『こころとからだのしくみ』の過去問
マズローの欲求階層説に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第24回介護福祉士国家試験)
1.承認欲求は生理的欲求である。
2.最下層にあるものは自己実現の欲求である。
3.欲求を4段階に分類している。
4.所属・愛情の欲求は最上層の欲求である。
5.安全欲求は欠乏欲求である。
正解5
参考テキスト⇒マズローの欲求階層説
1.承認欲求は生理的欲求ではありません。
2.自己実現の欲求は最上層で、最下層にあるのは、生理的欲求です。
3.4段階ではなく5段階です。
4.最上層は自己実現の欲求です。
5.これは正しいです。
マズローの欲求階層説における最上層の欲求を表現する発言として、適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.「おなかがすいたので食事をしたい」
2.「会社で上司から認められたい」
3.「心の中を打ち明けられる親友が欲しい」
4.「平和な社会をつくりたい」
5.「家族の待つ家に帰りたい」
正解4
1.これは生理的欲求です
2.これは承認欲求です
3.これは所属・愛情の欲求です
4.これは自己実現の欲求で最上層の欲求なので、正解です。
5.これは安全欲求または所属・愛情の欲求です。
Gさん(84歳、女性)は、訪問介護を受けながら自宅で一人で生活していた。2か月前、在宅中に大雨による土砂崩れで自宅が半分埋まってしまったので、介護老人保健施設に入所した。入所後のGさんはイライラすることが多くなり、入眠障害が見られるようになった。また、夜間に突然覚醒し、大声で介護福祉職を呼ぶことがたびたびあった。
現在のGさんの状態を表す用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.退行
2.見当識障害
3.フラストレーション
4.アルツハイマー型認知症
5.心的外傷後ストレス障害
正解5
1.退行は適応機制の一つで、耐えがたい事態に直面した時に、発達の未熟な段階に戻って自分を守ろうとすることです。Gさんには退行に相当する行動はみられません。
2.見当識障害は、認知症の中核症状で、自分が現在おかれている環境(日付、季節、自分のいる場所、人物など)が理解できなくなる障害です。Gさんの行動は見当識障害には当てはまりません。
3&5.
~フラストレーションとストレスの違い~
フラストレーション=欲求不満
ストレス=精神的緊張
フラストレーションは、自分の持つ欲求が何らかの障害によって阻止されることによって満足できないことです。それによって生じる不快な緊張や不安もフラストレーションになります。
ストレスは生体機能の変化のひとつで、心労や苦痛、また生活する上で感じるプレッシャーやショックなど精神的あるいは肉体的に負担となる刺激や状況のことです。
どちらもイライラしている状態という共通点はありますが、意味は異なります。
この問題では、土砂崩れで自宅が半分埋まってしまうという体験からトラウマとなり、精神障害の症状が見られるようになったと考えられます。入眠障害は精神障害であり、選択肢5が適当です。
4.アルツハイマー型認知症では、発症初期では多くの場合、記憶障害がみられます。この問題ではGさんに記憶障害があるとは認められないので適当ではありません。
生理的欲求に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.経験や学習から獲得される欲求のことである。
2.ホメオスタシスの働きによって制御される。
3.他者からの承認などの欲求である。
4.マズローの欲求階層説では上位に位置する。
5.社会的・情緒的満足との関係が深い。
正解2
1.経験や学習から獲得される欲求は、社会的欲求(二次的欲求)です。生理的欲求は、基本的欲求(一次的欲求)です。
2.ホメオスタシスは、生体内部の生理的均衡状態のことをいい、その働きによって、生理的欲求が制御されます。
3.承認欲求は社会的欲求です。
4.生理的欲求は最下位です。
5.のどが渇いた等、生理的欲求は、社会的・情緒的満足に関係なく生じます。
ライチャード(Reichard)による老年期の性格類型において、円熟型に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.自分の過去に対して自責の念を抱く。
2.年を取ることをありのまま受け入れていく。
3.若いときの積極的な活動を維持する。
4.他者の援助に依存する。
5.責任から解放されることを好む。
介護老人保健施設に入所しているGさん(78歳、女性)は上品で化粧も上手で、入所している人から関心を持たれていた。訓練の際にも入所者から励まされ、どうにか伝い歩きができるようになっていた。そこへ車いすのHさん(75歳、女性)が新しく入所してきた。Hさんは裕福な家庭で、家族の来訪の際には入所者へプレゼントもあり、入所者の関心はHさんに移ってしまった。するとGさんは伝い歩きをしなくなり、失禁までするようになった。
Gさんの適応機制(防衛機制)として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第24回介護福祉士国家試験)
1.逃避
2.同一化(同一視)
3.退行
4.昇華
5.抑圧
正解3
参考テキスト⇒適応のしくみ
適応機制の1つである昇華に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.認めたくない欲求を心の中に抑え込んでしまおうとする。
2.名声や権威に自分を近づけることで、自分の価値を高めようとする
3.自分に都合のよい理由をつけて、自分を正当化しようとする。
4.発達の未熟な段階に後戻りして、自分を正当化しようとする。
5.直ちに実現できない欲求を、価値ある行為に置換しようとする。
Kさん(91歳、男性、要介護1)は、65歳の娘と二人暮らしである。訪問介護員(ホームヘルパー)が週2回通っている。もともと頑固で怒りやすい性格だが、ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が茶碗を割ったのをきっかけに怒りを爆発させて、 この訪問介護員(ホームヘルパー)を代えるように娘に主張した。それは難しいと娘が説明したところ、「もういい、他人には自分の気持ちを理解できるはずがないから、どうせ代わっても今と変わりはない」 と話を打ち切ってしまった。
この会話でKさんにみられた適応機制として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.抑圧
2.合理化
3.反動形成
4.昇華
5.投影
正解2
参考テキスト⇒適応のしくみ
「もういい、どうせ代わっても今と変わらない」と話を打ち切った。と設問に書かれており、このように、何らかの理由をつけて自分の正当性を確保しようとする適応機制を「合理化」といいます。
記憶に関する次の記述のうち、正しいものを1 つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.短期記憶では、膨大な情報の貯蔵が可能である。
2.記憶には、記銘と保持と想起の3 つの過程がある。
3.手続き記憶とは、自分に起こった出来事に関する記憶である。
4.エピソード記憶とは、一般的な知識についての記憶である。
5.記憶の処理は、中脳で行われる。
正解2
参考テキスト⇒記憶のしくみと知能
1.膨大な情報の貯蔵が可能なのは短期記憶ではなく長期記憶です。
3.自分に起こった出来事に関する記憶は、エピソード記憶です。
4.一般的な知識についての記憶は、意味記憶です。
5.記憶の処理は、海馬や前頭前皮質、偏桃体など脳のいくつかの部分が関与して行われますが、中脳は関与しません。
脳の中で記憶をつかさどる部位として、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.延髄
2.海馬
3.視床
4.松果体
5.小脳
正解2
1.延髄は呼吸や循環器など生命の維持に必要な機能を担っています。
3.視床は視覚や聴覚と関係した器官です。
4.松果体は概日リズムを調整するホルモン(メラトニン)を分泌する器官です。
5.小脳は運動機能を調整する役割を担っています。
皮膚の痛みの感覚を受け取る大脳の機能局在の部位として、正しいものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.頭頂葉
2.前頭葉
3.側頭葉
4.後頭葉
5.大脳辺緑系
正解1
参考テキスト⇒大脳
選択肢1~4は大脳皮質です。
皮膚の痛みの感覚を受け取る大脳の機能局在の部位は、頭頂葉の一次体性感覚野なので正解1です。
5.大脳辺縁系は、文字通り大脳の辺縁にある器官の総称で、海馬なども含まれます。大脳辺縁系の大きな役割は、記憶(短期記憶と長期記憶)と情動(やる気、怒り、喜び、悲しみ等の快不快)です。
記憶と学習に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.短期記憶とは、数日保持される記憶である。
2.記銘とは、情報を覚えることである。
3.意味記憶とは、自分に起こった出来事の記憶である。
4.道具的条件づけの代表例に「パブロフの犬」がある。
5.観察学習とは、自分の行動を反省することによる学習である。
正解2
1.短期記憶とは、数十秒から数十分という短時間保持される記憶で、海馬に保存されます。
2.記銘は記憶の第一段階で、外部の刺激がもつ情報を意味に変換して記憶として取り込むことです。
3.自分に起こった出来事の記憶はエピソード記憶です。
4.「パブロフの犬」は、古典的条件づけの代表的な実験例です。
古典的条件付け:
エサの前にベルを鳴らすことを繰り返していると、エサをみせずにベルの音だけで唾液がでるようになるという話。
オペラント条件付け(道具的条件付け):
レバーを押すとエサが出てくる仕掛けをしたケージにネズミを入れる。ネズミは、たまたまレバーを押したときにエサが手に入った経験をする。同じ経験を繰り返すうちに、意図的にレバーを押すことを覚えたという話。
5.観察学習とは、他者の行動を観察することによる学習です。
日常生活動作(ADL)に分類されるものとして、正しいものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.買い物
2.料理
3.洗濯
4.乗り物利用
5.入浴
良肢位に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.ADL(ActivitiesofDailyLiving:日常生活動作)に最も支障が少ない姿勢である。
2.肘関節を伸ばした姿勢である。
3.つま先が下を向いた姿勢である。
4.拘縮を起こしやすい姿勢である。
5.クッションを用いた保持は避ける。
正解1
1&2&3.参考テキスト⇒良肢位
4.良肢位とは関節がその角度のまま動かなくなっても、日常生活動作に及ぼす影響が最も少ない肢位で機能肢位ともいわれます。
5.クッションを用いた保持は有効です。
高齢者の大腿骨頸部骨折に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.転落によって生じることが最も多い。
