『認知症の理解』の過去問
イギリスの心理学者キットウッドが提唱した、「パーソン・センタード・ケア」の考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.認知症の人の行動・心理症状(BPSD)を無くすこと。
2.認知症の人を特別な存在として保護すること。
3.認知症の人のケアマニュアルをつくること。
4.認知症の人の「その人らしさ」を支えること。
5.認知症という病気を治療すること。
正解4
文字通り「人」を中心とするケアです。
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準「ランクⅢ」の内容として、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。
2.著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。
3.屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ。
4.日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さがときどき見られ、介護を必要とする。
5.何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する。
厚生労働省が、2012(平成24)年に公表した「認知症高齢者数について」における、「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の認知症高齢者の居場所別内訳で、人数が最も多い居場所を1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験改)
1.居宅
2.介護老人福祉施設
3.介護老人保健施設
4.グループホーム
5.医療機関
正解1
データはこんなかんじです。ダントツで”居宅”が多いです。
高齢社会白書などをみても介護を受けたい場所、最期を迎えたい場所は自宅が最も多いです。
Cさん(89歳、女性)は、アルツハイマー型認知症で、1年前から料理の手順を間違えたり、家計の管理や買い物が難しい状態であった。1か月前から大声をあげるようになった。季節に合った衣服を選べなくなったが、家族が準備すれば適切に着ることはできる。排泄は自立している。
Cさんのアルツハイマー型認知症のFASTの分類として、もっとも適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.年齢相応
2.境界状態
3.軽度
4.中等度
5.やや高度
正解4
参考テキスト⇒FAST
「季節に合った衣服を選べない」「大声を出す」というところから中等度かやや高度ですが、やや高度では大声を上げるなどの感情障害と同時に入浴や排泄にも介助が必要な状態であるので、Cさんには当てはまりません。
認知機能の評価に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.長谷川式認知症スケールで認知症(dementia) の診断が可能である。
2.FAST (Functional Assessment Staging)は、血管性認知症(vascular dementia)の重症度判定に用いる。
3.IADL (Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作)のアセスメント (assessment) は、軽度の認知症(dementia) において有用である。
4.MMSE (Mini-Mental State Examination)は、日常生活の行動観察から知能を評価する検査である。
5.言語機能が障害されると、認知症(dementia) の重症度評価はできなくなる。
正解3
参考テキスト⇒認知症の検査
1.長谷川式認知症スケールは、認知症の簡易スクリーニング検査であり、これだけで認知症の診断を下すことは難しいです。
2.FASTは、アルツハイマー型認知症の評価尺度です。
3.軽度の認知症は、IADLのミスが目立つようになるため、IADLのアセスメントを行うことが有用です。
4.MMSEは、時間や場所に関する見当識、計算、図形模写、文の復唱等の11項目に答えることで評価する検査です。
5.FASTや認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は観察式の評価尺度であるため、言語機能が障害されても評価が可能です。
認知症による実行機能障害に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.いつもと違うことがあると混乱して自然な行動ができない。
2.計画を立てて段取りをすることができない。
3.交通機関の自動改札機をスムーズに通れない。
4.2つ以上のことが重なるとうまく処理できない。
5.新しいことや大切なことが覚えられない。
正解2
実行機能障害は計画を立てて段取りをすることができなくなります。
失行に関する次の記述のうち、正しいものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.四肢が麻痺した状態である。
2.目的に沿った動作ができない状態である。
3.言葉を理解できない状態である。
4.気力や自発性が低下した状態である。
5.目の前のものが何であるかを、認識できない状態である。
認知機能障害に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.記憶障害では、初期から手続き記憶が障害される。
2.見当識障害では、人物の認識は障害されない。
3.失行では、洋服をうまく着られなくなる。
4.失認は、視覚や聴覚の障害が原因である。
5.実行機能の障害では、ADL(ActivitiesofDailyLiving:日常生活動作)は障害されない。
正解3
1.手続き記憶は障害されにくいです。
2.見当識障害では、時間や場所、人物の認識も障害されます。
3.衣服を適切に着れない状態を着衣失行といいます。
4.失認は、脳の障害が原因で起こります。
5. 実行機能障害では動作に関する手続きや流れがわからなくなります。よって食事、排泄、入浴などの場面でADLは障害されます。
認知症(dementia) の人への日常生活上の支援に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.次に何をすればよいか判断できない人には、ヒントを伝えて一人で考えてもらう。
2.通所介護(デイサービス)を利用する曜日がわからない人には、施設への入所を勧める。
3.自分が今どこにいるのかわからない人には、そのたびに場所を伝える。
4.着衣失行のある人には、着脱のたびに介護福祉職が代わりに行う。
5.数分前の出来事を思い出せない人には、昔の思い出を聞かないようにする。
正解3
1.可能な場合もありますが、一人で考えて行動に移すことは難しい場合が多いです。何をすればよいかを簡潔に伝えることで行動できるように支援します。
2.力レンダーに印をつけるなどの工夫をし、自ら行動できるように支援します。
3.わからなくなってしまった不安や焦燥感をとりのぞき安心してもらえるように支援します。
4.失行は脳の機能障害によるものであり、手足の機能は保たれているため、着衣の方法を示して自分の力で着脱ができるように支援します。すべて介護福祉職が行ってしまうと、有する能力(更衣など)が低下してしまいます。
5.最近の出来事は忘れていても過去のことはよく覚えている場合が多いので、むしろ過去の楽しい思い出などを聞く機会を持つことは大切です。
軽度認知障害(mildcognitiveimpairment)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.記憶力の低下の訴えがある。
2.日常生活に支障がある。
3.認知症(dementia)の一種である。
4.CDR(ClinicalDementiaRating)のスコアが2である。
5.全般的な認知機能が低下している。
正解1
1.
