『介護過程』過去問

『介護過程』の過去

アセスメントに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.今できている活動の分析はしない。

2.これからできそうな活動の予測はしない。

3.利用者が嫌がることは検討しない。

4.多職種からの情報は検討しない。

5.1つの情報だけで検討しない。

正解5

1~4.できている活動・できそうな活動・利用者が嫌がること(入浴拒否等)・多職種からの情報、すべて分析・検討すべきものです。

5.利用者・利用者の家族・他職種等から情報を収集し、多角的、総合的に分析・検討しなければなりません。

Bさん(80歳、女性)はアパートの3階に一人で暮らしている。アパートにはエレベーターはない。5年前、階段で転倒し、右大腿骨頭置換術を行った。現在、歩行には問題がない。社交的であったが、最近、外出の回数が減った。友人が転んで大けがをしたこともあり、「転びそうで怖い」と言っている。Bさんへの生活支援の課題として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.アパートにエレベーターがないこと。
2.転倒の不安があること
3.一人暮らしであること
4.手術の既往があること
5.外出の機会が減っている

正解2

1.現時点で歩行に問題がないので優先すべき課題ではありません。

2.本文の通り、「転びそうで怖い」という不安感を抱えており、この不安感から外出の機会が減っていると考えらます。したがって転倒の不安があることが最も優先すべき生活課題です。

3.一人暮らしに不安を感じるとは本文中からは読めません。

4.右大腿骨骨折の既往歴がありますが、現時点で歩行に問題はありません。

5.外出機会が減っていることは、Bさんの生活課題の一つであると判断できますが、その要因と考えられる「転びそうで怖い」という不安感の方が優先すべき生活課題です。

Cさん(83歳、女性)は、アルツハイマー型認知症で、介護老人保健施設に入所している。最近、もの盗られ妄想がひどくなり、「時計がない」「金の時計だから盗まれた」「嫁が盗んだに違いない」と言い、週末に訪れる長男の妻のDさんに対して大声で、「返して」と言っている。Cさんの介護目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.行動・心理症状(BPSD)を改善する。

2.Dさんの汚名を晴らすことができる。

3.Dさんと穏やかに過ごすことができる。

4.説明を受けて理解することができる。

5.興奮時は薬で鎮静を図る。

正解3

1&3.BPSDのもの盗られ妄想により、毎週末に訪れる、Dさんとの人間関係に問題が生じており、その点が改善できる介護目標を設定する必要があります。BPSDを少しでも改善できるような支援は大切ですが、もの盗られ妄想等のBPSDを根本的に無くすことは難しいです。この場合、Dさんとの人間関係の問題を改善することが最優先なので、Dさんではない別の架空の犯人を作ったり、修理に出している等の話での対応を考え、「CさんとDさんが穏やかに過ごせる」という目標を設定することが適切です。

2.Cさんの介護目標なので、「Dさんの汚名を晴らす」ことを目標にするのは適当ではありません。

4.認知症があり、もの盗られ妄想がつよくなっている状況から、論理的に説明しても受け入れられない可能性が高いです。

5.薬の使用は対応策の1つであって目標にするのは不適切です。

介護計画に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.生活課題を解決するための方法を計画する。

2.効果があればアセスメントをせずに計画する。

3.日常的な支援以外の方法を計画する。

4.介護福祉職の過去の成功体験をそのまま取り入れて計画する。

5.実現不可能でも目標を持って計画する。

正解1

2.定期的にモニタリングやアセスメントを行うことによって、効果の確認計画変更の必要性の有無を検討する必要があるので、効果がある場合であっても、アセスメントは必要です。

3.利用者の自立支援を図るために、日常的な支援の内容を盛り込むことは基本です。

4.利用者が10人いれば10通りの生活があり、全く同じ方法でうまくいく場合は少ないです。

5.実現不可能では意味がありません。

訪問介護員が介護計画に基づいて、いつものようにEさん(80歳、男性)に「一緒に洗濯ものを干しましょう」と声をかけた。するとEさんが「どうしてそんなことをやらないといけないんだ」と大声をあげた。このようなことが何回も続いた。この場面の訪問介護員のアセスメントとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.認知症の診断を急いでもらう必要がある。

2.声が外に漏れないように工夫する必要がある。

3.大声をあげる背景を確認する必要がある。

4.決められたことなのでやってもらう必要がある。

5.家族から励ましてもらう必要がある。

正解3

1.「どうしてそんなことをやらないといけないんだ」と大声を上げる行動だけでは、認知症の疑いがあるとは判断しがたいです。

2&3.この場合のアセスメントでは、「Eさんがなぜ支援を拒否するような言動が続いているのか」という原因を探る必要があります。声が外に漏れないように工夫するだけでは、その原因を探ることにつながりません。

4.介護計画に「訪問介護員と一緒に洗濯ものを干す」という内容が位置づけられていることから、介護計画作成時はEさんもその点に同意していたと判断できます。そのため、同意していた内容に対して、大声で反対するその背景を確認することが大切です。

5.今の状況では何に対して励ますのかを家族に伝えることができません。したがって、Eさんが大声で反対する原因・背景を探ることが重要です。

介護過程の評価の実施に責任を持つものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.利用者
2.家族
3.介護福祉職
4.医療関係者
5.行政機関

正解3

利用者に設定されている目標に関して、できたか、できなかったかを評価するのは、現場の介護福祉職です。

介護過程の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.多職種がそれぞれ異なる最終目標を持つこと

2.1回限りの介護をすること

3.利用者のニーズに応じた根拠のある個別ケアをすること

4.家族が望む利用者の生活を実現すること

5.介護福祉職の業務の効率を優先すること

正解3

1.多職種が目標を共有しておくことが大切です。

2.介護過程はアセスメントー介護計画の立案ー実施ー評価ー再アセスメント…と繰り返されるものです。

4.家族の意見も大切にしなければなりませんが、利用者自身が望む生活の実現ために支援することが重要です。

5.介護過程の目的は利用者のQOLを上げることです。

介護福祉職の情報収集に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.情報は、多角的・継続的に収集する。