2.骨折の直後は無症状である。
3.リハビリテーションを早期に開始する。
4.保存的治療を行う。
5.予後は良好である。
正解3
1.転落ではなく、転倒によるものが最も多いです。
2.無症状ではなく、痛みがあります。
4.保存的治療とは手術せずに回復を待つ治療法のことです。大腿骨頸部骨折は骨が癒合しにくいので、原則として手術をすることで治療します。
5.寝たきりになる可能性の高い骨折であるので、予後は良好とはいえません。
副交感神経の作用として、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.気道の弛緩
2.血糖値の上昇
3.消化の促進
4.心拍数の増加
5.瞳孔の散大
正解3
参考テキスト⇒自立神経
1.気道は、交感神経が拡張させ、副交感神経が収縮させます。
2.交感神経が刺激され、グルカゴン(血糖値を上げるホルモン)を分泌させます。
3.副交感神経が優位の時に、消化が促進されます。
4.心拍数は、交感神経により増加し、副交感神経により減少します。
5.瞳孔は、交感神経により散大し、副交感神経により縮小します。
ランゲルハンス島を有する臓器として、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.心臓
2.肝臓
3.腎臓
4.脾臓
5.膵臓
正解5
膵臓にあるランゲルハンス島は血糖値を調整するホルモンであるインスリンやグルカゴンを分泌します。
臓器とその機能の組合せとして、正しいものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.肝臓 — グリコーゲンの貯蔵
2.膀胱 — 尿の濃縮
3.小脳 — 呼吸中枢
4.副腎 — インスリンの分泌
5.心臓 — ガス交換
正解1
2.尿の濃縮は腎臓で行われます。膀胱は尿の貯蔵です。
3.呼吸中枢は脳幹の延髄にあります。小脳は、運動の調節と平衡感覚に関係します。
4.インスリンは膵臓で分泌される。
5.ガス交換は肺で行われます。
骨の強化に役立つこととして、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.日光を避ける。
2.食物繊維を多く摂取する。
3.ビタミンEを摂取する。
4.適度な運動をする。
5.炭水化物を制限する。
正解4
1.ビタミンDは、体内でカルシウムの吸収を助ける骨の健康に欠かせない栄養素です。 日光を浴びることで体の中で作られ、太陽のビタミンとも呼ばれています。
2.食物繊維の摂取は骨の強化に大きな影響を与えません。
3.ビタミンEの主な働きは抗酸化作用といわれています。骨の強化には関係がありません。骨の強化に関係があるビタミンはビタミンDとビタミンKです。
5.炭水化物を制限しても骨の強化にはつながりません。
関節の運動と筋の収縮に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)
1.膝関節の伸展は、大腿二頭筋の収縮によって起こる。
2.股関節の伸展は、大腿四頭筋の収縮によって起こる。
3.足関節の背屈は、下腿三頭筋の収縮によって起こる。
4.手関節の背屈は、上腕二頭筋の収縮によって起こる。
5.肘関節の伸展は、上腕三頭筋の収縮によって起こる。
正解5
参考テキスト⇒主な関節と拮抗筋のはたらき
1.膝関節の伸展の場合、大腿四頭筋が収縮し、大腿二頭筋は弛緩します。
2.股関節の伸展に大腿四頭筋は関係がありません。股関節の伸展の場合、大殿筋が収縮します。
3.足関節の背屈(伸展)の場合、前脛骨筋が収縮し、下腿三頭筋は弛緩します。
4.手関節の背屈と上腕二頭筋は関係がありません。手関節の背屈の場合、橈側手根伸筋、尺側手根伸筋がともに収縮します。
関節運動とその主動作筋の組み合わせとして、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.肩関節外転ー上腕二頭筋
2.手関節屈曲ー上腕三頭筋
3.股関節屈曲ー腸腰筋
4.股関節伸展ー腹直筋
5.足関節伸展ー下腿三頭筋
正解3
★主動作筋はその動作で収縮する筋です
参考テキスト⇒主な関節と拮抗筋のはたらき
1.肩関節外転の主動作筋は、三角筋や棘上筋です。
2.手関節屈曲の主動作筋は、橈側手根屈筋や尺側手根屈筋です。
3.股関節屈曲の主動作筋は、腸腰筋です。腸腰筋は、上半身と下半身をつなぐ筋肉です。背骨の腰の辺りから始まる大腰筋と、骨盤の内側の上部から始まる腸骨筋が組み合わさった筋肉で、深部腹筋群と総称され、いわゆるインナーマッスルの部類に入る筋肉です。
4.股関節伸展の主動作筋は、大臀筋やハムストリングス(半腱様筋など)です。
5.足関節伸展(背屈)の主動作筋は、前脛骨筋です。
立位姿勢を維持するための筋肉(抗重力筋)として、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.大腿四頭筋
2.胸鎖乳突筋
3.僧帽筋
4.三角筋
5.大胸筋
正解1
2.胸鎖乳突筋は、首を前側から支える大きな筋肉です。
3.僧帽筋は、後頭部から背中の正中線に沿って始まり、左右の鎖骨・肩甲骨に終わるひし形の筋肉で、肩の運動に関与しています。
4.三角筋は、肩関節を大きく覆うようについている筋肉で、収縮すると上肢が上がります。
5.大胸筋は、胸板を形成する筋の表層部にある最も大きな筋肉です。
眼の症状とそれに関連が強い疾患の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.眼球が痛くなる — 加齢黄斑変性症(age-related macular degeneration)
2.近いところが見えにくい — 緑内障(glaucoma)
3.結膜が充血する — 流行性角結膜炎(epidemic keratoconjunctivitis)
4.硝子体が白くなる — 白内障(cataract)
5.目やにが増える — 糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)
正解3
1.加齢黄斑変性症の主な症状は、ゆがんでみえる(変視症)、見ようとするものの中心が欠けて見えない(中心暗点)です。
2.近いところが見えにくいのは老眼です。緑内障は眼圧が上昇する疾患で、目の痛み、頭痛、吐き気などの症状が見られます。
3.流行性角結膜炎(はやり目)は、アデノウイルスというウイルスの感染が原因となる病気です。感染すると、5日~2週間の潜伏期間の後、「さらさらした目やにが出る」、「涙が出る」、「まぶしい」などの症状が現れます。まぶたは腫れ、結膜はむくみ、充血がみられるようになります。目の症状以外にも、耳前リンパ節の腫れ・圧痛が特徴的な症状としてみられます。
伝染性が非常に高いウイルスで、主に手を介して伝染します。
4.白内障で白くなるのは、水晶体です。硝子体は、水晶体(眼のレンズ)の後方から網膜に達するまでの眼球の大部分を占めています。その中には生卵の白身のような透明でドロッとした物質がつまっています。
5.参考テキスト⇒糖尿病性網膜症
小腸の一部として、正しいものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.盲腸
2.空腸
3.S状結腸
4.上行結腸
5.直腸
正解2
小腸は上から十二指腸・空腸・回腸に区分されます。
胃から送られてきた食物は、小腸の壁を形成する平滑筋の運動により、胆汁・膵液や腸液などの消化液と混ぜられ、移送されます。その間に、消化液による化学的消化が行われます。
選択肢1、3、4、5は大腸の一部です。
唾液に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.1日に3ℓほど分泌される。
2.小唾液腺には、耳下腺、舌下腺および顎下腺がある。
3.唾液に含まれる水分は、50%程度である。
4.唾液には、消化酵素が含まれる。
5.唾液分泌中枢は、小脳にある。
正解4
参考テキスト⇒唾液と唾液腺
1.一日1~1.5ℓとされています。
2.耳下腺、舌下腺および顎下腺は大唾液腺です。
3.唾液は99%以上が水分です。
4.唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれます。アミラーゼは炭水化物(主にデンプン)の消化を開始し、口腔内で食物を分解する役割があります。
5.小脳ではなく脳幹(延髄)にあります。
唾液腺と唾液に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.副交感神経は唾液分泌を抑制する。
2.唾液分泌は食事摂取時に限られる。
3.耳下腺の導管は口腔底に開口する。
4.唾液には抗菌作用がある。
5.舌下腺は小唾液腺である。
正解4
1.副交感神経は唾液分泌を促進します。
2.食べ物を連想したり、臭いをかぐだけでも分泌されます。
3.口腔底にあるのは舌下腺と顎下腺です。
5.舌下腺は大唾液腺です。
口臭に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.歯がない場合に起こりやすい。
2.唾液量が多いと生じる。
3.ウイルス感染の原因となることがある。
4.食事量が増加した場合に起こりやすい。
5.他者との交流を避ける原因となることがある。
正解5
1.歯周病や虫歯などが原因となることもあるので、特に歯がない場合に起こりやすいということはありません。
2.唾液が減って口の粘膜が乾燥すると口臭は強くなります。
3.口臭がウイルス感染の原因となることはありません。
4.食事量が増加しても、口腔ケアがきちんと行えていれば、特に口臭がつよくなるということはありません。
動脈血が流れている部位として、正しいものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)
1.右心室
2.右心房
3.三尖弁
4.肺動脈
5.左心房
血液中において酸素の運搬を行っている成分として、正しいものを1つ選びなさい。(第24回介護福祉士国家試験)
1.血しょう
2.血小板
3.赤血球
4.白血球
5.リンパ球
正解3
1.血液=血球(赤血球、白血球、血小板などの細胞成分)+血漿(液性成分:水分、タンパク質、脂質など)で、血漿には、細胞の浸透圧などを一定に保つ機能があります。
2.血小板には、止血作用があります。
3.酸素は赤血球のヘモグロビンという成分によって運搬されます。
4.白血球は、人体の免疫システムの一部であり、感染症や病原体から身体を守る役割を担っています。
5.リンパ球は、血液中に存在する白血球の一種で、ウイルスに感染した細胞やがん細胞など、体内で異常が発生した細胞を攻撃・破壊したり、感染症や外来物質に対抗する抗体を産生したりする、免疫システムの主要な成分です。
血管系に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.リンパ管には血液が流れている。
2.末梢動脈には逆流を予防するための弁がある。
3.左心室から出た血液は大静脈へ流れる。
4.肺動脈には静脈血が流れている。
5.下肢の静脈は体表から拍動を触れる。
正解4
1.リンパ管にはリンパ液が流れています。
参考テキスト⇒リンパ
2.逆流を予防するための弁があるのは、末梢静脈です。
動脈には弁はないの?