・記憶障害の訴えが本人または家族から認められている
軽度認知障害(MCI)の臨床的な定義
・客観的に1つ以上の認知機能(記憶や見当識など)の障害が認められる
・日常生活動作は正常
・認知症ではない
2.日常生活に支障はありません。
3.認知症の一歩手前の状態であり、認知症ではありません。
4.参考)CDR
5.全般的な認知機能は正常です。
認知症と比較した場合のせん妄の特徴として正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.ゆるやかに発症する。
2.徐々に進行、悪化していく。
3.覚醒水準の低下を伴うことは少ない。
4.幻覚を伴うことは少ない。
5.日内変動を認めることが多い。
正解5
参考テキスト⇒せん妄
1&2.せん妄の場合、急激な変化が特徴です。
3&4.せん妄は意識障害の一種であり、軽度の意識混濁に幻覚、妄想、不安、興奮などを伴った状態です。せん妄中の出来事はほぼ覚えていないなどの特徴があり、覚醒水準の低下を伴うことが多いです。覚醒水準とは脳の活動状態(活発さ)を表します。
5.日内変動は、1日の中で症状が変動することです。
高齢者のせん妄(delirium)の特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.薬剤によって生じることがある。
2.症状の変動は少ない。
3.意識レベルは清明であることが多い。
4.徐々に悪化する場合が多い。
5.幻覚を伴うことは少ない。
正解1
1.これは正しいです。例えば抗インフルエンザ薬として有名なタミフルは、添付文書に、「精神・神経症状(妄想、せん妄、けいれん、嗜眠)が現れることがある」と書かれています。
2.日内変動がみられます。
3.せん妄は意識障害の一種であり、軽度ないし中等度の意識レベルの低下があります。
4.急激な変化がみられます。
5.幻覚や妄想がみられる場合も少なくありません。
加齢による物忘れと比べたときの、認知症(dementia)による物忘れの特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.見当識障害はない。
2.物忘れの自覚はない。
3.物忘れが進行しない。
4.日常生活に明らかな支障はない。
5.体験の一部分だけを思い出せない。
早期発見で改善が可能な認知症として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.正常圧水頭症
2.クロイツフェルト・ヤコブ病
3.前頭側頭型認知症
4.血管性認知症
5.レビー小体型認知症
外科的手術で治療が可能な認知症として、正しいものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.血管性認知症
2.クロイツフェルト・ヤコブ病
3.前頭側頭型認知症
4.レビー小体型認知症
5.慢性硬膜下血腫
正解5
他に治療可能な認知症としては、正常圧水頭症があります。
Dさん(80歳、男性)は一人暮らしで、生活は自立していた。毎朝近所の公園でラジオ体操に参加していたが、2か月ほど前から、物忘れとぼうっとする様子が見られるようになった。また、歩行が不安定となり、最近では尿意を我慢できず失禁がある。
Dさんの状態として、最も可能性が高いものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.軽度認知障害
2.アルツハイマー型認知症
3.正常圧水頭症
4.前頭側頭型認知症
5.血管性認知症
正解3
1.歩行が不安定、尿失禁があるということから、軽度認知障害(MCI)ではありません。
2.アルツハイマー型認知症では、末期を除けば比較的、運動機能は保持されます。2か月前はラジオ体操に参加していたとあるので、アルツハイマー型認知症とは考えにくいです。
3.Dさんの状態は正常圧水頭症が最も当てはまります。
4.前頭側頭型認知症でも動作についての記憶は比較的保たれます。また、特徴的な人格変化がみられないので、選択肢3の正常圧水頭症の可能性の方が高いです。
5.脳血管障害の病変の部位によっては、設問のような状態になる可能性がないとは言えませんが、血管性認知症に特徴的な感情失禁の記述もないことから、選択肢3の正常圧水頭症の方が可能性は高いです。
認知症の原因となる疾患の特徴として最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.アルツハイマー型認知症では、早期から尿失禁が認められる。
2.アルツハイマー型認知症では、巣症状は見られない。
3.レビー小体型認知症では、人格が大きく変化する。
4.レビー小体型認知症では、運動機能障害は見られない。
5.クロイツフェルト・ヤコブ病では、進行が速く、1年以内の死亡例も多い。
正解5
1.尿失禁がみられるのは高度アルツハイマー型認知症です。早期にみられる症状は記憶障害や判断力の低下です。
2.アルツハイマー型認知症では中核症状として巣症状が見られます。
巣症状とはその領域における脳の機能が失われることによる症状をいいます。 具体的には、失語、失読、失書、失計算、失行、失認等です。
3.人格変化が特徴なのは前頭側頭型認知症です。
4.レビー小体型認知症では、パーキンソン病様症状がみられ、運動機能障害が認められます。
初期のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)における認知機能障害の特徴として、適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.時間に関する見当識障害は認められない。
2.エピソード記憶が障害される。
3.手続き記憶が障害される。
4.記憶障害の進行は急速に進む。
5.若い頃のことを忘れてしまう。
正解2
1.見当識障害では、時間→場所→人物の順に障害されます。
2&5.エピソード記憶の障害は、認知症の記憶障害の特徴です。ただし、若い頃のことに関する記憶は、長期記憶として保持され、 認知症が重度になるまで影響を受けることは少ないです。
3.手続き記憶は障害されにくいです。
4.少しずつ確実に進みます。
認知症(dementia)の初期症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験改)
1.血管性認知症(vascular dementia)では、幻視が認められる。
2.正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)では、歩行障害が認められる。
3.前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)では、エピソード記憶の障害が認められる。
4.アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer`s type)では、失禁が認められる。
5.レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)では、もの盗られ妄想が認められる。
正解2
1.初期症状で幻視がみられるのは、レビー小体型認知症です。
2.正常圧水頭症の特徴として歩行障害があり、その後に尿失禁があらわれることが多いです。
3.前頭側頭型認知症では、見当識は比較的保たれます。初期にエピソード記憶の障害が認められるのはアルツハイマー型認知症の特徴です。
4.アルツハイマー型認知症で失禁が認められるのは、ある程度病気が進行してからです。初期の頃にはみられません。
5.もの盗られ妄想は、アルツハイマー型認知症の初期の特徴です。
軽度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)に認められる症状や日常生活上の障害として、最も可能性の高いものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.小刻み歩行
2.嚥下障害
3.尿失禁
4.炊事の自立困難
5.入浴の自立困難
正解4
1.小刻み歩行のようなパーキンソン症状がみられるのは、レビー小体型認知症です。
2.アルツハイマー型認知症では末期をのぞけば、基本的に嚥下障害は起こりません。
3~5.FASTによる分類では、尿失禁、入浴の自立困難は”やや高度”以上のステージで、炊事の自立困難は”軽度”のステージに該当します。
前頭側頭型認知症の人によく見られる症状に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.社会のルールや常識的な規範がわからなくなる。
2.動作が緩慢で動きがぎこちない
3.ちょっとしたことで泣いたり笑ったりする。
4.現実的で具体的な幻視がある。
5.料理の手順が分からなくなる。
正解1
参考テキスト⇒前頭側頭型認知症
1.前頭側頭型認知症の特徴として、人格障害や反社会的行動がみられます。
2.前頭側頭型認知症の場合、暴力行為や落ち着きのなさなどがみられますが、動作が緩慢で動きがぎこちないという特徴はみられません。
3.これは感情失禁で、血管性認知症の特徴です。
4.これはレビー小体型認知症の特徴です。
5.前頭側頭型認知症の場合には、料理の手順などの記憶は比較的維持される傾向にあります。
前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)の特徴として、適切なものを1 つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.物忘れの自覚
2.幻視
3.抑うつ
4.急速な進行
5.常同行動
正解5
1.前頭側頭型認知症では、自分が病気であるという自覚がないのが特徴であり、物忘れが目立たないため認知症を疑わないこともあります。
2.幻視はレビー小体型認知症の特徴です。
3.前頭側頭型認知症の特徴に、自発性の低下、感情の麻痺があり、抑うつになることは少ないです。
4.急速に症状が進行することはありません。
前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)の症状のある人への介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.周回がある場合は、GPS追跡機で居場所を確認する。
2.甘い食べ物へのこだわりに対しては、甘い物を制限する。