2.収集した情報は、取捨選択せずに記録する。

3.主観的情報は、計測器を用いて収集する。

4.利用者が発した言葉は、介護福祉職の主観を加えて記録する。

5.プライバシーに関する情報は、集団面接で収集する。

正解1

2&4.収集した情報をすべて記録するのではなく、何の目的で、どのような情報が必要なのかを明らかにしたうえで、意図的に記録する必要があります。その際に介護福祉職の価値観や先入観が入らないように注意する必要があります。

3.計測器で得られる情報(血圧など)は数値化できる客観的情報です。

5.プライバシーに関するものは個別面接で収集します。

「関連する情報の分析・統合を通じて、利用者の課題、ニーズ、強みを明らかにすること」を表す用語として、適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.チームアプローチ
2.アセスメント
3.モニタリング
4.アウトリーチ
5.インテーク

正解2

4.支援が必要な人に支援者が自ら赴き、支援することです。

5.相談に来た人への最初の面接のことです。

Eさんは、アルツハイマー型認知症で認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。今までできていた食後の歯磨きができなくなってきている。口臭が強くなってきたので、他の利用者が会話を避けている。孫からも「おばあちゃんのお口臭い」と言われ、寂しそうな表情をしているのを介護福祉職が見ている。優先的に解決すべきEさんの生活課題として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.他者と積極的に会話ができるようになること。

2.寂しさを取り除くために介護福祉職が励ますこと。

3.気を遣わずに孫と話ができるようになること。

4.口の中を清潔に保てるようになること。

5.一人で歯磨きができるようになること。

正解4

1~4.利用者の生活課題は複数あるため、優先順位つけて解決します。1、3の内容は将来的な目標になりますが、そのためにもまずは口臭の改善という生活課題の解決が優先されます。

5.”今までできていた食後の歯磨きができなくなってきている”とあり、かつ認知症の進行も予測されるので、今後一人で歯磨きができるようになることは難しいと考えられます。

客観的情報の記録として、適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)

1.タンスの中に食べこぼしのついた上着が入っていた。

2.妻とけんかしたことを後悔しているのではないか。

3.ご飯がのどを通らないのは、愛犬がいなくなったからだと思う。

4.いつも冷静なのに突然怒ったのでびっくりした。

5.一人でいる時間が長いので、こまめに声かけをすることにした。

正解1

1.結果としての事実のみが書かれており、客観的情報です。

2~5は主観的情報です。”後悔’ ”思う” ”いつも冷静なのに” ”突然怒った” 等

5.こまめに声かけをすることにした、と考えたのは自分自身であり、主観的情報です。

次の事例を読んで、A、Bの問に答えよ。(第28回介護福祉士国家試験)

【事例】
Fさん(70歳、男性、要介護1)は、認知症を患う母と二人暮らしである。左片麻痺があり、杖があれば一人で歩行できる。現在は、小規模多機能型居宅介護を利用して在宅生活を送っている。昔から買い物が好きで、今でも天気のよい日には、一人で杖をついて買い物に出かけていく。
Fさんの小規模多機能型居宅介護における介護計画の長期目標は「安全に買い物に出かける」、短期目標は「転倒しない」で、支援内容には、「事業所内で手すりを使って起立訓練と歩行訓練を行う」と設定されて、順調に実施されている。
最近、近所の人から、Fさんがスーパーに向かう途中にある階段が上がり切れず、よろけたり、困っている姿を見かけたという情報がたびたび聞かれるようになった。この件をG介護福祉職がFさんに確認すると、Fさんは「足元が少し不安なところがありますが、大丈夫です。いつもありがとうございます」と言い、目に涙を浮かべた。

【A】
Fさんの介護計画の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.近所の人からの情報は、評価には不要である。

2.「安全に買い物にでかける」という目標は達成した。

3.手すりを使った起立訓練と歩行訓練を見直す必要がある。

4.事務所内での訓練は順調なので、このまま継続する。

5.Fさんの発言から満足していると評価した。

正解3

1.介護福祉職や医師、管理栄養士等のフォーマルサービスに加えて、地域住民からの情報などインフォーマルサービス(インフォーマルサポートも大切です。

フォーマルサービス(社会的サービス)は、
公的・民間・NPOによるサービスです。介護保険法、老人福祉法、障害者総合支援法等に基づき、サービス事業者の指定を受けて介護サービスを提供します。

インフォーマルサービス(私的サービス)は、
家族・親族、ボランティア等による介護などのサービスです。
インフォーマルケアとかインフォーマルサポートも同じ意味です。

2.階段を上がり切れず、よろけたり、困っている姿を見かけた、という情報が寄せられているため、安全に買い物にでかけるという目標が達成されたとは言えません。

3&4.事業所内で安全に歩行ができているからといって必ずしも外出時に安全に歩行ができているとはいえません。「安全に買い物にでかける」「転倒しない」という目標を達せいするためにも、Fさんの自宅からどのようなルートで買い物に行くのか、そのルートの形状はどうなっているのか、途中にある階段の段数、高さなどの情報とFさんの身体の状況も考慮に入れ、訓練の内容を見直す必要があります。

5.不安があり、涙を浮かべたということを考えれば、Fさんが満足しているとは考えられません。

【B】Fさんの状況を受けて、関係職員が集まり、カンファレンスを開催することになった。このカンファレンスに参加したG介護福祉職の発言に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.Fさんの日頃の移動の様子について、具体的に説明した。