動脈は、心臓から全身に向けて流れる血流で圧力が高く、基本的に逆流しないので弁はありません。しかし、静脈は心臓へと戻っていく血流で、勢いが弱くなっています。そのため、血液が逆流しないよう、弁があります。
3.左心室から出た血液は大動脈へ流れます。
4.肺動脈は、肺に向かっていく血管で、静脈血が流れています。肺静脈は肺から出ていく血管で、動脈血が流れています。
5.拍動を感じることができるのは、通常、動脈のみです。動脈は心臓から酸素豊富な血液を送り出す血管で、心臓の拍動(収縮)によって血液が拍動するように流れます。
静脈は、酸素が少なくなった血液を体の組織から心臓に戻す血管です。静脈の血流は、通常、拍動せず、筋肉の収縮や呼吸などの身体の動きによって助けられています。そのため、静脈は体の表面から拍動を触れることは基本的にありません。
疾患に伴う歩行の特徴として、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.パーキンソン病(Parkinson disease)では、小刻み歩行がみられる。
2.筋委縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis : ALS)では、失調性歩行がみられる。
3.アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)では、小振り歩行がみられる。
4.変形性膝関節症(knee osteoarthritis)では、間欠性破行がみられる。
5.脊柱管狭窄症(spinal stenosis)では、動揺性歩行がみられる。
正解1
2.ふらふらとした不安定でぎこちない歩行の失調性歩行がみられる代表的な疾患には、脊髄小脳変性症があります。
3.小振り歩行とは、松葉杖を使用する際の歩行方法のことです。
4.歩行中に足の痛みやしびれが起こり歩けなくなるが、立ち止まったり、座ったりすると、足の痛みやしびれが楽になる間欠性跛行がみられる代表的な疾患には、腰部脊柱管狭窄症があります。
5.体を左右に振りながら歩行する動揺性歩行がみられる代表的な疾患には、筋ジストロフィーがあります。
ビタミンDが多く含まれる食品として、正しいものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)
1.干しシイタケ
2.にんじん
3.りんご
4.牛肉
5.ひじき
正解1
このほかビタミンDが多く含まれる食品には、きくらげ、いくら、あんこうのきもなどがあります。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。
1 g 当たりのエネルギー発生量が最も多い栄養素として、正しいものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.たんぱく質
2.糖質
3.脂質
4.ビタミン
5.無機質(ミネラル)
栄養素に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.糖質は、細胞質の主成分となる。
2.脂質は、ホルモンの原料となる。
3.カリウムは血圧を上げる。
4.ビタミンAは水溶性である。
5.ビタミンEは腸管からカルシウムの吸収を促進する。
正解2
参考テキスト⇒身体を作る栄養素
1.細胞質の主成分は水とタンパク質であり、糖質は主に体を動かすためのエネルギー源になります。
2.脂質はホルモン、細胞膜、血液等の原料となり、脂溶性ビタミンの吸収を助けるはたらきを持ちます。また、エネルギー発生量は脂質が最も多いです
3.カリウムは、血圧の上昇を抑制する効果があります。
4.ビタミンAは脂溶性で、視覚の正常化を促進します。ビタミンAの欠乏症に、暗いところでの物の見え方が悪くなる夜盲症があります。
5.カルシウムの吸収を促進するのは、ビタミンDです。
生体で生じる化学反応について、酵素は重要な役割を担っている。酵素を構成する主要成分として、正しいものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.タンパク質
2.糖質
3.脂質
4.ビタミン類
5.無機質(ミネラル)
正解1
参考テキスト⇒酵素
食事のたんぱく質制限が必要な疾患として、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.胃潰瘍
2.尿毒症
3.痛風
4.脂質異常症
5.狭心症
正解2
食事タンパクの制限が必要なのは、腎機能障害がある人です。
尿毒症とは、腎機能の低下により起こる臓器、組織、さらには細胞機能の障害と、体液異常により起こる症候群の総称です。いい換えれば、末期腎不全の状態を意味しています。
摂食・嚥下に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第24回介護福祉士国家試験)
1.先行期は認知機能の影響を受ける。
2.準備期では食塊を咽頭に送り込む。
3.口腔期の食塊の移送は口唇で行う。
4.咽頭期は鼻腔が開放して始まる。
5.食道期は随意的な運動で行われる。
正解1
参考テキスト⇒食べるしくみ
2.食塊を咽頭に送るのは口腔期です。
3.移送は主に舌で行われます。
4.咽頭期においては、軟口蓋が鼻腔を閉鎖します。
5.咽頭期から食道期にかけては、不随意的な運動で行われます。
摂食・嚥下のプロセスで、軟口蓋が挙上して鼻腔と咽頭部が閉じ、次に喉頭が挙上して喉頭蓋が閉じ、食塊が食道に運ばれる時期として、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.先行期
2.準備期
3.口腔期
4.咽頭期
5.食道期
正解4
参考テキスト⇒食べるしくみ
摂食、嚥下のプロセスに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.先行期は、唾液分泌が増加する。
2.準備期は、嚥下性無呼吸がみられる。
3.口腔期は、喉頭が閉鎖する。
4.咽頭期は、食塊を形成する。
5.食道期は、随意的な運動である。
正解1
先行期は、食事の見た目やにおいが食欲を刺激し、食べることへの意識が高まる段階です。この期間には唾液分泌が増加し、食物の消化を助けるための準備が行われます。
2.準備期は、食物を口に入れ、唾液と混ぜることで食塊を作る段階です。嚥下性無呼吸がみられるのは、咽頭期です。
3.口腔期では、舌の筋肉が食塊を咽頭に向かって押し込み、嚥下反射が誘発される段階です。喉頭の閉鎖は咽頭期に起こります。
4.咽頭期は、食塊が咽頭を通り抜け、気管を閉じて誤嚥を防ぎながら食道に入る段階です。食塊の形成は準備期に行われます。
5.食道期は、食塊が食道を通って胃に運ばれる段階で、蠕動運動によって行われます。この段階は随意的な運動ではなく、自律神経系によって制御されています。
誤嚥を防止している部位として、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.甲状軟骨
2.口蓋垂
3.喉頭蓋
4.口蓋扁桃
5.食道
正解3
喉頭蓋は、嚥下する瞬間に気管に蓋をするような機能があり、誤嚥を防止しています。
胃ろうに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.ろう孔周囲のびらんは、放置してよい。
2.ろう孔は、カテーテルの抜去後、およそ1時間で自然に閉鎖する。
3.カテーテルの交換は不要である。
4.ミキサー食の注入は禁止されている。
5.経口摂取も併用できる。
正解5
1.放置せず、医療職へ連絡し、指示を仰ぐ必要があります。
2.閉鎖まで、胃壁で2~3時間、腹壁から皮膚は24時間程度かかるといわれています。
3.カテーテルは劣化するので、定期的な交換が必要です。
4.ミキサー食の注入は可能です。
5.経口摂取と併用できます。嚥下機能が低下し、食事に時間がかかり、十分な栄養がとれないような場合に、併用することによって、食事の楽しみを残し、足りない栄養を胃ろうで補填するといったことも可能です。
Dさん(75歳、女性)は、介護老人福祉施設に入所している。糖尿病(diabetesmellitus)があり、インスリン療法を受けている。2日前から風邪をひいて、食事量が普段の半分程度に減っていたが、医師の指示どおりインスリン注射を継続していた。介護福祉職が朝食をDさんに渡そうとしたところ、顔色が悪く、「胸がどきどきして、ふわふわする」と話し、額には汗が見られた。
考えられるDさんの状態として、ただちに医療職に相談しなければならないものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.発熱
2.脱水
3.低血糖
4.貧血
5.意識障害
正解3
低血糖の症状として、倦怠感 ・ 冷や汗 ・ 顔面蒼白 ・ 動悸 ・ 悪心 ・ 頭痛 ・ 意識障害などがあります。食事摂取量が減っているのに、指示通りのインスリン注射を行ったことによる低血糖であると考えられます。
口腔の清潔が保てなくなる原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.過食
2.口内炎
3.唾液の増加
4.歯垢の除去
5.咳反射の亢進
正解2
1.過食でも食事後の口腔ケアができなくなるわけではありません。
2.口内炎によりブラッシング等のケアが不十分となり、口腔内の清潔が保てなくなります。
3.唾液による自浄作用が増加し、口腔の清潔を保つ一助となります。
4.歯垢の除去は細菌の繁殖を防止し、口臭の除去にもつながるため、口腔の清潔保持につながります。
5.咳反射の亢進は、咳が強くなる状態を指しますが、口腔の清潔が保てなくなる原因として直接的には関係しません。ちなみに亢進は、興奮や刺激が強く、過剰な状態を表す言葉です。
脱水症状に伴う症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.浮腫
2.活動性の低下
3.低体温
4.多尿
5.皮膚の湿潤
正解2
参考テキスト⇒脱水
1.浮腫は水分が体内で貯留している状態であるので、誤りです。
2.脱水に伴い、ぐったりして意識障害があり、活動性の低下がみられることがあります。
3.低体温は、体の中心部の温度が35℃以下の場合をいいます。脱水の症状ではありません。
4.脱水で尿量は減少します。
5.脱水で皮膚は乾燥し、皮膚の張りがなくなります。
低栄養状態を判断するための指標として、適切でないものを1つ選びなさい。(第24回介護福祉士国家試験)
1.食事摂取量
2.体格指数(BMI)
3.体重減少率
4.血清アルブミン値
5.血圧
正解5
参考テキスト⇒低栄養
爪や指の変化と、そこから推測される疾患・病態との組み合わせとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回回介護福祉士国家試験)
1.爪の白濁ーーーチアノーゼ(cyanosis)
2.巻き爪ーーーーー心疾患
3.さじ状爪---鉄欠乏症貧血(iron deficiency anemia)
4.ばち状指ーーー栄養障害
5.青紫色の爪ーー爪白癬
正解3
参考テキスト⇒爪や指の異常
1.爪の白濁がみられるのは爪白癬です。