3.常同行動がある場合は、本人と周囲の人が納得できる生活習慣を確立する。
4.脱抑制がある場合は、抗認知症薬の服薬介護をする。
5.施設内で職員に暴力をふるったときは、警察に連絡する。
正解3
1.この病気では同じコースを歩くという意味で徘徊ではなく、周回と呼ばれることもあります。初期では道に迷うこともなく、時間が立てばたいてい自分で戻ることができるので、GPSを使う必要性があまりありません。
2.常同行動で甘い物しか食べない場合があり、際限なく食べる場合もあります。この行動を制止すると、我慢できず異食のリスクが高くなる可能性があります。小分けにするなどの工夫が必要です。
4.脱抑制とは、状況に対する反応としての衝動や感情を抑えることが不能になった状態のことを指します。脱抑制にある人は感情のままに行動したりその瞬間の反応で行動する傾向が強まります。しっかりアセスメントを行い、医師の診断のもと抗認知症薬を使用するのは問題ありませんが、この選択肢だと、介護福祉職の判断ともとれるので、選択肢3の方がベターです。
5.程度や状況にもよりますが、まずは上司や管理者に報告し、利用者と話をしてもらうことが必要です。
血管性認知症(vascular dementia)の危険因子として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.認知症(dementia) の家族歴
2.甲状腺機能低下症(hypothyroidism)
3.頭部外傷の既往
4.メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)
5.ダウン症候群(Down’s syndrome)
正解4
血管性認知症は、脳の血管障害によって起こるため、脳の血管に動脈硬化を起こすメタボリックシンドローム、 糖尿病などが危険因子としてあげられます。
血管性認知症(vascular dementia)の症状や特徴に関する次の記述のうち、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.男性と比較して女性に多く認められる。
2.ゆっくりと少しずつ進行する。
3.人格変化を認めることが多い。
4.初期にめまいを自覚することがある。
5.85 歳以上で多く認められる。
正解4
1&5.一般的には60歳以上の男性に多いとされています。
2.アルツハイマー型認知症はゆっくりと少しずつ進行しますが、血管性認知症は脳血管障害の再発を起こすたびに悪化する傾向にあり、階段を下りていくように進行します。
3.人格変化は前頭側頭型認知症の特徴です。
4.脳血管障害(脳梗塞など)に起因するめまいはよくみられます。
若年性認知症(dementia with early onset)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.前期高齢者が発症する認知症(dementia)である。
2.後期高齢者の認知症(dementia)と比べて進行は緩やかである。
3.家族の心理的負担は少ない。
4.若年性認知症(dementia with early onset)に特化した社会的支援が充実している。
5.若年性アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type with earlyonset)では神経症状を認めることが多い。
正解5
1.若年性認知症は65歳未満で発症した認知症をいい、さらに初老期(40~64歳)と若年期(18~39歳)に分類されます。
2.若年性認知症は、年齢が若い分、高齢者と比べ脳が委縮していくスピードも速いです。
3.働き盛りの発症であるので、収入や将来の不安など、家族の負担は重いことが多いです。
4.介護保険法や障害者総合支援法などでの支援になり、若年性認知症に特化した支援が充実しているとはいえません。
5.若年性認知症の基礎疾患としては、アルツハイマー型認知症が最も多く、次いで脳血管性認知症となっていて、いずれも神経症状を認めます。神経症状は、神経系の一部または全体が侵された結果起こる症状のことで、アルツハイマー病は、脳の神経細胞の減少、脳の萎縮、脳への老人斑・神経原線維変化の出現を特徴とする病気です。
アルツハイマー病の特徴として、まず、脳の側頭葉と呼ばれる部分にある海馬の神経細胞が減るところからはじまります。この海馬は短期記憶をつかさどる場所です。その部分が障害を受けるので、病気の初期段階のうちは「今さっきの記憶」が思い出せなくなります。
血管性認知症も、脳血管障害に伴う神経症状を伴うことが多いことです。たとえば軽い麻痺、歩行障害、「ろれつが回りにくい」(構音障害)、食事で「むせ込みやすい」(嚥下障害)、頻尿・失禁などの神経症状が合併しています。
在職中に若年性認知症になった人とその家族の支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.支援の主な対象は、介護負担が集中する子ども世代である。
2.高齢者の認知症と対応に違いはないことを家族に説明する。
3.雇用保険制度や障害福祉サービス等を組み合わせて利用できるように支援する。
4.本人の年齢に関係なく、初回の面談で介護保険の利用を勧める。
5.本人が退職して治療に専念できるように支援する。
正解3
1.支援の対象に、介護負担が集中する子ども世代や配偶者も含まれますが、主な対象は、若年性認知症になった本人です。
2&3.若年性認知症は高齢者の認知症と異なり社会的な役割が大きい世代の認知症であるため、経済問題がより大きく、対応も異なります。
4. 若年性認知症は第2号被保険者の特定疾病に該当するので、介護保険を利用することができますが、40歳以上でなければなりません。40歳未満で発症した場合には、障害者総合支援法などに基づく他の福祉サービスを利用することになります。
5.本人が退職を希望しているかどうかが重要です。若年性認知症ではそれぞれの状態・状況に応じた支援が重要です。
在職中に若年性認知症(dementia with early onset)になった人の家族に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.子ども世代に与える心理的な影響が大きい。
2.子どもが若年性認知症(dementia with early onset)になる可能性が高い。
3.身体的機能に問題が認められないので、家族の介護負担は少ない。
4.家族の気づきによって早期発見されることが多い。
5.本人への病名の告知は家族が行う。
正解1
1.若年性認知症の人は在職中である可能性が高いです。社会に限らず家庭においても重要な役割を担っているため、子ども世代に与える心理的影響は大きいです。
2.
アルツハイマー病には、遺伝的な要因によるものと、遺伝とは関係なく、加齢などによって脳が萎縮して認知機能が衰えるタイプがあり、前者は「家族性アルツハイマー病」、後者は「孤発性アルツハイマー病」と呼ばれています。家族性アルツハイマー病は、ある特定の遺伝子が変異して起こることがわかっており、両親のどちらかが家族性アルツハイマー病であると、その子どもは性差に関係なく2分の1の確率でその遺伝子を引き継ぐことになり、極めて高い確率で発症します。また、多くの場合、30歳代から50歳代という比較的若い年代で発症するという特徴があります。しかし、アルツハイマー病患者全体でみると、家族性アルツハイマー病はわずか数%(1〜5%)といわれており、非常にまれです。
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3.身体的機能の問題は少なく、介助の負担は少ないかもしれません。しかし、徘徊の距離が長いといった問題もあり、家族の介護負担が少ないわけではありません。
4.在職中であるため、同居の家族より職場の人に気づかれることが多いです。
5.本人への病名の告知は、基本的に医師が行います。
認知症の行動・心理症状(BPSD)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.親しい人がわからない。
2.言葉を口に出すことができない。
3.十分に眠ることができない。
4.トイレの水を流すことができない。
5.数の計算ができない。
正解3
参考テキスト⇒BPSD
1.これは見当識障害で、中核症状です。
2.これは失語で、中核症状です。
3.認知症の行動・心理症状(BPSD)には、睡眠障害のほか、幻視、幻聴、徘徊、行動異常、抑うつ状態などがあります。
4.これは失行で、中核症状です。
5.これは失計算で、中核症状です。
行動・心理症状(BPSD)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.徘徊は、認知症であれば誰にでも起こる。
2.もの盗られ妄想は、記憶障害とは関係がない。
3.幻視に関して、本人の訴えの内容ははっきりしない。
4.興奮は、ケアの方法によって生じることがある。
5.混乱は、重度の認知症の人には見られない。
正解4
1.徘徊はアルツハイマー型認知症では中期に特徴的なBPSDですが、すべての認知症で起きるわけではありません。
2.記憶障害や思考力の低下が原因で生じるとされています。
3.幻視はレビー小体型認知症に特徴的なBPSDで、実際にはないものが本人には実在するものとしてありありと見えています。
4.訴えに対して否定すると興奮するような場面はよく見られます。
5.混乱は認知症の程度と関係なく生じます。
認知症(dementia)の原因となる疾患と、特徴的な行動・心理症状(BPSD)の組合せとして、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.アルツハイマー型認知症(dementiaoftheAlzheimer’stype) — 幻視
2.血管性認知症(vasculardementia) — 抑うつ
3.レビー小体型認知症(dementiawithLewybodies) — 人格変化
4.前頭側頭型認知症(frontotemporaldementia) — もの盗られ妄想
5.クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakobdisease) — 徘徊
正解2
1.幻視が特徴の疾患は、レビー小体型認知症です。
2.