2.Fさんが感情的になるので、気持ちは聞かないようにしていると説明した。

3.介護保険を使って通所リハビリテーションを併用することを提案した。

4.スーパーに向かうときの様子は多くの情報があるので、Fさんにはそれ以上尋ねる必要がないと説明した。

5.母親の支援について、話し合うことを提案した。

正解1

1.まずFさんの日頃の様子を具体的に伝え、関係職員と情報を共有することが重要です。

2.Fさんの気持ちが重要です。

3.Fさんが通所リハビリテーションを望んでいるかどうかわかりません。

4.階段の何段目くらいから上がり切れなくなったのか等Fさんが感じた情報も重要です。

5.Fさんの状況を受けてのカンファレンスです。

介護過程におけるアセスメント(assessment)の目的として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.より多くの情報の収集
2.介護福祉職の技能の向上
3.生活課題の明確化
4.ICFの視点による情報の分類
5.1つの場面に焦点を当てた観察

正解3

1.より多くの情報を持つことで利用者像をつかみやすくなりますが、得た情報を取捨選択し、課題(問題)解決のために情報を整理することが重要です。

2.介護過程の展開を実践していくことで介護福祉職の技能の向上につながることはありますが、介護過程の意義・目的は、利用者の生活の質の向上です。

3.情報収集、情報の整理・分類、情報の分析によって、課題の明確化ができます。

4.ICFの視点で情報収集、情報を分類することによって、課題が明確になりやすいですが、情報を分類すること自体がアセスメントの目的ではありません。

5.多角的視点による観察が基本です。1場面の情報のみを観察しただけではアセスメントとして不十分です。

介護計画の目標設定に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.アセスメントと切り離して考える。

2.利用者と話し合いながらつくる。

3.ケアプランとの整合性は確認しなくてよい。

4.家族が望む生活を長期目標にする。

5.目標を記述するときの主語は介護福祉職にする。

正解2

1.アセスメントをして課題が明確になってから計画立案に移ります。したがって、切り離して考えることは適切ではありません。

2.介護計画は、利用者の意見を尊重しながら利用者と一緒に作っていくことが望ましいです。

3.介護計画(個別援助計画)介護サービス計画(ケアプラン)に反する内容のものは書けません。
参考テキスト⇒ケアプランと介護計画の違い

4.介護の対象者は利用者です。したがって、長期目標も利用者本人が望む生活ができるように目標を設定しなければなりません。

5.介護過程の展開は利用者主体が基本です。したがって、主語は利用者になります。

Cさんはアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)で、介護老人福祉施設に入所している。仲の良かったDさんが、1週間前に経済的な理由で別の階の多床室に移動した。Cさんは、寂しそうな表情で廊下を歩き回り、Dさんを探しながら、他の利用者の部屋に入っていく。Dさんも「Cさんに会いたい」と介護福祉職に話している。

Cさんの生活課題として、最も優先すべきものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.Dさんの居室移動を理解すること

2.廊下を自由に歩き回れるようになること

3.新しい友人をつくること

4.自分の部屋で落ち着いて過ごせること

5.Dさんとの交友関係を保てること

正解5

1.アルツハイマー型認知症は、判断力の低下により物事を理解することが困難になりやすいことから、Dさんの居室移動を理解できない可能性が高いです。

2.歩き回っている目的は、Dさんを探しているという理由もあっての行動です。よって生活課題として最も優先すべきものが廊下を自由に歩き回れるようになることではありません。

3.フロアが変わったことによる生活課題の一つとしてあげられますが、Cさんの現時点の様子から新しい友人を作ることが優先すべき事項であるとは考えにくいです。

4.自室で落ち着いて過ごすことも大切な生活課題ですが、今回の事例は、仲の良かったDさんを探し他の利用者の部屋に入ってしまうことが課題であるため、課題を解決するための優先事項とはなりません。

介護過程における主観的情報に該当するものとして、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験改)

1.疾病に関する主治医の意見
2.家族から聞いた利用者の生活歴
3.利用者の既往歴
4.利用者の発言
5.認知機能検査の得点

正解4

1.主治医の意見は主観的情報ではなく客観的情報です。

2.家族からの情報(~と思うとかではなく、事実)は主観的情報ではなく、客観的情報です。

3.客観的情報です。

4.利用者によって表現されたありのままの言動が、主観的な情報となります。例えば、妄想による「毒を盛られた」などの発言です。

5.結果が数字で表現されるため、客観的情報となります。

介護実践のプロセスをSOAP方式で記録する場合、Pに該当するものとして、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.利用者の生活全般のニーズ
2.介護福祉職が判断したこと
3.実施に対する利用者の反応
4.介護福祉職が観察したこと
5.介護福祉職が行う今後の介護計画

正解5

参考テキスト⇒SOAP形式の記録

SOAP(S:主観的情報、O:客観的情報、A:アセスメント、P:計画)

1.ニーズは主観的(利用者の発言など)、客観的情報(よく食べる料理など)で入手できます。したがってSまたはOに該当します。

2.Aに該当します。

3.Sに該当します。

4.Oに該当します。

5.これがP(プラン)に該当します。

介護計画の修正を行うことを利用者に説明した。利用者の同意が得られた後に、介護福祉職間で共通認識をもつために行うこととして、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.インフォームドコンセント(informed consent)
2.スクリーニング(screening)
3.モニタリング(monitoring)
4.カンファレンス(conference)
5.インテーク(intake)

正解4

1.インフォームドコンセントは、利用者にケア内容を説明し、同意を得ることをいいます。

2.スクリーニングは、一般的にある目的をもって選別をするときに使われる用語です。ケアマネジメント過程では、ご本人やご家族からの困りごと、現在の状況や障害の程度などを尋ね、その結果を3種類(1つだけの単純な問題、複数の複雑な問題、緊急対応が必要な問題)に分類する方法をいいます。

3.モニタリングは、計画・実行しながら得られた結果や実行中のその時々の利用者の様子・現状を観察し、満足度を確認したり、計画内容が適切であるか、目標の達成具合はどうか等について評価することをいいます。

4.カンファレンスは会議のことです。専門職同士の協働によって利用者の生活を支えることから、共通認識を持つためにカンファレンスを行い、同じ目標をもって支援を行うことが重要です。