2. 巻き爪の原因は、深爪や窮屈な靴をはいているなどの物理的な外力が原因です。
4.ばち状指は呼吸器疾患や心疾患のある人にみられることが多いです。
5.青紫色の爪はチアノーゼが原因と考えられます。
廃用症候群で起こる可能性のある病態とその対策の組み合わせとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.筋委縮ー日光浴
2.関節拘縮ー運動制限
3.深部静脈血栓症ー離床
4.褥瘡ー安静
5.せん妄ー入院
正解3
参考テキスト⇒主な廃用症候群
1.筋委縮を予防するためには、安静時でも足を回す、手や足先をもみほぐすなどなるべく体を動かすことが大切です。日光浴では対策になりません。
2.関節拘縮を予防するためには、運動を制限するのではなく、ベッド上でもストレッチなどを行うい、体を動かすことが大事です。
3.これは適切です。深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)は筋力が低下し、更に筋肉を動かさないでいると、血管周囲の筋肉の収縮によるポンプ作用が弱くなるので、静脈の流れが悪くなり、血管内に血液が貯留します。こうなると、血管周囲に水分が染み出してしまうため、足にむくみが出て血液が固まりやすくなります。この血液の固まり(血栓)が出来た状態が深部静脈血栓症です。
適度な歩行や足の運動などで、下肢の血流のうっ滞を防ぎ、血液の流れを促すことが予防につながります。 うっ滞は、血流などが静脈内などに停滞した状態のことです
早期離床や寝たままでも足首や足の指を動かすなどの運動をすることが大切です。また、血液が濃くなると、固まりやすくなるので、適度な水分補給も重要です。
4.褥瘡は過度の持続的圧迫により、その部分の組織が壊死を起こす状態です。褥瘡の予防には、
- 体位変換をする。
- 寝衣、寝具の湿潤を避ける。
- 身体および寝衣、寝具の清潔を保つ。
- シーツ、寝衣のしわをつくらない、のりづけしない。
- タンパク質やビタミンの多い食事をとり栄養状態を保持する。
- エアマットなどの体圧を分散する寝具を利用する。
などがあります。安静にすることは予防につながりません。
5.廃用症候群では慣れない入院生活が原因で、身体的にも精神的にもあまり刺激がない状態が続くと、せん妄などの精神障害も見られることがあります。入院中でもなるべく面会に行き、話しかけるなどのケアが必要です。
入浴を避けるべき状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.胃ろうカテーテル留置
2.全介助
3.褥瘡
4.食事の直後
5.尿道カテーテル留置
正解4
1.胃ろうカテーテル留置をしていても、入浴に問題はありません。
2.全介助でも入浴が可能であるならば、清潔保持のためにも入浴を避ける必要はありません。
3.入浴することで血行がよくなり、褥瘡の傷をシャワーなどで十分に洗うことは褥瘡の治療にも効果があります。 全身の状態が安定していれば、入浴を避ける必要はありません。
ちなみに、介護職ができる褥瘡の処置は、洗浄とガーゼ交換などです。
4.入浴によって皮膚の血管が拡張し、内臓の血流量が減ってしまいます。消化管の血流量が少ないと、栄養素の吸収量が低下してしまいます。また、湯の温度が高いと交感神経が刺激されて腸管の蠕動運動が抑制され、消化機能が低下してしまいます。
5.尿道カテーテルを留置していても、入浴に問題はありません。また、消化器系ストーマや尿路ストーマを造設している場合も入浴に問題はありません。
入浴による静水圧の直接的な作用として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.毛細血管の拡張
2.関節への負担の軽減
3.下肢のむくみの軽減
4.体重による負担の軽減
5.老廃物の排泄の促進
38~41℃の湯温での入浴が身体に与える影響として、適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.血圧の上昇
2.心拍数の増加
3.膀胱の弛緩
4.消化機能の亢進
5.筋緊張の亢進
正解4
参考テキスト⇒湯の温度が体に与える影響まとめ
1.中温浴では血圧は低下します。
2.中温浴では心臓の動きが抑制されるので、心拍数は減ります。
3.中温浴では、新陳代謝が促進され、老廃物の排出も促進されます。膀胱の動きも活発になり、収縮されて排尿が亢進されます。
4.交感神経よりも副交感神経が優位の状態となり、消化機能(腸のはたらき)が亢進します
5.中温浴では筋肉が弛緩し、疲労回復の効果があります。
入浴介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.家庭内での不慮の事故死のうち、入浴関連はまれである。
2.心臓に疾患のある人には、全身浴を勧める。
3.浴槽からの立ち上がりは、ゆっくり行う。
4.食後すぐの入浴を勧める。
5.入浴後、水分摂取は控える。
正解3
1.家庭内の不慮の事故死の中に溺死があり、溺死のほとんどが浴槽内で起こっています。
2.全身浴では、水の圧力によって手足や皮膚、腹部などの血液が心臓に向かって移動する。このことを「心臓への静脈還流がふえる」といい、そのふえた分の血液をくみ出すために、心臓がさらに働くようになり心臓の負担が増えるため、不適切です。
3.急に立ち上がると、起立性低血圧によるめまいなどで転倒するリスクがあるので、ゆっくり立ち上がるようにします。
4.食事をすると消化のために、消化器官に血液が集中します。一方、入浴は心臓への静脈還流が増え、食後に入浴すると消化器官に集まらなければいけない血液が分散されてしまいます。そこで、消化不良が起こってしまいます。また、熱い風呂の場合は、交感神経が刺激され、胃の働きが抑制されます。
5.入浴により発汗が多くなるため、脱水予防のために、入浴の前後で水分補給をする必要があります。
皮膚に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.表面は無菌である。
2.ビタミンBの生産にかかわる。
3.表面は弱酸性である。
4.表皮に汗腺がある。
5.エクリン腺は、体臭の原因となる。
正解3
参考テキスト⇒皮膚の機能と発汗のしくみ
1.表皮ブドウ球菌など多くの常在細菌が存在します。
2.ビタミンBではなくビタミンDの生産にかかわります。ビタミンDは体内において合成も行われ、日光の紫外線が皮膚に照射されるとビタミンD合成が誘発されます。
4.汗腺は真皮にあります。
5.体臭の原因となるのはアポクリン腺です。
皮膚に関する次の記述のうち、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.皮膚の表面は弱アルカリ性に保たれている。
2.皮膚から1 日に約500~600 ml の不感蒸泄がある。
3.汗腺が最も多く分布しているのは額である。
4.体温が低下すると、汗腺が活性化する。
5.高齢期になると、皮脂の分泌が増加する。
正解2
1.弱アルカリ性ではなく弱酸性です。
2.不感蒸泄は、呼吸の際に呼気に含まれる水分と、皮膚や気道の粘膜から蒸発する水分を合わせた、日常生活において自然に失われる水分のことです。
3.エクリン腺は手掌>足底>額の順に多く分布し、アポクリン腺は腋窩、乳輪、臍部、外陰部に多く分布しています。
4.体温が上昇すると、汗腺が活性化します。
5.高齢期になると、皮脂の分泌は次第に減少します。
感染を起こしていない皮膚の創傷治癒を促す方法として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.乾燥
2.消毒
3.マッサージ
4.湿潤
5.加圧
正解4
一般的にケガをすると、消毒液をつけて傷口にガーゼを当てるという処置がされてきましたが、実際にはこの方法は傷を治すためには、あまり良い方法ではないことが分かってきました。
消毒液は悪い菌をやっつけると同時に、傷を治す細胞までやっつけてしまうので、消毒液を使うと逆に傷の治りを妨げることがあります。また、菌は目には見えずに至るところに存在していて無菌にすることはできないので、傷口は水道水で洗浄するだけで問題ありません。
傷口からジュクジュクとした透明の滲出液が出てきますが、実はこの滲出液の中に細胞培養液が含まれていてケガの治癒に役立っています。ジュクジュクしていると膿と思ってしまう人もいるかもしれませんが、膿というのは感染性の滲出液のことを指すので、感染があれば「腫脹・疼痛・発赤・局所熱感」という炎症の徴候が出ます。そのような徴候が見られなければ感染を起こしていないと考えて差し支えはありません。
滲出液が傷口を常に覆って適切な湿潤環境を保つことで皮膚を再生させようという考えを「湿潤療法」といい、最近の主流です。
Lさん(84歳、男性、要介護4)は、自宅で妻と暮らしている。数日前から妻が体調を崩しているため、短期入所生活介護(ショートステイ)を利用することになった。利用初日に、介護福祉職が身体の確認をするために着替えを行ったところ、Lさんの腋窩と腹部に赤い丘疹が見られ、一部に小水疱を伴っていた。強いかゆみを訴えており、手指間には灰白色の線が見られる。
Lさんに考えられる皮膚疾患について、集団生活を送る上で最も注意すべき優先度の高いものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.皮脂欠乏性湿疹(asteatotic eczema)
2.疥癬 (scabies)
3.白癬(tinea)
4.蕁麻疹(urticaria)
5.帯状疱疹(herpes zoster)
正解2
1.皮脂欠乏性湿疹は、皮膚表面を覆う皮脂が加齢により極端に減ることで皮膚がひび割れ、表皮が剥がれて、かゆみを伴いますが、感染性はありません。
2&5.参考テキスト⇒感染の危険がある疾病
3.白癬は、真菌(カビ)の一種である白癬菌の感染によっておこります。足白癬は「水虫」、頭皮にできると「しらくも」などと呼ばれます。白癬菌が体や腕、足などの皮膚に感染した体部白癬(ぜにたむし)は、体や腕、脚などに、かゆみを伴い環状に赤く盛り上がる特徴的な発疹が現れます。
4.蕁麻疹(じんましん)とは、皮膚の一部が突然、蚊に刺されたように盛り上がり、短時間で跡を残さず消えてしまう皮膚の病気です。赤みや強いかゆみを伴いますが、たいていは数十分~1日以内に治まります。原因を特定できる蕁麻疹は全体の1~3割ほどで、多くの場合、原因ははっきりわかりません。
皮膚の乾燥に伴うかゆみに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.高齢者では、まれである。
2.水分摂取を控える。
3.顔面に好発する。
4.利用者の爪は短く切る。
5.皮膚をかくことで軽快する。
正解4
1.皮膚の乾燥によって引き起こされる老人性乾皮症の高齢者は多く、かゆみの訴えもめずらしくありません。
2.水分摂取を控えることで皮膚のかゆみは改善されません。脱水のリスクが高くなるので適切ではありません。
3.顔面だけでなく、全身に好発します。好発は発生する頻度が高いことです。
4&5.皮膚をかくことにより皮膚表面が傷つくと、さらに症状が悪化してしまいます。したがって予防のために、爪を短くしておくことは効果的です。