血管性認知症では、「できること、わかること」と「できないこと、わからないこと」の差が激しく、その自覚もあるため、本人は悲しみや、歯がゆい思いを強く感じています。そのため、抑うつや怒り、投げやりな態度になりやすい。
3.人格変化が特徴の疾患は、前頭側頭型認知症です。
4.もの盗られ妄想が特徴の疾患は、アルツハイマー型認知症である。
5.徘徊が特徴の疾患は、アルツハイマー型認知症です。
認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.トイレの水を流すことができない。
2.物事の計画を立てることができない。
3.言葉を発することができない。
4.親しい人がわからない。
5.昼夜逆転が生じる。
正解5
選択肢1~4は認知症の中核症状です。
1.失行です。
2.実行機能障害です。
3.失語です。
4.見当識障害です。
5.睡眠障害は認知症のBPSDです。
うつ病(depression)に伴って認められる仮性認知症(pseudodementia)の特徴として、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.朝方に比べて夕方に悪くなることが多い。
2.本人が病識に乏しいことが多い。
3.記憶障害に比べて判断障害を認めることが多い。
4.症状が急速に進行することが多い。
5.食欲は保たれていることが多い。
正解4
仮性認知症は、高齢者のうつ病にしばしば認められる状態で、抑うつ気分や思考の停止などのうつ病症状により、注意・集中力や判断力、記憶力が低下し、一見認知症のように見えます。臨床の場でも鑑別が難しく認知症として治療を受けているにもかかわらず、改善しないケースも見受けられます。
しかし、仮性認知症は脳器質性障害である認知症とは異なり、うつ病の軽快とともに改善する治療可能な一過性の認知機能障害です。
ちなみに仮性認知症では判断障害よりも記憶障害の方が多いです。
1.うつ病では朝方から午前中に悪いことが多いです。
2.認知症の人は自分が認知症だと理解していない場合が多いですが、仮性認知症の人は病識(自分が病的な状態にあると自覚すること)があります。
3.仮性認知症では判断障害よりも記憶障害のほうが多いです。
4.認知症では徐々に症状があらわれますが、うつ病(仮性認知症)では急速に進行することが多いです。
5.食欲不振、拒食の症状があることが多いです。
アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の薬物療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.病気の進行を完全に止めることができる。
2.軽度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)に対して有効ではない。
3.行動・心理症状(BPSD)に対して効果が認められていない。
4.病期によって投与量が変わることはない。
5.副作用として、パーキンソン症候群が現れることがある。
正解5
1.現在のところ病気の進行を遅くする効果しかありません。
2.病状初期の方が効果が見込めます。
3.初期に効果が認められることもあります。
4.少量から開始し、原則として増量していきます。
5.手足が震える、動きが鈍くなる、歩行が遅くなる、バランスが悪くなるといったパーキンソン病と同じような症状が表れることがあります。
抗認知症薬に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.貼付剤はない。
2.非薬物療法との併用はしない。
3.段階的に投与量を減量していく。
4.副作用として悪心や下痢が生じることがある。
5.ADL(ActivitiesofDailyLiving:日常生活動作)が改善することはない。
正解4
1.代表的な抗認知症薬であるリバスチグミンは、貼付剤です。
画像引用 https://www.careritz.co.jp/magazine/6130/
2.抗認知症薬は症状の進行を遅らせるものであり、個々の状態に合わせた非薬物療法(全身や手先の運動、音楽を聴く、絵を描く、過去のできごとを思い出す、工作するなど)などの併用も必要です。
3.段階的に投与量は増量します。
4.悪心(おしん):吐き気を催すこと。胸がむかつくこと。
5.アルツハイマー型認知症の中核症状やADLの改善効果があるとされています。
抗認知症薬に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.若年性アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer`s type with early onset)には効果がない。
2.高度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer`s type)には効果がない。
3.レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)には効果がない。
4.症状の進行を完全に止めることはできない。
5.複数の抗認知症薬の併用は認められていない。
正解4
1.若年性アルツハイマー型認知症にも効果はあります。
2.高度のアルツハイマー型認知症では効果は薄いですが、効果がないとはいえません。
3.ドネペジル(アリセプト)はレビー小体型認知症にも効果があります。
5.認知症の進行度によって使い分けたり、作用の違う2つの薬を併用したりすることはあります。
重度の認知症高齢者の胃ろう栄養法に関する支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.主治医が導入するかしないかを決定する。
2.家族が導入するかしないかを決定する。
3.本人の意向や価値観の把握に努め、本人にとっての最善を関係者で判断する。
4.成年後見人がいる場合、成年後見人が導入するかしないかを決定する。
5.看取り期には、介護福祉職の判断で胃ろう栄養法を中止する。
正解3
1.主治医が独断で治療方法を決定することは不適切です。
2.家族の意向が確認できていても、本人の意向を第一に考えなければなりません。
4.成年後見人であっても、医療行為にかかわる判断や代行はできません。
5.看取り期においては、本人の意向、家族の意向も重要ですが、医学的な判断は、介護福祉職ではなく、主治医による判断が必要になります。
回想法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.記憶力の改善が最も期待できるのは、中等度の認知症の人である。
2.認知症の人に豊かな情動をもたらすことが期待できる。
3.過去の苦痛や困難な体験を思い出す手がかりを準備すると効果的である。
4.毎回異なる場所で行うと効果的である。
5.回想法に参加した家族介護者は、発症前を思い出してつらくなることが多い。
正解2
参考テキスト⇒回想法
1.最も効果が期待できるのは軽度の認知症です。
3.楽しい思い出を回想することが重要です。過去の楽しい体験を思い出すアルバム、食べ物など五感を刺激する道具が有効です。
4.治療効果を高めるために、定期的に回想法を実施することは効果的ですが、回想法を行う場所は、異なる場所よりもむしろ同じ場所の方が望ましいです。
5.回想法により認知症の周辺症状が和らげば、家族介護者の負担も軽減します。
認知症(dementia)の発症リスクを低減させる行動に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.抗認知症薬を服用する。
2.睡眠時間を減らす。
3.集団での交流活動に参加する。
4.運動の機会を減らす。
5.飽和脂肪酸を多く含む食事を心がける。
正解3
1.抗認知症薬は発症後に、症状の進行を遅らせるために服用するものです。
2.睡眠不足は発症のリスクを高めます。
3.人との交流は脳の刺激になり、発症のリスクを低減します。
4.適度な運動は脳の刺激になります。また脳血管性認知症では生活習慣病が発症のリスクを高めるので、運動をする習慣があれば、発症のリスクを抑えることができます。
5.動物性の油で飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、血中のコレステロールが増加し、動脈硬化が起こりやすくなります。動脈硬化が起きると脳梗塞も発症しやすくなります。その結果、脳血管性認知症のリスクが高まります。
認知症サポーターに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.認知症の人やその家族を見守り、支援する。
2.10万人を目標に養成されている。
3.認知症介護実践者等養成事業の一環である。
4.認知症ケア専門の介護福祉職である。
5.国が実施主体となって養成講座を行っている。
正解1
参考テキスト⇒認知症サポーター
1.認知症サポーターは、認知症について正しく理解し、認知症の人や家族に対し見守ることや、地域でできることを探し、相互扶助、協力、連携、ネットワークをつくることなどが期待されています。
2.令和4年9月30日の時点で、1400万人を超えています。
3.認知症サポーターキャラバンの取り組みです。
4.認知症サポーターはボランティアです。
5.実施主体は国ではありません。
