遅い時間まで眠ることが多い。
2.刺激を与えても起きないような深い睡眠が多い。
3.睡眠障害を自覚することは少ない
4.不眠の原因の1つはメラトニンの減少である。
5.高齢者の睡眠時無呼吸症候群の発生頻度は、若年者よりも低い。

正解4

メラトニンは、松果体から分泌されるホルモンで、夜、暗くなると分泌が促進され、明るいと抑制されます。体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。高齢になると分泌量が減少します

1.高齢者の場合、中途覚醒で夜中に目が覚めたり、早期覚醒で早朝に目が覚めて、その後眠れなくなったりすることが多く、午前中の遅い時間まで眠ることは少ないです。睡眠不足のために、日中の傾眠が多くなり、夜間に眠れなくなることにつながっています。

2.高齢者の場合、睡眠の質が低下して、深い睡眠が少なくなります。浅い睡眠が多くなり、ちょっとした刺激で目が覚めやすいです。

3.高齢になると、眠っていても、「夜、なかなか眠れない」という訴えが多く、よく眠れたという感覚を得にくくなります。

5.睡眠時無呼吸症候群は年齢に関係なく生じますが、高齢者の方が若年者より発生頻度が高いです。また、肥満の人に多くみられます。

高齢者の肺炎に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)

1.意識障害になることはない。
2.体温が37.5℃未満であれば肺炎ではない。
3.頻呼吸になることは、まれである。
4.誤嚥による肺炎を起こしやすい。
5.咳・痰などを伴うことは、まれである。

正解4

高齢者の肺炎というと、最も多いのは、誤嚥性肺炎です。選択肢1~3はいまいちよくわからなくても積極的に選択肢4が選べれば大丈夫です。

1.急変して、意識消失したりする場合もあります。

2.肺炎に限らず、高齢者の場合、典型的な症状がみられない場合が多いです。なので選択肢2のように断定はできません。

3.頻呼吸は、1分間の呼吸回数が25回以上の浅い呼吸状態を指します。高齢者の肺炎の場合、早い段階で頻呼吸のような呼吸の異常がみられることもあり、まれとするのは適当ではありません。

5.咳・痰を伴うのはまれではありません。

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