正常な尿に関する記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.1日に約1グラムのたんぱく質が排出される。
2.1日に約10グラムのブドウ糖が排出される。
3.排尿直後はアンモニア臭がする。
4.排尿直後はアルカリ性である。
5.排尿直後は、淡黄色で透明である。
正解5
1&2.正常な尿では基本的にタンパク質もブドウ糖も排出されません。
3.排尿直後の尿はほとんど臭いません。 尿を放置しておくと、細菌により尿中の尿素が分解されてアンモニアになり、アンモニア臭がします。
4.アルカリ性ではなく弱酸性です。
「急に強い尿意を感じて我慢できなくなる」という症状の原因として、正しいものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)
1.尿を出す機能の障害
2.尿をためる機能の障害
3.腹部の筋収縮の低下
4.下肢の筋力の低下
5.腎臓の機能の障害
正解2
「急に強い尿意を感じて我慢できなくなる」という症状は、尿をためる機能の障害です。例えば、過活動膀胱などでは、何らかの原因により膀胱がコントロールを失ったような状態となり、少量の尿で膀胱が過剰に収縮してしまい、我慢出来ないような強い尿意切迫感が急激に起ります。そのため、夜間頻尿、切迫性尿失禁などの症状を伴います。
認知症の人によくみられる排尿障害として、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.溢流性尿失禁
2.腹圧性尿失禁
3.心因性頻尿
4.切迫性尿失禁
5.機能性尿失禁
正解5
参考テキスト⇒尿失禁
1. 溢流性尿失禁は、脳・脊髄の損傷、前立腺肥大症や前立腺がんなどによる排尿障害が前提としてあります。自分で意識して尿を出したいのに、意識とは逆に少しずつ尿が漏れ出てしまうタイプの尿失禁です。排尿開始までに時間がかかったり、排尿できても勢いがなかったり、残尿感があるといった症状が特徴です。
2.腹圧性尿失禁は、出産・加齢などの影響で、尿道を締める筋肉(骨盤底筋)が弱くなり、くしゃみや咳など、おなかに力が入ったときに起こる失禁です
3. 心因性頻尿は、精神的な不安やストレスが原因となって起きる頻尿で、リラックスしている時には、トイレが気にならないことが特徴です
4.切迫性尿失禁は、脳・脊髄の損傷や膀胱炎などの疾患による膀胱収縮が原因で、急に強い尿意を感じて我慢できずに起こる失禁です。
5.機能性尿失禁は、認知症やADLの低下による、認知機能や運動機能の低下が原因で排泄行為が困難となり起こる尿失禁です。尿経路に器質的な障害が認められないにもかかわらず、トイレがわからない等の認知機能の障害や、身体障害などの要因によって、トイレに間に合わないために起こる尿失禁です。
Gさん(81 歳、女性)は日常生活は自立していて、活発に活動していたが、最近外出することが少なくなった。理由を尋ねると、「くしゃみや咳をしたときに、尿が漏れてしまうことが多くなったから」ということだった。
Gさんの失禁の原因として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.神経疾患
2.骨盤底筋群の機能低下
3.水分のとりすぎ
4.膀胱過敏
5.精神的な影響
正解2
1.神経障害による尿失禁は切迫性尿失禁です。今回の事例は腹圧性尿失禁です。
2.くしゃみや咳をした時に起こるのは腹圧性尿失禁で、女性に多く骨盤底筋群の収縮力が弱くなることが原因で起こります。
3.水分をとりすぎているかどうか設問からはわかりません。ちなみに尿失禁するからと水分摂取量を控えることで、血管内に血栓を生じやすくなり、脳梗塞などを引き起こす危険性があります。
4&5.膀胱過敏は、膀胱に尿をためる機能障害であり、不安や心身症などがあると少しの刺激でも膀胱が過敏に尿意を感じ、膀胱に尿が溜まっていないうちに排尿することがあります。今回の原因としては、「くしゃみや咳をしたときに、尿が漏れてしまうことが多くなったから」とあるので、選択肢2の方が適切です。
多尿の原因として、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.脱水
2.副交感神経優位
3.前立腺肥大症
4.ビタミンCの過剰摂取
5.糖尿病
正解5
1.脱水の場合、尿量は減少します。
2.副交感神経優位の場合、排尿が促進されますが、多尿になるわけではありません。
3.前立腺肥大症の場合、排尿困難や頻尿がみられやすいです。
4.健康な人がビタミンCをまとめて過剰に摂取すると、体内での吸収率が低下し、尿から排泄されますが、多尿になるわけではありません。
5.多尿の原因となる疾患には、糖尿病などがあります。
多尿になる理由は⇒無尿・乏尿・多尿
次の症状のうち、膀胱炎(cystitis) で最も起こりやすいものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.発熱
2.乏尿
3.残尿
4.腰痛
5.排尿時痛
正解5
参考テキスト⇒尿路感染症
急性膀胱炎の三大症状は排尿痛・頻尿・尿の濁りです。残尿感が現れることもありますが、最も起こりやすいものを選べということなので、三大症状の一つである選択肢5の方がベターです。
便秘の原因となるものとして、正しいものを1つ選びなさい。(第25回介護福祉士国家試験)
1.スポーツドリンク
2.経管栄養剤
3.レモンジュース
4.麻薬性鎮痛剤
5.インスリン製剤
弛緩性便秘の原因として、正しいものを1 つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.大腸の蠕動運動の低下
2.過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome)
3.自律神経の失調
4.排便反射の低下
5.大腸がん(colorectal cancer)
正解1
参考テキスト⇒便秘
2.過敏性腸症候群は、痙攣性便秘の原因です。
3.自立神経の失調は痙攣性便秘の原因です。
4.排便反射の低下は、直腸性便秘の原因です。
5.大腸がんは器質性便秘の原因です。
弛緩性便秘の原因に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.食物繊維の摂取不足
2.排便を我慢する習慣
3.腹圧の低下
4.大腸のけいれん
5.がんによる通過障害
正解1
2.排便を我慢する習慣は、直腸性便秘の原因になります。
3.腹圧は、人間のお腹の中にある腹腔と呼ばれる内臓が収まる空間内の圧力のことで、ヒトの体の動きを作り出す土台です。そして、姿勢を調整するのに重要な働きをしています。
弛緩性便秘は腸の蠕動運動が低下することによる便秘です。腸の蠕動運動は自立神経に制御される平滑筋と呼ばれる筋肉によって実現されています。
つまり、蠕動運動の低下の要因は、腹圧の低下ではなく、この平滑筋の筋力低下です。
4.痙攣性便秘の原因です。
5.器質性便秘の原因です。
排便に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.寝たきりになると下痢になりやすい。
2.麻薬性鎮痛剤の使用中は便秘になりやすい。
3.うつ病(depression) では下痢になりやすい。
4.ウイルス感染では便秘になりやすい。
5.腸閉塞(intestinal obstruction)では下痢になりやすい。
正解2
1.寝たきりになると、腸が緩んだ状態になり、腸の老廃物の移動が遅れる弛緩性便秘を引き起こしやすいです。
2.モルヒネなどの麻薬性鎮痛剤の副作用によって、腸蠕動は抑制され、弛緩性便秘や腸閉塞を起こしやすくなります。
3.うつ病になると身体の自律神経が低下する。そのため、腸管の神経伝達などの機能が弱まり便秘になりやすいです。
4.ウイルス感染では、便秘より下痢症状を引き起こす可能性が高いです。
5.腸閉塞は、腹痛、嘔吐、腹部膨満、排便・排ガス停止が主症状です。
排便の仕組みに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.仰臥位は、排便しやすい姿勢である。
2.交感神経は、直腸の蠕動運動を促進させる。
3.食事をとると、便意はおさまる。
4.息を吐きながら腹圧を低下させると、排便は促される。
5.排便時には、外肛門括約筋を意識的に弛緩させる。
正解5
1.仰臥位は腹圧がかけにくく、排便しずらい姿勢です。
2.直腸の蠕動運動を促進させるのは副交感神経です。
3.食事をとると蠕動運動が起こり、便意を催しやすくなります。
4.息を止めて腹圧を高めると、排便は促進されます。
5.参考テキスト⇒排便のしくみ
外肛門括約筋を弛緩させないと排便できません。
身体の症状とその原因となる疾患の組合せのうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.爪の白濁・肥厚---白癬(tinea)
2.皮膚の黄染---腎疾患(renal disease)
3.水晶体の白濁---緑内障(glaucoma)
4.舌苔--- 脳梗塞(cerebral infarction)
5.鼻出血 ---糖尿病(diabetes mellitus)
正解1
2.皮膚の黄染がみられるのは、肝疾患です。
3.水晶体の白濁がみられるのは、白内障です。
4.脳梗塞と舌苔には直接的な関係はありません。舌苔は口内環境の悪化や胃腸の不調と関係があることが多いです。
5.鼻出血は糖尿病と関連性が低いです。鼻出血は鼻の粘膜の炎症や乾燥、血圧の上昇などが原因となることが多いです。
睡眠に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第24回介護福祉士国家試験)
1.睡眠時間は長ければ長いほど健康的である。
2.レム睡眠は30分ごとに繰り返し出現する。
3.抗ヒスタミン薬は覚醒作用がある。
4.最も深い眠りの段階はノンレム睡眠である。
5.人は松果体に体内時計がある。
正解4
1.睡眠は、適切な睡眠習慣、適度の睡眠時間、睡眠の質などの要素が重要で、長ければ長いほどよいというわけではありません。
2.レム睡眠とノンレム睡眠が90~110分周期で繰り返すとされています。
3.抗ヒスタミン薬(花粉症の治療などにも使われる)
・目のかゆみ、充血、目やになど症状がある場合に効果的
・即効性があるが効果の持続性に乏しい
・副作用が抗アレルギー薬に比べて多い(眠気、充血など)
5.松果体はメラトニンを分泌する器官です。体内時計の機能を担っているのは、視床下部にある視交叉上核です。
高齢者の睡眠の特徴として、適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.夜間の睡眠時間が長くなる。
2.ノンレム睡眠の時間が増える。
3.中途覚醒が多くなる。
4.眠りが深くなる。
5.早朝覚醒が少なくなる。
正解3
1.一般的に加齢に伴う睡眠の質の低下などにより、夜間の睡眠時間は短くなりやすいです。
2.参考テキスト⇒レム睡眠とノンレム睡眠
一般的に加齢に伴う睡眠の質の低下などにより、眠りが浅くなり、ノンレム睡眠の時間が減少しやすいです。