介護保険法における認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に関する次の記述のうち、適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.地域住民と関わる機会は少ない。
2.家庭的な雰囲気によって、症状の安定が図られる。
3.1 ユニットの入所者は10 名までである。
4.機能訓練は行わない。
5.施設が決めた一律の日課によって、生活の維持が図られる。
正解2
参考テキスト⇒認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
1.グループホームは地域密着型サービスであり、住み慣れた地域で、近隣の住民とのかかわりを持ちながら生活しています。
3.1ユニットは5人以上9人以下です。
4.自分で食器をかたずける、居室の掃除をするなどの日常での生活機能訓練が行われます。
5.一人ひとりの生活リズムに合わせた支援をする個別ケアが原則です。
初期の認知症で、家賃の支払いを忘れて、家主から督促されることが多くなった人に対する支援者として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.民生委員
2.訪問介護員
3.訪問看護師
4.日常生活自立支援事業の専門員
5.通所介護の介護福祉職
認知症(dementia)の人の支援者の役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.民生委員は、担当地域の認知症(dementia)の人に関わる情報を収集して、専門的支援機関につなげる。
2.認知症(dementia)の人の主治医を、認知症(dementia)に関わる地域医療体制を構築する上での中核にする。
3.認知症看護認定看護師は、認知症(dementia)の種類と病期を特定して、必要な薬剤を処方する。
4.認知症サポート医が、認知症サポーター養成講座の講師を務めることとされている。
5.介護支援専門員(ケアマネジャー)は、担当する認知症(dementia)の人の要介護認定を行う。
認知症(dementia)の人を支援する施策に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.認知症サポーターは、認知症(dementia)に対する正しい知識と理解を持ち、認知症(dementia)の人を支援する。
2.介護保険制度では、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、居宅サービスに位置づけられている。
3.認知症(dementia)と診断された39歳の人は、介護保険制度を利用できる。
4.介護保険制度では、認知症対応型通所介護は施設サービスに位置づけられている。
5.成年後見制度では、地域包括支援センターの社会福祉士が補助人、保佐人、成年後見人を選定する。
正解1
2.認知症対応型共同生活介護(グループホームは)、地域密着型サービスに位置づけられます。
3.介護保険制度を利用できるのは、65歳以上の「第1号被保険者」と40歳~65歳未満でかつ医療保険に加入している「第2号被保険者」です。39歳では介護保険制度を利用することはできません。この場合は障害者総合支援法などによる支援を受けることになります。
4.認知症対応型通所介護は地域密着型サービスに位置づけられます。
5.成年後見制度では、成年後見人などの選定は家庭裁判所が行います。
ふりかけをかけたご飯を「アリがたかっているから食べられない」と訴えるレビー小体型認知症の人への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)
1.落ち着いて口に入れてみることを勧める。
2.「アリはいません、おなかが空くので食べてください」と促す。
3.「お好きなものがありましたよ」と好物を示して食事を勧める。
4.通常のご飯に取り替えて、「もう大丈夫でしょうか」と食事を勧める。
5.「おなかが空いていないのなら、無理して食べなくてもいいですよ」と下膳する。
正解4
レビー小体型認知症の特徴である、幻視は現実的でありありとしており、本人にとってはまさに現実です。それを踏まえての対応が必要になります。
1.アリを食べてと言っているような感じです。
2.本人にとって、アリはいるのです。
3.好物を示すなど、話題を変えること自体は間違いではありませんが、ふりかけをかけたご飯(その人にとってはアリがたかっているご飯)を見えない位置に移動するなどの支援も同時に行わなければ、問題は解決しません。
Cさん(83歳、女性)は、昨年、夫を亡くしてから一人暮らしをしている。ここ半年ほど自宅に閉じこもっていることが多く、他者との交流が減っている。一人息子は、他県で家庭を築いている。以前、夫が利用していた通所介護事業所に、ある日、Cさんから次のような電話が入った。「もの忘れが多くなり、心配になって受診したところ軽度認知障害だと言われた。認知症で判断ができなくなる前に、いろいろ整理しておきたい。夫も先に逝っていることだし、運命を静かに受け入れようと思う」
電話を受けた介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
(第27回介護福祉士国家試験)
1.心配ないから気にしないように励ます。
2.他県に住む息子と同居することを勧める。
3.成年後見制度を紹介する。
4.居宅介護サービスの利用を勧める。
5.地域包括支援センターを紹介する。
正解5
1.根拠のない励ましは不適切です。
2.設問文からは、一人暮らしの不安はそれほどみえません。また、息子と同居できない理由がある場合もあるので、安易に同居を勧めるのは不適切です。
3&5.権利擁護事業や認知症対策推進事業などを実施している地域包括支援センターを紹介することは適切です。Cさんはいずれ成年後見制度を活用する可能性はありますが、この文章中のCさんの発言では具体的な整理をするための方法を知りたいかどうかは判断できません。よって5のほうがベターです。
4.Cさんが他者との交流が減っていることから、介護サービスを利用する必要があるとは判断できます。しかし、現時点でCさんから介護サービスの利用に関する発言がみられないことから、居宅介護サービスの利用を勧めることは適切ではありません。
Eさん(88歳、女性)は、血管性認知症で左片麻痺がある。穏やかな性格である。認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居し、グループホームでの役目として、食事前の挨拶を担当している。しかし、夏の暑さが続いたとき、食事前の挨拶の後「こんなことはやらせないで」と理由もなく急に泣き出すことがあった。介護福祉職が受容的な態度で接していると、Eさんは笑顔で「ご苦労様」と介護福祉職に声をかけるようになった。
このようなEさんについて考えられることとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第28回介護福祉士国家試験)
1.睡眠不足による感情の変化
2.認知症の急激な進行
3.感情失禁の症状
4.暑さによる中核症状の悪化
5.職員の対応に対する怒り
正解3
1.睡眠に関しては、設問に何も情報がありません。
2.血管性認知症は階段を下りていくように進行し、よくなったり、悪くなったりします。急激な進行の可能性は低いです。
3.血管性認知症に特徴的な感情失禁によるものと考えられます。
4.中核症状の悪化による状態の変化は認められません。
5.「ご苦労様」と職員に声をかけているので、適当ではありません。
Cさん(80 歳、女性)は、軽度のアルツハイマー型認知症(dementia of theAlzheimer’s type)と診断され、訪問介護(ホームヘルプサービス)を受けて自宅で一人暮らしをしている。几帳面な性格で、大切な物はタンスの中にしまっている。最近物忘れが多くなってきた。
ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪ねると、Cさんが「泥棒に通帳を盗まれた」と興奮して訴えてきた。部屋はきれいな状態であった。
訪問介護員(ホームヘルパー)のCさんへの対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.保管場所を忘れたのだろうと伝える。
2.気分を変えるために話題を変える。
3.一緒に通帳を探すことを提案する。
4.認知症(dementia)が進んできたための症状であることを伝える。
5.通帳の保管場所を忘れないように保管場所に目印をつけてもらう。
正解3
Cさんの訴えを受容することが、もの盗られ妄想の基本的な対応です。選択肢の中で訴えを受容しているのは3だけです。
認知症(dementia)の妻を介護している夫から、「死別した妻の父親と間違えられてつらい」と相談されたときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1 つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)
1.妻が間違えないようになることは難しいと説明して、諦めるように伝える。
2.間違いを訂正すればするほど、妻の反発や興奮を引き起こすことを説明する。