5.インテークは、ケースワークの最初の段階で、初回面接ともいいます。相談を受けながら、何を求めているのか、何が必要か等、専門職の視点からニーズを見極めるために行われる面接ともいえます。

次の事例を読み以下のABの問題に答えよ。(第29回介護福祉士国家試験)

〔事 例〕
Eさん(67 歳、女性、要介護3 )は、1 年前、くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)で倒れて、左片麻痺、体幹機能の低下が残った。排泄訓練を目的として介護老人保健施設に入所した。入所時のEさんは、不自由でも、右手でベッド柵を掴つかんで起き上がることやベッドの端に座ることはできたが、立位保持はできなかった。おむつを着用しているが、「おむつは嫌」と自分の気持ちを訴えていた。医師は着脱と拭く行為には介助が必要だが、車いすから便座に移ることは可能であると判断した。F介護福祉職はアセスメント(assessment)を行い、本人の思いを考慮して介護計画の短期目標を、「車いすから便座に移り、排泄する」と設定して、評価日は1 か月後とした。理学療法士と連携して、トイレで移乗のための立位訓練を始めた。

【A】
ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)に基づいて情報を分類する場合、Eさんの「能力」(できる活動)に該当するものとして、適切なものを1 つ選びなさい。

1.右手でベッド柵を握る動作
2.ベッド上での座位の保持
3.手すりを使っての立位の保持
4.「おむつは嫌」という気持ちの表出
5.車いすから便座への移乗

正解5

普段の生活で「している活動」と、適切な支援・訓練によって「できる活動」は違う点に注意しなければなりません。

1&2.「している活動」です

3.立位保持はできなかったとあるため、できない活動です。

4.本人が訴えているため、している活動(おむつを使わないこと)です。

5.医師の判断もあり、できる活動として捉えられます。

【B】
2 週間が過ぎた頃、思うような成果が出なくて、Eさんは嫌気がさしてきた。複数の介護福祉職からEさんの訓練拒否が報告されるようになった。F介護福祉職がEさんに理由を尋ねると、「あまり人の世話になりたくない。みんなに迷惑がかかるのでおむつのままでいいわ」と言った。Eさんのニーズとして、最も適切なものを1 つ選びなさい。

1.移乗訓練をやめること
2.トイレで排泄ができること
3.左片麻痺をなくすこと
4.おむつに戻すこと
5.早く家に帰ること

正解2

Eさんの現状の課題は、

・思うような成果が出ず、訓練のモチベーション低下
・迷惑をかけたくないために、諦め気味に「おむつでいいわ」発言


といったあたりです。

1.移乗訓練をやめても、どちらの課題も解決できません。

2.トイレで排泄ができれば、訓練の成果も実感でき、おむつを使うこともないので、Eさんの現状の課題が解決できます。医師の「着脱と拭く行為には介助が必要だが、車いすから便座に移ることは可能である」という客観的な情報もあるので、Eさんのニーズとしては、選択肢2が適切です。ただし、思うように成果がでないことを受け止め切れていないので、心理的な面の支援も必要と考えられます。

3.麻痺についての、医学的情報やEさんの気持ちが書かれていないので、この選択肢は選べません。

4.Eさんはおむつを使いたいと思っているわけではないので、不適切です。

5.介護老人保健施設在宅復帰を目指す施設なので「家に帰る」ことはEさんのニーズとしてあると思われますが、身体機能など家で生活するための準備が整っていないので、現状のEさんのニーズとしては選択肢2の方がベターです。

介護過程の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.疾病の診断資料として活用する。
2.職種間の専門性の違いを明確にする。
3.介護福祉職の業務負担を軽減する。
4.利用者の自己実現を支援する。
5.家族の希望や思いを代弁する。

正解4

参考テキスト
介護過程の意義や目的

利用者のアセスメント(assessment) に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.利用者本人の希望に沿った情報を収集する。

2.家族のニーズを優先させながら情報を収集する。

3.介護福祉の知識を活用して情報を解釈する。

4.生活課題を明確にした後で情報を関連づける。

5.利用者の情報を整理した後で要望を聞く。

正解3

参考テキスト
情報収集とアセスメント

1.主観的情報として重要ですが、客観的な情報収集を含め、多角的に利用者理解に努めることが求められます。

2.本人のニーズが最優先です。

4.順序が逆です。情報を収集し、それを解釈、関連付けして課題を明確にします。

5.利用者の要望は主観的情報として最初の情報収集に入れます。

介護計画の立案に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.以前の介護計画は考慮せずに立案する。
2.現実的で実践可能な内容にする。
3.介護福祉職の望む利用者像を目指す。
4.本人や家族の希望と乖離してもよい。
5.安全性よりも効果を優先する。

正解2

1.以前に実施した介護計画の状況や効果も踏まえ、現状ではどのような援助が必要なのか考慮し、介護計画を立案する必要があります。

2.理想的で実践不可能な計画は意味がありません。

3&4.利用者本人の望む生活を実現するために介護計画を立てなければなりません。

5.安全性の方が優先です。

介護記録に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.事実はありのままに記録する。
2.鉛筆で記録する。
3.数日後に記録する。
4.介護福祉職の感情を記録する。
5.他職種との関わりを除外して記録する。

正解1

2.鉛筆では改ざんされる恐れがあり、適切ではありません。

3.記憶があいまいになるため、できるだけその日に記録します。

4.介護福祉職の感情は記録には必要ありません。

5.多職種との関わりは重要な記録です。(訪問リハビリや、受診の記録等)

介護過程の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.介護計画の内容に対する介護福祉職の満足度を評価する。

2.支援の実施状況に関する情報を整理して、評価する。

3.複数ある短期目標は集約して評価する。

4.実施後に評価基準を定めて評価する。

5.家族が多角的な視点から評価する。

正解2

1&2.介護過程の評価とは、利用者に対するサービス提供の効果や実施状況、計画内容の適切性などについて確認することであり、介護福祉職の満足度を評価するものではありません。