3&5.高齢者の場合、中途覚醒や早朝覚醒などの睡眠障害を伴いやすいです。
4.眠りは浅くなります。
睡眠に関する次の記述のうち、正しいものを1 つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.ヒトは下垂体に体内時計がある。
2.抗ヒスタミン薬は覚醒作用がある。
3.睡眠は深さよりも長さが重要となる。
4.レム睡眠は30 分ごとに繰り返し出現する。
5.最も深い眠りの段階はノンレム睡眠である。
正解5
1.体内時計は、脳の視床下部の視交叉上核に存在します。
2.抗ヒスタミン薬には、眠気、判断力や集中力の低下などの副作用があります。
3.睡眠は長さだけでなく、深さや質も重要です。
4.90~110分周期でレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返します。
5.ノンレム睡眠は大脳を休ませ回復させる眠りで、深くなります。
睡眠障害に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.入眠障害とは、眠りが浅く途中何度も目が覚めることである。
2.レストレスレッグス症候群は、早朝覚醒の原因となる。
3.睡眠が不足すると、副交感神経が活発になる。
4.肥満は、睡眠時無呼吸症候群の原因となる。
5.周期性四肢運動障害は、睡眠中に大声の寝言や激しい動作を伴う。
正解4
参考テキスト⇒睡眠不足の影響と睡眠に関する障害
1.眠りが浅く途中で何度も目が覚めるのは、中途覚醒です。
2.レストレスレッグス症候群は、入眠障害や中途覚醒の原因となります。
3.睡眠不足は、交感神経の活動を活発にし、副交感神経の働きを低下させます
5.周期性四肢運動障害は、睡眠中に手足の筋肉に不随意運動が生じることなどの症状がみられますが、睡眠中に大声の寝言や激しい動作はみられません。
睡眠に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.加齢に伴って睡眠時間は短くなる。
2.睡眠障害の多くは遺伝性である。
3.過眠は睡眠時間が長くなることをいう。
4.睡眠中は体温が上昇する。
5.睡眠周期は約60分である。
正解1
2.睡眠障害は後天的な障害です。
3.過眠症は、十分に眠っていいるにもかかわらず、日中に強い眠気が生じて、起きているのが困難になる状態が1か月以上続くことです。
4.睡眠中の体温は下がります。
5.ノンレム睡眠からレム睡眠への移行である睡眠周期は、90~110分です。
睡眠に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.高齢者の中途覚醒は、水分の摂りすぎが原因である。
2.レストレスレッグス症候群(restlesslegssyndrome)は、下肢を動かすと症状が軽快する。
3.仰臥位で眠ると、いびきが改善する。
4.睡眠時間の確保には、寝だめが有効である。
5.熟睡するには、就寝前の飲酒が有効である。
正解2
1.水分の摂り過ぎで、排尿のために目を覚ますこともありますが、中途覚醒にはさまざまな要因があり、選択肢2の方がベターです。
3.重力の方向を考えると、仰臥位の時が、舌の落ち込みなどにより、気道が圧迫されやすく、いびきが出やすいです。いびきの改善には、側臥位にしたり、枕の高さを調整するなどが必要です。
出典 nastent
4.必要な睡眠の量は、その時点までの疲労回復に必要な睡眠の量であるため、それ以上眠ろうとしても目が覚めてしまいます。寝だめは体内リズムを狂わせるだけで、効果はありません。
5.飲酒によって寝つきがよくなることもありますが、アルコールが体内で分解されるときに覚醒作用がおこり、睡眠は浅くなります。また、アルコールには利尿作用もあるため、排泄のために目を覚まし、その後寝付けなくなることもあります。
Mさん(85歳、女性)は、認知症(dementia) と診断されている。数日前に介護老人保健施設に入所した。毎日、タ方から夜間にかけて怒りっぽくなり、担当の職員に大声をあげている。物忘れや徘徊もみられる。
Mさんの現在の状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.過眠症(hypersomnia)
2.レム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder)
3.パニック障害(panic disorder)
4.幻覚
5.タ暮れ症候群
正解5
1.過眠症は、夜眠っているにもかかわらず、日中に強い眠気が生じ、起きているのが困難になる状態です。
2.レム睡眠行動障害は、レビー小体型認知症の方にみられる症状のひとつです。レム睡眠時に大声を出す、暴れるなど、寝ぼけているとはいえない程度の異常な行動がみられることがあります。
レム睡眠の特徴の一つは、脱力状態になることです。夢見に関わる脳の神経活動は高まっていますが、手足は脱力状態で、通常は思うように動かせません。しかし、レム睡眠時にこの脱力状態にならずに、夢の通りに行動してしまう病気がレム睡眠行動障害です。
3.パニック障害は動悸、発汗、頻脈、ふるえ、息苦しさなどが突然襲い、このままでは死ぬかもしれないという不安や恐怖感が生まれる症状です。
4.設問から幻覚の症状はみられません。
5.タ暮れ症候群は、タ方頃になると落ち着かずそわそわしたり、少しのことに声を荒げたり、徘徊、攻撃、興奮などの行動がみられることです。
終末期において、死亡直前にみられる身体の変化として、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.筋肉の硬直
2.皮膚の死斑
3.尿量の減少
4.関節の硬直
5.角膜の混濁
正解3
選択肢1、2、4、5は死亡後に起こる変化です。
臨終期の身体の様子に関する記述として、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.手足は温かい。
2.浮腫の出現は少ない。
3.喉からゴロゴロする音が聞かれる。
4.尿量は増加する。
5.呼吸のリズムは規則的である。
正解3
1.臨終期は心臓のはたらきが弱まるので、全身に血液を送る力が弱くなり、手足は冷たくなります。
2.臨終期は全身の循環機能が低下するなど、浮腫が生じやすくなります。
3.臨終期には自分で咳をしてたまった分泌物を出すことができないため、呼吸のたびに喉からゴロゴ口というような音が聞かれます。
4.尿量は減少します。
5.終末期の呼吸の変化では、呼吸の間隔が不規則で深さも乱れてきます。呼吸が浅くなると、脳も低酸素状態になり、体内モルヒネが分泌されるため苦痛が和らいできます。
Hさん(75歳)は、妻と二人暮らしであったが、最近、妻が亡くなった。その後、Hさんは親戚や知人とも会わずに、自室にこもっていることが多くなった。また、夜間は妻が使っていたタンスの前に座ったり、台所で妻の好きだった食器を出したりして家の中をうろうろしている。
妻との死別後のHさんの夜間の行動を説明する悲嘆反応として、適切なものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)
1.探索行動
2.否認
3.敵意
4.無関心
5.恐怖
Fさん(72歳、男性)は数か月前から食欲不振があり、体重も減少した。市内の総合病院を受診したところ、末期の胃がんと診断され、緩和医療を受けることを勧められた。
1~5のFさんの心情に当てはまるキューブラー・ロスの提唱した心理過程の表現をそれぞれ答えよ。また3段階目に当てはまるのはどの選択肢か(第27回介護福祉士国家試験改)
1.「病気を治すためなら、財産を全部使ってもいい」
2.「なぜ私だけが病気になって、死ななければならないのか」
3.「診断は何かの間違いで、とても信じられない」
4.「死は誰にでも訪れる自然なことだから、受け入れよう」
5.「末期がんなら、何をしてもどうせ無駄だ」
正解1
参考テキスト⇒キューブラー・ロスの5段階理論
キューブラー・ロスの5段階理論
否認ー怒りー取引ー抑うつー受容
1.取引 2.怒り 3.否認(拒否) 4.受容 5.抑うつ
三段階目は取引なので、選択肢1が正解です。
Hさん(92歳、女性)は、老衰が進行して寝たきり状態にある。ここ1か月間経口摂取はごく少量で著しくやせて、肺炎も併発している。かかりつけの医師から家族に対して予後は一週間以内だろうという説明があり、このまま自宅で看取る方針が家族との間で合意された。
介護福祉職がサービスを提供しているとき、Hさんが急変した場合に第一に相談すべき連絡先として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.かかりつけ医
2.警察
3.消防署
4.介護支援専門員
5.サービス提供責任者
正解1
1.在宅で終末期における看取りはかかりつけ医の役割が大きいです。急変した場合に第一に相談すべきはかかりつけ医です。
2.かかりつけ医の診断のもと終末期を迎えており、事件性はありません。
3.自宅で看取る方針が家族間で合意されているため、救急車の要請は適当ではありません。
4&5.連絡は必要ですが、第一に相談すべきはかかりつけ医です。
終末期に関する用語の説明として、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.尊厳死とは、薬物などを用いて意図的に死期を早めて死に至ることである。
2.積極的安楽死とは、自然な状態で死に至ることである。
3.脳死とは、自発呼吸は保たれているが意識がなく昏睡状態にあることである。
4.グリーフケア(grief care)とは、判断能力が失われたときに本人に代わって決定を行う代理人を指定することである。
5.事前指示書とは、意思疎通が困難になったときのために、希望する医療ケアを記載した書類のことである。
正解5
1.尊厳死とは、人間が人間の尊厳を保って自然な状態で死に至ることです。
2.積極的安楽死とは、苦痛から解放することを目的に薬物などを用いて意図的に死期を早めて死に至ることです。
3.脳死とは、意識だけでなく、呼吸・循環機能の調節など、脳幹を含む脳全体の機能が失われた状態のことです。
4.グリーフケアとは、身近な人との死別を経験し、悲嘆に暮れる人を傍で支援することで、悲しみから立ち直れるようにすることです。
終末期に自分が望むケアをあらかじめ書面に示しておくことを表す用語として、正しいものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.ターミナルケア
2.インフォームドコンセント
3.リビングウィル
4.デスカンファレンス
5.グリーフケア
正解3
1.終末期のケアのことです。
2.説明を受け、納得したうえでの同意を意味します。
4.死後のカンファレンスです。看取り後に、振り返りを行うことによって、ケアを見直し、次につなげる意義があります。
5.身近な人と死別して悲嘆に暮れる人が、その悲しみから立ち直れるようそばにいて支援することです。
死亡直前にみられる身体の変化として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.関節の強直
2.角膜の混濁
3.皮膚の死斑