3.認知症(dementia)の人によくみられることで、他の家族も同じ思いであることを伝える。
4.間違えられるつらさをよく聴いて、誤認を否定せずに、いつもどおりの態度で接するように勧める。
5.夫がうつ状態であることの可能性を説明して、夫自身の精神科の受診を勧める。
正解4
1.夫が認知症の症状について理解することは大切ですが、認知症の症状なのであきらめるように伝えることは適切ではありません。
2.原因や対応策を伝えることも必要ですが、まずは夫のつらい気持ちに寄り添うことが大切です。
3.他の家族を例に出して、共感し気持ちが楽になる場合もありますが、逆によそはよそと不快になる可能性もあるので、選択肢4の方がベターです。
4.夫のつらい気持ちを受容し、介護福祉職に理解してもらえていると感じてもらえるように対応することが大切です。
5.夫の話をよく聞いたうえで、夫にどのような支援が必要か判断することが大切です。この設問の情報だけでは、精神科の受診を勧めることは不適切です。
Cさん(70歳、女性)は息子(35歳)と二人暮らしをしている。息子の話によると、1年前から時々夜中に、「知らない人が窓のそばに立っている」などと言うことがある。また、ここ3か月で歩くのが遅くなり、歩幅が狭くなった。家事は続けているが、 最近探し物が目立ち、料理の作り方がわからないことがある。病院で検査を受けたが、 頭部MRIでは脳梗塞(cerebral infarction) や脳出血(cerebral hemorrhage)の指摘はなかった。
Cさんの状況から、最も可能性の高いものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.正常圧水頭症
2.レビー小体型認知症
3.慢性硬膜下血腫
4.血管性認知症
5.うつ病
正解2
1.正常圧水頭症は、CTやMRIなどで、脳の脳室という部分が大きくなっているかなどで確認できます。MRIで指摘されていないため、可能性は低いです。
2.・知らない人が窓のそばに立っている→幻視
・歩くのが遅くなり、歩幅が狭くなった→パーキンソン症状
レビー小体型認知症の特徴に当てはまります。
3&4.MRIで指摘されていないため、可能性は低いです。
5.幻視が起きており、うつ病の特徴ではないため、可能性は低いです。
Dさん(75歳、男性)は、介護福祉職のEさんの近所に3年前に引っ越してきた。Dさんは引っ越してきた時から一人暮らしである。最近、Dさんは、「米が盗まれてしまって、タ飯が作れなくて困っている。米を貸してほしい」と、タ方、Eさんの家をたびたび訪ねるようになった。Dさんの家族は海外赴任中の息子家族だけだと、以前D さんから話を聞いたことがある。Eさんは息子と一度も会ったことはない。
EさんがDさんについて相談する機関として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.福祉事務所
2.地域活動支援センター
3.居宅介護支援事業所
4.認知症疾患医療センター
5.地域包括支援センター
正解5
参考テキスト⇒⇒地域包括支援センター
地域包括支援センターの主な業務の1つである包括的支援事業に、認知症総合支援事業があります。この認知症総合支援事業は、認知症初期集中支援チームの関与による認知症の早期診断、早期対応や地域支援推進員による相談対応などを行うものであり、Dさんについて相談する機関として適切です。
この問題では積極的に選択肢5を選べれば大丈夫です。
認知症(dementia) の利用者Fさんは、施設外へ出て行って一人で帰れないことを繰り返している。Fさんへの予防的対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)
1.Fさんが出て行こうとするたびに、制止する。
2.Fさんの視線の高さに合わせて、出入口に「通行止め」と書いた札を貼る。
3.Fさんに「ここがあなたの家です」と、繰り返し説明する。
4.Fさんと一緒にスタッフも出かけて、戻るように指示する。
5.Fさんの日常の様子を観察した上で、出て行く理由や目的を検討する。
正解5
1.Fさんは一人で帰れないことを繰り返しているとあり、制止を呼びかけても、Fさんが制止する可能性は低いです。
2.札や書いてある文字を認識できない可能性があります。
3.施設が自分の家ではないことを認識して、施設外へ出て行くのか、または何か理由があって外へ行くのか、わからないので、「ここがあなたの家です」という説明で納得できる可能性は低いです。
4.一緒にスタッフが出かけることも時には必要ですが、事後的対応であるため、予防的対応としては最も適切とはいえません。
5.出ていく理由や目的が分かった方が、適切な支援を行いやすいです。
介護老人保健施設に入所した認知症高齢者が、夜中に荷物を持って部屋から出てきて、介護福祉職に、「出口はどこか」と聞いてきた。介護福祉職の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.「今日はここにお泊りになることになっています」と伝える。
2.「もうすぐご家族が迎えに来るので、お部屋で待っていましょう」と居室に誘う。
3.「トイレですよね」と手を取って案内する。
4.「どちらに行きたいのですか」と声をかけて並んで歩く。
5.「部屋に戻って寝ましょう」と荷物を持って腕を取る。
正解4
「出口はどこか」という質問があったことから、場所に関する見当識が得にくい状態であり、入所している理由もわかっていないと考えられます。まずは選択肢4のような声掛けで、「どこに行きたいのか」などの情報を把握して、それから適切な声掛けを考えることが大切です。
認知症(dementia)の母親を献身的に介護している息子が、母親に怒鳴られてたたきそうになった。それを見ていた介護福祉職の息子への対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
1.「孝行息子のあなたが手を上げるなんて…」と注意する。
2.「行政に通報します」と告げる。
3.「認知症(dementia)だから怒鳴るのは仕方がない」と慰める。
4.「地域にある認知症(dementia)の人と家族の会を紹介します」と伝える。
5.「懸命に介護をして疲れていませんか」と話を聴く。
正解5
まずは、息子が献身的に介護をしていることを支持し、息子の話を聞くことで、たたきそうになった原因を一緒に考える必要があります。
Cさん(78際、男性、要介護2)は、4年前にアルツハイマー型認知症と診断を受け、通所介護(デイサービス)を週1回利用している。以前からパソコンで日記をつけていたが、最近はパソコンの操作に迷い、イライラして怒りっぽくなったと娘から相談を受けた。介護福祉職が娘に対して最初に行う助言の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.パソコンの処分
2.パソコンの使い方の手助け
3.日記帳の購入
4.薬物治療について主治医に相談
5.施設入所について介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談
正解2
”パソコンの操作に迷い、イライラして怒りっぽくなった”
ここが解決すべき課題であるので、介護福祉職が娘に対して最初に行う助言としては、選択肢2が適切です。うまくいかない場合に、別の方法を考えます。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で生活している軽度のアルツハイマー型認知症(dementia of Alzheimer’s type)のDさんは、大腿骨の頸部を骨折(fracture)して入院することになった。認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の介護福祉職が果たす役割として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.理学療法士に、リハビリテーションの指示をしても理解できないと伝える。
2.介護支援専門員(ケアマネジャー)に、地域ケア会議の開催を依頼する。
3.医師に、夜間は騒ぐ可能性があるので睡眠薬の処方を依頼する。
4.看護師に、日常生活の状況を伝える。
5.保佐人に、治療方法の決定を依頼する。
Eさん(75歳、男性)は、1年ほど前に趣味であった車の運転をやめてから、やる気が起こらなくなり自宅に閉じこもりがちになった。そのため、家族の勧めで介護予防教室に参加するようになった。最近、Eさんは怒りっぽく、また、直前の出来事を覚えていないことが増え、心配した家族が介護福祉職に相談した。
相談を受けた介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)
1.「認知症(dementia)でしょう」
2.「趣味の車の運転を再開するといいでしょう」
3.「老人クラブに参加するといいでしょう」
4.「音楽を流して気分転換するといいでしょう」
5.「かかりつけ医に診てもらうといいでしょう」
正解5
1.介護福祉職が医学的判断をすることはできません。
2.認知症の可能性もあるので、車の運転はリスクがあります。
3.すでに介護予防教室に参加しており、解決につながる可能性は低いです。
4.Eさんが音楽を聴いて気分転換できるのかわかりません。
5.直前の出来事を覚えていないことが増えている、とあるので認知症の可能性もあり、受診を促すことは適切です。