3.それぞれの短期目標に対して評価を行う必要があります。

4.評価基準は、介護計画の立案時に定めます。

5.介護サービスを提供した介護福祉職が多角的な視点から評価します。

Eさんは認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。廊下を頻繁に歩き、他の利用者の部屋に入ってはトラブルになりかけている。介護福祉職が声をかけると、「私には行くところがある」 と怒鳴る。
Eさんのアセスメント(assessment) に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.怒鳴られた介護福祉職の気持ちを情報として活用する。

2.「廊下を頻繁に歩かないこと」を生活課題に設定する。

3.他の利用者とトラブルになりかけている情報は不要と判断する。

4.「私には行くところがある」という言葉を解釈する。

5.言動から短気な性格だと考えて分析する。

正解4

1.怒鳴られた介護福祉職の気持ちではなく、「私には行くところがある」と怒鳴ったEさんの気持ちを主観的情報として活用します。

2.生活課題とは、利用者のニーズを実現するために解決しなければならないものです。

3.他の利用者とトラブルになりかけているという客観的情報にも配慮しながらアセスメントを行うことが必要です。

5.この情報だけで短気な性格と分析するのは適切ではありません。

Fさん(75歳、女性)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。家族の介護負担が増加して、3日前から介護老人保健施設に入所している。入所前から、トイレに間に合わずに尿失禁をしてしまうことがあるため、昼夜、リハビリパンツを使用している。歩行は自立している。夜間、トイレに起きているが、その後、眠っていることが確認されている。
Fさんの尿失禁の改善を目標に収集する情報として、最も優先度の高いものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.介護負担となっている家族背景
2.施設生活に対する不安
3.夜間の中途覚醒状況
4.トイレに行く時間帯
5.歩行に必要な下肢筋力

正解4

1.尿失禁の改善に関する情報としては優先度が低いです。

2.問題文に施設に対する不安があるのかどうか書かれておらず、入所前から失禁があるので、情報の優先度は低いです。

3.中途覚醒とは、夜中にたびたび目が覚めて熟睡できない状態をいい、問題文に「夜間、トイレに起きているが、その後、眠っている」とあることから、優先度は低いです。

4.問題文から尿意はあるが、トイレに間に合わずに失禁していることがわかります。事前にトイレの声かけを行うために、「トイレに行く時間帯」は優先度の高い情報です。

5.歩行は自立しています。

Gさん(66歳、女性)は、1年前に脳梗塞(cerebral infarction) を発症して片麻痺になった。在宅復帰を目指し、介護老人保健施設に入所して、「家に帰れるように頑張らなくちゃ」 と熱心に立位訓練に取り組んでいた。しかし、同居していた孫が3日前に訪れてから、「体調が悪い」と言って、閉じこもり、食事は半分も食べなくなった。 傾聴ボランティアがGさんの居室を訪れると、「訓練しても帰るところがない」と泣いて話したという。
Gさんに対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.食事量を評価して、栄養指導を行う。

2.立位訓練を評価して、回復状況を把握する。

3.家族と調整して、退所後の住まいを整える。

4.サービス担当者会議に孫を招集する。

5.傾聴ボランティアの情報を基に、本人の生活ニーズを確認する。

正解5

1.食事量の評価と栄養指導は、栄養士の役割です。

2.立位訓練の評価と回復状況の把握は、理学療法士の役割です。

3.退所後の住まいを整えるのは介護職の仕事ではありません。

4&5.介護福祉職は、まず傾聴や共感をもって意図的にかかわる必要があります。サービス担当者会議に孫を招集する前にGさんのニーズを確認する必要があります。

介護過程の目的に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.利用者の自立を支援する。
2.画一的に介護を実践する。
3.介護福祉職の尊厳を保持する。
4.家族介護者の自己実現を図る。
5.経験則に基づいて介護を実践する。

正解1

2.画一的ではなく、さまざまな利用者のニーズに合わせて個別的なケアを実践しなければなりません。

3.利用者尊厳を保持しなければりません。

4.介護過程は、利用者の自己実現を図るためのものであり、家族介護者の自己実現を図ることが目的ではありません。

5.客観的科学的根拠に基づいて介護を実践する必要があります。

利用者の情報収集における留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.生活歴は、介護福祉職の主観的判断を優先する。

2.生活機能は、他職種からの情報も活用する。

3.発言内容は、介護福祉職の解釈を加える。

4.経済状況は、近隣住民の情報から推測する。

5.心身機能は、利用者への聞き取りによって判断する。

正解2

1&3.情報収集の際は、主観的判断を入れず、情報を積み上げていく必要があります。

4.プライベートな情報であり、近隣住民の情報から推測することは適切ではありません。

5.心身機能に関して利用者が全て把握しているとは限らないため、医療系の職種からの情報や検査データなど客観的情報も収集する必要があります。

生活課題の優先順位を決定する上で、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.利用者が要望する頻度の多いものから決定する。

2.介護福祉職が評価しやすいものから決定する。

3.家族の負担が大きく軽減するものから決定する。

4.緊急性が高いものから決定する。

5.課題に取り組む準備期間が短いものから決定する。

正解4

参考テキスト
課題の優先順位

最も優先順位が高いのは生命の安全にかかわるものです。

次の事例を読んで、ABの問に答えなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

〔事例〕

Jさん(71歳,男性)は20歳から造園業を営んでいた。2か月前に脚立から転落して、右大腿骨頸部骨折(femoralneckfracture)で入院した。骨折部位は順調に回復し、下肢機能訓練により杖歩行も可能であると診断されている。しかし、訓練への参加は消極的であり、入院中は車いすで過ごしていた。退院後は自宅で過ごしたいという希望から、下肢筋力に対する機能訓練で5日前に介護老人保健施設に入所した。
入所後のJさんは、日中のほとんどをベッド上でテレビを見て過ごしている。泄排に関する移乗を依頼する以外に職員に話しかけることはなく、食事をしていても他者との会話はみられない。Jさんの表情が穏やかなときに歩行訓練に参加を促すが、「ああ、うん…」と言うだけで訓練に参加していない。
面会に来た妻によると、Jさんは「施設で訓練しても歩けるようになるはずはない」と話していたということだった。また、妻は「仕事が大好きで、仕事ができないことに相当落ち込んでいるようだ」と話した