4.下顎呼吸の出現
5.筋肉の硬直
心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.原因となった体験が繰り返し思い起こされる。
2.1か月以内で症状は治まった。
3.小さな出来事が原因となる。
4.被害妄想を生じる。
5.気分が高ぶる。
正解1
1~3.PTSDは死の危険に直面するような大きな精神的外傷が原因となり、そのことが何度も思い出されて、当時に戻ったように感じ続ける病気です。症状が1か月以上続くのが特徴で、その体験の記憶が自分の意志とは無関係に思い出され、その時と同じ感情、身体の感覚を感じたり、実際に当時の光景が見えたり、加害者がすぐ近くにいるように感じます。
4.被害妄想は生じません。
5.原因となった体験が繰り返し思い起こされたり、睡眠障害などの症状が現れ、気分は落ち込みます。
健康な人の体温に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.高齢者の体温は小児より高い。
2.早朝の体温が最も高い。
3.腋窩温は口腔温より高い。
4.体温調節中枢は視床下部にある。
5.環境の影響を受けない。
正解4
1.基礎代謝の影響により、高齢者の体温は小児より低いです。
2.早朝の体温が最も低いです。
3.体温は、腋窩よりも口腔のほうが高いです。
4.これは正しいです。
視床下部は、自律神経や内分泌の中枢として機能していて、全身からの感覚情報、自律神経の情報、ホメオスタシスの情報などが集中し、生体のすべての細胞が最適な環境に置かれるように、自律神経やホルモンを介してコントロールしています。体温調節中枢の他には、食欲をコントロールする摂食中枢、満腹中枢やのどの渇きをコントロールする口渇中枢などがあります。
5.体温は外気温などの環境の影響を受けます。
義歯を使用したときの影響として、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.唾液分泌量が増加する。
2.話す言葉が明瞭になる。
3.舌の動きが悪くなる。
4.口のまわりのしわが増える。
5.味覚が低下する。
正解2
1.唾液分泌量に変化はありません。
2.義歯をつけずにしゃべるとふがふがしてますが、義歯を付ければ話す言葉は明瞭になります。
3.舌の動きが悪くなることはありません。
4.義歯を外している時の方が、歯がないことで口の周りのしわが増えます。義歯を使用していると、それらのしわが目立たなくなります。
5.味覚に変化はありません。
1週間の安静臥床で筋力は何%程度低下するか、次のうちから最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.1%
2.5%
3.15%
4.30%
5.50%
正解3
1週間の安静臥床を続けると、筋力は1週間で10〜15%程度低下するといわれています。
この問題は間違っても問題ありません。本番でこの手の知らないとどうしょうもない問題がでたら、適当につけて次の問題へいきましょう。
栄養素の働きに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.たんぱく質は、最大のエネルギー源となる。
2.ビタミンDは、糖質をエネルギーに変える。
3.カリウムは、骨の形成に関わる。
4.ビタミンB1は、カルシウムの吸収に関わる。
5.ナトリウムは、血圧の調節に関わる。
正解5
1.最大のエネルギー源となるのは脂質です。
2.糖質をエネルギーにかえるのは主にビタミンB1です。
3.骨の形成に関わる主な栄養素は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKです。
4.腸管からのカルシウムの吸収を促進するのは、ビタミンDです。
5.これは正しいです。
Fさん(80歳、女性)は、普段の食事は自立している。日常生活では眼鏡がないと不自由である。ある日、いつもより食事に時間がかかっていた。介護福祉職が確認したところ、Fさんは、「眼鏡が壊れて使えなくなってしまった」と答えた。食事をとるプロセスで、Fさんが最も影響を受ける段階として、正しいものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.先行期
2.準備期
3.口腔期
4.咽頭期
5.食道期
正解1
準備期以降、食物は口に入っているので、眼鏡が壊れて影響があるのは、視覚や嗅覚などで食物を認知し、食べる準備を整える先行期だけです。
入浴(中温浴、38~41℃)の効果に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.脳が興奮する。
2.筋肉が収縮する。
3.血圧が上昇する。
4.腎臓の働きを促進する。
5.腸の働きを抑制する。
正解4
1.これは高温浴の場合で、中温浴では脳はリラックスします。
2.これは高温浴の場合で、中温浴では、筋肉は弛緩します。
3.これは高温浴の場合で、中温浴では低下します。
4.これが中温浴の場合で、高温浴では抑制されます。
5.これは高温浴の場合で、中温浴の場合は促進されます。
Gさん(83歳、女性)は、認知機能は正常で、日常生活は杖歩行で自立し外出もしていた。最近、外出が減ったため理由を尋ねたところ、咳やくしゃみで尿が漏れることが多いため外出を控えていると言った。Gさんの尿失禁として、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.機能性尿失禁
2.腹圧性尿失禁
3.溢流性尿失禁
4.反射性尿失禁
5.切迫性尿失禁
正解2
1.機能性尿失禁は、認知症やADLの低下による、認知機能や運動機能の低下が原因で排泄行為が困難となるもので、尿経路に器質的な障害が認められないにもかかわらず、身体障害などの要因によって、トイレに間に合わないために起こる尿失禁です。
2.腹圧性尿失禁は、出産・加齢などの影響で、骨盤底筋という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩み、重い荷物を持ち上げた時、走ったりジャンプをした時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に起こる失禁です。女性の尿失禁の中で最も多いです。
3.溢流性尿失禁は、自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまう失禁です。この溢流性尿失禁では、尿が出にくくなる排尿障害が必ず前提にあります。
排尿障害を起こす代表的な疾患に、前立腺肥大症があります。前立腺肥大症は、前立腺が歳をとるにつれてだんだんと大きくなり、尿道を圧迫して尿が出にくくなる病気です。溢流性尿失禁は男性に多くみられます。
4.反射性尿失禁は、脊髄損傷による下半身マヒ、意識障害などにより、意識に関係なく尿が漏れてしまう尿失禁です。
5.切迫性尿失禁は、脳・脊髄の損傷、前立腺肥大症や膀胱炎などの疾患、膀胱の活動が過敏になり、十分に尿量がたまらないうちに尿意切迫感をもよおす過活動膀胱などによって、自分の意思に関係なく膀胱が収縮してしまうことなどが原因で、急に強い尿意を感じて我慢できずに漏れる失禁です。
次のうち、便秘の原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease)
2.経管栄養
3.消化管切除
4.感染症腸炎(infectious enteritis)
5.長期臥床
正解5
選択肢の中で便秘の原因となるのは、選択肢5の長期臥床だけです。
運動不足による腸管の緊張低下や筋力低下で、大腸の蠕動運動が低下することにより、便が長時間排出できず、水分が吸収されて硬くなります。これを弛緩性便秘といいます。
選択肢1、4などの疾患では、下痢になります。
選択肢2の経管栄養は、栄養の温度や注入速度によって下痢を引き起こす可能性があります。
選択肢3の消化管切除で下痢になるのは胃や大腸の手術をすることで食べ物を消化したり吸収したりするはたらきが低下してしまうためです。
高齢者の睡眠の特徴に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.熟睡感が増加する。
2.深睡眠が増加する。
3.夜間の睡眠時間が増加する。
4.睡眠周期が不規則になる。
5.入眠までの時間が短縮する。
正解4
1&2.高齢者の睡眠は、眠りが浅く、熟睡感が少ないです。
3.高齢者は睡眠のために寝床に入っている時間は若年層より長くなっていますが、途中覚醒が多く、眠りが浅いため、実際に睡眠をとっている時間は若年者に比べて短いです。
4.これは正しいです。寝床に入ってもなかなか入眠できず、トイレなど、途中で覚醒する回数も多いため、睡眠周期が不規則になります。
5.短縮ではなく、長くなります。
睡眠に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.レム睡眠のときに夢をみる。
2.レム睡眠から入眠は始まる。
3.ノンレム睡眠では筋緊張が消失する。
4.ノンレム睡眠では速い眼球運動がみられる。
5.高齢者ではレム睡眠の時間が増加する。
正解1
1.これは正しいです。
レム睡眠では、筋肉が弛緩し、からだはぐったりしているのに、脳は覚醒に近い状態で夢を見ていることが多いです。眼球が上下左右に動くため「Rapid Eye Movement:急速眼球運動」の頭文字をとりREM睡眠と呼ばれています。
2.眠りは、まずノンレム睡眠から始まり、一気に深い眠りに入ります。その後、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を90~110分周期で繰り返すとされています。
3.ノンレム睡眠は、ある程度の筋緊張を保ちながら、大脳を休ませ回復させる眠りです。
4.急速眼球運動がみられるのはレム睡眠です。
5.高齢者の場合、全体的な睡眠時間が短くなって、ノンレム睡眠もレム睡眠も減少するのが一般的です。そして特に深い睡眠であるノンレム睡眠が減少する傾向があります。
死斑が出現し始める時間として、正しいものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1.死後5分以内
2.死後20~30分
3.死後3時間
4.死後8~12時間
5.死後48時間
正解2
死斑は、死後20〜30分くらいから出現し始め、9〜12時間で全身に及びます。
老化に伴う視覚機能の変化に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1 水晶体が茶色になる。
2 遠くのものが見えやすくなる。
3 明暗に順応する時間が長くなる。
4 ピントの調節が速くなる。
5 涙の量が増える。
正解3
加齢に伴って網膜の光感受性が低下し、明るい場所から暗い場所に移動する際や逆の場合、目が慣れるまでの時間が長くなります。
1.多くの高齢者は加齢によって、白内障の症状が現れます。なので水晶体は白濁する場合が多いです。
2.老化によって遠くのものが見えにくくなることが一般的です。加齢によって水晶体の柔軟性が低下し、ピント調節が困難になるためです。
老眼で遠くが見えやすくなるのでは??