図は、2016年(平成28年)「国民生活基礎調査」(厚生労働省)を基に、介護保険制度における要介護者と要支援者の介護が必要となった主な原因の構成割合を作図したものである。
AからEには
・「関節疾患(jointdisease)」
・「高齢による衰弱」
・「骨折(fracture)・転倒」
・「認知症(dementia)」
・「脳血管疾患(cerebrovasculardisease)(脳卒中(stroke))」
のいずれかが該当する。「認知症(dementia)」に該当するものとして、正しいものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)
※2019年の国民生活基礎調査でも数字は微妙に違いますが、順位は同じなので、同じ答えになります。
1.A 2.B 3.C 4.D 5.E
正解3
参考テキスト⇒介護が必要になった主な原因(要介護度別)
要介護者で介護が必要となった最も多い原因は「認知症」なので、Cが認知症にあたります。ちなみに、2番目に多いのは「脳血管疾患」でAにあたります。
また、要支援者で介護が必要となった原因の1位は関節疾患でBにあたります。
2012年(平成24年)の認知症高齢者数と2025年(平成37年)の認知症高齢者数に関する推計値(「平成29年版高齢社会白書」(内閣府))の組み合わせとして、適切なものを1つ選びなさい(第32回介護福祉士国家試験)
※平成37年とは令和7年のことです。
1.162万人ー約400万人
2.262万人ー約500万人
3.362万人ー約600万人
4.462万人ー約700万人
5.562万人ー約800万人
正解4
平成29年版高齢社会白書
2012(平成24)年の時点で、462万人あたりは覚えておいて損はありません。その後の推計値は細かく覚える必要はないですが、増加傾向です。
うつ病(depression)による仮性認知症(pseudodementia)と比べて認知症(dementia)に特微的な事柄として、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1 判断障害がみられることが多い。
2 不眠を訴えることが多い。
3 誇張して訴えることが多い。
4 希死念慮がみられることが多い。
5 抗うつ薬が効果的であることが多い。
正解1
1.判断力の低下は、仮性認知症、認知症ともにみられますが、物事の理解に時間がかかり、一度に複数のことを言われ、行動しようとすると理解が難しくなる判断障害は認知症の中核症状の一つです。
2.不眠を訴えることが多いのはうつ病の特徴的な症状です。認知症でみられる睡眠障害は、身体的・心理的問題など複数の要因が背景となって、二次的に現れる症状です。
3~5.誇張して訴える、希死念慮、抗うつ薬が効果的、は仮性認知症の特徴です。
他の特徴的な違いもあげておくと、
初期症状は認知症が物忘れ、仮性認知症が、気分や意欲の低下。
摂食障害は認知症は特にないか、進行している場合は異食などで、仮性認知症が食欲不振、拒食などがあります。
日本における認知症(dementia)の原因のうち、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の次に多い疾患として、正しいものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1 血管性認知症(vascular dementia)
2 前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)
3 混合型認知症(mixed type dementia)
4 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)
5 アルコール性認知症(alcoholic dementia)
正解1
認知症の中で圧倒的に多いのがアルツハイマー型で、認知症全体の60%以上を占めていて、次いで多いのが脳血管性認知症で20%程で、高血圧や糖尿病、肥満など、現代人が抱える生活習慣の問題が一因となっていて、今後増加していくと予想されています。
日本での認知症(dementia)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1 アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)以外の認知症(dementia)の患者数が増加している。
2 アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の有病率は、男性より女性が高い。
3 年齢が若いほど、認知症発症のリスクが高い。
4 生活習慣病(life-style related disease)と認知症発症には関連がない。
5 運動は認知症予防に無効である。
正解2
1.認知症の中で圧倒的に多いのがアルツハイマー型です。
2.これは正しいです。ちなみに血管性認知症は男性の方が多いです。
3.高齢者ほど発症リスクが高いです。
4.血管性認知症の発症は糖尿病や高血圧などの生活習慣病と関連があります。
5.運動は、脳への刺激や、生活習慣病の予防になるので、認知症予防に有効です。
認知症初期集中支援チームに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1 認知症(dementia)の人は病院への入院や施設への入所をするべきであるという考えに基づいている。
2 既に認知症(dementia)の診断を受けている人への支援は含まれない。
3 家族への支援は含まれない。
4 支援期間は2~3年である。
5 チーム員会議を開催してケア方針を決定する。
正解5
参考)⇒認知症初期集中支援チーム
1.現在はできる限り住み慣れた地域のよりよい環境で生活を継続できるようにするという考え方に基づいています。
2&3.認知症の疑いがある人、すでに認知症の診断を受けている人やその家族が支援対象です。
4.初期集中ということでおおむね6か月と支援期間が定められています。
5.これは正しいです。
クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1 有病率は1万人に1人である。
2 プリオン病である。
3 認知症(dementia)の症状は暖やかに進行する場合が多い。
4 致死率は低い。
5 不随意運動は伴わない。
正解2
1.有病率は、年間100万人に約1人です。
2.クロイツフェルト・ヤコブ病は、プリオンたんぱく質が脳内に蓄積することで発症する神経系の疾患です。
3&4.症状の進行が非常に速く、初期症状から1〜2年ほどで死に至ります。
5.通常は発症して6カ月以内に、筋肉が不随意に素早くビクッと動く( ミオクローヌス)症状が現れます。
レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1 脳梗塞(cerebral infarction)が原因である。
2 初発症状は記憶障害である。
3 けいれんがみられる。
4 人格変化がみられる。
5 誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)の合併が多い。
正解5
参考)⇒レビー小体型認知症
1.レビー小体型認知症は、脳内の神経細胞にレビー小体が蓄積して発症します。選択肢は、血管性認知症の説明です。
2.初期症状としては、便秘やレム睡眠行動障害で、その後、パーキンソン症状や幻視などが現れます。選択肢は、アルツハイマー型認知症の説明です。
3.レビー小体型認知症でみられるのは、痙攣ではなく、振戦です。
4.人格変化がみられるのは、前頭側頭型認知症です。
5.レビー小体型認知症では、筋固縮による嚥下障害が生じやすく、誤嚥性肺炎の合併が多いです。
Bさん(80歳、女性、要介護2)は、1年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の診断を受け、服薬を継続している。同居の息子は日中不在のため、週に3回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し、訪問介護員(ホームヘルパー)と共に活発に会話や家事をしていた。不眠を強く訴えることが増えたため、1週間前に病院を受診したときに息子が主治医に相談した。その後、午前中うとうとしていることが多くなり、飲水時にむせることがあった。歩くとき、ふらつくようになったが、麻痺はみられない。バイタルサイン(vatal signs)に変化はなく、食欲・水分摂取量も保たれている。 訪問介護員(ホームヘルパー)のBさんと息子への言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1 「日中は横になって過ごしたほうがよいでしょう」
2 「歩行機能を保つためにリハビリをはじめませんか」
3 「嚥下障害が起きてますね」
4 「処方薬が変更されていませんか」
5 「認知症(dementia)が進行したのでしょう」
正解4
医療的な判断は介護職にはできないので、選択肢3、選択肢5は不適切です。
また、不眠の訴えがあるのに、日中横になってすごしましょうも不適切です。