【A】
Jさんに対する長期目標の方向性として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.病院で機能訓練をすること
2.施設での生活に慣れること
3.造園業に再び携わること
4.話し相手を見つけること
5.新しい趣味を見つけること

正解3

長期目標は、課題が解決した状況を表現します。本人が仕事に復帰し造園業に再び携わることを望んでいると考えられるので、選択肢3が最も適当です。

【B】
在宅復帰を目指すJさんに対する短期目標を、「外出することができる(1週間)」とした。短期目標に基づく支援内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.車いすで20~30分過ごしてもらう。
2.歩行器の使用を促す。
3.下肢を1日1回外転する。
4.トイレへの移乗訓練を行う。
5.骨折部位の回復を確認する。

正解1

Jさんは、順調に回復しており、下肢機能訓練により杖歩行も可能であると診断されているが、訓練への参加が消極的であり、日中のほとんどをベッド上で過ごしている。選択肢2のように、いきなり歩行を促しても、うまくいかない可能性が高い。まずは、ベッドから離れて車いすで20分~30分過ごしてもらい、段階的に取り組むことが必要です。

3.このような運動を行ってもかまわないですが、最も適切とはいえません。

4.「外出することができる」という目標に付随することとして外出先での排泄なども考慮する必要はありますが、最も適切なことではありません。

5.骨折部位は順調に回復していると書かれています。確認すべきは下肢筋力の状況です。

Kさん(82歳、女性)は、身寄りがなく自宅で一人暮らしをしている。週1回利用している通所介護(デイサービス)で送迎を担当しているL介護福祉職は、Kさんから、「この間、いつもより膝の痛みが強くなって玄関で立てなくなった。ちょうど民生委員さんが来てくれて、一緒に受診して痛みは治まったの。医師から膝は痛むことがあるが生活に支障はないと言われたけど、いつまでこの家にいられるかしら」と打ち明けられた。その日の夕方、自宅へ送った時にKさんは、「施設の生活はにぎやかで、さぞ楽しいでしょうね」と話して、涙ぐんだ。発言を受けて、その場で本人の同意を取り、翌日、事業所内のカンファレンス(conference)が行われた。

L介護福祉職が話す内容として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.膝の痛みがなくならない理由
2.身寄りがないこと
3.施設に入所するタイミング
4.玄関で活用できる福祉用具
5.在宅生活の継続への不安

正解5

Lさんが何を最も不安に思っているかを考えることが重要です。「施設の生活はにぎやかで、さぞ楽しいでしょうね」という発言はあったが、「いつまでこの家にいられるかしら」という発言から入所を希望しているとは考えにくい。在宅が継続できるかどうかの不安が最も大きいと考えられます。

次の事例を読んで、問ABについて答えなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

〔事例〕
Cさん(75歳、男性、要介護1)は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症した。2カ月前から在宅復帰を目的として介護老人保健施設に入所している。次女は遠方から時々面会に来ているが、長女とは音信不通の状態が続いている。
Cさんは現在、右片麻痺で歩行には杖を使用している。担当の理学療法士から、「レクリエーションには積極的に参加するなど意欲はあるが、歩行状態が思うように改善しないと悩んでいた」との報告があった。
その後、歩行訓練やレクリエーションに参加しなくなり、居室のベッドで寝て過ごすことが多くなった。また、時々尿失禁をするようにになった。
Cさんは、「自宅に帰りたいのに、このまま車いすになったらどうしよう」と担当の介護福祉職に打ち明けた。

【A】
Cさんの介護過程の展開に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.長女から入所前の情報を収集する。

2.現状を再アセスメントし、生活課題を抽出する。

3.自宅に戻った後の介護計画を立案する。

4.尿失禁に対応する介護計画の実施を優先する。

5.介護計画の最終的な計画は理学療法士が担当する。

正解2

1.長女とは音信不通の状態が続いている、とあるので、長女からの情報は期待できません。

2.「レクリエーションには積極的に参加するなど意欲はある
    ↓
 「歩行訓練やレクリエーションに参加しなくなり、居室のベッドで寝て過ごすことが多くなった。また、時々尿失禁をするようにになった。

当初、介護計画を立てた時とCさんの様子が大きく変わっているので、再アセスメントを行い、新たな生活課題を抽出する必要があります。

3.まだ自宅に戻った後の介護計画を立案する段階ではありません。まずは自宅に戻って生活するために必要な能力・状況にする必要があります。

4.尿失禁に対応する介護計画の作成も大切ですが、「歩行訓練やレクリエーションに参加しなくなり、居室のベッドで寝て過ごすことが多くなった。」とあるので、状態が悪化してしまう可能性がある今の状況を改善するための介護計画を作成する方が優先度は高いです。

5.機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)、看護職員、介護職員などが共同して介護計画を作成します。

B
次の記述のうち、Cさんの短期目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.車いすの使用方法を確認する。
2.居室のベッドで安静に過ごす。
3.次女との同居を実現する。
4.今まで以上に、意欲的に歩行訓練に取り組む。
5.居室を出てレクリエーションに参加する。