と思った人もいるかもしれませんが、老眼は、加齢によって水晶体の柔軟性が低下し、近くのものが見えにくくなる現象を指します。しかし、老眼が進行すると、遠くのものは比較的見やすく感じることがあります。これは、水晶体の硬直化により、遠くのものにピントが合わせやすくなるためです。
ただし、選択肢2の文言「遠くのものが見えやすくなる」は、全体的な視力の向上を示唆しているため、その点で誤りとなります。老眼はあくまで近くのものが見えにくくなる現象であり、全体的な視力が向上するわけではありません。
4.老化によって水晶体の柔軟性が低下し、ピント調節が遅くなることが一般的です。
5.老化によって涙腺の機能が低下し、涙の分泌が減少することが一般的です。なので高齢者はドライアイになりやすい傾向があります。
骨に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.骨にはたんぱく質が含まれている。
2.骨のカルシウムは老化に伴い増える。
3.骨は負荷がかかるほうが弱くなる。
4.骨は骨芽細胞によって壊される。
5.骨のカルシウムはビタミンAによって吸収が促進される。
正解1
骨は主にカルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラル、コラーゲンなどのタンパク質で構成されています。
2.加齢によって骨密度が低下し、骨からカルシウムが溶け出すため骨のカルシウム量は減少する傾向があります。
3.適度な負荷がかかると、骨は逆に強くなります。適度な運動や筋力トレーニングは骨密度を向上させ、骨を強化する効果があります。
4.骨芽細胞は、むしろ骨を形成する細胞です。骨を壊す役割を持つのは、骨を吸収する細胞である破骨細胞です。
骨芽細胞はコラーゲン線維に沿ってカルシウムやリン酸などのミネラル質を沈着させ、骨を固めていきます。
また、骨芽細胞は骨の再生にも関与しています。骨折などによって骨が損傷した場合、骨芽細胞は骨形成を促進するために増殖し、損傷部位に新しい骨を形成します。
そのため、骨芽細胞は、骨の強度や形成・再生に欠かせない細胞のひとつであり、骨粗鬆症の予防や骨折の治療にも関連しています。
破骨細胞は、骨吸収細胞とも呼ばれ、骨を分解することでカルシウムやリン酸を放出し、血液中に取り込ませることができます。破骨細胞は、骨芽細胞とともに骨の生理的な再生とリモデリング(形態変化)に関与しています。
5.カルシウムの吸収を促進するのはビタミンDです。ビタミンDは、腸でのカルシウムの吸収を助け、骨へのカルシウムの取り込みを促進します。
介護者が効率的かつ安全に介護を行うためのボディメカニクスの原則に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.支持基底面を広くする。
2.利用者の重心を遠ざける。
3.腰がねじれた姿勢をとる。
4.重心を高くする。
5.移動時の摩擦面を大きくする。
正解1
支持基底面は、立っているときには、両足で囲まれた面です。杖をついている人は、杖と両足を囲んだ面となります。
支持基底面を広くすることで、安定性が向上し、バランスを保ちやすくなります。これにより、介護者は効率的かつ安全に介護を行うことができます。
2.ボディメカニクスでは、利用者の重心を自分の重心に近づけることが推奨されます。これにより、体力を無駄に使わずに介護が行えるため、疲労の軽減やケガのリスクを低減できます。
3.腰がねじれた姿勢は避けるべきです。腰をねじると、腰痛やケガのリスクが高まるため、介護者の健康に悪影響を与える可能性があります。
4.ボディメカニクスでは、重心を低く保つことが推奨されます。重心が低いと、安定性が向上し、バランスを保ちやすくなります。重心が高く、中腰になったまま移乗介助などを行うと、ぎっくり腰など介護者の腰を痛めるリスクが高くなります。
5.ボディメカニクスの原則では、移動時には利用者の体を小さくまとめて、摩擦による抵抗を少なくし、移動させやすいようにします。
次のうち、三大栄養素に該当する成分として、正しいものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.水分
2.炭水化物
3.ビタミン
4.ナトリウム
5.カルシウム
正解2
人間に必要不可欠な栄養素には、
・糖質(炭水化物)
・タンパク質(アミノ酸)
・脂質
・無機質(ミネラル)
・ビタミン
の5つがあり、これを五大栄養素といいます。
五大栄養素のうち、エネルギー源となる
・糖質(炭水化物)
・たんぱく質(アミノ酸)
・脂質
を三大栄養素といいます。
ナトリウムやカルシウムは無機質(ミネラル)です。
コントロール不良の糖尿病で高血糖時にみられる症状として、適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.振戦
2.発汗
3.口渇
4.乏尿
5.動悸
正解3
糖尿病で高血糖時にみられる症状として、次のようなものがあります。
- 口渇
- 多飲
- 多尿
糖尿病で多尿が起こる原因は、血糖値の上昇により、腎臓が糖を尿に排出しようとするためです。血糖値が正常範囲を超えると、腎臓の糖の再吸収機能が限界に達し、糖が尿中に排出されます。
この糖尿(とうにょう)と呼ばれる現象は、糖分が尿中に溶け込むことで尿の浸透圧が上昇します。その結果、尿中の糖分が水分を引き寄せ、通常より多くの水分が尿として排出されるようになります。これが、糖尿病患者が多尿になる主な原因です。 - 夜間頻尿
- 倦怠感
- 体重減少
インスリンの不足や作用不全が起こると、血糖値が高くなりますが、細胞内に糖が入りにくくなります。その結果、細胞はエネルギーを十分に得られず、エネルギー源として脂肪や筋肉が分解されることがあります。これが、体重減少の原因となります。ただし、糖尿病の人がすべて体重減少するというわけではありません。 - 化膿を起こしやすく、皮膚感染症がよくみられる
介護の現場で、糖尿病の方の傷には注意してというわれるのは、このためです。
振戦(手足などの震え)、発汗、動悸は低血糖でみられる症状です。
Mさん(85歳、男性)は、通所介護(デイサービス)での入浴を楽しみにしていて、いつも時間をかけて湯につかっている。ある時、介護福祉職が、「そろそろあがりましょうか」と声をかけると、浴槽から急に立ち上がりふらついてしまった。Mさんがふらついた原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.体温の上昇
2.呼吸数の増加
3.心拍数の増加
4.動脈血酸素飽和度の低下
5.血圧の低下
正解5
湯船に長時間浸かっていると、体温が上昇し、血管が拡張します。この血管の拡張により、血圧が低下することがあります。
Mさんが急に立ち上がった際、心臓からの血液が一時的に足りなくなり、脳への血流が低下したため、ふらつきが生じた可能性が高いです。これは「起立性低血圧」と呼ばれる現象で、高齢者には特に注意が必要です。
1.体温が上昇すること自体は、直接的にふらつきを引き起こす原因にはなりません。
2.呼吸数が増加することは、通常、ふらつきを引き起こす原因にはなりません。
3.心拍数が増加することは、通常、ふらつきを引き起こす原因にはなりません。むしろ、心拍数が増加することで、脳への血流が一定に保たれることが多いです。
4.動脈血酸素飽和度(SPO2)が低下することは、酸素不足によりふらつきを引き起こす可能性がありますが、Mさんの場合は、長時間湯船に浸かっていたことから、血圧の低下がより適切な原因と考えられます。
次のうち、ブリストル便性状スケールの普通便に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.水様便
2.硬い便
3.泥状便
4.コロコロ便
5.やや軟らかい便