リハビリよりも、飲水時のむせこみや、ふらつきの原因と特定する方が先で、不眠を訴えて受診という流れが書いてあるので、睡眠薬などが処方されて、その副作用ではないかと推測できるので、正解4です。
認知症(dementia)の原因疾患を鑑別するときに、慢性硬膜下血腫(chronicsubdural
hematoma)の診断に有用な検査として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1 血液検査
2 脳血流検査
3 頭部CT検査
4 脳波検査
5 認知機能検査
正解3
慢性硬膜下血腫とは、脳を包む3枚の薄い膜、外側から硬膜・くも膜・軟膜、のうち一番外側の硬膜の下に血腫ができる疾患をいいます。頭部CTや、MRI検査を行って脳の内部を見ることで、硬膜の下の血腫を発見することができます。
原因には転倒などによる脳の打撲があります。打撲時には痛みの他に症状がみられません。
症状の進行は、打撲により硬膜の血管が破れてじわじわと出血し、血液の塊ができ、それが脳を圧迫し神経細胞に障害をきたします。
徐々に進行し、打撲後1~3か月くらいで、頭痛やもの忘れの症状がみられ、尿失禁や寝たきりを誘発しやすいです。簡単な脳手術で血腫を取り除くことができ、治る認知症の代表的疾患です。
認知症(dementia)に伴う注意障害に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1 周囲から物音が聞こえてくると、食事を中断したままになる。
2 毎日、同じ時間に同じ行動をする。
3 旅行の計画を立てることが難しい。
4 話そうとすることを言い間違える。
5 介護職員から説明を受けたことを覚えていない。
正解1
1.注意障害では、複数の対象への注意を向けていることなどが難しくなります。周囲からの物音に注意が向き、食事には注意が向けられなくなるため、中断したままになると考えられるので、これは適切です。
2.これは常同行動のことで、前頭側頭型認知症にみられる特徴です。
3.これは実行機能障害(遂行機能障害)のことです。
4.これは注意障害の内容ではありません。
5.これは記憶障害です。
Cさん(87歳、男性 要介護5)は、重度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。現在、介護老人福祉施設に入所しているが終末期の状態にある。できる限り経口摂取を続けてきたが、誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を繰り返し、経口摂取が困難となった。臥床状態が続き、声かけに対する反応も少なくなっている。医師から「死が極めて近い状態である」と伝えられた。施設で看取ることになっているCさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第33回介護福祉士国家試験)
1 離床している時間をつくる。
2 会話によって本人の希望を聞く。
3 事前指示書を作成する。
4 苦痛があるかないか、状態を観察する。
5 本人の好きな食事を用意する。
正解4
1.終末期で、臥床状態が続いていて、声掛けに対する反応も少ないという状態で離床するのは難しいです。
2.声掛けに対する反応が少なくなっているCさんと会話して希望を聞くのは難しいです。
3.Cさんが設問のような状態のようになる前に作成しておくものであり、現状では作成は難しいです。
4.Cさんの現状では、介護職にできるのは、安楽にすごしてもらうことなので、これは適切です。
5.経口摂取は困難と書かれているので不適切です。
軽度認知障害(mild cognitive impairment)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.本人や家族から記憶低下の訴えがあることが多い。
2.診断された人の約半数がその後1年の間に認知症(dementia)になる。
3.CDR(Clinical Dementia Rating)のスコアが2である。
4.日常生活能力が低下している。
5.治療には、主に抗認知症薬が用いられる。
正解1
1&4.軽度認知障害の定義は、軽度の記憶障害や注意力の低下がみられるものの、一般的な認知機能に問題がなく、日常生活への影響がないことです。なんか忘れっぽくなったと記憶低下がきっかけとなって受診につながるケースが多いです。
2.軽度認知障害から認知症に移行する人の割合は、1年で10%程度とされています。
3.参考)CDR
軽度認知障害のスコアは、CDR0.5とされており、CDR2は、中等度認知症です。
5.軽度認知障害は認知症ではないので、食習慣や運動習慣、人とのかかわりなどの日常生活の改善が基本となります。
若年性認知症(dementia with early onset)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.75歳未満に発症する認知症(dementia)である。
2.高齢者の認知症(dementia)よりも進行は緩やかである。
3.早期発見・早期対応しやすい。
4.原因で最も多いのはレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)である。
5.不安や抑うつを伴うことが多い。
正解5
1.若年性認知症は65歳未満で発症した認知症のことをいいます。
2.逆で、若年性認知症は進行が速いのが特徴です。
3.年齢が低いため、自分では気づきにくいです。家族や仕事場などで変化を指摘されてから受診する場合が多く、発見が遅れやすいです。
4.
厚生労働省 若年性認知症の実態等に関する調査結果
5.不安や抑うつを伴うことが多く、うつ病と診断されることもあります。発見が遅れる要因の1つです。
軽度の認知症の人に、日付、季節、天気、場所などの情報をふだんの会話の中で伝えて認識してもらう認知症ケアとして、正しいものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.ライフレビュー
2.リアリティ・オリエンテーション
3.バリデーション
4.アクティビティ・ケア
5.タッチング
正解2
1.自分の過去を思い出して、人生を肯定的に再評価したり、自分自身を肯定的に受け入れていけるようにする手法で、回想法と似たようなものです。
2&3.(参考)認知症のある人へのかかわり
選択肢4、5はわざわざ名前をつけるようなものではありません。積極的に選択肢2を選びましょう。
Bさん(86歳、女性)は、中等度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。短期入所生活介護(ショートステイ)の利用を始めた日の翌朝、両手に便が付着した状態でベッドに座っていた。
Bさんへの声かけとして、適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.「臭いからきれにします」
2.「汚い便が手についています」
3.「ここはトイレではありません」
4.「手を洗いましょう」
5.「こんなに汚れて困ります」
正解4
1&2.認知症の人のプライドを尊重することは、介護者の大切な基本姿勢です。「臭い」「汚い」というワードでBさんが傷つく可能性があり、適切ではありません。
3.『両手に便が付着した状態でベッドに座っていた』とあるので、ショートステイの利用を始めたばかりでトイレの場所がわからなかった、または、トイレとベッドの区別がついていない等が考えられます。「ここはトイレではありませんよ」と伝えるのは可もなく不可もなくという感じですが、便で手が汚染されている状態なので選択肢4の方がベターです。
4.「トイレの後は手を洗った方がいいですよ」と、両手に便をつけていたことを責めるのではなく、手洗いを促すのが適切です。
5.叱ったり、非難するような声かけをしても、Bさんは理解できないと考えられるため、適切ではありません。
認知症初期集中支援チームに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。(第34回介護福祉士国家試験)
1.自宅ではない場所で家族から生活の様子を聞く。
2.チーム員には医師が含まれる。
3.初回の訪問時アセスメントは不要である。
4.介護福祉士は、認知症初期集中支援チーム員研修を受講しなくてもチームに参加できる。
5.認知症疾患医療センター受診後に、チームが対応方法を決定する。
正解2
1.認知症初期集中支援チームが対応する対象者は、40歳以上の在宅生活者であり、認知症が疑われている(または認知症である)方であり、自宅に訪問して話を伺います。
2.参考)認知症初期集中支援チーム
3.利用者の困りごとを探り、必要なサービスを検討するためにも、アセスメントは必要です。
4.チーム員は国が別途定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識・技能を修得するものとされています。ただし、やむを得ない場合には、国が定める研修を受講したチーム員が受講内容を共有することを条件として、同研修を受講していないチーム員の事業参加も可能となっています。
5.認知症疾患医療センターは、認知症に関する詳しい診断や症状への対応、相談などを行う認知症専門の医療機関です。
相談を受けて、まずチームが訪問、アセスメントし、医療機関の受診をサポートしたり、必要なサービスを検討したりします。