正解5

1.「自宅に帰りたいのに、このまま車いすになったらどうしよう」という発言からCさんは車いすを使用したくないと考えられるので、短期目標としては不適切です。

2.この目標だと、ますます身体機能が落ちてしまうので、自宅に帰りたいという希望に逆行しています。

3.遠方に住んでいる、ということ以外に次女に関して情報がなく、同居が可能なのかどうか、同居を希望しているかもわからないため、目標としては不適切です。

4.「歩行訓練やレクリエーションに参加しなくなり、居室のベッドで寝て過ごすことが多くなった。」というのが現状なので、歩行訓練をさらに増やすような目標は不適切です。

5.ベッドで過ごしがちとなってしまったCさんが、これ以上身体の機能を低下させないためにも、短期目標としては適切です。

次の事例を読んで、ABの問について答えなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

〔事例〕

Dさん(77歳、男性、要介護2)は、妻と二人で暮らしている。定年まで、高校の体育の教師で野球部の監督をしていた。起居動作に問題はないが、認知症(dementia)と診断されたため、現在、通所介護(デイサービス)を週3回利用している。通所介護(デイサービス)では、短期目標「役割を持ち,意欲的に生活する(3カ月)」と設定し、体操を指導する役割をお願いしていた。
実施1カ月が経過した頃、テレビで高校野球を見たDさんは暗い表情で、「生徒を全国大会に連れて行けなかったのは私の責任だ」と嘆いていた。この日は、担当の介護福祉職が体操の指導をお願いしても,「今すぐ行かなければ」と断った。

A
Dさんが体操の指導を断った理由の解釈として、最も可能性が高いものを1つ選びなさい。

1.介護福祉職に依頼されたため。
2.妻に会いに自宅に帰りたいため。
3.高校野球のことが気になっているため。
4.立ち上がり動作が不安定なため。
5.体育の授業を行うため。

正解3

1.これまでは、依頼されていた体操の指導を行っていたので、可能性は低いと考えられます。

2.妻に関しては、一緒に暮らしているという情報しかないため、正解にする根拠が乏しいです。

3.自身が野球部の監督をしていたこと、テレビで高校野球を見た後に「生徒を全国大会に連れて行けなかったのは私の責任だ」と言っている事から、可能性が一番高いです。

4.起居動作に問題はないと書かれているので不適切です。
起居動作は言葉の意味では、日常的な動作のことをいいます。 福祉分野では、主に「寝返り」「起き上がり」「立ち上がり」「座る」など、姿勢変換のための動作のことを指します。

5.可能性がないことはないのですが、高校野球を見た後の出来事なので、文脈から選択肢3の方がベターです。

B
その後も体操の指導を継続していたDさんは、参加者から体操の順番が違うと指摘されて指導の意欲を失い、一人でいることが多くなった。しかし、体操の時間になると遠くからその様子を眺めていた。
Dさんが今後も現在の役割を継続するために、優先して取り組むべき課題として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.体操に対する関心を取り戻すこと。
2.体操の内容を変更すること。
3.体操を指導する自信を回復すること。
4.体操の正しい順番を学び直すこと。
5.指摘した参加者に謝ること。

正解3

1.”体操の時間になると遠くからその様子を眺めていた”と書かれているので、関心をなくしているとは考えにくいです。

2&3.Dさんは体操の内容に不満があり意欲を失ってしまったわけではなく、参加者からの間違いの指摘で自信を失くしてしまったことが原因と考えられます。したがって、Dさんの自信を回復することは優先すべき課題と考えられます。

4.Dさんの認知症の状態が書かれていないので、正しい順番を学びなおすということが可能かどうかわかりません。何らかの別の形で自信を回復させるような支援が必要であることも考えられます。したがって、正解としては選択肢3の方がベターです。

5.問題はDさんが自信を失ってしまったことです。参加者に謝ることは悪いことではありませんが、それでDさんの課題が解決するとは考えにくいです。

Eさん(70歳、女性、要介護1)は、夫、長男と共に農業をしていた。半年前に脳梗塞(cerebral infarction)で左片麻痺になった。現在は介護老人保健施設に入所し、リハビリテーションに取り組んでいる。介護福祉職が居室を訪れたとき、Eさんが、「料理は苦手なの」「そろそろ夏野菜の収穫の時期ね。収穫は楽しいし、採れたての野菜を近所に配るとみんな喜ぶのよ」と言った。その後、「夫には家事に専念しなさいと言われているから…」とうつむいて言った。
介護福祉職は介護福祉職間のカンファレンス(conference)でEさんの思いを共有した。Eさんの思いとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.農業に関わっていきたい。
2.家事に専念したい。
3.後継者の育成に関わりたい。
4.家でのんびりしたい。
5.料理の自信をつけたい。

正解1

1.「料理は苦手なの」「そろそろ夏野菜の収穫の時期ね。収穫は楽しいし、採れたての野菜を近所に配るとみんな喜ぶのよ」という発言から
⇒Eさんは農業が好き

「夫には家事に専念しなさいと言われているから…」とうつむいて言った。という様子から
⇒家事に専念したくない

この二つからEさんの思いとしては、選択肢1の可能性が最も高いです。
選択肢3~5の内容は問題文に何も書かれていないため、わかりません。

介護過程の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1 利用者の健康状態の改善
2 介護福祉職の介護観の変容
3 他職種との役割の分化
4 家族の介護負担の軽減
5 利用者の生活の質の向上

正解5

介護過程は、利用者の生活の質(QOL)を高めるという目的を達成するために利用者の課題(生活課題)を介護の立場から系統的に判別し、解決するための計画を立て、実施し、評価する一連の過程をいいます。なので、正解はズバリ選択肢5です。

介護福祉職の情報収集に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1 五感を活用した観察を通して情報を集める。

2 一つの場面に限定して得られる情報を集める。

3 初対面のときから踏み込んで情報を集める。

4 興味のある個人情報を集める。

5 実践したい支援に沿った情報を集める。

正解1

1.五感を活用した観察を通しての情報とは、例えば、居室の尿臭が強いとか、目で体のアザを見つけるとか、呼吸の音がおかしい、などです。

2.1つの場面に限定する意味がありません。様々な場面を想定して情報を集める必要があります。

3.初対面で信頼関係ができていない時から踏み込むと、警戒され、不信感につながる場合があります。

4.偏った情報になるので適切ではありません。

5.順序が逆です。情報集めて、必要な支援を考えます。

次の記述のうち、介護過程の展開におけるアセスメント(assessment)の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1 支援内容を説明して同意を得ること。
2 具体的な支援計画を検討すること。
3 達成できる目標を設定すること。
4 支援の経過を評価すること。
5 利用者の生活課題を明確にすること。

正解5

アセスメントは、介護の必要性を総合的に判断するために、利用者について情報収集し、集めた情報の解釈・関連付け・統合化を行い、利用者の課題を明確にすることです。なので、正解はズバリ選択肢5です。

短期目標の設定に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

1 介護福祉職の視点で目標を設定する。
2 多様な解釈ができる言葉を用いて設定する。
3 実現可能な目標を段階的に設定する。
4 長期目標とは切り離して設定する。
5 最終的に実現したい生活像を設定する。

正解3

1.目標設定は、利用者の視点で行います。

2.多様な解釈ができる言葉を用いると、利用者、介護福祉職等の間に誤解が生じる可能性があります。目標は、わかりやすく具体的な言葉を用いて設定するようにします。

3.これは適切です。

4.長期目標を達成するために、短期目標があるので、切り離しては意味がありません。

5.これは長期目標です。

次の事例を読んで、問題【A】、問題【B】について答えなさい。(第33回介護福祉士国家試験)

[事例]Mさん(78歳、女性、要介護2)は、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。楽しみは、お風呂に入って肩までつかることである。身体機能に問題はない。短期目標を、「見守りのもと、一人で入浴する(3か月)」と設定し、順調に経過していた。1か月を過ぎた頃、朝の申し送りで「Mさんが昨日浴室を出ようとしたときに足を滑らせたが、転倒はしなかった。念のため受診したが問題はなかった」と報告があった。その日の夕方、介護福祉職が入浴に誘うと、「行きたくない」と強い口調で断った。それから1週間入浴していないことを心配した介護福祉職が居室を訪ねて、安全に入浴できるように浴室内を整えたことを伝えた。しかしMさんは「怖いから」と小声で言った。

【A】
Mさんの再アセスメントに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 順調に経過していたときの状況を分析する。
2 「怖いから」という思いを解釈する。
3 入浴を断られた介護福祉職の思いを理解する。
4 入浴時間の変更を検討する必要があると判断する。
5 入浴を面倒に思っていると判断する。

正解2

1.新たな問題が見つかって、再アセスメントが必要となっているので、その部分のアセスメントの方が重要です。

2.これは適切です。

3.Mさんの再アセスメントと関係がありません。

4.問題文に入浴時間について一切かかれておらず、適当ではありません。

5.「怖いから」という発言があるので、面倒に思っているより、足を滑らせた不安から入浴を拒んでいると考えられるので選択肢2の方が適切です。

【B】
再アセスメントによって見直した支援の方向性として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 湯船につかる自信を取り戻す支援
2 浴室内の移動の不安を取り除く支援
3 浴室まで安全に移動できる支援
4 足浴で満足感を得ることができる支援
5 身体機能を改善する支援

正解2

Mさんは浴室内で足を滑らせて、転倒の不安を感じているので、選択肢2の浴室内の移動の不安を取り除く支援が適切です。

次の事例を読んで、問題【A】、問題【B】について答えなさい。

[事例]
Aさん(80歳、女性、要介護3)は、パーキンソン病(Parkinson disease)と診断されている。診断後も家業を手伝いながら、地域の活動に参加していた。半年前からパーキンソン病(Parkinson disease)が悪化し、動作は不安定となったが、「家族に迷惑をかけたくない」と、できることは自分で取り組んでいた。また主となる介護者である娘に服薬を管理してもらいながら、通所介護(デイサービス)を週3回利用し、なじみの友人と話すことを楽しみにしていた。最近、通所介護(デイサービス)の職員から娘に、昼食事にむせることが多く食事を残していること、午後になると、「レクリエーションは参加したくない」と落ち着かない様子になることが報告された。

【A】
介護福祉職がAさんについて、主観的に記録したものを1つ選びなさい。

1 パーキンソン病(Parkinson disease)と診断されている。

2 帰宅願望から、レクリエーションの参加を拒否した。

3 「家族に迷惑をかけたくない」と話し、できることは自分で行っていた。

4 週3回、通所介護(デイサービス)を利用している。

5 昼食事にむせることが多く、食事を残していることを娘に報告した。

正解2

主観的な記録ということなので、介護福祉職の判断が入っている選択肢2が正解です。他の選択肢はすべて客観的な事実です。

【B】
その後、娘が腰痛を発症し、Aさんは短期入所生活介護(ショートステイ)を利用することになった。次の記述のうち、短期入所生活介護(ショートステイ)におけるAさんの生活課題として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。

1 食事を安全に摂取できること。
2 服薬の管理ができること。
3 通所介護(デイサービス)の利用を再開できること。
4 なじみの友人ができること。
5 地域の活動に参加できること。

正解1

生活課題が複数ある場合は、利用者のニーズと生活状況に合わせて優先順位をつけることが必要です。

1.昼食時にむせることが多く食事を残しているというAさんの状況は、誤嚥のリスクを考慮すると、緊急性が高く、優先すべき生活課題といえます。

2.自宅では娘が服薬管理しており、自分で服薬を管理したいとも書かれていないので、優先度は低いです。

3.Aさんのショートステイ利用は、腰痛を発症した娘のレスパイトケアという側面が強く、Aさんの生活課題としては、適当ではありません。

4.デイサービスになじみの友人がおり、ショートステイは短期間利用するサービスなので、優先的な課題ではありません。

5.ショートステイは短期間の泊まりのサービスで、地域活動への参加を課題にするのは適当ではありません。

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